MMA
インタビュー

【PANCRASE】RIZINだけじゃない! キルギスの未知強。シェイドゥラエフと同日にPANCRASEデビューするカリベク・アルジクル ウルル「ともに母国に勝利を持ち帰りたい」

2024/09/26 20:09
 2024年9月29日(日)『PANCRASE 347』(立川ステージガーデン・U-NEXT配信)でバンタム級1位の井村塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS)と対戦するキルギスのカリベク・アルジクル ウルル(キルギス/Olymp Gym Bishkek)が26日、都内で公開練習。インタビューに応じた。 キルギスの国民的伝統レスリング「アリシュ」がバックボーン  7月21日の立川大会に出場したタジキスタンのムハンマド・サロハイディノフ(vs.伊藤盛一郎)、オタベク・ラジャボフ(vs.高城光弘)に続く中央アジアからの参戦。  近年、キルギスといえば、格闘技界を席巻している強豪国で、レスリングではパリ五輪男子グレコローマン60kg級で、文田健一郎のライバルのジョラマン・シャルシェンベコフが有名で、MMAでも、UFC世界女子フライ級王者のワレンチナ・シェフチェンコや、元ONEウェルター級王者のキャムラン・アバゾフらがベルトを巻いている。  同日のRIZINでは、フェザー級のラジャブアリ・シェイドゥラエフが、いきなりフアン・アーチュレッタと対戦することで話題となっているが、29日のPANCRASEに参戦するカリベク・アルジクル ウルルもMMA10勝1敗と注目のファイター。  これまでキルギス国内、ロシアACA Young Eagles等で戦い、10勝中、4KO・4SUB・2JUDと立って良し、寝て良しの22歳だ。  公開練習では、バンタム級としては長身の175cmの長いリーチでのワンツーから高い打点のヒザ蹴り、ヒジ打ち、さらにバックスピンキックなどを披露し、得意の組み技のみならず立ち技でもシャープな動きを見せた。  シャドーだけで、強さを感じさせたアルジクル ウルルは、インタビューでは足を崩してくださいという声にも正座のまま、「初めて日本に来ました。ほかの国と全然違って、とても美しい国で、皆さんが優しく、親切な文化だと感じました」と柔和な笑顔を見せた。  これまでの試合動画では、小手に巻いての投げなどに足技も入るなど、柔道的な動きも見せていたが、格闘技のバックボーンは、レスリングだという。  特に、父と兄がキルギスの国民的伝統スポーツのアリシュで強豪選手だったこともあり、アルジクル ウルルもアリシュで活躍。  ベルトレスリングとも言われるアリシュは、レスリングマットで行われ、ズボン、ジャケット、ベルトを着用し、常に相手のベルトを握りながら戦うもの。  そのルールを聞くと、「地域によって異なる部分もあるけど、ベルトを持っている手が外れたらダメ、ヒザがマットに着くとダメ、投げられたら負け」となり、アルジクル ウルルは「Tシャツにベルトだけ巻いて試合をしたりもした」という。  7歳からフリースタイルレスリングもやってきたアルジクル ウルルにとって、帯を持っての投げがあるアリシュが、どうMMAに活きているかと問われると、「胸を合わせてのレスリングでMMAではクラッチに変えればいいだけ」と語った。組み技のバランス、崩しは、アリシュによって培われた部分も大きいという。 [nextpage] イムラが強いサブミッションレスリングは、僕も得意だ  10代の頃にトーナメントで優勝。しかし、アルジクル ウルルの興味はレスリングに留まらなかった。 「僕は、子どもの頃からストリートファイトをやってきた、いわゆる“問題児”で、両親や親戚は『将来、ギャングスターになるだろう』と言っていて、親が『MMAをやりなさい』と勧めてくれた。もともとレスリングでも喧嘩のように感情的になって、パンチをしたくなってしまう性質だから、MMAを始めたら、自分にとても合っていたんだ」  レスリングと打撃を融合させ、立ち技を磨くべく、ムエタイのリングでも戦ってきた。 「ちょうどその頃、キルギスでもMMAがすごく盛んになって、アマチュア大会も増えて、プロでは海外に戦場を求めるようになった。タイでムエタイの試合も5回試合をして2回地元のベルトを獲ったよ」  今回の相手の井村塁は、MMA11勝3敗。うち7つの一本勝ちを誇る極め技師だ。 「イムラの試合はいくつか見たよ。でも送られてきたビデオがどれも短くて(笑)。1位だし、タフなとてもいい選手だと思う。TPOLOGYを見たら、一本勝ちが多いからサブミッションが得意なんだろうね。でもサブミッションレスリングは自分も得意だから対抗できる。そして自分の方が強いし、準備はできている。どんな試合になるか分からないけど、とにかくフィニュシュしたい。自分が勝つと信じています」  同日には、同朋のラジャブアリ・シェイドゥラエフが、RIIZNで戦う。 「キルギスにとって良い始まりになるだろう。国際的な大会で、同じ日に違うプロモーションで2人とも日本で戦う。我々、キルギスの選手は米国・欧州では、アジアの一部だけど違うように見えているようで、あまり試合を組んでくれないんだ。でも日本は違う。29日に僕も彼も勝って、母国に勝利を持ち帰りたいと思います」  モハメド・アリをスポーツのロールモデルとして尊敬し、ハビブ・ヌルマゴメドフをMMAの目標としているという。 「まずは勝つこと。今回の試合に勝ったら、次の試合もPANCRSEで戦いたい。そしてベルトを獲りたい」──温和な口調のなかに芯の強さを感じさせるアルジクル ウルルは、ひとたび動けば、ファイターとして“シャーク”の異名を持つ鋭敏な動きを見せている。  初の国際戦を迎える井村を食って、PANCRASEにもキルギスの旗を掲げるか。
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