重森がリオスとヒジ打ちありルールで対戦(C)KNOCK OUT
2024年10月12日(土)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2024 vol.5』(U-NEXT配信)にて、セミファイナルのスーパーファイトKNOCK OUT- REDライト級3分3R延長1Rで対戦する重森陽太(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-REDライト級王者)とマルコス・リオス(アルゼンチン/ISKAムエタイ・アルゼンチン・スーパーライト級王者)のインタビューが主催者を通じて届いた。
重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。2021年7月にはスアレックから勝利を収め、KNOCK OUT-REDライト級王者にも輝いた。
2023年2月、悲願であったラジャダムナンスタジアム王座に挑戦したが、判定負けで奪取ならず。その後は所属を変えて8月のKNOCK OUTに参戦したが、バットマンに判定負け。11月にオープンフィンガーグローブ戦に初挑戦し、ルンペットを2RでTKOに破った。2024年2月の『RWS JAPAN』ではサミンデットに判定負けを喫したが、4月はセーンダオレックから左フックで2度のダウンを奪って勝利すると6月にレンタを破り国内最強を証明。9月には『ONE Friday Fights』に初出場、シン・ドンヒョンにKO勝ちした。戦績は42勝(19KO)8敗6分。
リオスは24歳の若さで70勝(41KO)3敗とキャリアも多く、KO勝ちが多い。これまでスーパーライト級で獲得したタイトルはISKAムエタイ・アルゼンチン王座、WBCムエタイ・アルゼンチン王座など7冠。その強烈無比なファイトスタイルから“WASABI(ワサビ)”のニックネームを持つ。2023年3月に初来日を果たすが、鈴木千裕に初回TKO負け。12月に再来日を果たすとバズーカ巧樹に強烈なヒジでTKO勝ちし、インパクトを残した。しかし、2024年2月の来日ではデンサヤームにTKOで敗れている。
重森「実はけっこう差があるんじゃないの?」
──まずは先日のONE初参戦&初勝利、おめでとうございます! 実際にONEで戦ってみていかがでしたか?
「会場がいつもと違うっていうのと、あと海外で試合することで調整の仕方だったりとか、過ごし方が全然違うので、そういった面ではいつもとは何か違う感じがしましたね。違和感というか。いつものルーティンがガッツリ崩れちゃうので、それは新鮮な感じはあったんですけど、会場に着いちゃえばもう全くいつも通りだったので、問題なくやれたかなって感じですね」
──あの勝利ができたのは今自分で振り返ると、何がよかったですか?
「クロスポイントでの練習と、今まで自分が積み上げてきたものがやっと合致した感じがしたんですよね。少しずつ、何となく掴みかけている感じはずっとあったんですけど、やっと形になったなって思ったのがあの試合だと思ってて。今もずっと教えてもらっているイソラサックというコーチに大体週に2回ぐらいミットを持ってもらって教えてもらってるんですけど、その他は全部クロスポイントでやってて。今まではわりとテクニックを使ってしっかりと相手をコントロールして試合をコントロールしてという感じだったんですけど、そこをギア一つ上げて、しっかりと仕留めにいくというのがクロスポイントでの練習なんですね。今までは、その2つが自分の中で何か別物になっちゃっていて。『それはその練習、これはこの練習』っていう感じになってたんですけど、そこをうまく融合することができて、緩急を使って一気に倒しにいくことができたんです。これは今の環境にやっと慣れてきたというか、自分の中で消化できたのが表れた試合なのかなと感じました」
──では、今後にも繋がる勝利だったわけですね。
「そうですね、繋がると思います。何か自分の中では一皮むけたというか、『こうすればいいんだ!』というのがちょっと出てきたなと思ってて。右ストレートで倒したんですけど、別に右ストレートに限らず、他の動きでも多分こういった流れはどんどん作っていけると思ってるので、再現性のあるものになったかなと思ってます」
【写真】ONE FF初参戦でKO勝ち、ボーナスもゲットした重森(C)ONE Championship
──というところで、その次のがマルコス・リオスになりました。ああいう感じで、パワーでガンガンくるようなタイプって、重森選手の対戦相手の中でも珍しくないですか?
「どうですかね? でも、僕はたぶん得意ですよ」
──ほう、そうですか。
「相性はかなりいいと思います。彼自身、パワーがあると分かってるので、困ったらパワーでくると思うんですよ。そういう、自分の長所をハッキリ分かってる人って、対策しやすいじゃないですか」
──なるほど。
「だからしっかり準備しておけば武器が明確に分かっている以上、そんなに苦労しないのかなと思ってます」
──では、勝利どころか倒すところもすでに見えている感じですか?
「実は、けっこう差があると思うんですよね。『KNOCK OUT』の関係者とかファンの皆さんとかからは、かなり注目度が高いカードだと思うんですよ。前々から『マルコス・リオスとの試合が見たい』っていう声が多かったので。でも、実はそんなに競るようなカードではないと思ってて。私もこうやって連戦の中で引き受けてますし…それぐらいだとは思ってます」
──ということは…このカードが注目されるということは、自分がちょっと低く見られているのでは?みたいなとこもあるんですか?
「いや、そこまでではないんですけど…それこそこの前のONEでの試合も含めて、この2~3ヵ月で自分の成長をすごく感じているんですよ。だから2~3ヵ月前の自分とマルコス・リオスだったら面白いカードかなと思うんですけど、自分の成長が感じられる現時点での重森陽太とマルコス・リオスだったら、実はけっこう差があるんじゃないの? とは思ってます」
──その差をしっかり見せる戦いをしたいと。
「はい、いい意味で期待を裏切りたいですね。あとは、マルコスが日本人の心を掴み過ぎてるっていうところがありますよね(笑)」
──ほう。
「『マルコスすごい!』みたいなイメージが、日本人にすごく根付いてるじゃないですか。過大評価しすぎですよ(笑)。でも今回は、いきなり階級をライト級に下げての一発目で私、『KNOCK OUT』チャンピオンとの対戦じゃないですか。だからここで彼が負けたとしても、あと1回チャンスをあげてもいいかなとは思いますけどね」
──マルコス選手って実は『KNOCK OUT』では1回しか勝ってないんですけど、バズーカ巧樹戦の印象がちょっと強すぎますよね。
「あれは印象すごいですよね(笑)。あと、負けてる相手ですよね。(鈴木)千裕君はしょうがない感じがしません? 何かパワータイプで押し切られたというか。あれは一つ例外として、それからデンサヤーム選手ですよね。あの試合を見ると、デンサヤームがメチャメチャうまかったから、あれも何かしゃあないなって感じがしますよね。だから負けてる試合は、それはそれでマルコスの株が下がるようなことは特にないと思ってて」
──ただ、バズーカ戦で爆上がりしていると。
「そう、その印象をみんなが持ちすぎてるだけだと思うんですよ」
「いやあ、どうですかね? でも自分もわりとデンサヤーム寄りだと思うので、ちょっと分かりにくいかなと思うから、あと1回ぐらい中間というか、なんかいい感じの層とマルコスを混ぜてあげたいかなって感じはしますよね。たぶん、それでちょうどよくバランスが取れると思います。相性的にも、今回マルコスのよさは十分には出ないと思うんですよ。ちょっと分かりにくい試合にはなると思います。って、あんまりマルコスの心配ばっかしてるのも謎ですけど(笑)」
──確かに(笑)。マルコスのマネージャーかマッチメーカーかという感じになってますよ。
「だから逆に言うと、もう自分勝手に自分の得意を押し付けるような試合をしたいとは思ってるんですよ。マルコスのよさは全く出ないような、そんな試合にしたいと思います」
──ただ、もうけっこう長いこと防衛戦もできていないですよね。だからそろそろ「挑戦者候補」に出てきてほしいということはないですか?
「それはありますね。でも今、ライト級はすごく選手がいるらしいんですけど、そこでちゃんとストーリーを作ってきてほしいですよね。こっちもサクッと防衛して、はいおしまい、じゃ意味がないというか。だからちゃんと『ライト級で一番なんだ』ということを証明してきてほしいなと思います」
──その意味で、最近は古村匡平選手がすごく吠えていて。彼は重森選手に勝ったバットマンにも勝っていて、『KNOCK OUT』ではそんなに負けてないのにタイトルマッチが組まれないから「重森をぶっ殺したい」とまで言っていた上で、9月の福岡大会では1RKO勝利も果たしました。
「その発言は知らなかったですけど……でも彼は確か、ちょっと前にREITO BRAVELY選手に1RKO負けしてましたよね? 髙橋亨汰君にも、『KNOCK OUT』の時は無効試合になったけど、新日本キックで再戦した時には負けてるし。そういったところで明確な差があるというか、大事なところで落としている印象はあるんですよね。だからこそ『KNOCK OUT』運営は決め損ねてるんじゃないかなと思いますけどね。そういった面では、今回のマルコス・リオスってすごくいい立ち位置だと思うので、そういうところでしっかりと勝って、『KNOCK OUT』REDライト級のレベルの高さをアピールできたらなとは思います」
──挑戦したければ、しっかりここまで来いよというのを、古村選手だけじゃなくみんなに見せるような試合をということですか。
「どっちもいいですけどね。全部タイトルマッチにして、1列に並ばれても別にいいですけど、でもそれはそれでこっちもやる意味がないというか。だから、ちゃんと決めてきてほしいんですけどね」
──ご自身はここでマルコス選手に勝って、この先は? ONEでの活動もスタートしたわけですが。
「今は、11月も12月もほぼ試合が決まりそうなんですよ。それこそ今年はどんどん挑戦をしていく年にしたいなと思っていて、この連戦がたぶん全員、強敵になるんですよ。あえてそこは強いヤツらと一気にやって、来年跳ねるための道にしようかなと。ちょっとキツいでしょうけど、自分に対する試練を与えて、来年一気に跳ねられるようにしたいなと思っています」
──それは楽しみですね。
「あとONEは、前回の試合が終わってすぐ、それこそリングを降りてすぐぐらいに『次はいつ出られるんだ?』という話をしてくださっていて。『いつでも使ってやる』とは言われている状態ですね。本当はすぐ出たかったんですけど、もう今年は毎月埋まってるということで、来年ぐらいにまた出られればいいなとちょっと思ってて、来年あたりには本契約を取りに行きたいなと思います」
──まだまだやることがいっぱいですね。
「今まで通りに2~3ヵ月に1回試合して、勝ったり負けたりしてなあなあで進んでも、今までと何かが変わるイメージはしにくいじゃないですか。格闘家としてしっかり成功するというか、日本を代表する格闘家になるために、ここで一気に月1ペースとかでバッと強い選手たちと試合して、インパクトを残していく作業が、今後の格闘技生活に必要になってくるんじゃないかなとちょっと思ってて、一気に勝負をかけようかなといったところですね」
──では最後に、今回の試合で自分のここに一番注目してほしいというポイントはどこでしょう?
「目標としているのが、『フィームー』と呼ばれるテクニシャンのムエタイなんですよね。特にこういうマルコス・リオスみたいなパワー系に対しては、フィームーというものを分かりやすく皆さんに伝えることができると思うので、そういったところをぜひ注目していただきたいなと思っています」