空道
レポート

【空道】20歳の総本部内弟子で“1級”の中上悠太朗が無差別初優勝、女子は小野寺玲奈が初優勝

2024/11/03 21:11
全日本空道連盟2024 北斗旗全日本空道無差別選手権大会2024年11月3日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館  道衣とスーパーセーフと呼ばれる顔面防具を着用のうえで、頭突きやヒジ打ち、道衣を掴んでの打撃・投げ・寝技によって争う“着衣総合格闘技”である空道(くうどう)の『2024全日本無差別選手権大会』が、11月3日(日)東京・国立代々木競技場第2体育館にて開催された。 【写真】ベスト8が出そろったところで抽選会が行われ、決勝トーナメントの組み合わせが決まった 今大会は、体力別(身長+体重の合計数値によるクラス分け)で行われる国際大会に繋がる予選大会の実施の必要のない年度の秋季に限って行われる、階級分けなしの無差別選手権大会として2023年に続いての開催となった。  活躍が目立ったのは総本部。まだ20歳の内弟子3人がそろってベスト8に進出し、まだ1級(初段の手前)の中上悠太朗が優勝という快挙を成し遂げ、空道に新たな風を吹かせた。 ▼男子決勝〇中上悠太朗(総本部)延長戦 効果優勢勝ち×西尾勇輝(大阪南支部)  決勝は2023年全日本無差別優勝、2023年第6回世界選手権大会(-270)3位の実績を持つ西尾と、2023年全日本無差別6位で総本部内弟子の中上で争われた。  中上は西尾のパンチをかわしての右フック、西尾は組んで投げを狙っていくが両者場外へ。中上は頭を大きく左へ動かしての右フック、ジャンプしてのスーパーマンパンチも放つ。西尾はつかんでのヒザ。  本戦は両者に効果が2つ以上ないため自動延長に。中上は左右フックから外掛けでテイクダウン、西尾の足をパスガードするとマウントを奪い、突きの連打で効果を奪う。どっと沸く館内。  西尾は右の強打を当てるも効果にならず。さらに西尾が投げを狙って組み付きに行くも中上は崩れない。西尾は右の強打、右ハイで逆転を狙っていくが中上は軽快な動きでそれをかわしていく。最後は中上がテイクダウンをとって試合終了。まだ20歳で1級の中上が無差別全日本で初優勝を収めた。  ジュニアから育ち小樽支部から高校卒業と同時に上京、本部内弟子になった中上。「ホッとしたのが一番大きいです。前回、ベスト8で肩が外れてその悔しさもあったので優勝を目標にして日々練習していました。総本部で組みの練習をしていたのでその練習の成果が出たと思います」とコメント。  相手の右ストレートを左に頭を大きく動かしての右フックを多用したが「あれは見て避けるというよりも感覚で動いていました。それと距離感。分かりづらい距離感なんですけれど、(頭を大きく倒しても)距離感でハイキックは当たらないかなって。大丈夫って感じです」という。  そして「まずは世界王者になること、それと空道という競技を世界に広めることが目標です」と語った。 [nextpage] ▼女子決勝〇小野寺玲奈(帯広支部)延長戦 効果優勢勝ち×宮 梨江(総本部)※小野寺が優勝。  女子は優勝候補と目されていた大倉萌(吉祥寺支部)が病気のため欠場。4名によってトーナメントが行われ、2024年ユーラシアンカップ(-220)準優勝、2024年全日本体力別(同)優勝の小野寺と、2024年関東無差別予選1位でまだ4級の宮で争われた。  両者きびきびとした動きから小野寺が投げての突きで効果を奪う。再び投げる小野寺だが本戦終了。効果が2つ以上ないため自動延長に。  小野寺がフックからつかんでのパンチ。小野寺は道衣をつかんで崩してのハイキックを決め、そこから投げてニーオンザベリーで抑え込んで効果を獲得。つかんでの崩し、投げを見舞うと見せかけて打撃にいく小野寺。宮の蹴り足をつかんでテイクダウンしたところで試合終了。  効果を奪った小野寺が無差別全日本で初優勝を飾った。 [nextpage] ▼準決勝第1試合〇中上悠太朗(総本部)延長戦 判定4-0×服部晶洸(横浜北支部)※中上が決勝へ進出。  ローの蹴り合いから中上のパンチに合わせて服部がダブルレッグでテイクダウンも寝技時間切れ。中上が右ローから身体を大きく左右に振っての左右フック、組み付いて投げるがタイムアップ。  自動延長。中上が右ロー、服部はジャブからロー。中上がパンチを当てに行く。服部は投げに行くが中上が返して上に、服部が上を取り返すも寝技時間切れ。中上が強烈な右ローと左右フック、服部は投げに行くが中上は防ぐ。中上が胴に組み付いて投げでテイクダウン、服部は上を奪い返すが試合終了。  判定4-0で中上が決勝進出を果たした。 [nextpage] ▼準決勝第2試合〇西尾勇輝(大阪南支部)一本 ※右上段廻し蹴り×目黒雄太(長岡支部)※西尾が決勝へ進出。  西尾が右ストレートを2発当てて先制。目黒はローで応戦し、右ハイを蹴ろうとしたところで西尾がカウンターの右ハイ。これが見事に目黒を捉え、目黒が完全にダウン。西尾の衝撃的な一本勝ちとなった。 [nextpage] ▼準々決勝第1試合×林 洸聖(長野佐久道場)延長戦 効果優勢勝ち〇中上悠太朗(総本部)※中上が準決勝へ進出。  林は2024年全日本体力別(-260)優勝の実績を持つ。  ローの蹴り合いからつかんでのヒザ、投げを狙い合う。林が投げて寝技になるが寝技時間切れ。林はヒザを蹴って中上が蹴り返してきたところで投げ、寝技に持ち込むが時間切れ。中上はスーパーマンパンチを放つと、林が着地時に右フックを決める。  効果が2つ以上ないため自動延長に。お互い慎重でローの蹴り合い。打ち合いになったところで中上が頭を大きく振っての左フックで効果を奪う。奪い返しにパンチを打って前へ出る林だったが時間切れに。  中上が効果優勢勝ちで準決勝へ進出した。 [nextpage] ▼準々決勝第2試合×佐々木虎徹(総本部)一本 ※腕十字〇服部晶洸(横浜北支部)※服部が準決勝へ進出。  佐々木は中上と同じ総本部内弟子で20歳の1級。2024年関東無差別1位の実績を持つ。服部は2018年第5回世界大会(-240)3位、2023年全日本無差別5位の実績を持つ34歳のベテラン。  佐々木が鋭い蹴りを多用していくが、組み合ったところで両者倒れ、上になったのは服部。腕十字を極めて一本勝ちを収めた。 [nextpage] ▼準々決勝第3試合×佐々木龍希(総本部)不戦勝〇西尾勇輝(大阪南支部)  佐々木は中上悠太朗、佐々木虎徹と同じ総本部内弟子で20歳の初段。2024年ユーラシアカップ(-230)優勝、2024年全日本体力別(-230)準優勝の実績を持つ。  佐々木の棄権により西尾の不戦勝。佐々木は大会前から調子が悪かったという。 [nextpage] ▼準々決勝第4試合×谷井翔太(横須賀支部)延長戦 判定0-5〇目黒雄太(長岡支部)  谷井は2023年第6回世界大会(-230)3位、第5回4位、2024・2021年全日本体力別(-240以下)優勝の実績を持つ34歳のベテラン。  目黒は2023年第6回世界大会(-230)優勝、2015~2019・2021~2024全日本体力別(-230)優勝という金字塔を打ち立てた軽量級の絶対王者だ。  先につかんだのは目黒だが、投げたのは谷井。しかし目黒は組み付かれたまま起き上がって首投げに。目黒が右ハイキックをヒットさせるも谷井が投げて寝技に。これも寝技時間切れ。目黒が右フックのフェイントから右ハイ、さらに蹴りからパンチで前へ出るが、谷井がダブルレッグからテイクダウンして本戦終了。  両者に効果2がなく自動延長に。目黒の蹴り足をすくった谷井が寝技に行くも時間切れ。蹴りに来た目黒に谷井が右フック、すぐに目黒が連打を返して寝技になるも足の取り合いで時間切れに。目黒の蹴りに谷井が右のカウンターを合わせに行くと、目黒はすぐに何発も打ち返す。蹴りからパンチを徹底した目黒が優勢勝ちとなった。 ●長田賢一塾長の総評【写真】最優秀選手に贈られる「北斗旗」を中上に渡す長田塾長「(日本の)厳しい状況は変わらない。選手の強化をしていかないとワールドカップ、世界選手権は厳しい気がしました。ベスト8はいい動きもしていたしパワーもスピードもあると思いましたが、まだまだ(世界と)戦っていない。実際に佐々木龍希選手、林選手、小野寺選手も海外にチャンスがあって経験していますが、まだまだチャンスを作らせていただくので研鑽を積んでください。  ベスト8以外は、技が、基本が出来ていないという言い方はしたくないが、技をもっと大きく。そこは武道をやる人間にとしてまだまだ伸ばして行かないといけないところがいっぱいあるので技を作る、技を追求することがまだまだ足りないと思います。小さい間合いでやり取りをしていくのが一般部に見受けられました。自分の技を追求する、一発で倒すという想いがつながると思うので、自分の技を追求する。自分が得意な技を伸ばすことを研鑽してください」
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