MMA
インタビュー

【RIZIN】得意のワンハンドチョークを極めた元谷友貴「だいたい片手入れば極まる」×失意から再起誓う太田忍「骨は折れたけど、心は折れてない」

2024/10/01 14:10
 2024年9月29日(日)『RIZIN.48』(さいたまスーパーアリーナ)が行われ、第9試合のRIZINバンタム級(61.0kg)で、元谷友貴(ATT)が、太田忍(THE BLACKBELT JAPAN)に3R、リアネイキドチョークで一本勝ち。バンタム級王座挑戦をアピールした。また、敗れた太田は試合直後は「続ける意味が感じられない」とモチベーション喪失も、翌日のSNSで右手の骨折を報告しながらも、「心は折れてない」と再起を誓っている。  2022年7月以来、2年2カ月ぶりの再戦。前回は元谷がオリンピアンの太田を判定3-0で下したが、以降、ともにここまでで6戦を重ね、MMAで急成長を遂げる太田は5勝1敗と大きく勝ち越し、元谷も4勝2敗と好戦績で再戦を迎えた。  堀口恭司がセコンドにつき、ATT修行も敢行している元谷は、MMAのスタンド力も上げた太田のレスリングをいかに切るか。  試合は、圧力をかける太田のヒジ打ちに、元谷は右ストレートの飛び込み。近づいて組む太田の押し込みにもクラッチをさせず、ギロチンで切り返し。  最終3Rには、太田のがぶりに元谷は、引き込むように下からハーフで作り、そのまま押さえ込まれずに左で差してからダブルレッグで上の取り合いの際の攻防から、渾身のバックテイク。  背後からボディトライアングルで4の字に足を巻き、得意のワンハンドチョークで絞めてタップを奪った。  太田の武器のレスリングを活かしたコントロールをさせず、的確な打撃を当てて、最後は極めた元谷は、試合後、「こんだけ勢いのある太田選手をしっかり極めたんで、そろそろベルトとかからめないですかね。僕、戦績良くないですけど、10年くらいRIZINでやってるんで、そろそろいい相手をお願いします。ベルト、獲りたいと思います」と、大みそかでのバンタム級新王者への挑戦をアピール。  3連勝からの一本負けでタイトル戦が遠のいた太田は、試合直後の会見で「続ける意味が感じられない」と失意の言葉を語ったが、試合翌日には、右親指骨折のレントゲン写真とともに、「骨は折れたけど、心は折れてないです! また死ぬ気で這い上がります。諦めの悪さとタフさと回復力には自信があります」と、再起に意欲を見せている。  バンタム級の次期挑戦者争いでもあった一戦後の両者のコメントは以下の通りだ。 元谷「またアメリカで少しでも成長してベルトに挑めたら」 ──太田忍選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 「めちゃくちゃ嬉しいです」 ──勝利直後、珍しく雄叫びをあげる姿が見られました。何か違う気持ちがあったのでしょうか。 「そうですね、やっぱり年々、勝利が重いというか。嬉しくて。やっぱ、家族置いてアメリカ行って、そして名古屋に行って、ずっと格闘技しているので、この一勝の重みが重いので、勝ったときは喜びが出ちゃいました」 ──2022年7月以来に太田選手との再戦で、印象は前と違うところはありましたか。 「前よりもすごく強くなってるなとは思いました。すごく。そうですね。『どこが』ってことすか? 打撃の1発、前よりもアグレッシブに打撃も自信持って出してましたし、やっぱりフィジカルも強いですし、あれから2年ですけどお互い成長していると感じました」 ──元谷選手の試合前のATT勢(牛久絢太郎、金太郎)の負けは、心理的に影響しましたか? 「やっぱり仲間が負けるのは悔しいですけど、そこは切り替えて自分の試合に集中していました」 ──今回、ATTの堀口恭司選手もセコンドについていましたが、改めてどんな作戦、展開を狙っていたか教えてください。 「作戦というか。話していたのは、『いつも通り』。練習そのままいつも通りという作戦でした。要所要所で『これ当たるかな』とか話しながら、しっかり自分の距離で打撃出して、あとはいつも通りという作戦でした」 ──太田選手の攻撃で一番警戒していたのはなんだったのですか? 「右フックとがぶりですね。最後がぶられて、ちょっとやばいなとは思ったのですけど、そこで切り返しできたので良かったと思います」 ──流血で、試合が止められないかと心配していましたか? 「カットで止められることはないと思っていたけど、効いてはいないけれど、打撃でカットという印象は良くないと思っていました。なので、そこで打撃でこっちもリードしなくてはいけないと思いました」 ──最後の場面、コーナーでギロチンを切られ、がぶられても左で差して最終的にバックを取りました。あの一連の動きは練習していましたか。 「や、今、動き思い出しました。どうなったか覚えてなくて。そうですね、がぶられて、タックルでごちゃごちゃなったときですよね。まああの動きはがぶられたら極められるより、ハーフ作ってちゃんとがぶり対処してっていうイメージはあったのですが、際で競り勝ったんですかね。で、バック取れて。ああいう練習は、してきました」 ──がぶりにハ―フで作って押さえ込まれずにレッスルアップした。ATTでのレスリングの成果も感じました。最後のワンハンドの元谷チョーク。片手さえ巻ければ絞められるという自信があったのでしょうか? 「そうですね。だいたい片手入れば毎回極まるので、練習でも。入った時、残り時間少なかったので全力使って、極めました」(※その後の本誌の取材に「右手一本で肩を抱き、左脇に挟んで押さえて絞めた」と語る) 【写真】2021年2月のDEEPで元谷が昇侍を極めたチョーク。右手で肩を抱き、左手は頭後ろに回さず、右手の上から押さえている。 ──太田選手の強気の打撃に対して、立ち会いながら、どこで上回れると考えていましたか。 「打撃は最初からすこしリード取れていたので、プレッシャーをかけていけば相手が焦れて打撃がガっとくるか、タックルくると思ったのであのままペース握ったまま、相手のミスを狙えればとは思っていました」 ──リング上で太田選手とどんな話をしたのですか? 「まあ、あんまり、そうですね、これは……、言わない方が(笑)。ハハハ」 ──リング上でも口にされていましたが、バンタム級のベルトへの想いは今、大晦日に向いていますか? 「そうですね。大晦日とかできたらいいなとは思ってます」 ──次の試合の井上直樹vs.キム・スーチョルは見ましたか? 「見ました。一瞬しか見ていませんが、やっぱり井上選手は強いと思いました。ストレートを打ち抜いていたので。スーチョル選手があんな負け方をするのを初めて見ました」 ──今後の目標・展望を教えてください。 「ちょっと切れちゃったんで(※右目上をカット)とりあえず傷を治して、今もうちょっとベルト絡めるか絡めないかの位置で、しっかりまたアメリカで、少しでも成長してベルトに挑めたらなとは思っています」 ──試合前、お子さんのランドセルの写真がバズったりしていましたが、試合直後お子さんとの時間は作れそうですか? 「もし年末(に試合)があるならばすぐアメリカに行きたいので時間があんまり作れないですよね(苦笑)。年末あるかないか、分からないですけれど。本当はちょっと(子供と)出かけたいですけどね(笑)」 [nextpage] 太田忍「情けないな、と」 ──元谷友貴選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 「情けないです、はい。情けないな、と思います」 ──再戦で、前回の元谷選手と違ったところがあったら教えていただけますか。 「うーん。あんまり、分からないです、今は。ちょっと終わって、1回ゆっくり動画見てみないと分からないですけど。すみません」 ──右手に包帯を巻いていますが、ご自身の攻撃で怪我をしたのですか? 「僕がパンチ打ったときですかね、1R目か、2R目くらいのどこかで、どーんと。“あ、もう右打てないな”と思ったけど、自分の打撃で。折れてないと思います、明日レントゲン撮ってみないと分からないけれど、親指の根元が、結構腫れています」 ──当初どのようなプランだったのか、言える範囲で教えてください。 「打撃で組み立て、打撃で効かせてテイクダウンとるところはとって、打撃でのフィニッシュをしたかったので今回は。打撃の練習して、倒す練習してきたので、そこでいい部分はあったし、倒そう倒そうとしてて手数が少なくなったのもあるし、そこで一個ミスしたところを取られてしまったっていう。打撃でちょっと組み立てようというプランでした」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標ややりたいことがあれば教えてください。 「ちょっと今回の負けでまたタイトルというのが遠くなってしまったのが事実だと思うので、ちょっとあんまり続ける意味が感じられないので、今は……。どうしたらいいか分かんないです」 ──途中からちょっとムキになって打撃で行ったように見えましたがそう言う部分はありましたか。 「ムキになったというか、打ち合いだったら絶対負けない、僕の方がいいものを持ってると思っていたので。元谷選手がカットしたのもありましたし、打ち合いだったら僕の方に分があると思ったのでムキになったというよりもチャンスだと思って打ち合いました」 ──元谷選手の打撃で効かされた攻撃はありましたか。 「結構ストレートとかもらったんですけど、効いたという感覚は一個もなくて。だからどんどん前に出られましたし、プレッシャーかけられました。効いたという感覚はないですね」 ──オリンピックで後輩がメダルをたくさん獲ったことは発奮材料になりましたか? 「試合前に金メダリストの文田健一郎からも『先輩、頑張ってください』ともらいましたし、金メダリスト2人が観に来ていることも知っていて、僕が活躍することでもしかしたら今後オリンピックメダリストがMMAに流れてくる可能性もあると思ってずっとRIZINでやってきたので、そういう気持ちは多少ありましたけど、全然、彼らとは比べ物にならないくらい、僕は今回、惨めな試合をしてしまったので、比べるのは失礼な内容だったと思います」
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