キックボクシング
レポート

【XSTREAM1】杉山しずかが所英男超え! 安本晴翔が脅威の1分間「115回」新記録達成! 無差別級・初代マーシャルアーツ王者は三留空也に

2024/06/18 15:06
 2024年6月16日(日)ゴールドジムサウス東京アネックスにて『第5回 立ち技総合格闘技XSTREAM 1』アマチュア大会が開催された。  各部門の「初代XSTREAM 1チャンピオン」が決定する次回10月20日開催の第6回大会に向け、頂点を目指すアマチュア選手総勢230名が参加、全121試合のハイレベルな攻防が繰り広げられた。  毎回注目のオリジナル競技「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」には、過去最高の34名が参加。スペシャルゲストとして、RISEやONE FFで活躍中の安本晴翔(橋本道場)、初の女性チャレンジャーとなる杉山しずか(リバーサルジム新宿Me, We)が参戦。杉山は目標としていた所英男の記録超えを狙い、蹴り技の本職・安本はプロの意地を見せつけ、歴代最高記録を塗り替える動きで会場を沸かせた。  さらにチームで競い合う新競技「チームバトルX-1名物! 高速キック鬼3連」がスタート。また「マーシャルアーツ無差別級オープントーナメント」では「初代XSTREAM 1 マーシャルアーツチャンピオン」が誕生している。 安本晴翔が1分間で歴代最高「115回」のキック! 【写真】“完全無欠のマスターピース”安本晴翔は、冷静沈着なペース配分で最高記録保持者となった。  RISEで活躍する安本晴翔は、5月10日(金)の『ONE Friday Fights 62』で勝利を収めた勢いのまま参戦。「最高記録を超したいと思います」と、大﨑孔稀が持つ歴代最高記録「113回」超えを高々と宣言して「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」に臨んだ。  常に冷静沈着な安本は試合と同様、安定した蹴りでスタート。表情を一切変えぬまま、乱れぬフォームで順調に回数を重ねて行く。そして“魔の後半”に突入。序盤は余裕の表情の安本だったが「ラスト20秒」の掛け声に、ポーカーフェイスが崩れ、若干、苦しそうな表情も笑顔を見せるシーンも。  それでも堂々のキックでラストまでペースを崩さず蹴り続けた。読み上げられた記録に会場は騒然。歴代最高記録の113回を超える「115回」とコールされ、新記録を樹立した。  安本は「記録更新ができてよかった。超疲れました」と安堵の表情。「オファーが来たときは、普通にノリでOKしたんですけど、後々よく考えたら結構キツいと(苦笑)。でも、ちゃんとやれば記録更新はできるだろうと思っていました。(これから参戦する選手たちへ)どうぞ抜いてください。でもキツいですよ。もし記録が抜かれたら、また参戦します」と笑顔で語った。最後は、きたるRISEでのタイトルマッチを見据え、「応援よろしくお願いいたします」と観客にアピールした。 最後まで蹴り続けた杉山しずかの挑戦「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」 【写真】懸命にチャレンジする杉山しずかの姿に観客も大声援。  杉山しずかは、「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」に初の女性プロMMAファイターとして参戦。「この日のために練習してきた」という杉山は、前回参戦した所英男の記録「70回」超えを目標に掲げてのチャレンジとなった。  緊張の面持ちでスタートすると、正確にヒットするように慎重に蹴りを放っていくが、徐々に足が疲れてきたのか、声を上げながら必死の形相に。 【写真】終了と同時にマットに倒れ込む杉山しずか。見た目以上の過酷さを物語る。  前田憲作総合プロデューサーや会場からも声援が飛び、杉山の背中を押すと、記録は「77回」。目標としていた所英男の70回超えを達成した。杉山は「練習のときより本番の方が、皆さんが応援してくれるので頑張ることができました。オーディエンスの皆様が温かかったです」と感謝の言葉を述べた。  続けて「『1分間高速ミドルキック連打チャレンジ』は、(対人の)『試合には出られないけれどもチャレンジしたいな』という人にもすごく良いチャレンジになると思います。総合格闘技のみんなにもこの競技のことを伝えようと思いました」と語った。  また、7月21日(日)立川ステージガーデンで開催される『PANCRASE 346』女子フライ級タイトルマッチでの重田ホノカ戦に向け、「勝利してチャンピオンになる」と宣言。会場から大きな拍手が送られた。 幅広い年齢層がチャレンジ「目標はラウンドガール」で93回 「キッズ」から「グラマラス・ウーマン」「ジェントルマン・クラス」の大人まで幅広い年齢層がチャレンジする「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」では、一般参加者も白熱の蹴りを見せた。  常連の出場者、北野なみは毎回オリジナルTシャツで参加。今回、Tシャツの表には「今回の目標ラウンドガール」、背中には「誰がオバはんじゃい!」というユニークなワードをプリント。毎回チャレンジのたびに夫とTシャツデザインを考案し作成しているとのことで、「ラウンドガールになりたい」という北野の思いは前田総合プロデューサーに届いたか。Tシャツのみならず、階級別で最高記録93回をマークしてみせた。 [nextpage] 前田総合プロデューサーも一肌脱いだ、チームで競い合う新競技「チームバトルX-1名物! 高速キック鬼3連」 【写真】今年56歳の前田憲作総合プロデューサーもスーツ姿で渾身のミドルキックを打ち込んだ。  チームで競い合う新競技「チームバトルX-1名物!高速キック鬼3連」には、総勢6チームが参加。  3名一組の合計体重で階級に分かれ、3分間の合計のキック数で競い合う。選手交代ではリング外にいるチームメンバーにタッチをして交代するため、チームワークも求められる。  それぞれのチームは学校やジムが同じという縁をきっかけにチーム結成するなど、各チームの絆も見られた。 注目は、前田総合プロデューサーチーム「チームマエケン」で、前田Pは、プロキックボクシング雄飛、テコンドーアジア王者・菱伊里緒を率いて登場。前田Pはジャケットを脱ぎ、スーツ姿のまま蹴り込んだ。チーム記録は「246回」の好成績をマーク。  また、小学生の姉をリーダーとした姉弟チーム「チームYES!」は、合計「315回」という大記録。一人平均のキック数は105回という大人顔負けの動きを見せた。  個人競技の格闘技のなかで「チームバトルX-1名物!高速キック鬼3連」は、メンバーが同じ目標に向かって取り組む“格闘技の新しいチャレンジ”として今後ますます盛り上がっていきそうだ。 【写真】姉弟で結成した「チームYES!」は家でも練習を重ねたというチームワークが光った。 キックルールMVPは若干15歳の中学生、武田幸三の愛弟子・佐藤陽平に  次回10月大会でランキング上位4名による初代王座トーナメントが開催されることもあり、その座を狙う「キッズクラス」から、37歳以上が出場する「ジェントルマンファイト」まで、前大会以上に熾烈な戦いが繰り広げられた。  今回MVPに選ばれたのは若干15歳、中学3年生の佐藤陽平(TAKEDA GYM)。武田幸三の愛弟子で、キックボクシング歴1年とは思えない打撃力、間合いの取り方が高く評価されてのMVP受賞となった。『REYES』のグローブを贈呈した前田総合プロデューサーは「試合運びが上手かったのと、大きな相手でも怯まず前に出ていく強い気持ちがある」と将来への伸び代に期待を寄せている。 「マーシャルアーツ無差別級オープントーナメント」でテコンドー三留空也が優勝、初代王者に  武道の達人たちが技を競い合い、鎬を削る「マーシャルアーツ」部門。今回はついに「マーシャルアーツ無差別級オープントーナメント」が開催された。  テコンドー、相撲、剣道、空手、八極拳、MMA、キックボクシングの選手たちが無差別級でその頂点を競う同トーナメント。  当日抽選で対戦相手が決定されるなか、注目選手の一人、剣道ベースのキックボクサー新谷竜輔(龍拳會青葉台支部)は、初戦でテコンドー選手を撃破。剣道が得意とする前後への俊敏な動きで間合いを詰めて縦拳を叩き込むスタイルで、次々とポイントを獲得した。  準決勝で新谷は、テコンドーの強豪・山ノ内蓮(T.K.KING)と対戦。緊張感漂う両者の駆け引きのなか、山ノ内の華麗な足捌きに苦戦し、惜しくも敗退。新谷は「競技の枠を超えて対戦できることは自身の競技にも生きてくる。ぜひまた参加したいです」と目を輝かせた。  決勝に進出した山ノ内が対するは、優勝候補大本命の同じくテコンドーの三留空也。初のテコンドー同士の対決は、華麗な足技が交錯するスリリングな展開に。蹴り技の精密さで三留選手が徐々に上回り、悲願の王者に輝いた。  一日3試合を終えた三留は「テコンドーの試合ではなかなか勝てなかった相手に、勝ててとても嬉しい」と話し、「疲れていて何とも言えないけれど、最高です! これからも王者として誰にも負けないように精進します」とベルトを肩に、仲間たちと喜びを分かち合った。 【写真】異彩を放った剣道対テコンド。蹴り技vs.縦拳の緊張感漂う攻防。 キックボクシング界のレジェンド飛鳥信也が果敢なファイト 「夜の部」は35歳以上を対象とした“挑戦し続ける大人たち”の「ジェントルマンファイト」が開催された。  キックボクシング界のレジェンド元MAキックボクシング王者・飛鳥信也は、リベンジをかけて杉井智博と対戦も惜しくもTKO負け。試合後、リングを降りた飛鳥は杉井へ「あなた、まだ強くなるよ」と声をかけて握手を交わした。杉井は「小さい頃から憧れてきた競技で、37歳なので今まで年齢制限があって参加できなかったけど、ジェントルマンファイトに参加できると知り、これからも挑戦し続けたい」と語った。 「何歳からでも挑戦できる」の言葉の通り、家族や仲間に見守られ果敢に挑んでいくミドル世代の姿がリングで目立った。 前田P「次回大会は10月大会で各階級の初代王者が決まる」 「朝のキッズクラスの試合から、夜のジェントルマンファイトまで凄い試合ばかりでした。盛り上がりがすごく競技レベルが格段に上がったことを実感します。『マーシャルアーツ』ルールのトーナメントも見応えのある試合ばかりで、決勝のテコンドー選手同士の戦いはさすがに見事な試合展開でした。特に私の記憶に残ったのは剣道の新谷竜輔選手です。彼にはこれからも“マーシャルアーツの顔”として期待を寄せたい。そのくらい可能性を感じる選手でした。  次回大会は10月20日(日)ゴールドジムサウス東京アネックスにて開催します。年内最後の大会となり、いよいよ各部門、各階級の初代チャンピオンが決まります。そして、来年2025年はチャンピオン勢に1年をかけてタイトルを保持する戦いの経験を積んでもらう機会を設けていきたいと考えています。『チャンピオンになること』『チャンピオンでい続けること』を今から経験して、将来のプロ化も見据えていきます。 『1分間高速ミドルキック連打チャレンジ』『高速キック鬼3連』もプロをはじめ、アマチュア選手たちが次々に記録を樹立してさらに盛り上がりをみせています。『XSTREAM 1』はさらに唯一無二のアマチュア立ち技総合格闘技団体として進化していきます。今後の展開にもぜひご注目ください」
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