2024年5月26日(日)東京・後楽園ホール『Krush.161』から開幕する「第5代Krushスーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」。その準決勝で対戦する森田奈男樹(エイワスポーツジム)と小田尋久(TEAM3K)のインタビューが主催者を通じて届いた。
森田はフルコンタクト空手出身で第4回JFKO全日本選手権軽重量級優勝など数々の実績を持つ。2021年6月のKrushでプロデビューすると5連勝4連続KO勝ちをマークしたが、2022年4月にK-1初出場でジョムトーンにKO負けで初黒星。2023年3月、ベテランの山崎陽一に判定勝ちして再起したのもつかの間、7月に璃久にKO負けを喫した。12月にアリヤン・モハマディを左フックでKOして再起を飾っている。戦績は6勝(4KO)2敗。
新極真会出身の空手家である小田は2021年11月に『DEEP☆KICK』でプロデビュー。2023年2月の『Krush』から参戦して5戦5勝(3KO)とプロ無敗の快進撃を続けていたが、2023年11月、フランス遠征でのWAKO K-1ルール世界ミドル級(-75kg)タイトルマッチで初黒星。2024年2月にはKNOCK OUTに乗り込み中島弘貴に延長戦で判定勝ち。ハイ・ミドル・ロー、後ろ廻し蹴り、胴廻し回転蹴りと空手家らしく蹴り技を多用するスタイル。戦績は6勝(3KO)1敗。
森田「空手家としてって言ったら負けられない」
──今回、王座決定トーナメントというオファーが来た時にはどう思いましたか?
「チャンピオンになるチャンスをもらえて、もう普通にうれしかったですね。ずっと狙ってるベルトをやっと獲れるなという気持ちでした」
──トーナメントの4人はカード発表会見でも顔を合わせていましたが、4人の顔ぶれについてはどう思いましたか?
「大体予想していた通りというか。今トーナメントをやるならこの選手たちだろうなという感じでしたね」
──その中で、今回の準決勝では小田尋久選手と対戦します。改めて小田選手の印象は?
「やっぱり彼も自分で言っているようにフィジカルが強いイメージで、空手家なのでやっぱり、自分もそうですけど、ボディーやローでは倒れないような打たれ強さもあるんじゃないかなという感じです」
──お互いに空手出身なので、端から見ると「空手対決」という風に見られると思うんですが、実際、対戦にあたって意識はしますか?
「そうですね。空手家としてって言ったら、負けられないなという意識は、自分の中にはありますね」
──ただ、森田選手と小田選手それぞれの戦いを見ていると、空手をベースにしながらも、勝ち方の方向性がちょっと違うという印象があります。
「自分はどちらかというと、フルコンタクト空手の戦い方というより、今はけっこうキックボクシング寄りなのかなと思うので、そういう意味では違うかもしれないですね。転向して一番やっているのがボクシング技術で、今も全然できてはいないんですけど、空手では顔面へのパンチがなかったので、それによって距離感が変わりましたし、でも蹴りとかはむしろ蹴りやすくなったという感じですかね。間合いができたことによって、蹴りやすくなったので」
──特に森田選手の場合は、ジムはムエタイ中心で、今はK-1ルールで戦っていますよね。
「そうですね。最初はどちらかでという感じじゃなかったんですけど、やってみて、やっぱりムエタイだといろいろ違う技術も必要になってくるので、まだそこまで突き詰められないのがあって、まずキックボクシングで結果を残そうと思ったんです。やってみてやっぱり、ムエタイよりキックボクシングの方が自分に合うなという感じでした」
──ここまで試合数をこなしてきて、勝ちも負けもあって、ご自分としてはキックボクシングにアジャストできているという手応えはいかがですか?
「アジャストできてきているとは思うんですけど、完璧ではないですし、まだ進化の余地というか、成長できるところはあると思うんですけど、今のところはいい感じでキックボクシングルールの方にも適用できてきてるので、強くなってきたんじゃないかなと思いますね」
──その視点で見て、同じ空手から来ている小田選手の戦い方はどう見ていますか?
「小田選手自身まだ若いですし、自分より成長の幅というか伸びも全然違うと思うので、前回の試合からも全然もっと強くなってると思いますし。キックボクシングで見たら小田選手もまだまだだと思うんですけど、自分もまだ上から言えるほど実績を残しているわけでもないので、ここでどうなるかという感じですね」
──お互いの「キックボクサーとしての成長」を確かめるような戦いでもある?
「確かめるというか…どっちの方が強いというわけでもないですけど、まだまだ若い選手に負けられないというか、ここで勝たないとこれから先勝てないので、何が何でもここは勝たないとなと思っています」
──では、試合ではどう戦ってどう勝ちたいですか?
「さっきも言ったように、自分も小田選手もローやボディーではなかなか倒れないと思うので、どれだけ顔面にポイントを入れられるかという勝負になると思ってます。自分はいつも通り足を使って蹴っていって、あとはパンチをどれだけ入れられるかですね」
──その部分って、先ほども出ましたが、転向して特に大変だったところなのでは?
「そうですね。なので、今回はそこに力を入れてけっこう練習してきました」
──小田選手に関して、一番警戒するのはパンチですか?
「でも蹴りもあるので、けっこう全体的に強いなという印象ですね。なので、パンチも含めていろいろと警戒はしています」
──ここで勝てば8月の決勝に進めます。もう一方のブロックには、以前に敗れている璃久選手もいますが、決勝で対戦したいですか?
「やっぱり、できればリベンジをしたいので、璃久選手とは戦いたいですね。ただ、今はどちらが上がってきてもいいと思ってるというか、今そこを気にしている場合ではないので、どちらが上がってきても、勝てるように、準備したいと思っています」
──あと2回勝てば、Krushチャンピオンになります。キックボクシングに来てからの証明という形になりますが。
「本当に、キックボクシングをやっているからには結果を残したいと思っていたので、いつも応援してくれるファンの方や家族ももちろんですけど、いつもジムで練習を見てくださって中川会長やトレーナーの方たちに恩返ししたいという気持ちもあったのでチャンピオンベルトをしっかり獲って、結果を残したいなという気持ちですね」
──3月にもこの階級でK-1 MAXのトーナメントが開催されて、璃久選手も出場しました。やっぱり世界と戦うということが強く意識される階級だと思いますが、そこについては?
「ここでベルトを獲るだけじゃなくて、圧倒的に勝つぐらいの力を証明していかないと、やっぱり世界には通用しないんじゃないかというぐらいのレベルだと思うので、圧倒的に勝ってチャンピオンになれるように頑張りたいと思います」
──では最後に、改めてこの試合への“決意”を教えていただけますか?
「20年以上やってきた空手の経験と、3年間やってきたキックボクシングで培ってきた技術を全て出して、このトーナメントで何が何でも勝ちます。8月には必ずチャンピオンになるので、応援よろしくお願いいたします」
小田「キックボクシングでどっちがどれだけ成長してるか」
──今回、Krushの王座決定トーナメントへのオファーを聞いた時はどう思いましたか?
「『やっと来たか』というか、しっかり選ばれてよかったと思いました。気持ちも入りましたし、もう絶対獲ったろうという気持ちになりましたね」
──ここまでKrushで連勝して、海外と他団体と、外のリングを2回挟む形になりました。ご自分の経験としてはどうでしたか?
「海外での試合は、やっぱりいろいろと「初」のことがあったので、そういった意味ではメッチャいい経験にもなったし、KNOCK OUTでも元Krushチャンピオンの中島弘貴選手と戦って勝てたという部分でもしっかりいい経験ができたというか、そういうのも含めて今回選ばれたんかなと思います」
──今回のトーナメント、4人の顔ぶれについてはどう思っていますか?
「今回戦う森田選手は、空手時代から強いイメージがあって、僕が空手時代で一番大きい大会というか、一般の大会でデカいJFKOとかでも優勝してたりするので、そういう意味ではその時代から戦績も上やし、格上の相手なんですけど、弱点というか、相手が苦手なところとかも逆にいろいろいっぱい見て、作戦も立ててます。今回はキックボクシングの試合なので、そこで自分がどれだけキックで成長できてるかというところも見せたいなと思ってます」
──なるほど。
「あと、璃久選手は同じ大阪出身なので、決勝でやれたらいいなとも思うし、藤村選手もけっこうベテランなので、正直どっちが来ても絶対勝つのは当たり前ですけど…璃久選手と関西対決というのはちょっと、面白いんちゃうかなと思ってます」
──今のお話を総合すると、優勝してベルトを獲る自信はもう満々?
「それはもちろんです。獲るしかないと思ってるんで」
──獲ればプロで初のタイトルということになりますが、ベルトへの思いは?
「たぶん、今回のこのチャンスを獲れなかったら、次にチャンスが来るのはちょっと先になってしまうような気もするので、絶対ここは落とせないという気持ちがかなり強いですね。フランスでもタイトルマッチを1回経験してるので、そういった意味でも絶対落とせないなと。2回もタイトルのチャンスがあって、2回とも落とすなんてことは自分の中ではあり得ないので、絶対ここは獲ろうという感じですね」
──フランスでのタイトルマッチは、タイトルがかかっているという点で、他の試合と気持ちとして違いましたか?
「逆にフランスでの試合は、初タイトルだけじゃなくて、初海外やったし、初外国人やったし、初5Rやったし…と、『初』がいろいろ多すぎて、何かそこまで、『これがタイトルマッチや!』みたいな気持ちが強かったわけではないですね」
──では、タイトルに向ける気持ちは今回の方が強い?
「そうですね。Krushは一番最初の目標にしていたところなので、今回はだいぶ気持ちが強いです」
──1回戦の森田戦は、周囲からは「空手対決」と見られると思いますが、そこへの意識は?
「空手時代の一般での戦績は森田選手の方が全然上なので、下馬評というか、そういうのを知ってる人からすれば、『森田選手の方が有利なんちゃうかな』と思ってる人も多いと思うんですけど、今回はキックボクシングなので。お互い、キックボクシング歴で言ったらそこまで変わらないと思うから、キックボクシングでどっちがどれだけ成長してるかという対決になると思うので、自分の中ではあまり空手時代の戦績とかは特には意識はしてないですね」
──キックボクシングへの順応というか、キックボクシングとしては自分の方が上だという自信がある?
「空手をキックボクシングにどう生かせるかというところでは、自分の方が上やと思ってますね」
──ご自分としては、空手を一番生かせていると思うのはどういうところですか?
「フィジカル負けしないところであったり、攻撃を食らっても崩されないという体の強さといったところでは、同じ階級では絶対誰にも負けないという自信がありますね。無理にキックボクシングの動きをしようとしたら、たぶん自分はそこまで器用なタイプではないので、どれだけ空手時代の強みをキックボクシングにうまく生かせるかというところが自分の強みにつながってますね」
──その点でいくと、森田選手の今の戦い方はどうですか?
「森田選手はジムがムエタイの方なので、逆に空手時代の蹴りをムエタイに生かしてるという感じで、やっぱり蹴りがよりうまくなっているというか、キックに生かしてるのかなという感じですね」
──ということは、展開としては「蹴り対パンチ」の図式になる?
「そうですね。予測としてはそうなるんちゃうかなと、自分でも思います。ただ、自分も別に蹴りができないわけじゃないので、『蹴り対蹴り』になるかもしれないし、そこは試合の流れ次第ですね」
──カード発表会見では「マッスル」アピールがすごかったですね(笑)。
「みんな、思ってたよりいい反応をしてくれたので、よかったですね。何もないよりは(笑)。今回、煽りVでも『マッスルタンク』っていうキャッチフレーズをつけてもらったんで、ガンガン『マッスル』押しでいきたいと思ってます」
──では、優勝したら「マッスルチャンプ」になるわけですね。
「はい。ベルトを獲って、K-1にも出ていきたいので、今年が一番勝負やと思ってます。そこから、海外でも人気が出るように、『マッスル』で押していきたいです」
──確かに海外でウケそうですね(笑)。では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
「今回、Krushのトーナメントにちゃんと自分も選んでもらって、その中でも僕が一番若くて勢いがあると思ってます。自分がそれだけ期待されてるということなんやろうなと、自分でも思ってるので、まず26日の準決勝で勝って、次は8月の決勝も勝って、ベルトを獲ります。ウルトラマッスルで勝ちマッスル!」