2024年10月5日(土)タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催され、日本から三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)、箕輪ひろば(総合格闘技道場STF)が出場する『ONE Fight Night 25: Nicolas vs. Eersel II』(U-NEXT配信)の全試合順が発表された。
メインイベントの第11試合は、「ONE世界ライト級キックボクシング選手権試合」として、王者アレクシ・ニコラ(フランス)と、挑戦者レギン・アーセル(スリナム)が対戦。両者は2024年4月に対戦し、ニコラがアーセルに判定勝ちしている。「王座奪取はまぐれじゃない」というニコラが初防衛戦で、前タイトルホルダーにして現ライト級ムエタイ王者のアーセルをいかに迎え撃つか。
さらに、コ・メインの第10試合では、ラジャダムナン・スタジアムのムエタイ世界王者に3度輝いたゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)が、ロシアのKOアーティストのタギール・カリロフとONEフライ級ムエタイマッチで激突する。
第9試合にONEバンタム級ムエタイ戦として、ジョン・リネカー(ブラジル)vs. アレクセイ・バリカ(ロシア)の一戦。
そしてMMAのメインとなる第8試合では、ストロー級2位のボカン・マスンヤネ(南アフリカ)が、5位のマンスール・マラチエフ(ロシア)が対戦する。
正規王者がジョシュア・パシオ(フィリピン)で、暫定王者がジャレッド・ブルックス(米国)、3位がグスタボ・バラート(キューバ)というONEストロー級には、今大会でサンジャル・ザキロフ(ウスベキスタン)と対戦する箕輪ひろばが4位につけ、ノーランカーながら3月にジェレミー・ミアドに一本勝ちした山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)もランキング入りを狙っている。
ケープタウンからプレトリアのCIT MMAファシリティーに移籍したマスンヤネ
そんなストロー級の王座戦線生き残りをかけた試合に向け、公式インタビューでマスンヤネは、「ゲームプランはあまり変えていない。いいものだと分かっているからだ。けれども、フィニッシュを決められるようになりたいと思っている。相手を追い詰めることができるのはわかっているから、リスクを冒してでもフィニッシュ勝利を目指すべきだろ? これまでは安全策を取って、対戦相手を倒してきた。けれども、試合動画を見るとフィニッシュができなくてがっかりしていた。たとえ圧倒していたとしてもね。
だから今回はリスクを冒していく。そうすればするほど、勝つチャンスが多くなる。僕は格闘技界の頂点に手が届こうかという段階にいる。国際的な舞台でタイトルを獲得し、フィニッシュする姿を見せて、アフリカの若手選手にインスピレーションを与えたい。自分にはこれを成し遂げるだけの力と技術があると思う」と意気込み。
身体的にも技術的にもマラチエフを一歩リードしていると自信を見せる。
「マンスール(マラチエフ)は、すごいグラップラーだ。すごいスキルを持っている。レスリングも上手い。だが、自分だって自分のスキルには自信がある。自分のレスリングとグラップリングが試合の鍵を握る。自分はもっと武器は持っているし、もっと爆発力もある。これらを生かして、レスリングで勝負する。それに、打撃も進化していると感じている。互いにレスリングが効かなければ、もっと打撃を使ってフィニッシュを狙うことができるだろう。自分のレスリングのほうがずっと上だと思っている。スクランブルやトップを取る動きはもっと早いし、相手はそのプレッシャーに耐えられないだろう」
対するマラチエフは、2月の猿田洋祐戦での判定勝ちから連勝で王座戦線に名乗りを挙げるつもりだ。
マスンヤネの唯一の黒星は、2022年に現1位のジャレッド・ブルックス(米国)に付けられた1敗のみ。箕輪ひろばや山北渓人らに勝利して大きくリードし、現時点でランキングの上位に立ち塞がるのはブルックスと現ONEストロー級MMA世界王者のジョシュア・パシオ(フィリピン)となる。
「この試合に勝ったあとの目標は世界タイトルマッチだ。この4年、ずっと待ち望んでいた。しばらく2位にとどまっていたが、そろそろ世界タイトルマッチに出場する資格があると証明する段階になった。この試合に向けてすごくやる気が高まっており、全力で臨む。これまで以上にハードな事前準備をこなしてきた。精神的にもコンディションは最高だ。自分のスキルを早く披露したい。すごいことになる。この試合では、ファンや祖国、そしてアフリカのために戦う」
アフリカ屈指の「CIT MMAファシリティー」で世界チャンピオンのトップ選手たちとともにトレーニングをするためにケープタウンから南アフリカの3つの首都のひとつプレトリアに移った。
「以前もとても良いMMAのジムに所属していたが、ケープタウンからプレトリアに移るという決断をした。世界トップクラスの選手とトレーニングをするためだ。いまでは世界チャンピオンになった経験がある強豪とトレーニングをしている。これは自分にとって大きな意味があった。ジムに着くとすぐに心から歓迎されたよ。自分のことを知ってくれていて、コミュニティにもジムにもすぐに溶け込むことができた。この変化にとてもわくわくした。世界チャンピオンになるための変化なんだ」。
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マラチエフ「レスリングでもスタンドでもマスンヤネより上」
対するストロー級5位のマンスール・マラチエフ(ロシア)は、世界タイトル挑戦を意識している。そのためにはマスンヤネ(南アフリカ)を倒さねばならない。
32歳のマラチエフは口数が少ないものの、試合でその実力を証明するタイプだ。
「正直、彼(マスンヤネ)のことはあまり考えていない。けれども、この階級で2位につけている選手と対戦できるのはとても嬉しい。こうした試合はタイトルへの挑戦という究極の目標に近づくチャンスだからだ」
南アフリカのレスリング王者に輝いたマスンヤネに対し、ダゲスタンで磨き上げた自身の技術が上だと自信を見せる。
「彼の強みはパワフルなレスリングだ。他の面でもサプライズをくれることもあるだろう。MMAはサプライズだらけだし、何が起きてもおかしくはない。ただ、自分はレスリングでもスタンド戦でも彼より上だと確信している。
試合の前に余計な話はしたくないが、勝つために全力を尽くす。自分にとって、試合を素早く終わらせることは重要ではない。一番重要なのは、この試合に勝って、自分が最強だと証明することだ。勝てば、ベルトをかけて戦う資格がある。ボカン(マスンヤネ)は現在2位だから当然だ」
現在、ONEストロー級MMA部門のタイトル戦線は、正規王者のジョシュア・パシオ(フィリピン)が負傷のため防衛戦を行えておらず、2024年8月にジャレッド・ブルックス(米国)が現在3位のグスタボ・バラート(キューバ)に一本勝し、暫定タイトルを獲得した。
このためブルックスとパシオの王座統一戦が待たれるものの、パシオの復帰が定まらないため、ブルックスが暫定タイトルの防衛戦を行う可能性もある。
強力なレスリングとサブミッションで知られるマラチエフは、「ブルックスが本物のチャンピオンだと思っている。パシオではない。だから、ブルックスとやりたい。ブルックスの強みはレスリングだ。もちろん、打撃も侮れない。レスリングでもスタンド戦でもあらゆる面で優れていることはすでに証明している。だが、自分にも有利な点があるし、試合になれば自分のほうが強いだろう。自分はブルックスに勝てる。ファンにとってもとても面白い試合になるはずだ。
SNS上で交わされた手厳しい言葉から判断すると、ブルックスが自分のスキルを褒め称えることはないだろう。おしゃべりが過ぎることは彼の最大の過ちだ。いつか、彼の自分に対する意見は間違いで、彼は単なる口だけの男だってことを証明してやるさ」と、今回のマスンヤネ戦で勝利し、暫定王者に挑むつもりだ。