キックボクシング
インタビュー

【ONE】野杁正明と戦うシッティチャイ「ONEの一員としてキャリアに終止符を打ちたい」「私の経験値とサウスポーの構えが彼の防御を困難にする」

2024/06/06 11:06
 2024年6月8日(土)タイ・インパクトアリーナ『ONE 167』(U-NEXT配信)にて、ONEデビュー戦を迎えるK-1世界2階級制覇の野杁正明(team VASILEUS)。その対戦相手であるシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)のインタビューが主催者を通じて届いた。  シッティチャイはプロ160戦以上と鉄人的な戦歴を持つ現役のムエタイレジェンド。キックボクシングとムエタイを合わせ、世界王者に11回輝く。過去10年間に渡り、キックボクシングとムエタイで、最も圧倒的な強さを誇る選手の1人として評価を築き上げてきた。  ONEには2020年7月から参戦。2022年の「ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ」では決勝へ進出するもチンギス・アラゾフに判定負け。2023年9月にモハマド・シアサラニに判定で敗れ、2024年1月の日本大会ではマラット・グレゴリアンにKO負けを喫して連敗中も決してあなどれない古豪だ。戦績は128勝(39KO)35敗5分。 2カ月以上かけて身体を万全にしてきた ――グレゴリアン戦で1Rは優位に立てたものの、2Rで動きが鈍くなったのは何かあったのですか。 「あの試合でKOで負けてしまい、本当に残念でした。準備は万全でしたが、相手のパワーに耐えられませんでした。キックボクシングでは初めてのKO負けでした。1Rでは自分の足さばきでマラットよりも動きの方で有利を取れましたが、2Rで相手のボディーフックを腹に受け、激しい痛みが走り、動けなくなってしまいました。それがKO負けの決め手になってしまったのです」 ――若い頃ならあのボディーも耐えられたと思いますか。 「若い頃だったら、あのボディーフックは問題なかったですね。間違いなく耐え抜いて、普通に戦いを続けられたはずです。心は戦いたかったのですが、身体が言うことを聞かなくなり、起き上がることができませんでした」 ――かなりがっかりしたと思いますが、どのように乗り越えましたか。 「キックボクシングで初めてのKO負けだったので、本当にがっかりしました。しかし、家族や子供たちに会うと、また頑張ろうという気持ちになれました」 ――体力的に限界だと言われていますが、それについてどう思いますか。 「年齢を重ねたので、体力的に限界だと指摘されても、否定することはできません。しかし、そういった指摘から自分の欠点が見えてくるので、何を改善すべきかも分かります。そのアドバイスを活かして、自分を磨いていきます。自分の体力は把握しているつもりで、このキャリアを続けられると考えています」 ――前の敗戦から何を学びましたか。 「試合の映像を見返すと欠点が分かります。年齢を重ねるにつれ、若い頃のような身体能力はなくなってきています。動きが鈍くなっているのです。この階級のエリートクラスと渡り合うには、その分を補うため、体力作りに専念しなければなりません。そうしないと生き残れません。技術的なスタイルは変えられませんので、相手の攻撃に合わせて守りを固める必要があります」 ――目標は変わりませんか。 「世界タイトル獲得が目標です。ただし、一日一日を大切にしていかなければなりません。夢ばかり空高く描きすぎれば、失敗した時の落胆も大きくなります」 ――最後のキャリアをONEで走ろうと決めた理由は何ですか。 「私にとってONEは一番の団体です。ここにいるファイターたちは最強の“チャンピオン”ばかりですから、ONEの一員としてキャリアに終止符を打ちたいのです」 ――家族からはどんなサポートを受けていますか。 「ONEでチャンピオンになる夢を追うにあたり、家族は大きな支えとなってくれています。妻と2人の子供の顔を見ると、彼らのためにも頑張らなければと思うのです。豊かな生活が送れるように。私自身が経験したようなつらい思いをさせたくありません。子供に『パパ疲れた?』と聞かれても、その顔を見れば疲れも吹き飛びます」 ――この3カ月はどんな生活でしたか。 「この3カ月は自身のシッティチャイボクシングジムの運営と、1.5カ月になる次男のペーパーの育児に勤しんでいました。空いた時間は練習に費やしていました」 ―― 2人の子供がいる父親としての生活はどんな感じですか。 「親になれば当然疲れることもあります。両親が私を育ててくれた大変さが分かります。子育ては大変ですが、それは幸せな疲れなのです。子供が増えれば養う口も増えますが、私自身も成長してきています。子供たちと共に成長し、前へ進み続けていきます。家族のためにも、最後のキャリアで全力を尽くす原動力ともなっています。時間は限られていますが、最後までやり遂げたいと考えています」 ――子供たちに大きな試合があると話しますか。 「『パパが仕事に行くからね』と伝えています。うちでは仕事のことを『戦い』と言うのです。『パパが仕事に行ってからおもちゃを買ってくるよ』と。子供たちはそれを理解しており、『パパ、仕事に行く?』と聞いてきます。試合後におもちゃを買ってもらえることを知っているからです」 ――野杁正明戦が決まった時の気持ちを教えてください。 「ONEに日本人ファイターが参戦すると聞いて、すごく興奮しました。彼が武尊のような日本のスーパースターだと知りました。彼のことをよく知らなかったのですが、レベルの高い実力者だと思いました。しかし、デビュー戦で私が対戦相手になるとは当時は考えていませんでした。彼と対戦することになり、私は『わお!』と驚きました。彼が初めての日本人の相手だったからです。今までのキャリアで日本人と戦う機会がなかったので。しかも彼は日本のスーパースターなのですから、さらに興奮しました」 ――この試合は復帰、そして勝利の道へと返り咲く大きなチャンスだと思いますか。 「間違いなく絶好の機会です。彼はとてもメジャーな選手なので、勝てば自信を取り戻せると確信しています」 ――大舞台のインパクトアリーナで戦えることについてどう思いますか? 「インパクトアリーナでの試合は初めてです。しかも相手は日本のスーパースターです。このグローバルな大舞台で戦えることを言葉で表せないほど嬉しく思っています。団体から求められていると感じ、私への期待を裏付けていると感じます」 ――野杁選手の長所・短所はどう見ていますか。 「野杁選手はトップ級のキックボクサーです。スタイルはピュアなキックボクシングです。パンチ、キック、そして危険なハイキックが武器です。攻撃力と防御力のどちらも優れています。簡単な試合にはならないでしょう。でも、私も長く活躍してきたファイターだと自負しています。彼の欠点は、攻撃を防御するより受け止める傾向があることです。カウンターを狙うためでしょう。だから自らを守ることはあまりしません。私はパワーのある武器で、リングで彼と対決します」 ――彼に対してどこに有利があると思いますか。 「私の経験値と、サウスポーの構えが彼の防御を困難にすると思います。彼がゲーオ・フェアテックス戦で2度敗れたのを見て、サウスポーの相手には弱いと気付きました」 ――ファンには何を期待していてほしいですか。 「左の回し蹴りです。彼は左蹴りの防御が苦手なので、当日は私の蹴りの嵐になるでしょうね」 ――体力的にこの試合に備えられていますか。 「2カ月以上かけて身体を万全にしてきました。いつも全力を尽くしています。前のマラット戦よりも体力的に絶好調です。あの試合は急なオファーだったので1カ月しか準備できなかったですが、今回はしっかり準備でき、ハードな練習を行えました。だから体調は極めて良好です」 ――試合はどのような結果になると思いますか。 「リングの中で何が起こるか分かりません。でも、ファンを熱く盛り上がる試合になるよう全力を尽くします」 ――この試合は自分にとってどれくらい重要ですか。 「この試合は私にとって本当に重要です。再び勝利への道に返り咲くためには勝利することは欠かせません。しかも彼のようなスーパースターと戦えるのですから、全力で倒したいと思っています。なぜなら、再び世界最高レベルのファイターになりたいからです」
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