2024年6月23日(日)東京・後楽園ホール『Krush.162』で開幕の「第9代Krushフェザー級王座決定トーナメント」準決勝で対戦する、稲垣澪(K-1ジム大宮チームレオン)と橋本雷汰(ALONZA ABLAZE)のインタビューが主催者を通じて届いた。
稲垣は極真館空手出身でジュニア時代から数々の入賞歴を持ち、15歳で全日本ウェイト制大会-60kg優勝。キックボクシングではABEMAの『格闘代理戦争』に出場して名を上げ、2020年4月にプロデビュー。KHAOS、K-1、Krushで3連勝するとBigbangに出場して2連勝で2021年11月にBigbangフェザー級王座を奪取した。しかし、2022年5月に寺田匠との無敗対決に敗れ初黒星。8月に岡嶋形徒をKOして再起を飾ったのも束の間、12月に森坂陸に判定負け。しかし、2023年6月はMOMOTARO、さらに10月には第5代フェザー級王者である新美貴士から勝利を奪ってみせた。戦績は8勝(4KO)2敗。
橋本はK-1甲子園2022 -60kg王者で、2023年10月にYU-KI、2024年1月に水津空良に連続KO勝ち中。戦績は6勝(3KO) 無敗2分。今回より卜部功也率いるALONZA ABLAZE所属となった。
稲垣「倒して勝てるだけの準備はできてる」
──今回、王座決定トーナメント準決勝ということになりました。オファーが来た時はどう思いましたか?
「ずっと準備して待っていたものだったので、『念願のチャンスが来た』っていう感じでしたね」
──カード発表会見では4人が顔を揃えましたが、この4人の顔ぶれについてはどう思いましたか?
「若い選手が多いなっていうイメージですね。トーナメントをやるとなった時点では他の選手を予想していたので、若手で勢いのある人たちを集めたトーナメントになったんじゃないかなという印象でしたね」
──稲垣選手はその中でも最年長で試合数も最も多いわけですが、ここに自分が入ったことについては?
「トーナメントとなったら絶対選ばれると思っていたので、そういう選手が多いというだけで、それ以上のものは何もないですね。若手だからというのもないし、ベテランだからというのも自分の中ではないので。結局、強い選手が勝つんだなというものだと思うので」
──準決勝で対戦する橋本雷汰選手は、まさに「若手で勢いのある」選手ですが、印象は?
「試合映像を見ると、サウスポーだけど右利きなのかなというのが自分たちの中での印象だったので、前手が上手いかなとは思ってます。リーチの長い戦い方で、入ってきてからの回転数は、速い選手だなという印象ですね」
──それに対して、どう戦ってどう勝とうと思っていますか?
「具体的には言えませんが、倒して勝てるだけの準備はできてるのかなとは思ってます」
──前回の試合、昨年10月の新美貴士戦から8ヵ月空いていますよね。これは何か理由が?
「ケガとかではないです。連勝して、次はタイトルマッチもあるかもということで準備していたんですが、チャンピオンの他団体参戦や返上があったりで待っていて、タイミング的にもこうなったという感じですね。もちろん試合はしたかったですけど、そのための準備はしっかりしてきたし、いろいろな選手と出稽古もやらせてもらって、いろんなタイプへの対応だったり、いろんな点でのレベルを上げられるだけの準備時間はしっかり取れたということはプラスに働いてるんじゃないのかなと思ってますね」
──またトーナメント4人の中では唯一、タイトル経験者になります。他団体でタイトルマッチも経験しているというのは、プラスに働いてますか?
「精神的な部分では大きいのかなと思います。Bigbangでタイトルマッチをやらせてもらった時、やっぱり周りから見たら気負ってた部分がメチャクチャあったみたいで。自分でも追い込んでる最中、ちょっと精神的に少しきてた部分もあったので、今回は、もう本当に気負わず、自分がやらなきゃいけないことを黙々とやっていくだけですね。
今回はトーナメントなので、一発で決まるタイトルマッチというわけではないですが、気持ち的にはすごくリラックスして、ケガもなく最後まで準備できているので、精神的な部分ではやっぱり1回タイトルマッチをやってチャンピオンになっているというのは、プラスに働いてるのかなと思います」
──そして今回は念願のKrush王座のチャンスということで。
「そうですね。もちろんBigbangのタイトルを獲った時もうれしかったですが、K-1 GROUPでデビューして、Krushのベルト、K-1 GROUPのベルトは最初から目指していたものでもあったし、弟と一緒にベルトを巻きたいという夢もあるので、気合いは入ってますね」
──その、弟さんの稲垣柊選手が、4月大会の4対マッチで林健太選手を下し、K-1王座につながるチャンスも見えてきました。柊選手からの刺激も、変わらず大きいですよね。
「そうですね、弟もK-1王座に絡めそうな展開になってきたので、もちろん刺激はメチャクチャもらってるし、まだ分からないですけど、もしその舞台がK-1の9月大会(9月28日・国立代々木競技場第二体育館)になれば、僕のトーナメントの決勝戦(9月29日・後楽園ホール)と連日になるんですよ」
──あ、なるほど。
「まだ日程は分からないですけど、先日の4対4マッチで弟は元K-1チャンピオンの林健太選手に勝ったので、そこでもたくさんの気合いをもらってますね。お互い、試合前は1ヵ月ぐらい追い込みをするんですけど、一緒にやってますしね。ジムには他の選手もいてみんなでやってるんですけど、やっぱり兄弟という部分で、他の人とは違うなというところはたくさんあって、そういうところで、兄弟間での刺激は人一倍あると思いますね」
──今回は自分はもちろん、弟さんにつなぐという意味もあるわけですね。
「そうですね。自分の試合なので、もちろん自分のことを考える部分が大きいですけど、やっぱり兄弟一緒にというところを含め、ベルトを獲るという形で証明するのが一番だし、逆にそれしかないと思ってるので。代表だったりトレーナーだったり、そういう普段お世話になってる方、一緒に練習してくれてる方たちやスタッフ、みんなの頑張りだったり、やっていたいただいていることへの感謝を形にするためにも、ベルトは必要なので」
──では最後に、改めて今回の支援への決意を教えていただけますか?
「トーナメントは決勝もあるんですけど、やっぱりこの一戦に勝たないとタイトルに絡めないし、ここでKrushのベルトをしっかり獲って、目指しているところはやっぱりK-1のチャンピオンになるということなので、一つの通過点でもありつつ、トーナメント…というよりこの試合ですね。まだ自分は別ブロックの2人の試合も見ていないぐらいで、本当にまずは橋本選手にしっかり勝つというところしか今は見てないです。
それが世界チャンピオンになるためのステップの一つだと思ってやってるんですけど、まずはこの一戦に全神経を集中していて。もう対策もほぼ仕上がっていて、あとは細かい部分、もしかしたらもらうかもしれないとか、もしかしたらこうなるかもしれないというところ、本当に最後の細かい質を高めている状況で、ケガもないし、しっかりできているのかなという状況なので、当日はしっかりと勝つ姿を見てもらえればと思います」
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橋本「SB山田ツインズとの双子対決も「やってみたい」
──今回の王座決定トーナメントが、橋本選手にとっては初めてのタイトルへのチャンスになりますよね。このオファーが来た時はどう思いましたか?
「前回の試合でKO勝ちして、その時にマイクで「今年中にチャンピオンになる」って言ったので、もうさっそく来てくれたかって感じでしたね」
──自分としては思っていたよりも早かった?
「いやでも、前回の試合で強さを証明できたと思うので、、来てもおかしくないかなとは思ってました」
──今回のトーナメント、4人の顔触れについてはどう思っていますか?
「フェザー級はけっこう選手がいる中であの4人が選ばれて、僕が優勝できるやろなと思いました。自信がありますね」
──まずは準決勝で稲垣澪選手と対戦します。改めて、稲垣選手の印象は?
「僕がK-1 GROUPでデビューした時からずっとトップでやっている選手に、さっそく一発目に当たれてうれしいですね。身長が高くて、中間距離も打ち合いも強い選手だなと思います」
──特に警戒するところは?
「やっぱり僕より身長が高いので。ちょっと遠い距離になった時に向こうの方が有利なんかなとは思いますけど、別に「身長が高いな」ぐらいで、その距離でも負けない自信はありますね」
──本当は「警戒するところはない」と言いたそうですね。
「はい。別にどの距離でも勝てるんで。身長が高くてリーチが長いなっていうぐらいです」
──ではそういう相手に、どういう試合をしてどう勝ちたいですか?
「向こうは腕が長いし近距離も強いんですけど、近距離でも遠い距離でも、全部の距離で僕が勝って、最後は倒します。失神させたいですね」
──失神ですか。
「失神させたことはまだないので、それぐらいの倒し方をして会場を沸かせたいです」
──ここから2つ勝てばチャンピオンということになりますが、プレッシャーとか、何か特別な気持ちみたいなものはありますか?
「いや、別にいつも通りって感じですね。毎試合、いつも懸けてるんですけど、今回別に緊張とかそういうのもないですし、僕がベルトを獲って当たり前かなという感じです。もう自信満々なんで、早くベルトを巻きたいです」
──高校卒業と同時に上京して、今回はALONZA ABLAZEに移籍して初の試合となります。環境も変わって、練習はどんな感じですか?
「もう毎日毎日刺激ばかりですね。新しいことも教えてもらって、自信しかないです。一番いいのは、他にも歳が近いプロの選手がいて、刺激をもらえるところですね」
──一方で、双子の橋本楓汰選手とは所属ジムが分かれましたよね。別々でやるようになって、何か変化は?
「いや、特にないですね。今も一緒に住んでるんですけど、別に練習の話をしたりすることもないですし。でももうどんぐらい強くなったんやろなとは思いますね。地元ではいつも2人でスパーリングしてたんですけど、今やったらどうやろな、みたいな感じの話はしますね」
──改めてですが、同じジムに行くつもりは最初からなかったんですか?
「別に、お互い行きたいところが一緒だったら行ってたかもしれないですけど、それぞれに行きたいところを探して、別々のジムに行きたいなってなったからって感じですね。それぞれ第1候補が違うジムやったんで、別に合わせる必要はないかなと思って」
──あえて分けたわけでもなく、たまたま違っただけということですね。お2人はいつもそんな感じなんですか?
「そうですね。やっぱり1人1人、考えは違うので、別に合わせたりとかないですね」
──今回は移籍一発目ですが、そもそも地元のジムからデビューして、ここまで無敗で来てますよね。自分としては、その理由は何だと思っていますか?
「やっぱり『絶対負けない』という気持ちが他の選手より強いからだと思います。生まれた時から双子でやってきて、お互い比べられたりして負けず嫌いだったんで、それが今でも出てるんかなと思いますね」
──生まれた時からライバルがいたと。
「そうですね。格闘技だけじゃなくて何でも、いろいろ競い合ったりしてたんで、その負けず嫌いな気持ちが出てるんだと思います」
──雷汰選手が、「ここは絶対俺は楓汰に勝ってる」ということとは?
「それは格闘技ですよ。格闘技以外だったら……楓汰より、何でも器用なところかな」
──逆に「ここは勝てない!」みたいなところは?
「『ない』って言いたいんですけど、楓汰の方が全体的にしっかりしてます。朝起きたら部屋の掃除してくれてたり、そういうところはすげえなと思います」
──そうですか(笑)。では、環境が変わってどれだけ強くなってるかというのは、お互いに楽しみですね。
「はい。どっちが先にチャンピオンになるかっていつも言ってたんで、今、先にそのチャンスが来てくれて、うれしいです」
──2つ勝ってチャンピオンになったら、その先はどうしたいですか?
「今年Krushのベルトを獲って、来年にはもうK-1のトップ選手、チャンピオンになりたいっすね。9月にチャンピオンになって、年内にはK-1のトップ選手と当ててほしいです」
──KrushでもK-1でも、フェザー級は激戦区ですよね。その中で勝っていく自信は……。
「あります! 別に今でも、K-1のトップ選手とやっても負けないだろうなと思ってます」
──しかも今は、他団体の選手との対戦もありますが。
「別に、全体的に見ても僕が勝てるかなって思ってます。この階級はK-1が一番強いと思ってるので、K-1の一番になれば日本の一番ってことになると思うんですけど、でもやっぱり他団体のチャンピオンを倒した方が強さを証明できると思うし、今回Krushチャンピオンになったら、他団体の選手ともやっていきたいなと思ってます。シュートボクシングの山田彪太朗選手とかは、向こうも双子ですし、気になりますね」
──ああ、なるほど。
「双子同士で戦ってみたいというのもあります。今度の試合の日は、Krushの中でもそうだし、他団体でもフェザー級の試合が多いんですよ。その中でも僕が一番インパクトを残したいなと思ってるんで。フェザー級の中でも一番になりたいですね」
──では最後に、改めてこの試合への“決意”を教えていただけますか?
「僕がこのトーナメントで一番若くて無敗で、勢いもあると思うんで、そのままベルトを獲ってさっさとK-1のトップ選手になりたいと思ってます」