2024年10月13日(日)東京・後楽園ホール『SHOOT BOXING 2024 act.5』にて、SB日本フェザー級3位・内藤凌太(BELLWOOD FIGHT TEAM)と57.5kg契約で対戦するSB日本スーパーバンタム級王者・山田虎矢太(シーザージム)。
3月の大森隆之介戦で14戦目にしてプロ初黒星となり、6月の森岡悠樹戦ではオープンフィンガーグローブマッチで見事な1RKO勝ちで復活をアピールした山田ツインズの弟・虎矢太は階級を上げての初戦となる。
悩んだ末に自分に合ったスタイルに辿り着いた
――前戦を振り返っていかがですか。
「自分の中では二連敗はあり得ないことだったので、前回勝てたことで選手としても一人の人間としてもレベルアップできたと思っています」
――試合前にプレッシャーはありました?
「そうですね。前回、KO負けだったので、またパンチをもらったらどうしようとか、今まで感じていなかったパンチに対する恐怖心があったんですけど、それがあったからこそスキルを磨いてレベルアップできたと思うし、いい経験になったんだと思います」
――試合までにそういう克服はできたんですか?
「試合に臨むまでの間に悩む時期もあったんですけど、悩んだ末に自分に合ったスタイルに辿り着いた感じです。シーザージムの先輩方や笠原友希君から『新しいスタイルが完成してきてるね』と言ってもらったりしたので試合にはいい感じで臨むことができました」
――そのスタイルはどう変わったんでしょう。
「以前までは、一発当てられれば倒せるという根拠のない自信があったんですけど、一発を当てるためにはどうすればいいのかを考えるようになりました。自分はパンチに自信があったので、どうしてもパンチばかりの攻撃になっていたのですが、パンチを当てるためには蹴りが必要だなみたいな基本的なことを改めて実感しました。そこで蹴りを増やしたり、上中下に攻撃を散らしたり、パンチを打った時に顔の位置をずらして相手のパンチをもらわないようにするといったことを反復練習したり頭を使うスタイルになりました」
――負けて得るものは大きかったんですね。
「負けて良かったとは思わないですけど、負けを無駄にしないように負けからさらに成長できるように取り組んできました。今思えば、こういうことに気づかせてくれた大森選手には感謝しています」
――大森選手は虎矢太選手に勝った後、8月にはRISEバンタム級タイトルマッチで大﨑孔稀選手に挑戦。惜しくも負けてしまいましたが、どのように見てました?
「もしあそこで僕が大森選手に勝っていたらタイトルマッチに挑んでいたのは自分だったろうなと思っていたし、大きなチャンスを逃してしまったことに悔しさが込み上げて何とも言えない気持ちになったのですが、ただ単に自分の実力が足りていなかったからその舞台に立てなかっただけなので、しっかり自分と向き合って、またそういうチャンスを獲得できるように頑張ろうと思いました」
――変わらず大森選手へのリベンジも考えていますか?
「そうですね。でも僕は今回から階級を上げるので、大森選手が階級を上げない限り再戦は出来ないと思うのですが、もし今後大森選手が階級を上げるようなことがあればその時はリベンジしたいです」
【写真】兄・彪太朗との山田ツインズ対決が実現する日が来るのか――前回6月の再起戦となった森岡悠樹戦では1RTKO勝ちでしたが、今試合を振り返っていかがですか。
「序盤に森岡選手のパンチを被弾して効いてはいないんですけどバーンとなった時に一瞬大森選手との試合がフラッシュバックしたんです。逆に大森選手との試合の経験があったからこそ、立て直すことができたのでこれも成長です」
――ダウンを取った右フック、フィニッシュブローの右ストレートは練習していた技だったんですか?
「試合中は無我夢中で振り回していたみたいな感じでしたが、映像を振り返ってみると、練習でやっていたパンチのコンビネーションや意識していた顔の位置をずらす動きができていたので、無意識ながら練習の成果が出ていたと思います。練習は裏切らないとよく言いますけど、ほんとその通りで、身体がしっかり覚えてくれていましたね」
――今回、フェザー級(57.5kg)に階級を上げての初戦になりますが、いつぐらいから考えていたのでしょう。
「結構前から55kgのスーパーバンタム級での試合はきつかったので、前回は56.5kg契約でやらせてもらったんです。階級を上げたらフェザー級には兄の彪太朗がいるし、自分は強い奴らを倒して世界のトップになりたい気持ちもあったので55kgに留まっていたんですけど、大森選手との55kg契約の試合に初敗北してしまい、その敗因は減量が原因だったりもするだろうなと考えました。さらに強くなるためには、減量苦で動けなくなったりしないようなベストコンディションで試合に挑めなければ無理だし意味がないと思って、思い切って階級をアップすることにしました」
――今回対戦する内藤選手とは2021年9月にフェザー級で対戦し、虎矢太選手が判定勝ちでした。
「その後、僕が階級を下げたことでもうやることはないのかなと考えていたんですけど、時を経て巡り巡って僕が階級を上げて内藤選手と再戦することになったので、前回やった時のことは完全に忘れて、初対決の気持ちで臨みます」
――一度対戦してどういう印象がありますか。
「あまり怖い攻撃はなかったんですけど、ディフェンスはうまくて、殴りづらいと感じましたね」
――ここ最近の試合を見てもその印象は変わらないですか?
「最近の試合映像も見てるんですけど、ディフェンスは上手だなと思うので、今回はそのディフェンスをいかに砕くか、ぶち壊すかが鍵になってくるかなと思います」
――内藤選手はSBタイトル挑戦のために集大成で挑んでくると思います。
「内藤選手は長年ずっとトップランカーとして戦っている選手なので、タイトルを目指しているのは当たり前だと思うんですけど、僕と戦う以上は遠回りになるよ、ということは伝えたいですね」
――現在フェザー級3位の内藤選手に勝てば、ランキング入りも確実となり、その後は…。
「チャンピオンは兄なので、兄弟対決は考えていないんですけど、山田ツインズ2人で日本のフェザー級を制圧する構図になったら、一番熱いかなと思っています。今後、彪太朗のタイトルに僕が挑むのは正直やりたくないんですけど、お互いに小さい頃から世界一を目指して頑張っているので、もし世界一を決める舞台があるのであれば、彪太朗と戦って世界一を決めたいと思っています」
――世界の強豪が集まるS-cup世界トーナメントがもしご自身の階級で実施されれば実現すると。
「そうですね。S-cupの世界ベルトは小さい頃から憧れていた最高峰のベルトなので、ぜひその舞台でやれたら嬉しいですね。お互いにトーナメントで勝ち上がって決勝戦でできたら一番いいドラマになるんじゃないかなと思っています」
――一応、普段の練習から彪太朗選手と対戦することを意識してますか?
「練習では彪太朗とスパーすることが一番多いんですけど、お互いに手の内や癖も分かっているのでやりづらい相手ではありますね。ただ、実際の試合でグローブも小さくなって防具もなくなったら、勝つのは僕だろうなとずっと思っています。プロデビュー前に、浅草大会のエキシビションマッチで対戦したことがあるのですが、お互いムキになって僕が彪太朗を眼窩底骨折に追い込んだような激しい内容になって周りが引いてました。実際に試合をしたら同じような結末になると思います(笑)」
――兄弟対決の日を楽しみにしています。では、最後にファンにメッセージを。
「10月13日、フェザー級に上げて一発目の試合なので、より力をつけてパワーが増した山田虎矢太を皆さんにお届けしますので、僕のパンチに期待してください。絶対に倒して勝ちます。応援よろしくお願いします」