グラップリング
インタビュー

【DEEP】浅倉カンナに続け! 16歳、スーパー女子高生柔術家・森さくらがDEEP出場「格闘技が自分の居場所をつくってくれた」=9月1日(日)新宿FACE

2019/08/30 18:08
2019年9月1日(日)、新宿FACEで開催される『DEEP TOKYO IMPACT 2019』に、女子高生で柔術家の森さくらが参戦する。 森は2018年12月の「GRACHAN37×GLADIATOR 008」で、QUINTETで3人抜き(池本美憂、杉本恵、長野美香に一本勝ち)の実力者・杉内由紀を相手にケージ・ノーギ(道衣無し)で時間切れドロー。2019年5月の柔術大会「WHITE RIOT 2019」スーパーファイトでは、青野ひかるに道衣ありながらベースボールチョークで一本勝ち。続く6月の「第2回DEEP JEWELSアマチュア大会」では、“天才少女”モモに腕十字で一本勝ち、同日2試合目の高崎栞戦でも反則勝ちで1日2勝を挙げている。 9月1日の新宿大会では、森はグラップリングルールで第2試合で吉成悠と対戦。さらに第5試合で高崎栞との再戦に臨む。今回はグラップリング「Aルール」となり、前回は反則だったアメリカーナや、ヒールフック以外の足関節も認められるため、柔道の実力者・高崎と柔術家・森の再戦は、女子注目のカードといえる。 「浅倉カンナ選手が好き」という16歳の森は柔術衣を脱いで、どんな進化を遂げたのか。森を育成した父・徹夫氏とともに話を聞いた。 周りは褒めても、お父さんだけは叱ってくれました ――現在、高校2年生の森さくら選手です。6月の「第2回DEEP JEWELSアマチュア大会」に続き、9月1日の『DEEP TOKYO IMPACT 2019』にグラップリングルールでの出場が決定しました。柔術家の森選手が、DEEP JEWELSのアマチュア大会に出場しようと思われたのは? 「ずっと柔術と柔道をやっていて、ノーギのグラップリングの試合に出ることが少なくて。でも、新しいことに挑戦したいと思って、お父さんと話していたときに、お父さんが見つけてきてくれたんです。お父さんが見つけてきてくれた試合には全部出ているので」 ――お父様も格闘技をやられているんですか? 「お父さんは昔ずっと格闘技をやっていました。総合と柔術もやっていました」(※森徹夫さん・アマチュアDEEP、公武堂ファイト、グラップリングツアーなどに出場) ――柔道(朝飛道場)では大会にも出場されたのですか。 「はい。柔道は神奈川県大会でベスト8くらいです」 ――神奈川でベスト8というのはかなりのものかと。当時の得意技は? 「柔道では背負投が得意でしたが、みんな強かったです」 ――柔術では背負投はやっぱりあまり使う機会が少ないですか。 「機会があれば、ですね。いけると思えばいけますけど、バックを取られるとか考えるとなかなかいけないです」 ――柔術の年齢カテゴリーではジュブナイルですが、アダルト部門でも試合に臨み、階級別・オープンクラスでも結果を残しています。アダルトに出るのは対戦相手がいないからでしょうか。 「はい。それと士気を高めたり、そういうのを全部合わせてアダルトのほうがいいなと思って出場しています」 ――自分より大きくて力の強い選手と対戦することも……。 「そうですね。自分の階級と無差別で出場しています」 ――いつも道場で大きな人とも練習しているからあまり苦にならないのでしょうか。 「やっぱり怖いです。でも楽しむ・楽しませることが一番と考えたらあまり苦じゃないです」 ――「楽しませる」ことまで考えているのですか? 周りの人を? 「はい。お母さんが、自分の柔術をやっている姿が一番好きと言ってくれているので、お母さんが楽しんでくれれば、と思って」 ――親孝行ですね……。ところで前回のアマチュアDEEP JEWELSはリングでのグラップリングを2試合行いました。1試合目は14歳の“天才少女”モモ選手をいとも簡単にパスガードし、マウントからの腕十字で極めました。 「モモ選手、動きがけっこう俊敏で強かったです、本当に。でも自分が通っている道場(AXIS横浜)もみんな強いので、あのパスガードはそこで学ばせてもらった動きです」 ――ノーギの練習も週に何回かやっているんですか。柔術とノーギ・グラップリングは似ているようで隔たりも大きくなっているように感じます。 「柔術の練習が終わった後の30分間とかノーギで練習するようにしています。あとはお父さんと家で練習しています」 ――道場以外でお父様とも動きの確認をされているのですね。アマチュアDEEP JEWELS(グラップリングBルール)では2試合目が柔道ベースの選手も多いEXTREM海老名の高崎栞選手との試合でした。サイズの差も感じましたが、強引な首投げでテイクダウンされ、袈裟固めから反則のアメリカーナの体勢となりましたが、あのポジションにはなったものの森選手もまだ極めさせはしませんでした。 「若干、大きかったんですけど高崎選手は強かったです。ただ、腕は全然、極まってはいなかったです。あのポジションになったのは自分の練習不足の部分が出ちゃって……。自分の課題がはっきりしたと思いました」 ――課題というのは? 「自分のバックボーンは柔道と言われているのですが、さほど柔道が強いわけではなかったので、そこの穴をどう埋めるかとか……考えることがたくさん出てきたかなと思います」 ――スタンドでの組みの部分をどうするか。また戦う機会があるかもしれませんね(※9月1日の『DEEP TOKYO IMPACT 2019』で「グラップリングA」ルールで再戦が決定。今回はV クロス・アームロックは反則とならない)。ところで適正体重は何kgですか。 「一応52kg(女子ストロー級)で出ていますが、50くらいまで落としているので……それくらいです」 ――女子スーパーアトム級(49kg)でもいけそうですね。柔道から柔術も始めて、ここまで強くなれた理由をご自身ではどのように考えていますか。 「ここまでくる前に、一度全部を無くしたような時期があったんです。それでもやっぱりお父さんがいたからここまで来ることができました。どんなときでも──周りは褒めてくれても──やるべきことが出来ていないときはお父さんだけは叱ってくれました。そこの部分が大きいです」 ――10代で、そんな風にお父様について客観的に言えるのはすごいことかもしれません。ところで、AXIS横浜といえば、丹羽兄弟の活躍も有名で、弟の飛龍選手はIBJJFパン選手権で決勝以外の全試合を一本勝ちで優勝。AOJなど海外での出稽古もしていて、刺激になったりしますか。 「そうですね。みんな、飛龍くん、怜音くんも、本当に頭一つ分以上抜けて強いんです。けっこう刺激をもらっていますし、自分も海外に行きたいなとか、そういうふうに思わせてもらっています。まだ海外で練習してことが無いので、今年、来年には行きたいです」 ――「GRACHAN37」では強豪の杉内由紀選手とケージでグラップリングマッチも戦いましたね。 「あの試合がグラップリングでの初めての試合だったんです。それですごい緊張したし、いつもは道衣を使えるから安心感があるんですけど、ノーギで全部が初めてということがとても新鮮で、楽しかったです、素直に」 ――初めてのノーギグラップリングがあの試合なのですか!? 1Rも2Rも開始早々にテイクダウンしてマウントを奪って、いきなり腕十字に行ったことに驚きました。 「テイクダウンは何回か出来ました。相手選手も引き込んできましたし、緊張と焦りと全部混ざって戻されましたが……ケージでやりやすかったです」 ――金網を使って立った場面もありました。柔術にもピュアグラップリングにも無い動きだと思いますが……。 「ああいう動きは、いろいろな人のYouTubeとかを見て。あと、家でお父さんが教えてくれていたので出来ました。お父さん、ありがとうという感じです(笑)」 ――ここにもお父様の教えが……。 「はい。それに足関対策とかいろいろ、それに向けて練習をさせてもらっていて、AXISでもみんなが協力してくれたおかげでああいう試合ができたかな、と思います」 ――格闘技を始めた当初は、お父様が結構スパルタ教育だったようですね。逃げ出したいと思ったことはないですか。 「あります(笑)。友達と遊びたかったし、もうやりたくないと思いました(笑)。でも続けていくうちに面白いと感じたのもお父さんのおかげですし、やっぱり自分の居場所をつくってくれたのはお父さんだったので、これからも一緒に続けたいです」 ――MMAの大会でグラップリングの試合に出て、これからグラップリングのみならず、MMAにも挑戦したいという気持ちもありますか。 「そうですね。柔術、グラップリングだけじゃなくて、いつかMMAでも活躍できたらとは思いますが、そういう世界に行くには中途半端には出来ないので、きちんと家族と周りと自分自身とも相談して、頑張っていきたいと思っています」 ――なるほど。打撃の練習はまだやっていないのでしょうか。 「そうですね、全然。お父さんが打撃でシュッシュッとやっているのを見て、隣でちょこちょこくらいです(笑)」 ――柔術、グラップリングでもそれぞれに目標があるかと思います。 「柔術は、大きい夢というより、何個も何個も毎月試合があるんです。それを全て勝つというのが年内の目標です。負けなしで年を越すという。グラップリングは、柔術の延長でしか練習をしたことがなかったので、やっぱり振り返ってみると、自分のできない部分とかがはっきり見えてくるので、グラップリングとして目を背けずに頑張っていきたいなと思います」 ――格闘技で好きな選手もいますか? 「あまり自分だけで他の選手を見たりしないんです。でも……青木真也選手、そして浅倉カンナ選手が好きです。いつもお父さんと一緒にMMAの試合を見るんですけど、みんなかっこいいな、としか思っていなかったので、自分がこのステージに立ちたいと思えるようになったのが最近で、いつか一緒に盛り上げていきたいなって。今日もDEEPの試合を生で観戦して、自分の武器となるものを活用できる選手は本当にかっこいいし、自分もそうなりたいと思いました」 父・森徹夫氏「昨日の自分より、練習して今日の自分を好きになれるだけでいい」 「練習を始めた当初はやっぱりスパルタでしたね。今考えてみると良くはないですけど、やらせていた感は満載だったので。でも、今になってわかるようなこと──駄目だったときのことをきちんと伝えていくコミュニティは作っていきたいなと彼女を通じて思えました。柔術大会などで、キッズが理由もなく家族から怒られている光景を見てきて、それじゃないんだというのは、彼女とずっと歩んできた期間で学んだことでした。 ただ、(強くなるために)歩いている最中はキツいですし、正直、これをやったから必ずこうなるという答えもないのですが、何が大事なのかを考えれば、家族として向き合っていられるかってことだと考えてきました。あと僕は、弱くてもいいんです。それよりも、『昨日の自分より、練習して今日の自分を好きになれる』だけでいい。もともとそこからスタートしたことですし。 今後については、段階的にそのステージに立てるだけの力と人格が戦いながら備わってくればと思います。でも、お嫁さん(さくらの母)はあんまり納得していないので、そこらへんをどういうふうに口説いていくかも、今後のテーマです(笑)」
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