2024年7月14日(日)千葉・TIPSTAR DOME CHIBA『RWS JAPAN 2024』(U-NEXT配信)にて、フェザー級(57.15kg)3分3Rでチャイヤコーン・ポーラックブーン(タイ)と対戦する朝陽・PKセンチャイムエタイジム(=品川朝陽/PKセンチャイムエタイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
朝陽は同門の吉成名高と共にジュニア時代から様々なアマチュアタイトルを獲得し、プロ転向後も強打を武器にMA日本フライ級王座、ルンピニージャパン認定スーパーバンタム級王座、WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王座、ムエサイアム・イサーン・バンタム級王座、IPCC世界フェザー級王座などのタイトルを次々と獲得。2021年12月にONE初参戦を果たしたが、のちにONEムエタイ世界ストロー級王者となるジョセフ・ラシリに初回KO負けを喫して世界の壁の厚さを痛感させられた。
2022年11月にはONEシンガポール大会でルイ・ボテーリョに判定勝ち。2023年はONEを離れ、新たな強敵を求めてBOMに帰還。2024年は1月の『TOP BRIGHTS』で2RKO勝ち、3月のRWSで1RKO勝ち、6月にナー・モハメッドに判定勝ちで現在9連勝中。戦績は28勝(19KO)6敗。
ここで勝って年内にはラジャのタイトルマッチ
――試合が近づいてますが、調整はいかがですか。
「前回6月15日にRWSで試合(ナー・モハメド・ヴェナムムエタイ戦)をして、今回の試合まで1カ月ぐらいの試合間隔で、そんなに休みを取ることもなく、3日ぐらい休憩したらすぐ練習を再開しました。調子は前回の試合から上がり続けているのでバッチリです」
――今は9連勝と絶好調ですね。
「そうですね。2023年8月のBOMで1RKO勝ちして以降、今年は1月のTOP BRIGHTSで2RKO勝ち、3月のRWSで1RKO勝ちして、6月にウズベキスタンの選手に判定勝ちしたことで、連続KO記録は6で止まってしまいましたが、次の試合で連勝記録はちょうど2桁に乗るんです。今回の相手もいい相手なので、10連勝目にふさわしい勝利にしたいなと思います」
――絶好調の要因は?
「2021年12月にONEで前ONEストロー級ムエタイ世界チャンピオンのジョセフ・ラシリ選手に1RKO負けたことは、僕にとって変化のある負けだったのかなと。今までと練習内容やスタイルは大きく変えたというわけではないんですけど、練習に対しての意識や、試合の時の気持ちの持ちようを自分の中で見つめ直すことで、自分の中で一皮剥けたかな、というのはあります。あの負けがあったから今の絶好調につながっていると思いますね。言い方は変ですけど、負けて良かったのかもしれないです。
連勝するまでは、判定でギリギリ勝つみたいな自分自身に余裕がない試合だったり、勝ったり負けたりするような試合が続いていました。名高を見ていると、試合になっても硬くならず、練習の感覚のままリングに上がっているのをすごく感じていて、僕もそういうのを若干意識するようになったことで、落ち着いた試合もできるようになりました」
――負けて得るものがたくさんあるとよく言われますけど、まさにその通りなんですね。
「そうですね。自分の戦績は34戦28勝(19KO)6敗で、負けて意味はなかったなという試合は1、2試合あるんですけど(苦笑)、負けた試合を今振り返ると、全然腑に落ちる負けなんです。ラシリ戦の時はコロナ禍で一人で乗り込んで負けて当時はやっぱり悔しかったですけど、いい経験になったと思っています」
――次の相手、チャイヤコーン・ポーラックブーンに関しては、どういった情報がありますか。
「僕が高校生の頃にタイに住み込みでいっていたPKセンチャイジムで一緒にずっと練習していた選手なんです。当時の僕はまだプロになり立てで、向こうはルンピニースタジアムのトップランカーでメインやセミファイナルでやる選手だったので、格上の兄貴的存在で首相撲をよく教えてもらったりしていました。僕は身体がどんどん大きくなっていき、別なジムに移籍しているチャイヤコーンと同じフェザー級になり、この階級の強い選手とやっていくとなると、チャイヤコーンは避けては通れない相手なので、まずは超えないといけないと思っていました」
――やりづらさはないですか?
「3、4年はもう会っていないので特にやりづらさはないんですけど、一時期は可愛がってもらっていた先輩なので、スポーツマンシップに則って試合は全力で倒しに行って、終わったら挨拶に行きたいなと」
――お互いに手の内を知り尽くしていますよね。
「そうですね。お互いのファイトスタイルは理解しています。もし自分のファイトスタイルだけ知られてたら嫌ですけど、相手もどう来るのか自分も想像つくので、そんなにやりづらさはないですね」
――試合展開としてはどういうものをイメージしてますか。
「最近のチャイヤコーンはヒジ、パンチ、首相撲、ミドルもできるオールラウンダーなんですけど、首相撲の強い選手なので今回は首相撲だけを注意しています。他に関しては、僕が下回ってる部分はないので、首相撲の攻防でヒジを打たれる位置に手を置かせないことを意識したりと、首相撲の攻防だけ気合いを入れて練習してました。あとは普段と変わらず、殺傷能力の高い攻撃を出せる練習をしています。首相撲の展開で最初にチャンスがあったら、倒しに行きたいなとも思っています」
――朝陽選手は現在も変わらずパコーン選手がメイントレーナーですか?
「パコーンさんは先月28日のルンピニースタジアムでのONEでの試合のために2カ月前から帰国しています。元ルンピニー王者のラフィに1RKO勝ちし、試合が終わってまだタイに戻っているので、今回の試合に向けては全然練習できていないです。僕が先月タイに試合で行った時に会うことはできました」
――朝陽選手の専属コーチがああいういい勝ち方をするとやはり刺激になりました?
「いや~カッコ良かったですね。あの歳になって、しかも日本に2年弱います。K-1で試合が決まった時は練習してるんですけど、試合が決まってない時は僕たちの練習を見て自分の練習はランニングとか最低限なことしかやっていません。今回ONEで試合が決まったことで、タイで2カ月間で一気に追い込んだだけで、今までの自分の身体を取り戻せていたのを見て、やっぱりムエタイの一流選手はちょっと違うんだなと。
僕が一番好きなムエタイ選手がパコーンさんだったので、中川夏生会長がエイワスポーツジムに僕の専属トレーナーとして呼んでくれたました。ONEでの試合を見て、自分が大好きな選手に教われているという恵まれた環境に自分はいるんだなと改めて感じましたし、その先生に教えてもらっているから、自分もああいうように活躍しないといけないなとも思いましたね」
――今回はKO決着を狙いますか?
「そうですね。佐々木洋平代表、中川会長、RWS関係者の皆さんに期待していただいてのあの試合順に僕がいると思うので、僕に求められてるものが何なのかというのは自分でも分かっているつもりです」
――今回勝って、その先には見据えているものはありますか。
「今までタイ人とは何十戦もやってきてるんですけど、今回のようなラジャダムナンスタジアムのフェザー級ランキング上位の選手とやるのは初めてなので、ここで勝って年内にはラジャのタイトルマッチができるようにいい勝ち方して、現地のRWSのスタッフの皆さん、佐々木代表に力を貸していただけるような試合結果を自分でも出したいなと思っています。現チャンピオンがヨーティンで、今回の相手とチャンピオンは首相撲タイプで似ているので、仮想ヨーティンとして僕は戦います。ここで何かいい突破口を見出せれば、ヨーティン戦が今後もし決まったとしてもそんなに構えることなく、試合に臨めると思います」
――あと、6月23日に開催されたKNOCK OUTの会場に来てましたよね。
「チョークディー(・PKセンチャイジム)さんとレンタの応援に行ってきました。山口元気さんの体制のKNOCK OUTには初めて観戦に行き、最近のKNOCK OUTの選手の試合を生で見られて刺激になりましたし、自分の階級に近い選手が試合をしていたので、そういう選手と絡むチャンスがあったら絡ませていただきたいなと思いましたね」
――どの選手と絡みたいと思いました?
「KNOCK OUTのフェザー級2トップの小笠原瑛作選手や龍聖選手ですね。僕との試合が見たいとファンが盛り上げていただき、中川会長が組んでくれたら全然自分はいつでもやります! BOMの看板を背負って出たレンタが負けて悔しさもありましたし、BOMがムエタイ系の最強の団体というのを証明したいですね。日本最強を名乗るためには、やっぱり日本人対決をやらないと、なかなかファンが認めてくれないと思うので、タイミングさえ合えばやります。自分が組まれた試合を勝ち続けて、日本人対決をそろそろ見たいなとなった時に、自分が満を持して選んでいただけるように、まずはラジャダムナンスタジアムのベルトを目指して今頑張っています」
――最後に試合を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
「前回の試合でKO記録が1回止まってしまったんですけど、連勝記録は続いているので、自分もRWS、日本格闘技界の注目選手になれるように頑張ります。皆さん会場で熱い声援を僕に送ってください。必ず倒します!」