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【ONE】24戦無敗の二コラが22連勝の王者を破りライト級キック王座を奪取、手塚が5連続フィニッシュ勝利で王座戦アピール、内藤はリベンジならず。ケイドとタイのルオトロ兄弟が共に“ルオトロチン”で一本勝ち! スーブラックがクズミン下す

2024/04/06 08:04
 2024年4月6日(土)午前9時からタイ・バンコクのルンピニー・スタジアムにて『ONE Fight Night 21: Eersel vs. Nicolas』(U-NEXT配信)が開催された。 『ONE Fight Night 21: Eersel vs. Nicolas』速報 2024年4月6日(土)午前9時~(U-NEXT配信)タイ・バンコク・ルンピニー・スタジアム ▼ONEライト級(※77.1kg)キックボクシング 世界タイトルマッチ 3分5R×レギン・アーセル(スリナム/王者)169.50lbs, 1.0203[判定0-3]〇アレクシ・ニコラ(フランス/挑戦者)169.50lbs, 1.0066※二コラが新王座に就く。アーセルは5度目の防衛に失敗。  アーセルは15歳でムエタイを始め、プロに転向するとすぐにオランダ国内には敵がいなくなり海外へ相手を求めた。2016年11月に『Lion Fight』にて世界スーパーミドル級王座をTKOで奪取すると3度の防衛に成功。2017年5月には『Mix Fight Gala』の78.5kgトーナメントでも優勝している。ONEには2018年4月から参戦し、2019年5月にニキー・ホルツケンに判定勝ちでONEキックボクシング世界ライト級王座を獲得。  その後、同王座は4度の防衛に成功すると2022年10月にはONEムエタイ世界同級王座決定戦で勝利、キックボクシングルールとムエタイルールの統一王者となった。3月にシンサムットをKO、6月にドミトリー・メンシコフもKOしてムエタイ王座は2度の防衛に成功。最後に黒星が付いたのは2016年3月で、7年間無敗・ONEで10戦全勝・22連勝中だ。  二コラはサバット出身。2024年1月の『ONE Friday Fights 47』で初参戦、マゴメド・マゴメドフに判定勝ちして今回の挑戦者に抜擢された。ISKA世界王座を持ち、戦績は23戦無敗。  1R、右ローの蹴り合いからスタート。互いにジャブを突き、二コラは左ミドルもしっかり当てる。前に出るアーセルは右ローをもらいながらもワンツーを打っていくが、二コラの右カーフで大きく足が流れた。二コラはアーセルのワンツーをかわしながら右カーフを蹴っていくが、アーセルはどんどん前へ出てワンツーから左右フック、さらにヒザとつなげていく。右カーフには右ストレートを合わせて二コラが後退したところへ左ボディ。  2R、左ミドルを的確に当てる二コラにヒザ蹴りで対抗するアーセル。打ち合いに行くアーセルに二コラも応じ、一度二コラがステップバックしてアーセルが左を伸ばして入ってきたところに、二コラが右クロスを合わせてダウンを奪う。  すぐに立ち上がったアーセルは左ミドルとワンツー。二コラは左ミドル、右カーフ、左インローと蹴り分け、アーセルも左ミドル、飛びヒザを繰り出す。アーセルは逆転を狙ってバックハンドブロー、飛びヒザ蹴りを放ち、下がる二コラへ左ボディ。しかし、二コラの右カーフでアーセルの足が流れる。  3R、二コラもパンチの数を増やし始め、アーセルは打ち気になるがそこへ右カーフ。アーセルは大きくバランスを崩す。右ハイとワンツー、ツーワン(逆ワンツー)で前へ出るアーセルが右フックをクリーンヒットさせるが、二コラの右カーフでバランスを崩し左右フックをもらう。アーセルが左右ボディからの右ストレート、左ボディ、ヒザ。アーセルが二コラをコカすと二コラは立ち上がるのが遅く疲労を感じさせた。  4Rも前に出るアーセルがワンツー、右アッパー、左ヒザ。アーセルがパンチを出すと必ず右カーフを蹴る二コラ。アーセルが右ストレートをヒットさせると、すぐに二コラが右フックでヒットを奪う。アーセルの強い一撃に対し、二コラはコンビネーションでヒットさせる。前に出続けるアーセルは右ハイに懸けるが空振り。二コラは右のボディを打つ。二コラが飛びヒザを出すと、アーセルもヒザを返した。  勝負の5R、アーセルが前へ出てジャブ、ワンツー、右フック。二コラもパンチを返すがアーセルの前進は止まらない。攻めるアーセルにかわす二コラ。アーセルは勝負をかけて左右フックとヒザとヒットを奪い、両手を広げて自分の勝利をアピールする二コラへ最後に飛びヒザを放つ。  判定はダウンを奪った二コラが3-0で勝利。24戦無敗でタイトルを奪取し、アーセルの7年間無敗・22連勝にピリオドを打った。勝利者インタビューに「俺がチャンピオンだ! チャンピオンはずっと負けていなかったが、俺は他の選手とは違うんだ。今度は母の前でタイトルを防衛したい。相手は誰でもいい」と答えた。 [nextpage] ▼ONEウェルター級(83.9kg)サブミッション・グラップリング 世界タイトルマッチ 10分1R〇タイ・ルオトロ(米国)184.25lbs, 1.0040[1R 4分43秒 ルオトロチン] ※アームインRNC×アイザック・ミシェル(豪州)184.00, 1.0207※タイ・ルオトロが王座防衛  ONEウェルター級サブミッション・グラップリング王者のタイ・ルオトロは、ライト級同王者ケイドの兄。史上最年少のIBJJF黒帯世界王者にして、2019年のADCC世界選手権で16歳の最年少で準決勝進出。2022年のADCC世界選手権で銅メダリストとなった。  ONEサブミッションではゲイリー・トノンにダースチョーク、マラット・ガフロフにリストロックで一本勝ち。2023年5月にMMAミドル級&ライトヘビー級MMA王者のライニアー・デ・リダーに判定勝ち。2023年8月には81.6kg契約でダギ・アサラナリエフを1R ヒールフックでダギを極めている。11月の前戦では、マゴメド・アブドゥルカディロフを判定3-0で下し、ウェルター王座についた。21歳。  対するアイザック・ミシェルは、オージーボール出身。16歳で格闘技に出会い、BJJにのめり込み、18歳から海外修行。クレイグ・ジョーンズのトレーニングパートナーも務め、2021年のIBJJF世界ノーギ選手権茶帯で優勝。2022年のADCCオセアニア&アジア予選99kg級、Who's Next Tournament等で優勝。ジャンセン・ゴメスやロベルト・ヒメネスを相手に勝ち星も挙げている。25歳。  1R、タイのダブルレッグを差し上げたミシェル。右小手巻きのタイに左差しでボディロックからバック狙いのミシェル。それをがぶり切るタイ。  スタンドレスリングの両者。両手で片手を持ちツーオンのタイ。それを切るミシェルはタイの頭を下げさせようとする。そしてシングルレッグからスタンド、バッククリンチのミシェル。  しかし、小手から内股を狙うタイをボディロックで潰そうとするミシェル。そこでスイッチ狙いからミシェルの左腕を巻き込んで左足をまたいで体を切り返してマウントを奪うタイ!  トップからバックに移行、最初は左脇をすくっているタイだが、マウントへ移行するような形で右脇をすくう形に移行したタイは、4試合前のケイドと同じアームインのルオトロチン! ミシェルからタップを奪い王座防衛、5万ドルボーナスを獲得した。試合後、タイは「弟のケイドのMMAにも期待してほしい」と語った。 [nextpage] ▼キャッチウェイト(146.5ポンド/66.45kg) ムエタイ 3分3R〇スーブラック・トー・プラン49(タイ)145.00lbs, 1.0107[判定3-0]×ウラジーミル・クズミン(ロシア)146.50lbs, 1.0248 ※ウラジーミル・クズミンがハイドレーションテストをパスするも体重超過。146.5ポンド契約のキャッチウェイトで双方合意。クズミンの報酬の25%がスープラックに渡される。  スーブラックは2023年6月の『ONE Friday Fights 20』で初参戦。タンヌンウンに2RでKO勝ちすると、8月にイタリアのレニー・ブラジに3RでTKO勝ち、9月に鈴木真治にKO勝ち、12月にクレイグ・コークレイにKO勝ちと4連続KO勝ち&3連続ボーナスの激闘男で人気がある。2024年1月にFight Nightで本戦初登場するとステファン・コロディに判定勝ちした。  クズミンは2022年2月の初参戦でクリス・ショーに判定勝ち。その後はムアンタイ、ハガティーと強豪に連敗を喫するも2023年11月にファビオ・ヘイス、2024年3月にザファー・シャイックに判定で連勝した。スイッチを多用し、伸びるストレートが持ち味のテクニシャン。  スーブラックは大歓声に迎えられての入場。リングサイドに並んだ子供たちに笑顔で接するヒーローぶり。  1R、サウスポーのスーブラックに対し、クズミンは左へ回り込みながら左ローを蹴る。スーブラックは時折右フック、左ストレートを繰り出すが序盤は様子見か。クズミンが左へ回り込む軌道へスーブラックは左ストレートを繰り出して転倒させる。これに焦ったかクズミンが大振りのフックを放つが、スーブラックはかわす。  2R、クズミンは左回りから左ロー、右インロー。スーブラックが左ミドルを蹴ってくると左へ大きく逃げる。ならばとスーブラックは左ロー。クズミンの右ストレートをかわし、左ストレートをヒットさせるスーブラック。組み付くと首相撲でクズミンを2度コカす。前に出るクズミンにスーブラックは左ミドル。クズミンの連打を下がってかわしたスーブラックは前へ出て3連打の最後の左ストレートをヒット、すぐに組み付いてコカす。クズミンは右アッパーで応戦。  3R、スーブラックが左ミドルと左ロー。両者とも相手のパンチをかわす。前に出るのはクズミンで左フックを狙う。クズミンは左ロー、右ボディストレートとスーブラックをロープまで追い込む。このラウンドは手数が少ないスーブラックだが、組むとクズミンをコカす。終了のゴングが鳴ると、スーブラックは首をひねった。  判定は3-0でスーブラックが勝利。接戦を制し、「予想通りだった。相手は打たれ強かった」と試合を振り返った。 [nextpage] ▼ONEヘビー級(※120.2kg)5分3R〇ベン・タイナン(カナダ)259.25lbs, 1.0248[1R 2分36秒 TKO] ※パウンド×デューク・ディディエ(豪州)251.00lbs, 1.0057  タイナンはMMA5勝無敗。高校からレスリングを始め、NCAAディビジョン1レスラーに。LAFから2023年11月にONEデビュー。カン・ジウォンを3R 肩固めに極めている。  ディディエはMMA8勝2敗。柔道国内タイトルを獲得。オセアニア王者になっている。2022年6月のONE158でジャスール・ミルザムハメドフにスプリット判定負け。  1R、先にディディエがシングルレッグからボディロックテイクダウン。タイナンの立ち際にバッククリンチからボディロックで再びテイクダウンも、立つタイナンがサウスポー構えから左ストレート。  左で差すタイナンに、右で小手巻くディディエ。タイナンは空いた右でヒジ! これでダウンしたディディエにタイナンはパウンド、バックマウントから、パウンド&ヒジ打ち連打でレフェリーが間に入った。  デニム柄のスパッツ姿の“バニラサンダー”タイナンは、勝者コール前にブルーのタキシード柄シャツをわざわざ着こんで、引きちぎり、王者マリキンに向け、「彼はミドル級だ。マリキンがベルト持っているのが気に入らない。俺がもらうぜ」と豪語。5万ドルボーナスを獲得した。 [nextpage] ▼ONEフライ級(61.2kg)ムエタイ 3分3R〇デニス・ピューリック(カナダ/ボスニア・ヘルツェゴビナ)134.50lbs, 1.0074[判定3-0]×ジェイコブ・スミス(英国)135.00lbs, 1.0128  スミスは初参戦となった2022年5月の『ONE 157』でロッタンと対戦も判定負け。2023年12月に『ONE Fight Night 17』でボルター・ゴンサルベスにヒザ蹴りでKO勝ちしてONE初勝利を収めた。フライ級2位。  ピューリックは同じく2022年5月の『ONE 157』でONE初参戦。シャーゾット・カブトフに判定負け。8月にタギール・カリロフに判定勝利、2023年5月にヨードレックペットにTKO負け、12月にニューイエンにKO勝ちと勝ち負けを繰り返して2勝2敗。ブアカーオが所属するバンチャメークジムでムエタイを学んだほか、テコンドー、空手、MMAの経験もある。2015年1月にはK-1に来日、卜部功也にKO負けした。  1R、サウスポーに構えたスミスが強い左ミドル。ピューリックは右ロー&左インローをどんどん蹴っていく。ピューリックがジャンプしての蹴りを見舞うなどアグレッシブに動き始めると、距離を詰めて左右フックからヒジと攻めるスミス。  2R、ピューリックの蹴り足をキャッチすると右ストレートをヒットさせるスミス。ピューリックはスミスの蹴り足をつかむと持ち上げて投げる。距離を詰めてパンチで仕掛けるスミスが左ボディ、ピューリックも左右フックで応戦。スミスが組み付いてのヒザ。前に出るスミスにピューリックは右フック、スミスは左ミドル。スミスの左ミドルにピューリックが右アッパーを合わせ、スミスが転倒したところでダウンがコールされる。続いてラウンド終了間際にスミスが前に出たところにピューリックが右ストレートで2度目のダウンを追加。  3R、強い右ミドルでピューリックに横を向かせるスミス。さらに左ミドルも。組み付くとヒザを蹴るがピューリックは後ろを向いてしまう。その際にピューリックのヒジが当たったか、スミスは右目上から流血。前に出るスミスに後ろ蹴り、ジャンプしてのパンチ。組むとピューリックがまたも後ろを向いたため、スミスはイラついたかヒザで背中を押すようにしてレフェリーから注意を受ける。前に出てパンチから組んでのヒザで勝負をかけるスミスだが、ボディへのヒザを嫌がるピューリックは後ろを向いて防ぐ。  判定はダウンを2度奪ったピューリックの勝利に。勝利者インタビューでは「ロッタンでもハガティでもいいが、ロッタン、お前と戦いたい!」とロッタンとの対戦をアピールした。 [nextpage] ▼ONEキャッチウェイト(180ポンド/81.64kg) サブミッション・グラップリング 10分1R〇ケイド・ルオトロ(米国)178.25lbs, 1.0036[1R 4分48秒 ルオトロチン] ※アームインRNC×フランシスコ・ロー(ブラジル)176.50lbs, 1.0199  21歳のケイドは、現ライト級サブミッション・グラップリング王者。双子の兄弟タイ・ルオトロと共に、ホイラー・グレイシーの黒帯クレバー・ルシアーノの下で3歳から柔術を始め、メンデス兄弟の AOJ(ART OF JIU JITSU)で活躍。  その後、ATOS所属となり2021年12月に黒帯になっている。2022年のADCC世界選手権77kg級で優勝し、19歳で史上最年少世界王者に輝いた。2022年5月のONEデビュー戦では、ケージグラップリングで青木真也に判定勝ち。  同年10月のONE世界王座決定戦でウアリ・クルジェフにヒールフックで一本勝ちして初代王座に就くと、12月にはマテウス・ガブリエルを相手に判定3-0で初防衛に成功。2023年6月のランガカー戦も判定勝ちで2度目の王座防衛、2024年1月の前戦でランガカーと再戦。判定3-0で3度目の王座防衛に成功している。  ローはブラジル北部マナウス出身。10歳からブラジリアン柔術を始め、コスモ・ディアスの娘カレン・ディアスに習い、紫帯を獲得後、18歳でサンパウロへ移住。シセロ・コスタに師事した。2023年のIBJJFパンNOGI、アメリカンナショナルズを制している。  1R、ローのスタンドに付き合うケイド。首相撲のケイド。ローはコーナートップを使って跳びつき三角絞めを狙う。さらにケイドの組みに小手巻き内股狙い! 飛ばされずに下のローのインサイドガードに入るケイド。  下から4の字フックのロー。上体を立てるが、剥がして寝かせるケイド。左足を掴みブリッジから後転して立ち上がったロー。再びジャンピングガードからデラヒーバ狙い。  その外し際にスクランブルでバックを奪うケイドは、アームインでリアネイキドチョークを右脇下から極めてタップを奪った。  タイがセコンドにつくなか、試合後、ケイドは「(2022年)ADCCのペドロ戦でやった。リアネイキッドとアームトライアングルを組み合わせている。“ルオトロチン”と呼ぼうかな」と笑顔で語り、MMA挑戦を改めて語った。 [nextpage] ▼ONEキャッチウェイト(136ポンド/61.68kg)キックボクシング 3分3R〇デッドゥアンレック・ティーデ99(タイ)136.00lbs, 1.0229[判定3-0]×内藤大樹(日本)134.25lbs, 1.0009 ※デッドゥアンレックがハイドレーションテストをパスするも体重超過。136ポンド契約のキャッチウェイト戦で双方合意。デッドゥアンレックの報酬の30%が対戦相手に渡される。  内藤は、2019年からONEを主戦場にし、初戦となった10月のジャカルタ大会でニージーランドの強豪アレクシ・セレピソフに3R KO勝ち。12月のマレーシア大会ではポルトガルのルイ・ボテーリョに判定勝ち、2020年2月にはサバス・マイケルに判定勝利と連勝記録を更新した。  2020年12月にジョナサン・ハガティーに判定負けを喫したが、2021年6月のワン・ウェンフェン戦、9月のペッダム・ペッティンディーアカデミー戦でいずれも判定勝利し、2022年5月の「ONEムエタイ フライ級ワールドGP」のメンバーに抜擢されるも、初戦となった準々決勝で武尊と対戦したスーパーレック・キアトモー9に判定負け。  2022年10月にアミール・ナセリを判定で下し、再起を遂げるも、2023年は7月のデッドゥアンレック・ティーデ99戦、10月のゴントラニー・ソーソンマイ戦の2戦でいずれも判定負け。2024年3月15日、5カ月ぶり復帰戦でシャーゾット・カブトフを判定3-0で破り、再起を飾った。戦績は36勝11敗。  デッドゥアンレックは2023年2月に『ONE Friday Fights』に初参戦すると、9月までに4連勝。11月にナックロップ・フェアテックスにTKO負けで初黒星を喫している。  両者は2023年7月にフライ級ムエタイで対戦し、デッドゥアンレックが右ストレート、左右ミドルを多用し、内藤は蹴り足キャッチからの攻撃で対抗したが、キャッチしての返しの攻撃よりも、強い右ミドルを蹴って当てていたという方が評価されたか。判定の瞬間、内藤はセコンドを見て唖然とした表情を見せる惜しい結果となっていた。今回はキックボクシングルールでの再戦となる。  1R、右ロー&左インローを蹴っていく内藤にデッドゥアンレックは右ミドル。デッドゥアンレックはワンツーでボディも打って来る。内藤は左インローはかわされるも、右ロー&左インローを何度もヒット、デッドゥアンレックの左右ミドルに返していく。デッドゥアンレックは右ストレートを多用。  2R、デッドゥアンレックのワンツーにも右ローを返す内藤。デッドゥアンレックが攻撃を繰り出すと必ず内藤が右ローか左インロー、左奥足ローを返してくるためデッドゥアンレックはバランスを崩し始める。デッドゥアンレックの右ミドルにワンツー・スリーを打つ内藤。ミドルに返しの右ローを蹴ると、デッドゥアンレックはあからさまに嫌がる顔を浮かべた。  3R、内藤は左ミドルをヒットさせると左右のボディでデッドゥアンレックを下がらせる。コーナーへ追い詰めて前蹴りと右ボディストレート、左ボディ。デッドゥアンレックも右を打ち返してくるが左足を何度も上げてローを警戒。  内藤は左ミドル、前蹴り、左右ボディとボディに攻撃を集中させ、左フックと右ストレートもヒットさせる。デッドゥアンレックは左右ミドルをしっかりヒットさせるが、下がり気味。デッドゥアンレックの右ミドル連打に右ストレートを打つ内藤。デッドゥアンレックはヒザも突き刺す。  確実にローのダメージを与えていた内藤だが、やはりデッドゥアンレックのミドルキックのヒットが評価されたか、判定3-0でデッドゥアンレックの勝利に。内藤はまたも悔しい敗戦となった。 [nextpage] ▼ONEウェルター級(※83.9kg)5分3R〇手塚裕之(日本)183.75lbs, 1.0191 ※5連続フィニッシュ勝利[2R 3分34秒 ノースサウスチョーク]×ヴァミール・ダ・シウバ(ブラジル)183.50lbs, 1.0070  5連勝、そして王座挑戦を目指す手塚は、2023年10月の『ONE FN15』にスクランブル参戦し、ジン・テホを1R、腕十字で下し、日本大会での秋山成勲戦をアピールしていたが実現せず。  2月17日のバンコク大会でヴァウミール・ダ・シウバとのウェルター級戦が決定していたが、対戦相手が同じブラジルのアブラォン・アモリンに急遽変更となったが、1R 腕十字で仕留めている。  対するシウバは、MMA9勝3敗。ONEでは1勝2敗で、2022年2月のONEデビュー戦で元王者のゼバスチャン・カデスラムに右オーバーハンドでKO負け後、手塚も対戦したテホに2R ギロチンチョークで一本勝ち。2023年4月の前戦ではイシ・フィティケフを相手に1R ギロチンチョークで敗れている。  栃木県塩谷町の山村の農家に育った手塚は、現在、自ら作った“ファイター米”も販売中。農家とファイターの二足の草鞋を履いて、MMA13勝4敗の戦績を誇る。  2020年11月にムラド・ラマザノフに判定負け以降は、アギラン・ターニとエドソン・マルケスを3R TKO。さらにテホとアモリンを腕十字、と4試合連続のフィニッシュ勝利中。  試合決定に、「5連続フィニッシュ狙います」と予告しており、アモリンを下し、クリスチャン・リーが持つ王座、あるいは暫定王座戦に近づけるか。  1R、ともにオーソドックス構え。手塚には岡田遼がセコンド。右ミドルから入るシウバに、シングルレッグに入る手塚。切るシウバはギロチン狙いも首を抜く。右ローの手塚もシウバが蹴り足を取って倒すが、手塚もすぐに立つ。  右フックで飛び込む手塚にボディロックテイクダウンはシウバ。ハーフから左で差す手塚は、右手で左足を手繰り、外して足を抜いて立ち上がり。右ストレート、左ボディを突く。  右ハイは空振りの手塚だが左フック。さらに右ストレート! 近づいて左ボディ、右カーフを当てる。シウバの右ローの打ち返しに合わせてシングルレッグテイクダウン! ギロチンチョークのシウバに右足は外に出している手塚。首を抱えられたまま左を腹に突く。  2R、圧力をかけてきたシウバにシングルレッグテイクダウンの手塚。ハーフで左腕で手塚の首を抱えるシウバに対角の左足を外に出している手塚は首を抜き、左で枕、右で脇差し押さえ込んでシウバに背中を着かせる。  パスガードから上四方で左で脇差し、ノースサウスチョーク! 手塚がタップを奪い勝利。5試合連続フィニッシュ勝利を決めた手塚は、バック宙からブレイクダンス。  ついにインタビュアーのミッチ・チルソンをリングに呼び込んだ手塚は「サワディーカップ、コップンカップ、マイペンライ」とタイ語で挨拶すると、続けて英語で「彼の二の腕は太かった。腕十字は簡単じゃない。でも俺は腕十字だけの男じゃない」とノースサウスチョークのフィニュシュを語り、「クリスチャン・リーはどこだ? もう2年も試合をしてない。カデスタムと(暫定)王座戦を戦いたい」とタイトルマッチを要求した。  そして、5連続フィニッシュ勝利でいよいよ5万ドルボーナス獲得かと思いきや、ボーナスコールは無し。手塚は目を丸くして“無いの?”という驚きの表情。最後にもう一度バック宙を披露しリングを降りた。 ◆5連続フィニッシュ勝利狙う手塚裕之インタビュー秋山の無視は「全然“セクシー”じゃねーな」「今回、勝ったらタイトルマッチを」 [nextpage] ▼ONEストロー級(※56.7kg)ムエタイ 3分3R〇ソンチャイノーイ・ゲッソンリット(タイ)120.25lbs, 1.0241[判定3-0]×ニコラス・レイテ・シウバ(ブラジル)125.00lbs, 1.0140※ソンチャイノーイとニコラス・レイテ・シウバの両選手がハイドレーションテストをパスするも体重超過。ストロー級戦に変更。  ソンチャイノーイは2023年4月に来日、『BOM』で吉成名高と対戦した選手(名高が3RでTKO勝ち)。あのチャンプア・ゲッソンリットも所属していたゲッソンリットジムで、S-1スーパーフライ級王者の肩書を持つパンチャー。日本では2022年9月にNJKFのリングで塚本望夢から1Rに2回ダウンを取ってKO勝ち、2023年7月にジュライ・ウォーワンチャイ(=石井寿来)に判定勝ちもしている。  2023年1月の『ONE Friday Fights 2』ではヨットーイから左フックでダウンを奪って勝利。その試合ではしつこい首相撲も使って相手の攻撃を許さず、崩し技で相手を何度もぶん投げたことから“ビースト(野獣)”とのキャッチフレーズが付けられた。タイ人選手に5連勝で今回Fight Nightに初出場。  シウバはタイでムエタイを学び、高い技術を持つ新鋭だという。戦績は11勝5敗。  1R、両者とも前足でリズムをとるムエタイスタイル。サウスポーのソンチャイノーイはスピードのある鋭い左ミドル、左ローを放っていく。上背で優るシウバはジャブと右ストレートを放つ。ソンチャイノーイは本来のオーソドックス戻ると急にパンチで勝負を仕掛け始め、左右のボディ、ロングフックでシウバを下がらせる。  2R、シウバの打ち下ろす右ヒジをもらったソンチャイノーイはすぐに左右フックで逆襲、右フックを叩き込んでダウンを奪う。ソンチャイノーイは左右のロングフックで前に出たかと思えば、下がってシウバを誘って右フックで迎え撃つ。左右ボディからのフック連打、右の強打、サウスポーになっての左ミドルとアグレッシブな攻撃を見せると、シウバの首相撲からのヒザに対して投げて崩した。  3R、サウスポーのソンチャイノーイは左ミドルを連打、ジャンプしての左ミドルも繰り出す。シウバが右を繰り出すとすぐに回転の速い左右フックを返し、組み付かれると組み倒す。力の差を見せつけるような戦いぶりのソンチャイノーイ。残り1分を切ると流し始め、シウバも攻めることが出来ず。  判定3-0でソンチャイノーイが本戦初白星、ONEでの6連勝を飾った。左目の上から流血も見られたソンチャイノーイだが「相手は誰でもいい。もっとムエタイで強くなって勝ち続けたい」と語った。 [nextpage] ▼ONEバンタム級(※65.8kg)5分3R〇ジェレミー・パカティウ(フィリピン)[1R 2分07秒 リアネイキドチョーク]×ワン・シュオ(中国)  元ラカイのパカティウはMMA12勝5敗。2022年12月の前戦はティオル・タンに2R 三角絞めで一本勝ち。対するワン・シュオはMMA16勝7敗。2022年1月の前戦では和田竜光に判定負けしている。  1R、ともにオーソドックス構え。左ジャブからワンンツー、右ローのパカティウに、ダブルレッグテイクダウンのワン・シュオ。  すぐに立つパカティウにがぶりから左差しも、パカティウはすぐに体を入れ替え、左で差して小外がけテイクダウン。ワン・シュオの立ち際にバック奪い、4の字ロックでリアネイキドチョークを極めた。  試合後、パカティウは「エドゥアルド(フォラヤン)が『バックを取れ』と言ってくれて落ち着いてバックを獲った。トップ5ファイターと戦いたい」と語った。
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