MMA
インタビュー

【ONE】第2代ストロー級キング・オブ・パンクラシスト 北方大地「後輩たちに無様な姿は見せられない。稲垣さんと吉朗さんに『お前、強くなったな』って認めてもらいたい。その2つの意地があった」

2019/09/04 20:09
10月13日(日)、両国国技館にてONE Championship 第100回記念大会「ONE:CENTURY 世紀」が、昼夜2大会に分けて開催される。 17時開始の「第2部」では「修斗vsPANCRASE 4対4王者対決マッチ」が行われ、対抗戦の大将戦ともいえる第4試合では、ONEストロー級(※61.2kg)で北方大地(パンクラス大阪稲垣組)と猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)が対戦する。 北方はMMA歴10年。7月21日の「PANCRASE 307」でストロー級 キング オブ パンクラスの砂辺光久を5R、右フックからのパウンドでTKOに下し、新王者に輝いた。対する猿田洋祐は第6代ONE世界ストロー級王者。対抗戦では第7代修斗世界ストロー級王者として、北方戦に臨む。 猿田戦の決定に北方は何を語ったのか。PANCRASE王座戴冠直後のコメントとともに、紹介する。 ◆「ONE:CENTURY 世紀」第2部10月13日(日)両国国技館 ▼ONEストロー級(※61.2kg)5分3R猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)北方大地(パンクラス大阪稲垣組) 北方大地「ONEという舞台で、しかもONEの元王者と戦えてメチャクチャ嬉しいし楽しみにしています。この大会は注目されているし、興奮や感動を感じられる試合を猿田選手としたいです。賞金の使い道は3つ考えています。まず1つは、家族や仲間とゆっくり過ごす時間のために。2つ目は強くなるための自己投資。3つ目は将来の家族のための貯金にします」 北方「喧嘩は僕の方が強い」 ──修斗との対抗戦の相手が決定しました。 「相手を前にして、気持ちが高ぶっています。猿田選手はトータル的に心技体のバランスが取れていて、王者に相応しい選手だと思います。話しているのを聞いてもしっかり意志を持ってやっているんだなと。」 ──猿田選手と対峙した感想と意気込みを。 「第一印象は『小さいな』と感じました技術云々じゃなくて、喧嘩は僕の方が強いなと。そういう泥くさいところを世界の舞台で見せられると思います。自分的にもいいテンポで試合ができているので、いい感じで臨めます」 北方「ストロー級の価値を上げる試合を猿田選手とできれば」 (※戴冠直後の一問一答) ──(デカゴン内で)新王者になった感想を。 「今の率直な気持ちは、『ありがとう』。家族や仲間、応援してくれた人、全ての人に感謝します。生意気を言うようですが、俺がキング・オブ・パンクラスです。ONEで修斗のチャンピオンをぶっ飛ばしたるわ! 今日から俺がキング・オブ・パンクラスや!」 (試合後コメント) ──新木場では、2016年12月以来の再戦で、王者の砂辺光久選手を5R TKOに下しました。作戦通りに遂行できましたか。 「試合展開は覚えています。だいたい作戦通りに行きました。(前田)吉朗さんと僕の作戦に若干、温度差があったんですけど(笑)、吉朗さんは『8-2くらいの割合で組め』と言っていて、僕も冷静に判断して組みの能力は圧倒的に強いのは分かっていたんですけど、やっぱり打ち合いたかった。打撃に自信があったんですよ。だから『もちろん勝ちに行きます。でも、ちゃんと勝負に行ってきます』って言って仕掛けて倒しに行ったんです」 ──打撃についてはどの段階で手応えを? 「戦う前から打撃も寝技もいけると思っていました。シンプルに証明したかったんですよ。自分の力を」 ──砂辺選手の動きで予想外なこともありましたか? 3Rにバックを奪いましたが、砂辺選手は背負ったまま後方にスラムしてきました。 「絶対やってくると思ってました。あれやった瞬間に思いクソ、絞め上げてやろうかなと思ってたんですけど、ちょっと緩んでしまって。だから僕、(砂辺に)言ったろかと思ったんですよ。『すると思ったわ』と。だいたい読めてるんですよね(笑)」 ──砂辺選手が右ミドルを当てて指差して効いただろう、という仕草もありました。 「ああ、いい音が走ったけど、ホンマに効いていなくて。『効いてるか!』と勘違いするなよ、と答えてました(笑)」 ──砂辺選手はカーフキックも使ってきました。効いたものもあったのではないですか。 「痛いですけど……相手のセコンドはカーフキックを取り入れてくるだろうと思っていました。僕の飛び込みのスタンスに合わせてくるだろうなと予想していました。だから何回かスカしたと思います。スカされると相手は打ちにくいし、あのカーフに左の真っ直ぐを合わせに行ったので、あれがズドンと入ってから打ち辛くなったと思います」 ──終始、危なげなく試合を進められたと。 「危ないという瞬間はなかったですね。右が当たるなと思ったんですけど、2R目にちょっと打ったときに指を傷めて一瞬、左にしようかとちょっと迷いましたね。やっぱりそうして迷ったときは気持ち、動きも鈍る。最後のラウンドは壊れてもいこうと」 ──最後は打撃決着でした。 「みんな思っていたと思うんですよ。5R目、北方は組みにくると。そこを裏切ったろうとて思っていました。1発目に派手に打撃で振ったときに、相手が驚いた顔をしたんですよ。あの時点で僕の勝ちでしたね。だから過去最高にすべて冷静に戦えました。自分は分析能力が上がっているので、想定外というのはゼロでしたね。あっやっぱりコレだ。あっこれもスパーでやったわ、という動きでした。相手が攻めてるように見えたかもしれませんけど、僕の飛び込みにアッパーを合わせていたのも分かっていたんで。 そこで狙っているのが分かっていて行かないのが今までの弱い僕だったんですけど、そうじゃないぞと。違う階級の選手ともいい試合という意味で勝負したいし、『ストロー級は小さくて行かないからオモロない』とは絶対に言わせたくないんで」 ──10年MMAを戦ってきた、さまざまな歯車がかみ合ってきているように感じます。 「たくさん失敗を重ねてたくさんの壁を超えてきた、そのおかげだと思っています。以前のように漠然と海外で戦いたいとかではなくて、今は、なりたい自分がハッキリしていて、そこに向かっている。それに、最後は負けず嫌いな性格が自分を支えてくれていると思います」 ──試合後は家族と稲垣組の仲間に感謝の言葉を述べていました。 「今、後輩がすごく増えていて、道場で技術的にも指導するなかで最後は『気持ちやぞ』と言っているなかで、後輩たちに無様な姿は見せられない、という意地が出ました。それと、吉朗さんと稲垣(克臣)さんに認めてほしいっていう。『大地、お前、強くなったな』って認めてほしいなって。その2つの意地がありました。ベルトが腰に巻かれた瞬間、嬉しいとかは感じなくて、でも、喜んでくれている人を見たとき、初めて嬉しいと思えたんです」 ──公にはあまり認めてもらえなったですか。 「いえ、認めてくれているんですけど、僕が納得する形で『ベルトを獲りました』と言いたかった。『この世界で一人前になりました』という形で、認めてもらえたらと思っていました」 ──それを実現させましたね。 「とりあえず、出来ました。でもやっぱり、人間、欲が出るんで、次は世界一を証明したいですね。ここまで来たら下がれないですし」 ──ベルトを獲ったことでONE Championshipへの道も開けました。 「ONEで。自分の思い描くカッコいい男に。『世界チャンピオン』があるなら、それを知らん振りできないですからね」 ──2009年のアマ修斗以降はPANCRASE一本で10年。ベルトを巻くまで長かったですか? 「うーん、長いとは感じていないです。10年って聞くと『ああ、10年か』と思うんですけど、いろいろあったな、とは思いますけど、実感として長いとは感じてないです。10年って割と長くないんやなと思いました」 ──PANCRASEでどんな王者になりたいですか。 「強く、優しく、面白く(笑)。人としても、格闘技のチャンピオンとしても。あとは、僕の試合を見た人が興奮してくれたり、感動してくれたり、何かしらプラスの良い刺激を感じとってもらえるようなチャンピオンになりたいです」 ──修斗との対抗戦では猿田選手との試合が濃厚です。 「めちゃくちゃ噛みあうと思います。互いにパワフルで思い切りもいいし。打撃も寝技もグルグル回転できるし、身体も仕上がって根性もある。客観的にエエ試合になるんちゃうかなと思います。観ている人に『ストロー、ありやな』って思わせる試合が出来ると思います。そういうストロー級の価値を上げる試合を猿田選手とできればいいなと思います」 【関連記事】修斗との対抗戦出場手塚裕之「常にトップを目指していたい」久米鷹介「自分を高めていくだけ」
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