2024年10月25日(金)東京・後楽園ホール『Krush.166』のメインイベントで、第9代Krushバンタム級王座決定トーナメント決勝戦3分3R延長1Rを黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と争う、白幡裕星(K-1ジム総本部チームペガサス)のインタビューが主催者を通じて届いた。
白幡はアマチュアで多数の経験を積み、2018年10月にプロデビュー。2019年12月1日にはMuayThaiOpenスーパーフライ級王座を獲得。2021年2月にはKNOCK OUT-REDスーパーフライ級王座も奪取。2022年3月、RIZINで吉成名高に挑むもTKOで敗れている。2023年2月にKrush初参戦で第6代Krushバンタム級王者・吉岡ビギンを再三の偶発的なローブローがあったものの判定で破った。2戦目で壬生狼一輝に敗れたものの、その後は2連勝。トーナメント準決勝は峯大樹に不戦勝。戦績は16勝(1KO)5敗1分。
努力していれば一番になれるところを見せたい
──この取材がちょうど試合の1週間前になりますが、追い込みはそろそろ終わる頃ですか?
「そうですね。今日(18日金曜)で終わる感じです。今ジムから帰って、この後夜にフィジカルをやって終わりです」
──ここまでの練習の手応えとか出来はいかがですか?
「たぶん、今回は過去イチ練習したと思うんですよ。もう本当に体が壊れるぐらい、壊れる寸前ぐらいまでやったなっていう、今思えばそんな感じですね。周りのみんなも止めるぐらいやったので。なんか自分でブレーキかけられなくて……それはあんまりよくないんですけど、ジムの代表からも『もうこれぐらいにしとけ』って言われるぐらいやったので、自信はあります」
──その中で一番やってきたのはどういうことですか?
「一番やってきたのは実戦ですかね。今回は相手がサウスポーなので、サウスポーの練習パートナーを4人用意したんです。ジムにいる後輩と、他にも出稽古で来てもらったりして、サウスポーの選手とはすごく実戦的な練習を積みました」
──かなりバッチリっぽいですね。
「はい、バッチリな気がします」
──これまで、対サウスポーはどうだったんですか?
「サウスポーは苦手ではないんですけど、やっぱりオーソドックスの方がやりやすいと思うのは、たぶん、サウスポーの相手と練習する機会があんまりなかったからかなとは思います。自分のイメージは間違ってないですけど、それを完璧にするまでの練習の機会があまりなかったのかなと。そこを、この2カ月半ですごく埋められました」
──過去イチ練習したというのは、やはりこの試合にタイトルが懸かっているというのが大きい?
「タイトルというより、今は本当に対戦相手というところを重視していて、本当にこの試合に勝つことだけを考えて時間を費やしてきたというか、本当にメチャクチャ練習しました」
──それだけやった上で、どういう試合にしたいですか?
「一方的な試合にしたいです。タイトルが懸かってるからいい試合とか、そういう熱い試合をたぶんみんな見たいと思うんですけど、そこまでさせない技術の差を見せたいですね。自分が一方的にやって終わるという試合にしたいです」
──それって、早い時間で倒すとか、そういうことを意味していますか?
「早い時間でも倒せる技とかも用意して、それも意識しています。ただ、相手も練習してないわけではないと思うので、気持ちのぶつかり合いみたいになった時に、差が開いてるのかというのを見せてやろうかなと思います。長い時間になっても自分は勝つし、早い時間でも自分が勝つし、という感じです」
──もともとK-1 GROUPに参戦し始めた時点から、自分の技術力、周囲との差にはかなり自信があったのでは?
「そうですね。技術と練習量に関してはすごく自信がありました。でもムエタイ上がりだったので、近い距離での攻防とかがまだ完璧ではなかったんですけど、ここ最近はそこも徹底できているというか。試合で見せてないので分からないと思うんですけど、自分の中では手応えがあります」
──その意味でも、ここでKrushのタイトルを獲得するというのは、その一つの証明にはなると。
「そうですね。むしろ、ここで獲れなきゃ終わりだと思ってます。ここで獲るヤツが上に上がると思うので。なので、ここで逃してしまったら、自分はそこまでという感じですね」
──ただ、まだK-1 GROUPではKOがないですよね。そこをすごく求められるリングだと思うんですが、そこに関しては?
「そこはすごく意識してますね。『倒さなくてもいいやん』って思ってたら、選手としても上がっていかないと思うので、倒すということはずっと意識してます。そこは自分に甘えずに、お客さんはそこを見たいと思うので、そこを目指しています」
──そのために、特に意識して強化しているところは?
「フィジカルトレーニングをやるようにしました。フィジカルは効果が出るのにけっこう時間かかる、最低でも半年はかかるって言われたので、3月ぐらいからやり始めました」
──今はちょうど半年が経ったところですが、練習の中でフィジカルが生きて変わってきたと感じるところはありますか?
「今思えば、あんまり体では負けなくなったかなと思います。53kgの中では、たぶん体で負けることはないかなと思いますね」
──そうすると、攻撃も出しやすくなったり?
「そうですね、よりアグレッシブになったというか。今までは体で負けて下がっちゃったりする部分もあったんですけど、そこで一歩踏ん張れるようになったかなとは思います」
──改めて、ここで勝てばKrushチャンピオンということに関しては、どういう気持ちですか?
「今はチャンピオンになるためにやってるというよりは、ここまで積み重ねてきた努力を証明したいという気持ちが大きくて。本当に勝ち負けで大きく変わると思うので。それはどの試合もそうなんですけどね。今は勝ちというものをすごく意識していて、タイトルマッチだからどうという感情ではないですね」
──ただ、勝った時についてくるものが大きいわけじゃないですか。証明として分かりやすいですし。
「はい。別にベルトが欲しくないとかっていうわけではなくて。今までチャンピオンになった試合とかは、リベンジした試合もあったし、もう本当に死に物狂いで努力してきた結果がチャンピオンだったっていう感じだったので。今、そこのマインドに持っていけたのはけっこうデカいかもしれないですね。ただ『ベルトが欲しい』だけじゃ、たぶん届かないと思うので。近く見えて遠いと思うので、ベルトのことはもういったん置いて、この試合に勝つことだけを考えてきた感じです」
──ということは逆に、タイトルマッチだからというプレッシャーもそんなにはない?
「プレッシャーはないですね。青コーナーだし、挑戦者だと思ってるので。もう本当に、1秒も気を抜かず獲りにいこうかなと思ってます。結果的にいいものが見せられればいいかなと思っていて、あとは本当にやるだけだと思ってるので」
──では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
「自分の中ではここまでの格闘人生、順風満帆には進んできていないと思ってるんですけど、もう1回こうやって、努力していれば一番になれるというところを見せたいし、自分でもそれを証明したいと思っています。相手どうこうよりも自分との戦いだと思ってるので、しっかり勝って、その先はそれから考えたいと思います」