2024年7月26日(金)東京・後楽園ホール『RISE 180』の対戦カード発表記者会見が、6月25日(火)都内にて行われた。
スーパーライト級(-65kg)3分3R延長1Rで、ライト級1位・直樹(フリー)が同級4位・麻火佑太郎(PHOENIX)と対戦。
直樹は伝統派空手出身で、2015年RISING ROOKIES CUPスーパーフェザー級で優勝後、独特の間合い操作と当て感の良さでRISEライト級の上位選手として長く活躍。2019年11月にはムエタイ大会『スックワンキントーン』でスーパーライト級王座決定戦に勝利し、プロ初戴冠を果たした。
2020年10月の「RISE DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」では準決勝で優勝候補の白鳥大珠をTKOで破る番狂わせを演じ、決勝では原口にKOで敗れるもインパクトを残した。2021年1月には第7代ライト級王座に就き、9月には白鳥との再戦で返り討ち。しかし、その後は山田洸誓、GLORYでデニス・ウォシク、チャド・コリンズに連敗を喫し、2023年4月の初防衛戦では中村寛にタイトルを奪われた。戦績は19勝(10KO)9敗。
麻火は元TENKAICHI Gライト級王者。K-1甲子園-60kgベスト4、KAMINARIMON×新空手最強決定戦-63kg優勝、全日本格斗打撃選手権大会優勝などの実績を持つ。KNOCK OUTとREBELSでキャリアを積み、2022年2月のRISEではチャッピー吉沼から勝利。2023年5月にマサ佐藤をヒザ蹴りで初回KO勝ちすると、8月にはKENTAに判定勝ち、2024年2月に野村太一に判定勝ちと4連勝の絶好調。4月には『ONE Friday Fights』に参戦し、セクサン・オー・クワンムアンに完勝する番狂わせを起こした。戦績は15勝(2KO)8敗。
会見の冒頭で、伊藤隆RISE代表は「65kgの年末のトーナメントへ向けて、インパクトもある勝者は9月の予選に出られる」と予選出場者選考試合の意味合いがあると説明。
凱旋試合となる麻火は「リスペクトしている直樹選手と試合を組んでいただけることを嬉しく思います。今年、僕が目標に掲げているのは世界を獲ることなので9月の予選へ向けて、出場できるようなインパクトを残して勝つことが今回の目標。僕はRISEの中心ではなくてトップに行くつもりでずっとやってきているのでそれを試合で見せたいと思います」との意気込み。
1年3カ月ぶりの復帰戦となる直樹は「お久しぶり、ただいま。若手の踏み台にならないように頑張ろうかなと思っています」と挨拶した。
互いの印象を聞かれると麻火は「直樹選手はずっと強い選手だと思っていて、まだタイトルを獲る前からこの選手はタイトルを獲るだろうなと一ファンとして見ていました。王者はただ強いだけでなく持っているものがないとなれないと思っていますし、特にRISEのベルトは国内最高のベルトだと思うので、そのベルトを巻いた選手と戦えるのを嬉しく思います」とリスペクト。
それを聞いた直樹は「詳しいね。褒めてもらえて」と笑顔を見せ、「麻火くんとは前に一緒に練習したことがあって、10代の頃から強くて将来的にRISEのトップでやっていく子だと当時から思っていました。自分と戦うとは思っていなかったけれど、こういう日が来るのは何か感慨深いものがありますね」と、一緒に練習した時期があり、その頃から才能を感じていたという。
麻火は「自分が上京する前で、高校3年生の時なので6~7年前。上京する前にジムをどうしようと悩んだ末にPHOENIXに所属することになったんですけれど、出稽古でマスをさせてもらえて日本のトップ選手の強さを肌で感じることが出来ました。それを長野に持って帰って成長できたというのもあるので感謝しています」と当時のことを振り返った。
セクサン戦で見せた、蹴り主体で相手の攻撃をほとんどもらわず自分の攻撃を当てるスタイルについては「オープンフィンガーグローブでずっとやってみたいと思っていて、それがいい感じにマッチしました。自分のスタイルに合っていたルールでしたし。ヒジも練習ではずっとやっていたんですが、試合ではヒジが全然出なくてムエタイルールは難しいのはありました。タイのスター、レジェンドと試合が出来たのは自分の中でかなり大きな経験値になりましたね。スタイルはOFGだからああなったというのが正直あるので、8オンスグローブでRISEルールだとまた違う自分を見せないといけないと思いますし、直樹選手は距離感、間合いが上手いので、今回また新しい試合が出来ると思っています」とした。
セクサン戦勝利の反響を聞かれると「試合が発表された時に麻火負けるだろって声が多くて。セクサンは世界的に有名だし、ONEのファンの人たちもかませ犬だと。リアム・ハリソンとセクサンの試合を見たいとの声が多い中での僕との発表だったので、マイナスな意見が多かったんですが僕は勝つことしか考えてなかったので。勝って当たり前、それくらい仕上げてタイへ行きました。レジェンドに勝ったことはこれからの格闘技人生のプラスになるけれど、勝って当たり前だと思って臨んでいました」と説明。
そのセクサン戦で得たものを聞かれると「持っているものが出た。セクサンだからプラスで出たというよりも、元々持っていたスタイルが出せたことが大きな収穫でした。相手が強ければ強いほどいいパフォーマンスが出来ると周りから言われていて。良くも悪くも相手に合わせてしまうというか。それがセクサン選手だからああいう試合が出来たのかなと思いますし、今回直樹選手と戦えるのは自分が見たことがない領域に行けると思うので楽しみですね」と、自信を付けたと共に直樹戦ではそれ以上のパフォーマンスが出来るのではとする。
今後もムエタイとの二刀流で行くのか、との質問には「ありがたいことに試合が終わって1週間後にONEの次の試合の話しがあったんですが、RISEがホームだと思っているので次の試合はRISEでやりたいと思っていました。OFGはまたやりたい気持ちがあるので、RISEでもあるのでいつかやりたい。まず年末の世界トーナメントで優勝してから選択肢が出てくると思うので」と答えた。
直樹は麻火の独特なスタイルについて「凄い上手だと思います。なかなか無いスタイル、蹴りもテコンドー出身で多彩だし、パンチも速くてカッコいい」と評し、自分の復帰戦については「1年以上空いているから、試合をやってみないと分からない。自分のスタイルも忘れちゃったから(笑)。ニュースタイルかもしれないですね」とここから作り直していくと答えた。
65kg世界トーナメント予選への査定マッチであることには、麻火は「そこで世界を絶対に獲るという覚悟でやってきています。まだRISEのリングで結果を全く残せていないので、今回直樹選手に勝つことでインパクトを残して、誰が見てもあと一枠は麻火だと思われる試合をしていきたい」と意欲を燃やす。
それに対して直樹は「1年3カ月ぶりで急にトーナメントに出させろとは思っていません」となぜか謙虚。しかし、ABEMA中継の解説の座は「それはもちろん考えています。トーナメントの解説は俺でしょう。よろしくお願いします」とトーナメントの解説を務めたいと笑う。
今回からフリーとなり、階級を上げることにした理由を聞かれた直樹は「正直分からない。やってみないと。楽しみな部分、1年3カ月休んでデビュー戦みたいな気持ちなので、ゼロからのスタートの気持ちなのでその辺は楽しみです。デビュー戦のようなワクワク感があります」とし、「練習していない期間も長かったので、ダメージが抜けてそれがプラスに働いているんじゃないですか。やってみないと分からないけれど。それがプラスに働いてくれればいいなと思っています」とした。
現在の練習状況はTARGET、TRY HARD GYMへ出稽古に行き、「前のジムで一緒にやっていたトレーナーと一緒にやっているので、そこで練習会で集まってやったりしています」との練習環境だという。
「最初の数カ月は辞めようと思った時期もあった」と告白し、「いつ頃からか僕と戦った選手の試合で刺激を受けたり、活躍しているのを見てもう一度やろうと思わせてくれる選手がいたので前向きな気持ちになれた。その選手? それは想像にお任せします(笑)」と復帰を決意した理由を語った。