2024年4月4日(日本時間5日)、米国テキサス州サンアントニオのボーイングセンターにて『PFL 1: 2024 Regular Season』(U-NEXT配信)が開催された。
女子フライ級と男子ヘビー級の2階級のリーグ戦から開幕したレギュラーシーズン。
ヘビー級では初回TKO勝ちのワレンティン・モルダフスキー(ロシア)が6P獲得で首位に。同じく初回TKO勝ちも体重超過で-1Pのダニエル・ジェームス(米国)が5P。2R TKO勝ちのオレグ・ポポフ(ロシア)が5P、デニス・ゴルツォフ(ロシア)が4P、セルゲイ・ビロステニー(ロシア)3Pと続いている。
女子フライ級では、ダコタ・ディッチェバ(英国)が1R 3分54秒の最速タイムでTKO勝ちし、6Pで首位に立っている。
そのディッチェバは、元ISKAムエタイ英国王者でMMA10勝無敗。“DANGEROUS”の異名を持つ通り、うち9試合をフィニュシュ勝利している欧州PFL王者だ。
現Bellator女子フライ級王者のリズ・カモーシェ、元王者ジュリアナ・ベラスケス、日本の渡辺華奈らが参戦する同級で注目の25歳は、日本とも関わりを持っている。
ディッチェバの母・リサ・ハワースは、キックボクシングで元WKAスーパーバンタム級王者だった著名ファイター。
日本の熊谷直子と2度対戦し、1度目は1991年に英国バーミンガムで戦い、リサのヒザ蹴りで熊谷がダウンもレフェリーブレイクの後の攻撃としてノーコンテストに。1995年4月に2戦目を東京で戦い、70秒で熊谷直子がKO勝ちしている。
その後ハワースは、2001年まで活躍。娘のダコタ・ディッチェバにキックボクシング・ムエタイを指導し、ディッチェバは2016年に国際ムエタイ協会連盟(IFMA)世界選手権で女子ジュニア57kg級で金メダルを獲得。ISKA英国王者にも輝くなど、キックとムエタイの両競技で王座についている。
ディッチェバはBJJも習得するなか、2019年からアマチュアMMAを戦い、4連勝。2021年4月にプロMMAデビューを果たすと、2022年8月にPFLデビュー。2023年にPFL欧州で3試合を勝利し、欧州王者に輝いている。
今回、Bellatorも買収したPFLの本戦に出場し、MMA6勝3敗でボクシング経験もあるグラップラーのリサ・モールディン(米国)と対戦した。
初回から右カーフを効かせるディッチェバは、左ストレートを突き、そのままサウスポー構えになり左前蹴りも。モールディンを金網に詰めてワンツースリーから蹴りに繋ぐなど立ち技で圧倒。
また、モールディンの右の蹴り足を掴んでテイクダウンを奪うと、バックを奪うシーンも。モールディンのスクランブルで立ち上がりを許したが、モールディンの内股も同体で凌いで、カーフを当てると、それを嫌ってサウスポー構えになるモールディンに、右前蹴り、さらに右ストレートから左ヒザを突きダウンを奪うと、下になるモールディンの立ち上がりを待って、右前蹴り、左ボディでフィニッシュ。
身体を丸めて倒れたモールディンにレフェリーが間に入った。
試合後、ディッチェバは「ボディ攻めはゲームプラン通りだったか」と問われ、「いいえ、正直言うと、咄嗟に放ったもので、ただ見極めて打ったものが効いた。私が戦う時ってこういう風になるから、ごく自然なこと」とフィニッシュシーンを語った。
欧州王者として無敗で本戦デビューを飾り、女子フライ級戦線にインパクトを与えたことについては、「もちろん大きい! でも、他の選手もそうだから。つまりトップ4を見据えてるってこと。それは簡単なことではないだろうから、私としては次のラウンドの準備は出来ているし、まだ終わってないから、あまりすぐには喜べない。もちろん自分はタフな選手たちを撃破してきたけど」と、あくまでプレーオフ進出が重要とし、次の対戦相手の希望を問われ、「全然誰でもいい。どうせ勝つし。相手を用意してもらえれば」と答えている。
また、英国からテキサス大会に参戦し、入場時に「USA」コールとブーイングで迎えられ、勝利に大歓声を受けている状況について、「みんなケージでもUSAコールだったじゃない(笑)。勝者にばかり構わないで。勝ったときだけじゃなくて、選手はいつだってみんなの応援が必要なものだよ!」と、国籍や勝敗に関わらずサポートを呼び掛けた。
この結果、開幕戦で、ディッチェバを筆頭に、元UFCのタイラ・サントス、2017年IBJJF世界ノーギ選手権優勝のジェナ・ビショップが1Rフィニッシュでともに6Pを獲得。判定勝ちのカモーシェと渡辺華奈が3Pとなっている。
総当たりではないリーグ戦では基本的に各選手2試合が組まれることになっており、果たして2戦目の組みあわせはどうなるか。
▼女子フライ級レギュラーシーズン 暫定順位(4月5日)6点 (by クイックシックス)ダコタ・ディッチェバ 1R 3:546点 (by クイックシックス)タイラ・サントス 1R 3:576点 (by クイックシックス)ジェナ・ビショップ 1R 4:153点 リズ・カモーシェ ※渡辺にBellator時代に直接対決で勝利3点 渡辺華奈0点 ジュリアナ・ベラスケス0点 チェルシー・ハケット0点 イララ・ジョアニ0点 リサ・モールディン-1点 シェイナ・ヤング
▼ヘビー級レギュラーシーズン 暫定順位6点 (by クイックシックス)ワレンティン・モルダフスキー5点 (by ファビュラスファイブ)オレグ・ポポフ5点 (by クイックシックス-1減点)ダニエルジェームス4点 デニス・ゴルツォフ3点 セルゲイ・ビロステニー0点 ブラゴイ・イヴァノフ0点 リントン・ヴァッセル0点 スティーブ・モウリー0点 マルセロ・ゴルム0点 アンテ・デリヤ※女子勝ち点6のタイ=フィニッシュしたタイムが早い順※勝ち点0=フィニッシュされたタイムが遅い順※タイブレーカー規定:直接対決の勝者が上位となる