2024年4月19日(金)ABEMA格闘チャンネルにて優勝賞金300万円『格闘代理戦争-THE MAX-』が1回戦に続き、準決勝が開催された。
3分3RのMMAルールの準決勝は、一回戦を勝ち抜いた中谷優我(監督:青木真也)vs.トミー矢野(監督:イゴール・タナベ)、ギレルメ・ナカガワ(監督:ホベルト・サトシ・ソウザ)vs.中村京一郎(監督:岡見勇信&中村倫也)が対戦。また、皇治、芦澤竜誠がそれぞれ監督を務める「スペシャルマッチ」2試合も行われた。決勝戦は、5月17日19時から、生配信される。
▼準決勝(65.8kg契約)3分3R ※選手名からインタビュー〇中村京一郎(監督:岡見勇信&中村倫也)65.65kg[3R 2分14秒 TKO] ※パウンド×ギレルメ・ナカガワ(監督:ホベルト・サトシ・ソウザ)65.60kg
プロMMA4勝1敗の中村。1回戦では、上限69kgのキャッチウェイト戦で、BreakingDownでも活躍した秋山成勲推薦のミスター・ホンデを、ノーモーションのカウンターの左ストレートでダウンさせてパウンドアウト。今回は非公式試合ながら、5連続1R KO勝ちで、準決勝進出。UFCを目標に掲げる。
対するサトシ&クレベル推薦のギレルメ・ナカガワ(ボンサイ柔術)は、1回戦で鶴屋怜推薦のストライカー諸石一砂(THE BLACKBELT JAPAN)をテイクダウンからボンサイ仕込みの三角十字に極めて、40秒一本勝ち。
アマチュアMMA戦績を11勝(9フィニュシュ)無敗としている。当日計量のアマチュアではフェザー級で戦い、プロではバンタム級での参戦を目指している。今回の試合に向けて“怪物くん”鈴木博昭と打撃のトレーニングを積んで来た。
1R、サウスポー構えの中村に、オーソドックス構えのギレルメ。右手を前に伸ばして、テイクダウン対策の低いボディストレートを見せた中村。左ボディも。ギレルメは右ロー。
右ボディストレートの中村。そこに右ミドルから組んだギレルメをスプロールして切って立ち際に左を突く。さらに左ボディストレートに、ギレルメも左ミドルで応戦し、右ストレートを突く。
ギレルメのローがローブローとなり中断。ギレルメに「注意1」で再開。中村の左ストレートを胸元に受けたギレルメ。中村はボディストレートから顔面と上下に散らすと、ギレルメはそこに右ハイを狙う。
2R、オーソドックス構えから左ミドルはギレルメ。中村は左ストレートを胸に。ギレルメの再三のシングルレッグの飛び込む組みを切って、ギレルメの左ハイも肩口で受けて潰して前に。詰めるギレルメは右を突くが、そこにスイッチして左クロスは中村。
インローの中村に、ギレルメは右ハイも空ぶり。サークリングする中村に、追うギレルメ。しかし切る中村は左ストレート! 左インロー、右ストレートも。
決定打はさせないギレルメだが被弾。中村はスーパーマンパンチ、さらに左ボディを突くも突っ込みすぎない。
3R、先に中央を取ったのは中村。前蹴りでけん制し、懐深く左ボディを突くと、ギレルメも右フックを返して前に。下がる中村を負って金網際でケージも使って跳びあがり、ギロチンチョークへ。
しかし体を入れ替えすぐに首を抜いた中村。離れると、左右で前に出たギレルメの右ミドルに左ストレート! 体勢を崩すギレルメだが、ダウンせずに片手を着いて体勢を戻したところに中村は左ハイ! かわしながら左を振るギレルメ。
中村は左、しかし前に出るギレルメとの左クロス! 当てたのはギレルメ。尻もちを着いた中村に左脇を差すギレルメは詰めてシングルレッグも、一回り大きな中村は倒れず。
ギレルメはシングルレッグから後転して足関節を狙うが突き放す中村はスタンドに。ギレルメの立ち際に左を当てる中村。
ワンツーの左をかわすギレルメに左インロー。中村は口から出血。右を突いて低いシングルレッグで飛び込むギレルメだが、触らせずに回る中村。
立つギレルメに左ストレートを突く中村は、左ボディアッパーも。詰めるギレルメの右に左を合わせた中村!
両手を着いてダウンしたギレルメはすぐに立つが、ギレルメの打ち返しをしっかり見て左を突く中村は、さらに左から右! ギレルメを金網に詰めて左を当てると、ギレルメの腰が落ちて両ヒザを着いててうつ伏せにダウン。そこに中村が左右を連打して、試合を決めた。
試合後、中村は「まずは、ギレルメ選手、ありがとうございました。テイクダウン何回も来たんですけど、本当に打ち合ってくれたし、いいのもらったんで僕も。彼もここからだと思うし、僕もまだまだなんで。うん、こここあらどんどん2人、上に行くと思います。今回、雑になっちゃったんで。トミーとは1回戦から決勝でやろうぜと2人で言っていたんで、いい試合になるかと思います」とコメント。
岡見監督は「ギレルメ選手、強かったです。ほんとうファイターとして尊敬します。やっぱりサトシ選手とクレベル選手の弟子だけあって、ほんとうに素晴らしかったです。その選手に勝てたので、その責任を持って、必ず京一郎を優勝させます。ありがとうございました」。
中村倫也監督は「スタンドゲームで戦うっていう予想で、ここまでこっちもヒヤヒヤする展開になるとは思っていなくて、すごくビックリしました。ギレルメ選手もほんとうに強くて、今後上がって来る選手だなと確信しました。決勝は同じような展開で勝つしかないので、しっかり仕事をしていきたいと思います」と語った。
これで決勝は、もうひとつの準決勝で青木真也監督推薦の中谷優我を、ヒザ十字で18秒でタップを奪ったトミー矢野と、中村京一郎の対戦に。
全試合終了後、矢野は「柔術で一本勝ちできたのでとても嬉しいです。優勝したいですね。決勝戦、京一郎選手とても強いんですけど、柔術家が最強ってことを証明したいと思います」とコメント。
イゴール監督はメインの激闘を「想定していた展開で京一郎選手が打撃でひたすらタックルを切るという作戦だと思っていたのが、思ったよりギレルメ選手が打ち合って、ほんとうに凄い試合でした。京一郎選手とだったら寝技対打撃の面白い試合が見られる。ギレルメ選手が来たら、柔術のトップレベルのMMAが見られると思っていましたが、どっちみち、トミーが優勝するのは変わらないと思っています」と優勝宣言。
ダメージがありそうな中村京一郎もケージの中に残り、「今日の試合じゃ、あまり言えないかもしれないですけど、優勝するのは当たり前というか、優勝するためにこのトーナメントに来たので、決勝行ってどうのこうのはないですね」と、優勝がデフォルトとすると、あらためて「今日のギレルメ選手も柔術強くて黒帯で、トミーくんも黒帯で、世界で活躍してる、ほんとうにいい選手なんで、僕も柔術トレーニングしていていま青帯ですけど、MMAだったら青帯でも黒帯にしっかり勝って、それがMMAというのを見せたいので、応援お願いします」と語った。
岡見監督は矢野の勝利について「準決勝を見ていて攻めの気持ちが出ていてタックルから上を取り返して極める、さすがトミー選手だなと思いました。しっかり対策して次に臨みたいと思います」とコメント。
矢野ともKREAZYBEEで交流のある中村倫也監督は、「やることは変わらず“柔術フル無視、打撃でブスーン”です」と笑顔で語った。
その言葉にイゴール監督は「(ギレルメは)柔術の展開になっていないので、組みになっていたら変わっていた。トミーはそこですね。柔術に持って行ったら作戦関係ないので」と“フル無視”をさせないとした。
決勝戦は、5月17日19時から、生配信される。3分3Rとはえい、3月、4月、5月とインターバル1カ月で3試合に臨むコンディションを作り戦う過酷なトーナメント。最後に優勝し、賞金300万円を獲得するのは、トミー矢野か中村京一郎か。
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▼準決勝(65.8kg契約)3分3R×中谷優我(監督:青木真也)65.75kg[1R 0分18秒 ヒザ十字]〇トミー矢野(監督:イゴール・タナベ)65.60kg
プロMMAライト級MMA1勝1敗の中谷優我(BRAVE GYM)。父が闘魂タオルの販売元社長のため、4歳でアントニオ猪木から闘魂ビンタを注入されている。
柔道がバックボーンで、2022年12月に巌流島ルールでプロデビューし、奥田啓介に腕十字で一本勝ち。2023年7月の『DEEP×NARIAGARI』で井上竜旗にスプリット判定負け後、12月の前戦『DEEP 117』では、コマネチゆうたに判定勝ちしている。
『格闘代理戦争』1回戦では、青木真也推薦選手として、田嶋椋推薦で一般応募枠の松岡拓(OOTA DOJO)を、柔道ベースとBRAVE GYM仕込みの組み力でねじ伏せて、判定勝ち。
トミー矢野は、2023年のIBJJF主催柔術世界選手権・ムンジアル茶帯フェザー3位で、KRAZY BEEで山本“KID”徳郁、美憂らの寵愛を受け、2024年2月の『東京ケージファイト10』Sクラスルールトーナメントのライト級で優勝。
『格闘代理戦争』ではイゴール・タナベ推薦選手として登場し、1回戦で、平本蓮推薦の極真出身、剛毅會・T-Grip Tokyo所属のストライカー向坂準之助を1R、テイクダウンからマウント奪取のパウンドで仕留め、極めを温存しての初戦突破となった。
中谷のセコンドには青木。矢野のセコンドにはイゴールとアーセンも。ケージインし、サークリングの際に矢野は握手を求めるが、中谷は中央で応じた。
1R、ともにオーソドックス構え。矢野は右前蹴りからダブルレッグに入るが、中谷は小手に巻こうとするが、矢野は潜りから中谷の左足に両足を三角で組んでヒザ十字! 最後は脇下に挟んで極めた。
秒殺一本勝ちの矢野は、「練習でも極めているので、試合でも極められてよかったです。決勝は、同じブラジルのギレルメに勝ち上がってほしいけど、京一郎選手も強いので、どっちが来ても勝てるようにやっていきます。あと、今日、セコンドについてくれたお兄ちゃんのアーセン、イゴールありがとう。そしてスポンサーさんも。最後に、柔術家ナメんじゃねーぞ」とマイク。
イゴール監督も「感動しましたね。喋る準備も出来てなくて。チームとして自分の体重超過とか、いろいろあったけど、僕らチーム大丈夫なんで。決勝どっちが来ても大丈夫です」と語った。
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【スペシャルマッチ】
▼66kg契約 3分3R×袖裂雄貴(監督:皇治)65.75kg[1R 1分41秒 リアネイキドチョーク]〇脇田 仁(監督:芦澤竜誠)63.80kg
皇治チームのNARIAGARIファイターの袖裂と芦澤チームの脇田が対戦。
緊急参戦の袖裂はキック5勝2敗・MMA0勝4敗。4月21日の『NARIAGARI vol.4』大阪大会でBOXトーナメント出場も決定している。MMAでは勝ち星が無く、WARDOGからDEEP×NARIAGARIに出場。
2023年12月の前戦では『GLADIATOR 024』に参戦し、福山佳祐のリアネイキドチョークに一本負け。
対する脇田は、WOLVES FORCEフェザー級王者。プロではDEEP名古屋で2戦2勝で、2023年8月に夏目涼佑に三角絞めで一本勝ち。2024年4月に平野凌麻(Ryoma)に1R TKO勝ち。
1R、ともにオーソドックス構え。左を突いて組んだ脇田はボディロックテイクダウン。背中を見せて強引に立ち上がる雄貴に脇田はバックマウントからパウンド。いったん身体が伸びるが、亀まで戻した雄貴に脇田がリアネイキドチョークを極めた。
SPマッチは皇治×芦澤軍は1勝1敗。芦澤は皇治について「あいつとはレベルが違う。金持ちのいい車に乗ってるおっちゃんだろ? 俺は格闘家だから」と語った。
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【スペシャルマッチ】
▼63kg契約 3分3R〇ガブリエル・クサノ(監督:皇治)62.40kg[1R 1分03秒 リアネイキドチョーク]×田端 魂(監督:芦澤竜誠)60.70kg
注目は、皇治チームのクサノの参戦。クサノは愛知県半田市の草野道場主宰の草野レアンドロを父に持ち、柔術青帯でアマチュアMMA7戦6勝1分(3TKO・2SUB)の戦績を持つ。
対するは、芦澤チームの田端。芦澤と同じ山梨県出身でTHE OUTSIDERなどアマチュアで戦い、現在は宮古島を拠点としている。
タッチグローブをすかした田端。クサノは首を振る。
1R、先に中央を取るサウスポー構えの田端は、右のオーバーハンドを振って組むと首投げに。しかしクサノはそれを潰してバック狙いからそのままマウントに。
クサノはパウンドからバックテイク、4の字ロック。田端は首に腕を巻かれているが、背後のクサノにパンチ。クサノはリアネイキドチョークで絞めてタップを奪った。
皇治チームの18歳のクサノは、「もうちょっといじめて極めたかったけど、レジェンドの父の寝技を見せるだけ。次の『格闘代理戦争』の決勝でスペシャルマッチ、待っています。押忍。怪我人が出れば自分がもう1試合してもいい」と語った。