2024年4月13日(土)東京・後楽園ホール『SHOOT BOXING 2024 ACT.2』(U-NEXT配信)にて、シュートボクシング世界スーパーウェルター級タイトルマッチ3分5R無制限延長Rで、挑戦者ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)との再戦に臨む王者・海人(TEAM F.O.D)の合同取材が9日(火)に行われた。
両者は2月に対戦し、ペットモラコットが延長R判定2-0で勝利を収めている。今回は海人が保持するタイトルを懸けてのダイレクトリマッチとなる。
まず最初に、これまでと違うパーマをかけた髪型を指摘された海人は「特に理由はなくて、ちょっと前からしたい髪型にした感じです。アフロみたいな髪型にしたくて、アフロにしたら強くなれるんじゃないかなと思っていたので(笑)。印象的にアフロの方が野性味のある強さがあるんじゃないかなと思ってやりました」と笑う。
2カ月という短いスパンでの再戦に「成長したかしていないかは試合をしてみないと何とも言えませんが、これ以上ないくらいしっかりやって来たので、勝つために動いてきたのであとは試合をするだけかなと思っています」と、やることは全てやってきたとする。
「技術面もそうですし、試合の展開とか作り方も前回よりイメージを変えてきたのでそこも違うし、気持ち的な面では自信も前回よりあるのでそこも変わっていると思います」と前回とは違うとするが、「今回に関しては作戦よりも自分らしく自分がしたいことを徹底的にやって行く、自分が持っている全てを出して勝ち切りたい。なので作戦は前回よりも組み立てていないです。自分が出来る事を全て出して勝ちたい。これで負けるのであれば何をしても勝てないと思うので、全てを出して勝ちたいと思います」と、作戦や戦略は前回以上にはないとした。
出し切りたいというのは「僕がやりたいことを上手さで止められて接戦みたいになってしまったので、僕が思っていたのは接戦をしたかった訳ではないので出し切れてないものがあったと思います。前回やりたかったこともあるし、それと違うやりたいこともいっぱい出来たので、それが出来たら勝てると思っています。ペットモラコットがやりたいことをさせない、やりたいことをさせてもそこでやり合っても僕が優ればやりたいことは自然に出来ると思います」と、今回は上手さで止められずに全局面で上回って自分のやりたいことをやることだと話す。
「精神面では負けたと思ってない。技術面で自分の方が劣っていたと思うので、見せ方もそうだし、首相撲でもいい位置取りをされていたので自分がいい位置を取って圧倒したい」と、技術面で上回るのが目標だ。
スーパーボンからアドバイス、マススパーも
SBの公式YouTubeチャンネルにて動画が公開されたが、2週間前にはタイのスーパーボン(ONEフェザー級キックボクシング暫定世界王者)のジムで練習をしてきたことも明かされた。
「ムエタイの技術も今の僕にとって必要で、日本で練習するだけでなくタイでも吸収したいと思って行きました。首相撲の展開も僕が知っていることも知らないこともあって、より深く教えてもらったのでしっかり理解して戦いに使っていけるものは使っていきたいと思っています。首相撲の展開や対峙する時に、こうすれば試合しやすいとかこうしたら確実に勝てるよってことを教えてもらったので、そこは試合を見てもらえたらと。タイでやって来たこと、教えてもらったことを試合で出さないのも申し訳ないので、しっかり出そうと思います」
タイには3日間という短期間の滞在だったが「全然足りないところもあったし、新しいことも教わったし、知っていることもあったけれど知っていることの中でももっと深く詳しく教えてもらって。知っているけれど使いこなせてなかった、そこまで技の深さを知らなかった。そこの深さも教わったので、まだまだ学べることはいっぱいあると思いました」と収穫は大きかったようだ。
海外での修行は「タイには10代の頃に行ったことはありますが、試合前に対戦相手の対策として行ったのは初めてです」と言い、スーパーボンジムを選んだのは「最初はいろいろなジムに行かせてもらおうかなと思っていんですが、初日にスーパーボン選手のジムに行かせてもらったらトレーナーさんが徹底的に丁寧に教えてくださったので。そういうしっかり教えてくれる人に教わりたいと思ったので、他のジムへ行かずに連続して行かせてもらいました」との理由から。
前回ペットモラコットに苦しめられた首相撲の対策はもちろんのこと、「前回に関しても首相撲の展開で負けたと思っているので、首相撲は首相撲でしっかり組んで戦っていきたいと思っているし、蹴られた後の展開や蹴られる前の展開も教わってやっていきたいことがあります。何種類か教わったので出したいですね。組みもヒジも前回のようにはならないし、ヒジも倒せる・切れるヒジを教わって、蹴り合いでも僕が優る蹴り方を教えてもらったので、出せる全てを出したいと思います」と、前回の轍は踏まないとした。
スーパーボンからも直接アドバイスをもらったと言い、「トレーナーの人たちもスーパーボン選手も隠し事なく、同じ階級で僕と試合するかもしれないのに丁寧に教えてくれました」という。スーパーボンとはマススパーも行い、「上手いです。蹴りもしなやかですし、ハイキックのタイミングもそうだし、蹴りが柔らかいのに痛くて重さもあったし、さすが世界一を獲っている男やなと思いました」と体感。
もし現時点でスーパーボンと戦ったらどうなるかは考えなかったかと聞かれると、「今回は頭がペットモラコットのことばかりでしたし、1Rしかやってないのでそこまで分かりませんが、勝つか負けるかで言ったら負けるとは思っていないので勝てる自信もあります。でも今回はペットモラコット戦に集中しています」と答えた。
スーパーボンはその後、4月5日の『ONE Friday Fights 58』にてマラット・グレゴリアンを破っている。「試合前の動きを見ていてもしっかり練習していたし、それやからこそ勝って暫定王者になったので刺激になりました。僕も勝って自分が王者だって言いたいし、スーパーボン選手を超えるためにもベルトは持っていないといけないので。刺激にもなったし、気持ちもアツくなりました」と、大きな刺激を受けたとする。
ワクワクしてないし楽しみでもないけれど、勝ちたい
今後も海外修行には「行きたいですね。いろいろ学びたいし、日本で戦ったことがないタイプの選手とも練習させてもらったので、いろいろな選手と手を合わせた方がレベルアップ出来るので、海外に練習に行ってみたいと思いました」と意欲的。SB協会からは「今回のタイ遠征ではPKセンチャイムエタイジムでタワンチャイと練習する機会も作っていたんですが、海人が初日に行ったスーパーボンジムのジェンさん(トレーナー)のところで集中してやりたいと言うことで集中して練習しました。今後はタイで練習することもヨーロッパで練習することもある。海人が伸びるためにしていければと思っています」との話もあった。
ジェントレーナーは元々ゲオサムリットジムのトレーナーで、武尊も昔から交流があり、4月6日の『ONE Fight Night 21』で試合をした内藤大樹も試合前に師事していたトレーナー。「僕の強み、パンチとか蹴り合いをしても勝って行けると言っていたし、パンチのスピードが全然違うと言っていたのでそれがポイントになると言っていました。蹴り合いに対しても蹴り合いしていくためにそこでどう勝っていくかも教えてもらったし、その中で相手に蹴らせないやり方も教えてもらったので使っていきたいです」と海人。
「教えてもらったことを徹底して練習して、自分の身体に染みつかせたのでそれをやるだけ。教えてもらったことも出来る全てを身に付けたので、それが試合で出来るか出来ないかで変わって来ると思います」
前回の3分3R延長無制限Rではなく、今回はタイトルマッチのため3分5R延長無制限R。最初から5Rに設定されていることで「相手の出方は変わって来ると思うので、その辺でどうなるか。試して試合をしてみないと分からないですが、僕自身は3Rでも5Rでもスタミナは問題ないと思うので変わらず1Rから仕掛けていきたいと思います」と、ペットモラコットの組み立ては変わって来るだろうが自分は変えないとした。
しかし、ダイレクトリマッチということで今までとは違う心境があると海人は言う。
「負けた相手に初めてリベンジ出来るし、いつもワクワクしたり楽しみやなと思うことが多いけれど、今回はそれはなくて。絶対に勝ちたいし、負けたら終わりやと思っているし、いつもの試合とは違うと思っています。今回は貪欲に勝ちたい。ワクワクした気持ちはないです。深く考え込みすぎると寝れない日もありましたけれど、そんな日も乗り越えて試合直前まで来たのであとはやるだけ。自信とか覚悟とか、やってきた練習を信じて、ワクワクしてないし楽しみでもないけれど、勝ちたいと思っています。
勝つイメージをしてきて、そのための練習もしてきましたけれど、こんな気持ちで試合するのも初めてですし、自分が王者ですがどの試合よりも挑戦する気持ちで準備もしてきました。いつもは楽しくワクワクで早く試合をしたい気持ちでいっぱいでしたが、今回はいよいよ試合の週が来たなって実感をしみじみとしている感じですかね」と、今回は何が何でも勝つと誓った。