RISE WORLD SERIES 2019 Final Round2019年9月16日(月・祝)千葉・幕張メッセ・イベントホール
▼メインイベント(第12試合)RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament決勝戦 3分3R延長2R〇那須川天心(日本/TARGET/Cygames/初代RISE世界フェザー級王者、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者)判定3-0 ※30-29、30-28、30-28×志 朗(日本/BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者)※那須川がトーナメント優勝。
3月の開幕戦で那須川はフェデリコ・ローマを片手倒立の“天心キック”でKO、7月の準決勝ではスアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ)の額を胴廻し回転蹴りで切り裂いてのTKO勝ちで決勝へ進出。志朗は開幕戦でウラジスラフ・ミキータス(ウクライナ)にローキックでTKO勝ち、準決勝では延長戦までもつれ込む熱戦でルンキット・ウォーサンプラパイ (タイ)を退けて決勝へ進出した。
那須川は志朗を「日本人最後の最強の選手」と認め、志朗は「那須川君がデビューした時から戦うと思っていた」と宿命の敵だと話している。那須川が世界トーナメント初制覇で無敗伝説をさらに更新していくのか、それとも志朗が歴史的勝利を収めるのか。
1R開始早々、なんと志朗が胴廻し回転蹴り。その直後、那須川も胴廻しを放つ。那須川の前進を前蹴りで止める志朗だが、那須川はそのまま入り込んでボディへパンチを打っていく。ジリジリと前へ出る那須川は左の蹴りからパンチで襲い掛かる。志朗は右ミドルで応戦。
2R、右ミドルを蹴る志朗に那須川は間合いを詰めて連打を繰り出すが空振り。間合いを詰める那須川に志朗は組みの展開に持ち込むがイエローカードが提示された。那須川は左ストレートからヒザ蹴り。攻める那須川に志朗のバックハンドブローがヒットし、那須川がバランスを崩す。
3R、那須川が左ハイからの左ストレートをヒット。志朗はローを蹴りながら下がる。左フックから胴廻し回転蹴りを放つ那須川。志朗も右ストレートから右ミドルを返す。前に出て倒しに行く那須川だが、志朗もクリンチを使いつつもミドルを返す。しかし、那須川が攻めに攻めたラウンドに。
判定は3-0で那須川が勝利。悲願の世界トーナメント制覇を達成した。ベルトを巻き、優勝賞金1000万円を手にした那須川はマイクを持った。
「パッとした試合はできなかったんですが技術の高い攻防で一個気を抜いたらやられる試合でした。志朗選手はジュニア時代からはライバル的な存在です。そういう選手とここで戦えたのが嬉しかったです。僕と志朗君はフィジカルトレーナーが一緒で、こういうのはやめて欲しいなって試合前から苦しくて涙が出そうになっていました。勝負なので仕方ないですが、無事に終えてよかったです。半年間かけたワールドシリーズで優勝できたので、もっともっと成長してまだまだ頑張りたいと思います」と、試合を振り返るとさらなる飛躍を誓う。
そして、「それと最後にひとつだけ言いたいことがあります。武尊選手、K-1の陣営に言いたいことがあります。僕は格闘技界を盛り上げるために人生を懸けて戦ってきたつもりです。やりたい未来がたくさんあります。みなさんの声に応えるのが選手だと思いませんか。強い者同士が集まって戦うのが本物の興行ではないですか。僕は逃げも隠れもしないです。SNSで書き込んだりするのなら正式に話をください。俺は待ってます」と衝撃発言。成り行きが注目される。
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▼セミファイナル(第11試合)RISE WORLD SERIES 2019 -61kg Tournament決勝戦 3分3R延長2R〇白鳥大珠(日本/TEAM TEPPEN/第5代RISEライト級王者)KO 1R 2分52秒 ※左ストレート×梅野源治(日本/PHOENIX/元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)※白鳥がトーナメント優勝。
白鳥は3月の開幕戦で白鳥はヘクター・サンチアゴ(ブラジル)に苦戦を強いられ延長戦の末に判定勝ち、しかし7月の準決勝では優勝候補本命と目されていたラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者セクサン・オー・クワンムアン(タイ)から2度のダウンを奪っての完全勝利で決勝へ進出した。
梅野は世界トーナメント開幕戦でル・ジュン(中国)をミドルキックで寄せ付けず判定勝ち、準決勝ではRISEスーパーフェザー級王者でKING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメント決勝進出を果たしたチャンヒョン・リー(韓国)もミドルキックで封じ込め、判定勝ちで決勝へコマを進めた。
1R開始から鋭い蹴りの応酬。サウスポーの白鳥に対し、梅野は左ローと右ミドル、白鳥は蹴りをブロックしながらパンチを狙っていく。白鳥の4連打に梅野もワンツーを返す。梅野の右ミドルをしっかりスネでブロックする白鳥。飛び込んでの左フックから白鳥がラッシュを仕掛け、ボディへの連打から左ストレートでダウンを奪う。
続けて大きく踏み込み、右手で梅野の左のガードを叩き落としてからの左ストレートを直撃させ、梅野が崩れ落ちる。レフェリーがストップし、白鳥が日本人無敗の梅野に初回KO勝ちで世界トーナメント優勝を果たした。
ベルトを巻いた白鳥は思わず男泣き。優勝賞金1000万円を手にした。
白鳥はマイクを手にすると「僕を信じて応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。このトーナメントに僕が最後に(出場が)決まって、ほとんどの人が僕に期待していなかったと思うんですけれど、優勝できたのは僕の力だけじゃなく、チームの仲間、家族、応援してくれた皆さんのおかげです。どの選手も強くて試合前不安で不安で仕方なくて。今回も強気な発言ばかりしていたんですがめちゃめちゃ怖くて。でも自分を信じて、周りを信じてこの結果が出たと思います。トーナメントを獲れたので言った通り、RISEを引っ張て行きたいと思います。これから僕の時代です。天心だけじゃありません。天心を越して、なんなら僕が一番てっぺんにいってやろうと思います」と宣言した。
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▼第10試合 SuperFight! -54kg 3分3R延長1R〇鈴木真彦(日本/山口道場/第7代RISEバンタム級王者)延長R 判定3-0 ※10-9×3×田丸 辰(日本/平井道場/初代RISEスーパーフライ級王者)※本戦の判定は29-29、29-30、29-29。
鈴木は軽量級離れしたパンチ力と卓越したテクニックで、昨年11月の両国国技館大会でトーナメントを制して那須川天心が返上したバンタム級のベルトを獲得。今年になってもその快進撃は続き、7月の大阪大会でもWKN世界王者をKO。2015年の『BLADE FC JAPAN CUP -55kgトーナメント』で那須川に敗れて以降、連勝記録を重ね4年間無敗、16連勝という驚異の記録を打ち立てている。 一方、田丸は昨年11月の後楽園大会で金子梓とのプロ無敗対決を制し、初代RISEスーパーフライ級のベルトを獲得。今年5月には政所仁を破り初防衛にも成功している。卓越したボクシングテクニックとディフェンスに加え、片手で倒立してのハイキック=センチャイキックでダウンを奪うなどの業師ぶりも発揮し、こちらはプロ10戦全勝と無敗の17歳。 1R、サウスポーの田丸が開始すぐに左ストレートを直撃させて鈴木を後退させる。すぐに前へ出てきた鈴木がスピードのあるパンチを繰り出し、右ストレートをヒット。鈴木は詰めて連打を繰り出すが、田丸はそれをかわして一発入れるとさっとその場から離れる。
2R、接近戦を挑んでくる鈴木に田丸は細かくパンチを当て、ロープを背負った田丸に鈴木がボディを連打。田丸は前に出てくる鈴木にパンチを合わせ、鈴木がロープに詰めてくるとパンチをかわして離れる。鈴木が詰める→田丸がパンチをかわしてクリンチという展開が続く。
3R、鈴木が前へ詰めてパンチを打つが田丸はかわしていく。インロー、ジャブを当てて鈴木のパンチをかわすというアウトボクシングに徹する田丸。鈴木はボディへのヒザを使い始める。追いかける鈴木、かわして打つ田丸。鈴木のヒザが顔面を捉える場面も。鈴木はどんどん前へ出てヒザからパンチにつなぐ。田丸は動き続ける。
本戦はジャッジ1名が田丸を支持したがドローに。延長戦へ突入する。
鈴木はローを蹴ってパンチにつなぎ、田丸はパンチを当ててさっと回り込む。ロープに詰めた鈴木が右ストレートをヒット。田丸は足を止めて打ち合う場面もあるが、鈴木の右アッパーがヒットする。どんどん前へ詰める鈴木のパンチが当たり始め、ヒザ蹴りも突き刺す。田丸もパンチを返すが、スピードが明らかに鈍っている。鈴木が右の連打で田丸にロープを背負わせて試合終了。
判定は3-0で鈴木。ハイレベルな王者対決を制し、田丸に11戦目にして黒星を付けた。鈴木はマイクを持つと「僕がバンタム級の王者で田丸君がスーパーフライ級の王者でほんまやったらこんな戦いはないんですが、田丸選手がやりたいと言ってくれたのでお客さんも盛り上がったと思うし感謝しています。そしてバンタム級王者として今日みたいな試合は2度としない。これから全部KOで、RISEには那須川天心選手だけじゃないところを見せていくので応援してください」とアピールした。
▼第9試合 RISE WORLD SERIES -61.5kg 3分3R・延長1R×チャンヒョン・リー(韓国/RAON/第5代RISEスーパーフェザー級王者)判定0-3 ※28-30、27-30、27-30〇原口健飛(日本/FASCINATE FIGHT TEAM/Road to RIZIN KICK Tournament優勝) 快進撃を続ける原口が、RISEスーパーフェザー級王者チャンヒョン・リーとノンタイトル戦で激突。
原口は幼少期から空手を学び、17歳でプロボクシングデビューすると2016年西日本新人王戦で準決勝まで勝ち上がった。2017年にキックボクシングに転向するとデビュー2戦目でACCELフェザー級王座を奪取。
3月のRISE WORLD SERIESではミゲール・マルティネスを三日月蹴りで秒殺KO、5月のRISE後楽園大会ではRISEライト級2位・北井智大をもワンサイドで破り、7月のRISE WORLD SERIESでは梅野源治を苦しめたル・ジュン(中国)を1R1分7秒、三日月蹴りからの右フックで仕留めている。 対するリーは“韓国の鉄拳”と呼ばれる強打で日本人トップファイターを次々と撃破。2017年11月にRISEスーパーフェザー級王座を奪取し、『KNOCK OUT』のヒジ打ちありルールのアジアトーナメントに出場すると、決勝でヨードレックペットに敗れるも準優勝を果たした。RISE WORLD SERIES -61kgトーナメントでは1回戦で裕樹に勝利したが、準決勝で梅野源治に敗れてトーナメントからは脱落している。
1R、サウスポーの原口は右へ回り込みながら左の蹴りを放つ。リーは前へ出ていくが原口を捉えることができない。
2R、原口は序盤に飛びヒザを2度放つ。ジャブと前蹴りで距離を取る原口にリーは圧力をかけて間合いを詰めていくが、やはり原口をとらえきれない。原口の逆ワンツーがヒットしする場面が目立つ。
3R序盤、パンチの打ち合いとなって原口の左ストレート、左フックがヒット。しかしリーは下がらない。前に出るリーに原口は良く伸びる左ストレート。コーナーへ詰めてくるリーのパンチをかわし、自分のパンチを当てていく。さらに飛びヒザ蹴りのカウンターから左ストレート。絶妙のディフェンスでリーのパンチをかわし、自分の攻撃を当てていった原口が判定でリーから完封勝利を収めた。
原口はマイクを持つと「めちゃめちゃ怖くて裏でも足震えて泣きそうやったんですけれど、宣言通り勝ててよかったです。日本人でここまで完封したのは僕だけやと思うので、どんどん強い人とやらせてください」と、さらなる強敵を求めた。
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▼第8試合 RISE WORLD SERIES -59kg 3分3R延長1R〇スアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ/PKセンチャイムエタイジム/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)KO 1R2分30秒 ※左ミドル×ニキータ・サプン(ウクライナ/Octagon Kiev/2013年ヨーロッパテコンドー選手権王者、2016年テコンドー選手権ウクライナ大会銀メダル)
スアキムは2019年7月大阪大会でのWORLD SERIES準決勝で那須川天心の胴回し回転蹴りにより額をカットし2R TKO負けを喫したが、怪我も完治し、今回、ワンマッチでサプンと対戦する。
サプンは2016年12月29日のRIZINで那須川天心とMMAで対戦。テコンドーヨーロッパ王者の打撃に加え得意の腕十字でMMAデビュー戦の那須川をタップ寸前まで追い込んだファイター。
1R、サプンは左右に構えを変えながら回転しての蹴りを見せていく。スアキムが下がるサプンを追いかけて左ミドルキックを蹴ると、サプンはしゃがみ込んでダウン。そのまま立ち上がることができず、スアキムの圧勝KOとなった。
スアキムはマイクを向けられると「タイに勝利を持って帰ることができてとても嬉しいです。これからも試合を頑張っていくのでどうぞよろしくお願いします」と語った。
▼第7試合 RISE WORLD SERIES -58kg 3分3R延長1R ×森本“狂犬”義久(日本/BRING IT ONパラエストラAKK/フェザー級2位)判定0-3 28-29、30-28、30-27〇タリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル/Champions Factory/SAIKYO GP優勝)
森本は7月にONE初参戦を果たすも判定負け。再起戦の相手は、スアキムを2度ダウンさせKO寸前に追い込み、RIZINでは大雅をKOした猛打者フェレイラとなった。
1R、ローの蹴り合いからスタート。フェレイラはローからパンチを狙って来る。森本が右ストレートを繰り出すとフェレイラはさっそく左右フックを振り回す。森本は右ストレートをボディにも打つ。
2Rも森本はローを蹴っていく。フェレイラはパンチの数を増やし、ヒザを突き上げてからの右フックでダウン奪う。フェレイラは左右フックからのヒザ蹴り、森本は打ち合いに行って右ストレートをヒットさせる。終盤、フェレイラの飛びヒザ蹴りに森本は胴廻し回転蹴りを放って打ち合いに行くが、逆に右フックをもらってグラつく。
3R、フェレイラの右飛び後ろ蹴りをボディにもらって森本は後退。一気に襲い掛かるフェレイラがヒザ蹴り、左ミドルを蹴る。森本はボディブロー、前蹴りでボディを攻め返すが、フェレイラのヒザをもらってしまう。しかし、森本が残り30秒でヒザをボディに突き上げると今度はフェレイラが後退。森本が右ストレートで逆転を狙ったがダウンの失点を取り戻すことができず、フェレイラの判定勝ちに終わった。
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▼第6試合 SuperFight! -67.5kg契約 3分3R延長1R〇“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/第2代RISEウェルター級王者)延長R 判定3-0 ※10-8×3×タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/スーパーライト級3位、元WMC世界フェザー級王者)※本戦の判定は29-29×3
両者は3月のWORLD SERIES開幕戦で対戦し、タップロンが左フックでベイノアをKOして13戦目でプロ初黒星を付けた。その後ベイノアは喜入衆(7月5日後楽園)に判定勝ち、タップロンは1階級下のスーパーライト級王者決定トーナメント(7月21日大阪)で山田洸誓に判定2-0で敗れている。WORLD SERIES最終戦での再戦となった。
1R、タップロンのパンチからの蹴りをベイノアはしっかりブロックし、左ローを蹴っていく。ベイノアはワンツーから後ろ廻し蹴りを放つが、タップロンは受け止めてベイノアを転倒させる。ベイノアは徹底的にローを狙う。
2R始まってすぐ、タップロンは右のパンチを狙い撃ちにしてベイノアを下がらせる。左フックを打ちに行ったベイノアだが、そこにタップロンの右フックがヒットしてベイノアが大きく下がる。1Rよりも距離が遠くなったか、ベイノアのローは空振り。ならばとパンチで入っていくベイノアにタップロンはパンチを合わせに行く。
3Rは両者パンチを繰り出す。タップロンは左ミドルを連打、ベイノアが右のパンチで前へ出るとタップロンは左フックを返していく。ベイノアはパンチを打ちに行くが、タップロンも危険なパンチを打ち返してくる。このラウンドはややスローダウンしたタップロンだったが、判定はドローで延長戦へ。
ローを蹴るタップロンに右ストレートを当てに行くベイノア。大きな動きがないまま時間が過ぎていったが、残り22秒、ベイノアの右ハイキックがヒットしてタップロンはダウン。残り時間はラッシュを仕掛け、ベイノアがリベンジに成功した。
喜びの涙を流したベイノアは「今日はリング上での9分間に懸けていたのでマイクの内容を考えていなかったんですが、伊藤代表のご指名でしゃべれることになりました。タップロン、本当にコップンカップ。僕は幕張で勝率100%なんです。まだ2戦しかやってないですけれど。このまま勝ち続けて幕張に戻ってきたいと思います。僕は3月に負けて、大阪で滑って、最後に勝ちました。これが僕のワールドシリーズです」とまたしてもマイクで滑っていた。
▼第5試合 -64kg契約 3分3R延長1R〇秀樹(新宿レフティージム/ライト級1位、K-1 REVOLUTION FINAL-65kg級世界王者)判定3-0 ※29-28、29-28、30-28×稲石竜弥(TEAM OJ/元Bigbangライト級王者、元MA日本ライト級王者、元APKFスーパーフェザー級王者)
秀樹は2月に白鳥大珠とRISEライト級王座決定戦を争ったが、ローを蹴ったところで白鳥がブロック。白鳥のヒザがスネに当たり、裂傷を負ってのドクターストップで王座獲りならなかった。約7カ月ぶりの復帰戦。
稲石は約5年ぶりのRISE参戦。レベルス、ビッグバン、KRUSHなど様々なリングを渡り歩き、3本のベルトを腰に巻いた。“変態的”と称されるトリッキーな動きが持ち味だ。
1R、前に出ながら独特のフォームからパンチを出す稲石。サウスポーの秀樹は左ローを蹴っていく。トリッキーな動きから突然入って連打、さらにバックハンドブローを繰り出す稲石。秀樹はやりづらそうな印象。
2R、秀樹はジャブと左ミドルの距離の長い攻撃。稲石はパンチを出しながらの前進を見せ、秀樹は左ミドルを合わせる。秀樹は稲石のトリッキーな動きに慣れたか、左ミドル、左ロー、右フックを当てていく。稲石も前へ出て強い右ミドル。両手を激しく上下に動かして挑発する稲石は右ミドルをヒットさせる。
3Rも左ミドルを蹴り秀樹に稲石は突進してのパンチ連打。秀樹は左ハイを放つが稲石は肩口で受け止める。秀樹は左ミドル、右フックをヒットさせて前へ出るが、稲石も手を出し続ける。しかし、稲石が後ろ蹴りを空振りしたところで秀樹が左ハイキック。これでダウンを奪う。仕留めにいく秀樹は稲石を追いかけるが、残り時間は少なく倒しきれず。判定で復帰戦を勝利で飾った。
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▼第4試合 -64kg契約 3分3R延長1R〇直樹(BRIGN IT ONパラエストラAKK/ライト級6位)判定3-0 ※29-28×3×松本芳道(KICK-DIET吉野町/元新日本キックボクシング協会ライト級王者、K-1 WORLD MAX 2010 -63kg Japan Tournament3位)
直樹は伝統派空手出身で、独特の間合い操作と当て感の良さでRISEライト級の上位選手として長く活躍。タイトル挑戦まであと一歩まで迫ったり、RISEのメインイベントも務めたりと主力選手の一人だ。7月大会では『KNOCK OUT』で活躍した元J-NETWORKライト級王者・前口太尊(PHOENIX)を迎え撃ち、パンチのラッシュで3度のダウンを奪って1RでKO勝ちを収めている。
その直樹が今回迎え撃つ松本は、強打と飛びヒザ蹴りを武器に大月晴明らを破りK-1 WORLD MAX2010日本トーナメント第3位。新日本キックボクシング協会の日本ライト級王座に就いた後、プロボクシングに転向すると10勝(8KO)2敗の戦績を残し、東日本新人王トーナメント準優勝も果たした。その後、引退してリングを離れていたが今年1月の『KNOCK OUT』で突如復活。元J-NETWORKスーパーライト級王者・杉本卓也に勝利すると、4月には前口太尊にも勝って連勝したが、6月の『BOM』ではムエタイの強豪パコーンに打ち合いを果敢に挑むも敗れた。RISEには今回が初参戦。
両者は記者会見、前日計量で2度乱闘寸前になるなど遺恨を深めている。この日もリングに登場すると額と額を突き合わせてのにらみ合いを展開した。
1R、直樹のミドルから軌道を変えた右ハイキックがクリーンヒット。直樹は落ち着いてジャブを繰り出して当てに行く。松本は左右に構えをスイッチし、ワンツーで飛び込んでボディへつなぐコンビネーションを見せる。
2R、直樹は右ハイキックを2連発、松本は左ボディを狙い撃ちにしていく。直樹も構えをスイッチして左右のストレートで松本をのけ反らす。直樹は三日月やヒザを蹴り、松本の出鼻にパンチを合わせる。松本もしつこく前進して手数を出していく。
3R、ヒザ蹴りからボディブロー、さらに三日月蹴りとボディを攻めて前へ出る直樹。松本は左フックのカウンターを奪うが、直樹もすぐに右ストレートと左フックで反撃する。手数を出して前へ出る松本のパンチを次第に被弾し始める直樹。細かくパンチを当てる松本に直樹は動きがスローに。残30秒で松本がパンチのラッシュを仕掛け、ほぼ一方的にパンチをヒットさせた。
最終3Rは追い上げた松本だったが、判定は僅差で直樹。勝利した直樹は首をかしげながらも、ホッとした表情を見せた。
▼第3試合 -56kg契約 3分3R延長1R×金子 梓(新宿レフティージム/バンタム級8位)TKO 2R2分09秒 ※左の連打→レフェリーステップ〇京谷祐希(山口道場)
金子は極真空手とレスリングをバックボーンに持ち、小柄ながらフィジカルが強い。京谷は武尊に唯一の黒星を付けた男として知られている。今回は約3年ぶりの復帰戦。
1R、サウスポーの京谷は強いジャブから左ストレート。金子はワンツーから得意の右ハイを放つ。前に出ていく金子だが京谷の左のパンチをもらう場面が目立つ。それでも徐々に圧力を強めていくのは金子。
2R、金子が前に詰めたところで京谷の右ジャブからの左ストレートがヒットし、金子がダウン。京谷は右のジャブを突きまくり、左ミドルも放つ。金子は頭を左右に振りながら前へ出るが、またも強烈な右からの左ストレートをもらってダウン。京谷がラッシュをかけると左の連打が決まり、レフェリーがストップ。
KOで復活を果たした京谷は「初めまして、山口道場の京谷です。山口道場は山口兄弟と鈴木真彦だけちゃうぞ」とアピールした。
▼第2試合 アトム級(-46kg)3分3R延長1R×百花(魁塾/NJKFミネルヴァ日本アトム級王者)延長R 判定1-2 ※9-10、10-9、9-10〇平岡 琴(TRY HARD GYM)※本戦の判定は28-29、29-29、29-29
百花はRISE初参戦でデビュー2戦目の那須川梨々に初黒星をつけた。RISE QUEENアトム級王座決定トーナメントでは3月の初戦で紅絹に敗れたが、6月9日には関西では初となる女子キックだけの興行『ミネルヴァ』で、元MAX FCバンタム級王者を破りメインの大任を果たしている。
平岡は優勝候補に挙げられながら、RISE QUEENアトム級王座決定トーナメントでは3月の初戦で那須川梨々の前に敗退。その後は韓国遠征を経て、空手仕込みの得意の蹴りに加えてボクシングジムでパンチのスキルを磨き、国内での再起に自信をのぞかせる。
1R、ローの蹴り合いからスタート。時折パンチの連打を見せる百花に平岡は左ミドルを蹴る。平岡の出鼻をジャブで捉える百花。前に出るのは平岡だが、百花は細かいパンチを当てていった。
2Rも前に出るのは平岡。百花はそこにパンチを合わせに行く。平岡は後ろ蹴り、三日月蹴り、顔面前蹴りと多彩な蹴りを放つ。平岡もパンチで打ち合いに出るが、百花はフットワークで動き回って真正面からは打ち合わない。終盤には打ち合いに応じた。
3R、平岡は右ローを主軸にパンチで攻め込み、百花はワンツーで迎え撃つ。平岡が右ストレートを連続ヒットさせて前へ出る。百花は手数を出してワンツーでのけ反らせ、平岡は至近距離からの右ハイキック。さらに左ヒザを突き上げた。ここから百花の動きが鈍り、平岡が右後ろ蹴りと左ハイキックをヒットさせる。そのまま攻め込んで終了。
ジャッジ1名が平岡を支持するも判定はドロー。延長戦へ突入する。やはり前へ出る平岡は後ろ蹴りから飛びヒザ蹴り、百花はそれにフックを合わせに行く。右ストレートをねじ込む平岡に左右フックを返す百花。平岡の右ヒザが突き刺さり、百花が後退。平岡は後ろ廻し蹴りも放つ。平岡がパンチをまとめようとしたところで、百花が右フックからの左右フックでラッシュを仕掛け、平岡が左右にグラつく。
判定はスプリットで平岡の勝利。百花との競り合いを制した。
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▼第1試合 アトム級(-46kg)3分3R〇那須川梨々(TEAM TEPPEN/2017年KAMINARIMON全日本女子-45kg級優勝)KO 2R ※右ハイキック×上仮屋真莉(ROAD MMA GYM/第4回K-1チャレンジ女子Bクラス 全日本トーナメント-50kg優勝)
那須川は那須川天心の妹で、2018年6月に今回と同じ幕張メッセでプロデビュー。いきなり元TRIBELATEピン級王者でNJKFミネルヴァ・アトム級2位の佐藤レイナを下したが、11月の2戦目で百花に初黒星を付けられた。RISE QUEENアトム級(-46kg)王座決定トーナメントでは優勝候補と目されていた平岡琴を延長戦で振り切り決勝進出を果たすも、決勝で紅絹に敗れて王座を逃している。戦績は2勝2敗。
再起戦の相手となる上仮屋は今回がRISE初参戦。筋骨隆々の肉体が特徴的。アマチュアで第4回K-1チャレンジ女子Bクラス全日本トーナメント-50kg優勝、第16回J-GROWアマチュアBリーグトーナメント女子-46kg優勝などの実績持ち、アマチュア時代は8勝2敗。今年7月の『KROSS×OVER』でプロデビュー戦を勝利で飾っている。極真空手初段で、自衛隊に2年間所属して様々な格闘技・サバイバル術を学んだという経歴を持つ。師匠は第5代修斗世界バンタム級王者の菅原雅顕。
1R、身長で上回る上仮屋はリーチ差を活かしてワンツーを放っていくが、那須川が右ストレートからの左フックでダウンを奪う。すかさず打ち合いに行く那須川が左右フックでラッシュを仕掛ける。那須川の左フックが次々と命中し、ダメージを感じさせる上仮屋。
2Rが始まると同時に、那須川は上仮屋が右ローを蹴り出すタイミングで右ハイキック。上仮屋はバッタリと倒れ、レフェリーは試合を即ストップ。那須川が嬉しいKO勝利を飾った。
那須川はマイクを持つと「前回あんな試合をしてしまって復帰戦と言うことで…今回より頑張って練習してきてKO初めてだったので…。これからも頑張ってもっともっと強くなるのでこれからもよろしくお願いします」と、嬉し涙を流しながら語った。
▼オープニングファイト第4試合 ウェルター級(-67.5kg)3分3R△高木覚清(岡山ジム/JAPAN KICK BOXING INNOVATIONウェルター級9位)ドロー 判定0-1 ※29-29、29-30、29-29△宮城寛克(赤雲會/TENKAICHIウェルター級、ミドル級王者)
両者RISE初参戦。高木は岡山から来たまだ17歳。宮城は沖縄からの参戦。
1R、お互いに右を当て合うが、左ミドルを当てていくのは宮城。両者ともパンチと蹴りを多く出して攻撃が途切れない。パンチを顔面とボディに打ち分け、アッパーも放つ高木。
2Rもパンチと蹴りを打ち合う両者。宮城はタイミングよくジャブと左ミドルを当てに行き、高木は右ストレートを強打。前に出るのは高木。
3R、前へ出てワンツーを強打する高木に宮城は前蹴りと左ミドルで対抗。両者クリンチが多くなる中、高木の右ストレートで宮城が大きくバランスを崩す。判定はジャッジ1名が宮城を指示したが、ドローとなった。
▼オープニングファイト第2試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R〇新井海希(極真会館)KO 2R 1分45秒 ※三日月蹴り×田上健太(フリー)
新井は元RISEヘビー級王者・清水賢吾(引退)や現RISEウェルター級王者“ブラックパンサー”ベイノアをRISEに送り込む極真会館所属の選手で、今回がプロデビュー戦。空手では全日本高校生空手道選手権大会16歳17歳男子-65kg優勝(2016年)など上位入賞経験を数多く持つ19歳。対する田上は7月28日の『RISE WEST ZERO』に参戦してドロー。今回東京のRISEは初登場となる。
1R、左右フックで前に出てくる田上に左右の速いミドルを蹴る新井。至近距離になるとヒザを突き上げる。左右フックで突進する新井の右フックが新井の顔面を捉えるが、距離ができると新井がすかさず蹴る。
2R、新井は首相撲からのヒザ蹴り連打を1Rに続いてやってしまい減点を受けるが、その直後に三日月蹴りをボディに突き刺してダウンを奪い、最後は同じ三日月を突き刺してデビュー戦をKO勝利で飾った。
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▼オープニングファイト第1試合 ミニフライ級(-49kg)3分3R×ERIKO(ファイティングラボ高田馬場)判定0-3 ※28-29、28-30、28-30〇AKARI(TARGET/2018年KAMINARIMON全日本女子トーナメント-52kg級優勝)
デビュー戦同士。AKARIはジュニア時代から神村エリカに憧れ、教えを乞い神村の遺伝子を継ぐ15歳の女子高生ファイター。2018年KAMINARIMON全日本女子トーナメントでは-52kg級で優勝を果たしている。
宮内はKAMINARIMON、トイカツファイトなどアマチュア大会でKO勝利を重ね、2019年8月の全日本大会では女子-52kg級準決勝で宮﨑若菜(TRY HARD GYM)に判定で敗れたものの、その宮﨑が決勝で村上紗月(TEAM TEPPEN)に判定勝ちで優勝を決めており、準決勝での宮内の健闘が再評価された内容だった。
1Rが始まると同時にAKARIは蹴り、ERIKOはパンチで激しく打ち合う。AKARIは右ミドル&右ストレート、そしてヒザ蹴りと手数を出す。神村の得意技であった顔面前蹴りも放つ。ERIKOも負けじとパンチを出しながら前へ出て右ストレートをヒットさせる。
セコンドの神村の指示を受けて2Rに飛び出したAKARI。右ローを蹴るがERIKOはパンチを連打して前へ出る。AKARIは前蹴りで突き放すも右ストレートをもらう。1Rから飛ばした両者は消耗が見えるが、ERIKOのパンチは止まらない。
3R、ERIKOのワンツー連打にAKARIは右ミドル、右ハイで対抗。残り2分、パンチでも打ち合うAKARIは顔面前蹴りを混ぜる。神村の「前へ行け!」の檄を受けて蹴りとパンチで前へ出るAKARI。ここへ来て手数が増える。パンチがスローになったERIKOにAKARIはラッシュ。判定3-0でAKARIがデビュー戦勝利を飾った。