ONE Friday Fights 622024年5月10日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信
▼第5試合 キャッチウェイト(127LBS)ムエタイ 3分3R〇ウェイ・ズーチン(中国)[判定3-0]×松本吏亜夢(=りあむ/ZERO)
吏亜夢は3月の『ONE Friday Fights 54』で好試合を展開した羅向の同門で、長身のサウスポーから繰り出す左ミドル、左ヒザ、左ストレートを得意とする。前へ出るファイトスタイルで11勝(4KO)4敗2分の戦績。2月の『RWS JAPAN』に出場してSHOUIに判定勝ちしている。
ズーチンは2019年8月からONEの中国大会に出場し、中国人選手に3連続KOを飾ったが、4戦目でヤン・フアにスプリット判定負け。2023年9月の『ONE Friday Fights 34』に初参戦するとペッチャーチャイの顔面をヒザと左ストレートで破壊して判定勝ちしている。
1R、両者サウスポー。ジャブから飛び込んでの右ストレートを打つ吏亜夢。ズーチンは左フックを狙ってくるが、吏亜夢は右手から組んで首相撲に持ち込んでのヒザ。吏亜夢は左ストレートを放つと左ミドル、ズーチンがフックを打って来ると首相撲に持ち込んでヒザだ。
ズーチンはサウスポーとオーソドックスを切り替えて前へ出るが、吏亜夢が左ミドル、ジャブ、右フックを使って出会い頭で潰す。ワンツーからジャンピング左ミドル、ヒザを繰り出す吏亜夢。ジャンプしての左ミドルを空振りしても吏亜夢に大歓声が沸く。
2R、左ミドルとジャブで距離をとる吏亜夢。ズーチンが左右フックを打って前へ出てくると首相撲に持ち込む吏亜夢。パンチで危ない場面もあったが、吏亜夢が顔面前蹴りをクリーンヒット。一気にパンチをまとめる吏亜夢は、打ち合いながらも頭を振ってズーチンのフックをかわす。
しかし、このラッシュで倒し切れず疲労した吏亜夢へズーチンがパンチで逆襲。吏亜夢がヒジで対抗するとズーチンもヒジを打つ。下がってヒジを出す吏亜夢へズーチンが右ストレートをヒットさせ、ダウンを奪う。ズーチンのパンチの猛攻に大歓声が沸き起こるルンピニー。ズーチンの左ボディ、左右フック、ヒジで吏亜夢は棒立ちに。ダウン寸前に追い込まれるもゴングに救われる。
3R、吏亜夢は左ミドルから再び打ち合いに行く。オーソドックスになったズーチンも負けじと前へ出て打ちに行き、そこへ吏亜夢が左ヒジを合わせる。ズーチンも負けじとヒジを打ち、首相撲からのヒザも突き刺す。鼻血を出しながら前へ出て左右フックを打つ吏亜夢へズーチンが強打を叩きつけ、右の強烈なボディストレート。吏亜夢も左ボディで逆襲し、ズーチンの手数が減る。ジャンプしての左ミドル、左ストレート、左ヒジと攻め込む吏亜夢だったが、ズーチンも左ミドルを蹴って試合終了。
終了のゴングが鳴ると吏亜夢はその場にしゃがみ込んだ。打ち合いの結末は、判定3-0でダウンを奪ったズーチンの手が上げられた。
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▼第4試合 フライ級キックボクシング 3分3R×テミルラン・ベクムルザエフ(ロシア)[判定0-3]〇安本晴翔(橋本道場)
安本は少年時代からアマチュアで150戦以上を経験し、24冠王に輝くなど活躍。2016年6月に16歳でプロデビューを果たすと、6戦目でREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座、2018年12月にはINNOVATIONスーパーバンタム級王座、2019年2月にシュートボクシングのリングで迎えた14戦目で初黒星を喫したが、6月にKNOCK OUT-REDフェザー級王座、2021年9月にWBCムエタイ日本統一フェザー級王座も獲得。
2022年7月からはRISEに参戦し、12月にSBとの対抗戦で川上叶に敗れるも2023年3月のK-1との対抗戦では斗麗に勝利。8月にSBの魁斗に敗れ、11月の再起戦で澤谷大樹を判定で破ると、2024年2月には梅井泰成に判定勝ちで戦績を30勝(15KO)3敗2分1無効試合としている。
ベクムルザエフは2023年2月の『ONE Friday Fights 5』に初参戦してデッドゥアンレック・ティーデ99に判定負け。5月にはルオン・タイン・フックに反則勝ちでONE初勝利を飾ったが、10月にジョハン・ガザリにKO負けを喫した。2024年2月には奥山雅仁のテンカオに苦しみながらも、左右フックとバックハンドブローで3Rに奥山をグラつかせて判定勝ち。パワフルな右ストレート、左フック、左ボディが武器。
1R、サウスポーの安本は左ロー、左ミドル、さらに左右フックからの右ロー。ベクムルザエフは踏み込んでの左フックを振って来るが、安本はバックステップ。ベクムルザエフが左インローで崩しての左フックを繰り出してくると、安本も左フックで打ち合う。
ベクムルザエフは左フックの連打。安本はテンカオで応戦する。左ミドルハイで何度もベクムルザエフの腕を蹴る安本。テンカオも突き刺す。頭から飛び込んで来るベクムルザエフはバッティング。ラウンド終了間際、左フックでバランスを崩したベクムルザエフに安本が打ち合いに行くと、逆に左右フックをもらってしまう。
2R、ベクムルザエフは安本のお株を奪うようなバックスピンキック。ガードを固めて左ミドルを蹴る安本はテンカオも突き刺す。大きな左右フックを振り回すベクムルザエフに安本は左ミドル、左ヒザ。左右フックを打って下がるベクムルザエフに安本が左ハイキック。右ストレートで飛び込んだベクムルザエフはそのまま回転してのバックハンドブローを放つが、ヒジが安本の顔面を捉えて安本がダウン寸前に。
しかし、これはキックボクシングルールのため反則。ベクムルザエフにはイエローカードが提示された。再開後、安本は一気に攻める。
3R、前に出る安本が左フック。前に出るベクムルザエフには左ミドル、左ハイを合わせる。ジャブを出すベクムルザエフにも左ミドルハイ。安本の左ハイがベクムルザエフの左腕にヒットし、快音を発する。ベクムルザエフは右インローを蹴って左フックを打つが、安本の左三日月蹴りで一瞬ボディを抑える。
それでも前へ出て左右フックを振り回して前へ出るベクムルザエフ。安本は左ヒザで対抗し、右ヒザを突き刺してベクムルザエフを大きく後退させて右ストレート、組んできたベクムルザエフにはヒザ。ボディへのパンチとヒザで攻めた安本だったが、タフなベクムルザエフを仕留めきれなかった。
判定は3-0で安本の勝利となったが、内容に納得いかなかったか、安本の表情は曇ったままだった。
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▼第3試合 キャッチウェイト(124LBS)ムエタイ 3分3R×ペイマン・ゾルファガリ(イラン)[1R 1分57秒 KO]※右ストレート〇森岡悠樹(北流会君津ジム)
森岡は2022年11月に壱・センチャイジムと「第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント」の決勝戦を争ったが、判定2-0で敗れてタイトルを逃しリベンジ失敗。2023年は 「スックワンキントーン」にてスーパーバンタム級トーナメントを全試合KOで制し、自身初のベルトを獲得。8月にはK-1 GROUPとの対抗戦で内田晶を初回KOに仕留めて殺傷能力の高さを証明したが、9月に古木誠也に初回KO負けを喫した。12月には鈴木貫太に判定勝ち。戦績は15勝(8KO)9敗1分。ヒジあり、ヒジ無し両方で戦える。
ゾルファガリは2023年11月の『ONE Friday Fights 40』に初参戦してアリーフ・ソー・デチャパンに初回KO負けを喫したが、2024年2月の『ONE Friday Fights 51』ではペットナムコン・モンコルペットに判定勝ちで初勝利をあげている。
1R、森岡は右ローで先制。ゾルファガリは左ミドルをしっかり当ててくる。右ローから前へ出る森岡にゾルファガリはワンツー。森岡も打ちに行くが、打ち終わりにワンツー・左フックをもらって後方へ倒れダウンを喫する。
ゾルファガリは森岡のミドルをキャッチしてのフック。森岡はアグレッシブに前へ出てパンチを繰り出していき、ゾルファガリは組むと豪快に森岡を首相撲で投げる。組んでのヒザでも圧倒するゾルファガリ。
しかし、ロープを背負ったゾルファガリに森岡が飛び込んでのノーモーション右ストレートが直撃し、ゾルファガリは崩れ落ちるようにダウン。森岡の鮮やかな逆転KO勝ちとなった。
「初めてのルンピニーで緊張してしまったんですが、楽しかったです」と勝利者インタビューに答える森岡。ボーナスのことは考えたかと聞かれると「ボーナスのことは考えていました。欲しかったのでそれしか考えていなかったです(笑)」と答えると、35万バーツ(150万円)のボーナスが贈られることが発表され、森岡はガッツポーズで歓声に応えた。
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▼第1試合 バンタム級MMA 5分3R〇バットオチル・バットサイハン(モンゴル)[1R 4分58秒 TKO]×ファビオ・ハラダ(INFIGHT JAPAN) ハラダは柔術茶帯でムエタイを習っていた経験もあり、2021年7月に『Fighting Nexus』でプロMMAデビュー。これまで6戦を行い、4戦目で横山武司に敗れるも5勝1敗の好戦績。5勝のうち3勝がKO・TKOでその全てが1R決着。1勝がリアネイキドチョークによるものでこれも1Rで決着している。ONEには初出場。
バットサイハンは2023年12月の『GLADIATOR 024』に来日、中川皓貴に判定勝ちしている。モンゴルで1度だけ開催されたことがあるIMMAFの大会で優勝し、タイガームエタイに滞在し世界レベルのトレーニングを積んできた。2023年1月に長谷川賢タレントリレーションズ代表が現地で視察をした際に戦績に関係なく、いの一番に来日候補に挙げたウェルラウンダーだが、当時は時期的に学業に専念せざるを得なく、招聘を諦めたという将来性の高さが買われているファイターだ。モンゴル人のパワーに洗練されたMMAを使いこなす。同じくONE初出場。
1R、バットサイハンのフレームの大きさが目立つ。サウスポーのバットサイハンはジャブ、ハラダはプレッシャーをかけるが先に仕掛けたのはバットサイハンで連打を繰り出す。長いジャブを出すバットサイハンにハラダはテイクダウンに行くが、バットサイハンが離れる。ハラダが入り込もうとしたところへバットサイハンが左ヒジを合わせた。
左ミドルからの左フックでグラついたハラダは打ち合いを挑むが、ダメージで足元が定まらない。ここでハラダが胴タックルに行くも逆に投げられてしまう。ハラダは足に絡みついて足関節を狙うがバットサイハンは離れた。
ジャブ、ワンツー、大きな左フックと攻めていくバットサイハンにハラダはなかなか攻めに転じることが出来ず。ハラダが組みを狙って身体を沈み込ませるとバットサイハンが左ハイ。バットサイハンの左ミドルをもらって下がるハラダ。ボディへ畳みかけるバットサイハンのヒザ蹴りでハラダがマットに転がるが、バットサイハンはカモンゼスチャーで立たせる。
左ストレートでダウン寸前となったハラダへバットサイハンがボディから顔面へのヒザ蹴り。うずくまったハラダのボディへ鉄槌を連打し、1R終了間際にレフェリーがストップ。
バットサイハンが立ち技での力の差を見せつけ、TKO勝ちでONEデビュー戦を飾った。