日本時間2024年8月11日(日)午前6時より開催される『UFCファイトナイト・ラスベガス95』(U-NEXT配信)バンタム級戦で、キプロス人2人目のUFCファイターのハラランボス・グリゴリオウが、日本の風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)と対戦する。
▼バンタム級 5分3R風間敏臣(日本/和術慧舟會HEARTS)10勝4敗(UFC0勝2敗)136lbs/61.69kgハラランボス・グリゴリオウ(キプロス)8勝4敗(UFC0勝1敗)136lbs/61.69kg
(C)Zuffa LLC/UFC
松濤館流空手のキプロス王者で欧州5位。UFCファイターになるために単身米国へ渡り、デイナ・ホワイト コンテンダーシリーズ(DWCS)で勝利し、UFCと契約をかわした。
8勝(6KO)4敗と75%のKO率を誇るストライカーで、UFCデビュー戦はそのワイドスタンスにカーフキックを効かされて自身の持ち味を出せずに敗北も、初白星を掴むために修正し、今回の風間戦に臨む。
名門ロンゴ・ワイドマン(LAW MMA)では佐々木憂流迦や井上直樹とも練習していたグリゴリオウは、元同級王者のアルジャメイン・スターリングとの練習で組み技対策も万全だという。本誌の取材にグリゴリオウは、勝利のキーは、風間と同様に「絶対に勝つという気持ち」と語った。
全てはLAWチームの練習のなかで経験したり見たりしてきていることしかない
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──まずは、試合を前にした現在の心境を教えてください。
「本当にワクワクしてる。それと、待ちきれないという感じなんです、というのは前回の試合で自分がやりたかったことを全然見せられなかったから、本当の自分の実力というのを見せられる機会を待ち望んでいたから」
──風間選手の印象は?
「対戦相手は素晴らしいグラップリングの能力があると思うけれど、全然、なにひとつ心配していることはないです。それはやっぱり、いつも世界トップの選手たちと寝技の練習もできているからで、とりわけアルジャメイン(スターリング)と練習できていることが大きい。グラウンドの技術が世界一の選手とやれているのだから。だからグラウンドゲームに対しても恐れている部分はない。それに風間はスタンド勝負も辞さないタイプではあると思うから、それは自分にとっては臨むところだから。要するに、すごく面白い試合になりそうだってことですね」
──打撃戦は望むところということですが、やはりスタンドで戦いたいと思いますか。
「もちろん! それが僕のスタイルだから。できればスタンドで試合を進めて、1ラウンドで仕留めたいって思っています」
──スタンドの展開が続けばかなり自信がありそうですね。
「うん、すごく自信がある。数字にも表れている通り、僕はキャリアの8勝のなかで6KOしているわけだから。自分には相手をKOするだけの力があるんだってことの証明でもある。もし1Rでといかなくても2Rで決めたい」
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──今回もアルジャメインはコーナーに付きますよね? 彼が、UFCで同じ階級の元王者だった選手で、今も階級を上げてランクアップしていっている、そういう選手と日々、組んでいるっていうことはどういう感覚なのでしょう?
「実際、正直に言って僕にとってアルジャメインと練習できているっていうことは本当に素晴らしいことなんだ。毎日一緒に練習するなかで日々必ず学びがある、何かしらの学びが。彼がどれほど強いのか、どれほど良い選手なのかということが分かっているし、もちろん彼だけじゃなくって、素晴らしいチームメイトたちと肌を合わせていることで、自分がこの先どんな対戦相手と組まれても全然大丈夫だな、って思える。だって、全ては練習のなかで経験したり見たりしてきていることしかないわけだから。それから、すごく幸運だなって思える。何しろ彼はすごく面倒見が良くて、自分を助けてくれるから」
──アルジャメイン選手が助けてくれたということなのですが、風間選手には独特なグラップリングがあります。彼のスタイルを真似してみてくれたりということもあったのですか?
「あ、いやそういうのはなかったんだけれど、むしろアルジャメインこそ他の誰にもないユニークなスタイルを持っていると思うから、何ていうか、無茶苦茶なんだよね(笑)。自分にとって最初はかなり練習するのが大変だった。本当に想定外な無茶苦茶なスタイルでやってくるんだよ(笑)。アルジャメインはレスリングもできる上でグラップリング技術も高いからね」
──実際風間選手のスタイルについてはどうとらえていますか?
「グラップリングのスキルが高いことはもちろん認めるのだけれど、かつて見たこともないようなものか、と言われればそんなことはないかな、という感じ」
──ロンゴのチームメイトたちがそれだけクセモノ揃いということですね。では、少しバックグラウンドについて教えていただきたいのですが、もともと6歳のときに空手を始めたのですよね?
「うん、松濤館だよ……(なぜか笑い出し)オーマイゴッド(笑)。いや、8年やったんだけれど。黒帯になって、キプロス王者になって、ギリシャ王者になって、ヨーロッパ5位になって……なんだけどね、空手って、やっぱりコントロールが主体というのがあって、相手の顔面を殴れる場面であってもという意味だけれど、そう思うと自分としてはもっとアクションが欲しいということを感じて、それでムエタイやキックボクシングを始めたのだけれど、そうしたらもっともっとさらにアクションが欲しいと感じて、それでMMAに転向したんです。アマチュアのキックボクシングやムエタイの試合を経て、プロデビューしたのは19歳の時でした。当時はまだキプロスで戦っていました」
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アメリカに行くことがUFCに行く唯一の道だ! って決意した
(C)Zuffa LLC/UFC
──ちなみに参考までに、キプロスではMMAはどれくらい人気というか、盛んなのですか?
「今は自分がこうしてUFCファイターになったこともあって、よりポピュラーになってきたんだけれど、それまでは、ムエタイとキックボクシングはかなりすでに盛んで、良い選手もいるし人気もあるという感じだったんだけど、もっとMMAが発展して欲しいというところで、自分としてはもっとみんなをインスパイアして、MMAについてもどんどん知っていってもらいたいと思っているところなんだ」
──いかにしてキプロスを身一つで飛び出して渡米するに至ったのでしょうか?
「キプロスでMMAファイターとして生計を立てるというのは不可能だったというのがありますね。やりたかったら他の仕事をしながら遊びでやるしかない。でも自分はどうしてもMMAを生業にしたかった。そういうキプロスだと練習環境も整っていないから、MMAのハイレベルなトレーニングは到底できないというのもあって。僕はUFCと契約することを夢見て、目標にしていたから『うん、よし。アメリカに行くっきゃない。それがUFCに行く唯一の道だ!』って決意したんです」
──LAWチームには、あなたの前につまりキプロス出身の最初のファイターである、コンスタンティノス・フィリッポウがいましたよね? それがあのチームに入った理由だったりするのですか?
「ううん、すごく偶然なことで。その前に練習していたジムで自分が一番になっちゃって、同じか、それ以上のレベルの練習を積むためには出稽古をするしかなくなっていたなかで、ロンゴに出向いたんだけれど、そこでアルジャメインと練習してすごく気に入って、“あ、ここでやったほうがいい、そうするべきだ”って思ったんだ。UFCファイターもたくさんいて、みんな素晴らしい選手たちで。ここでしっかり自分の実力を見せていければ絶対いいはずだって」
──日本の選手たちがたくさんいた時期もありますよね。交流はありましたか?
「うん! みんないい人だしみんな友達だよ、ウルカに井上直樹&魅津希姉弟に、平田直樹&樹兄妹たち……、一緒に練習したよ。ほかにもアジアから来ている選手たちがいっぱいいるけど、みんな仲よくしています」
──佐々木憂流迦選手がいま現在はプロレスラーとして活躍していることもご存知だったりしますか?
「うん! もちろん。彼のインスタで見ました!すごいよね」
──最近ベルトを獲りました。
「すごいですよね! オーマイゴッドって感じですよ」
──ところで、ボクシングの近い距離のトレーニングを見ましたが、試合ではオーソドックスなジャブ・ストレートよりも、左フック、右オーバーハンドが独特の軌道です。あの打ち方は空手・ムエタイ・それともMMAから?
「答えとしては『それが僕のMMAのスタイルだ』という感じですかね。実を言うと、MMAを始めた初期はキックボクシングスタイルだったとは思う。けど今はそれも変わって、MMAのスタイルを確立してきている。ストライカーであることに変わりはないのですけれどね。ちょっとずつちょっとずつ、スタイルは変わっていくものだなと自分では感じています」
──前手の位置が印象的で、スタンスとステップは空手の動きもあり、パンチはさきほど言った通り、空手のそれとは異なると感じました。
「そう思う? ユニークなのかな? 自分ではよく分からないけど、それは正しいかなと思うのは、他に同じような構えの選手は同じジムにはいないのは確か。僕だけだ。ただ、なんといったらいいのか、自然にそうなっていて、もしかしたらバックグラウンドから来ているのかもしれないですね。ただ断言できるかというとちょっと分からないです、どんどんミックスされていっているなかで自然にできてるものだから。きっとそうやって特別なものになってるとは思いたいかも」
──再起戦となる今回、どのような試合を見せたいですか?
「さっきと繰り返しになってしまうけれど、やっぱりKOは狙いたい。だけど、ただKOすることばかり考えてということじゃなくて、しっかりいいパフォーマンスをしたいということが第一なんです。その点では判定になったって構わないです。ただ、しっかり自分がいい状態で、いい感じで試合を運ぶことができるというのが大切です。というのも、前戦ではカーフで足を効かされてしまって、ステップができないし、自分のやりたいことを封じられてしまって。だから、自分のパフォーマンスがしっかり出せれば、その先にフィニッシュはあると思ってる」
──お互いにデビュー戦が黒星で負けられないという気持ちで臨むかと思います。最後に勝負を分ける鍵とは何だと思いますか?
「その通りで、僕たちはお互いに絶対に勝たなきゃいけない二人だ。そして言ってしまえばUFCの契約選手は誰しもがそこに残りたいはず。僕が思うに、やっぱり、より犠牲を払ったものが報われるのじゃないかなって。自分は渡米するために何もかも投げ捨ててきた。対戦相手に敬意は持っている、お互いにそうだろうと思う。だけれどお互いに勝ちが欲しい。となったときに、絶対自分のほうが勝ちたい気持ちで上回ってる」
──それほどまでになりたいと思い、そして今所属しているUFCの舞台というのは、ハラランボス選手にとってどういう場所で、そこで戦うことにどういう意味を感じているのでしょうか。
「夢そのものだから。キプロスにいた頃、ビデオだったり、YouTubeを通してかぶりついて見ていた。自分がオクタゴンに立つ姿を想像したりしてたんです。夢見た場所に、実際に立つことができている。もうそれだけで夢みたいで、夢の中を生きているかのようなんです。でもね、そうなったからにはもっともっと夢の先へと歩みを進めていかなくちゃいけない。だからUFCで勝ち星を重ねたいって、自分が今こうしている“夢”の世界を、より“ビューティフル・ドリーム”にしていかなくちゃいけないんです」
──それでは最後に日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。
「さっき話したけれど、日本から来ていたチームメイトたち、今はみんなそれぞれの場所にいるけど、すごくいい人たちで大好きです。彼らにありがとうって伝えたいし、応援してくれている人たちにも感謝の気持ちを伝えたいです。そうやって自分を支えてくれる人が日本にいるということが光栄です。日本に行ってみたいなって思っています。いつか日本でみなさんに会えるように願っています」
──来月バンタム級のタイトルマッチ(vs.キム・スーチョル)がある井上直樹選手にも何か言葉をいただけますか。
「彼はやってくれると信じています。本当に素晴らしい選手なんですよ、いろいろな、高い技術を持っている。僕からは、ポジティブなエネルギーを彼に向けて送りたいと思います! 幸運を祈っているし、実際、彼は運なんて必要ないですよ、素晴らしい試合をして勝ちを得るでしょう」
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UFC Fight Night: Tybura vs. Spivac 2 全計量結果と写真
【メインイベント】
▼ヘビー級 5分5Rマルチン・ティブラ(ポーランド)25勝8敗(UFC12勝7敗)252lbs/114.31kg)セルゲイ・スピバック(モルドヴァ)16勝4敗(UFC7勝4敗)238lbs/107.96kg
【コ・メインイベント】
▼フェザー級 5分3Rデイモン・ジャクソン(米国)23勝6敗(UFC6勝4敗)146lbs/66.22kgチェペ・マリスカル(米国)16勝6敗(UFC3勝0敗)149lbs/67.58kg ※※マリスカルが規定体重をオーバー。
【メインカード】
▼ウェルター級 5分3Rダニー・バーロウ(米国)8勝0敗(UFC1勝0敗)171.25lbs/77.68kg)**ニコライ・ヴィレテンニコフ(カザフスタン)12勝4敗(UFC0勝0敗)170.5lbs/77.34kg ※※バーロウが規定体重をオーバー。
▼バンタム級 5分3Rクリス・グティエレス(米国)20勝6敗(UFC8勝3敗)136lbs/61.69kg)クアン・レー(ベトナム)8勝0敗(UFC0勝0敗)136lbs/61.69kg
▼女子バンタム級 5分3Rヤナ・サントス(ロシア)14勝8敗(UFC4勝5敗)135.5lbs/61.46kgチェルシー・チャンドラー(米国)6勝2敗(UFC2勝1敗)141lbs/63.96kg)***※チャンドラーが規定体重をオーバー
▼バンタム級 5分3R風間敏臣(日本/和術慧舟會HEARTS)10勝4敗(UFC0勝2敗)136lbs/61.69kgハラランボス・グリゴリオウ(キプロス)8勝4敗(UFC0勝1敗)136lbs/61.69kg
【プレリム】
▼女子バンタム級 5分3Rカロル・ロサ(ブラジル)17勝6敗(UFC6勝3敗)135.5lbs/61.46kgパニー・キアンザド(スウェーデン)16勝8敗(UFC5勝5敗)135.5lbs/61.46kg)
▼ヘビー級 5分3Rジョナタ・デニス(ブラジル)7勝0敗(UFC1勝0敗)258lbs/117.03kg)カール・ウィリアムズ(米国)10勝1敗(UFC3勝0敗)※UFC3連勝中 243lbs/110.22kg
▼フェザー級 5分3Rユーセフ・ザラル(米国/モロッコ)14勝5敗(UFC4勝3敗)145.5lbs/66.00kg)ヤルノ・エレンス(オランダ)14勝5敗(UFC1勝2敗)145.5lbs/66.00kg)
▼女子ストロー級 5分3Rステファニー・ルシアーノ(ブラジル)5勝1敗(UFC0勝0敗)115lbs/52.16kg)タリタ・アレンカー(ブラジル)115.5lbs/52.39kg