MMA
インタビュー

【PANCRASE】王者アキラ、雑賀“ヤン坊”と対戦「日本人ライト級最強は僕だと証明したい」=3月31日(日)立川ステージガーデン

2024/03/27 21:03
 2024年3月31日(日)東京・立川ステージガーデンにて『PANCRASE 341』(U-NEXT配信)が開催される。 ▼PANCRASEライト級タイトルマッチ 5分5Rアキラ(武蔵村山さいとうクリニック/ALMA FIGHT GYM PUGNUS)※第8代ライト級キング・オブ・パンクラシス雑賀“ヤン坊”達也 (1位/DOBUITA)  王者アキラは、2022年9月に松本光史に3R KO勝ちで暫定王座につくと、2023年4月に正規王者の久米鷹介と王座統一戦に臨み、スプリット判定勝ち。第8代王者となった。前戦は2023年7月の『超RIZIN.2』でトフィック・ムサエフに2R KO負け。今回はホームに戻り、王座初防衛戦に臨む。  アキラは、「“右の打撃のヤン坊”に僕がどう組むのか、と思われる人が多いと思いますが、打撃の部分でも全然、勝っていると思うので。負けているのはリーチの長さは圧倒的に負けていると思うので、そこを僕がどう工夫して倒すのか、観てほしいです」と、組みのみならず打撃でも倒せると自信。  対する雑賀は、2020年9月に林源平に1R KO勝ちで暫定王座を獲得も、2021年12月の王座統一戦で正規王者の久米鷹介に逆転の一本負けで暫定王座陥落。松岡嵩志、シュウジ・ヤマウチを得意の右ストレートでKOに下した後、2023年4月のRIZINに緊急参戦し、アリ・アブドゥルカリコフに1R KO負け。12月の前戦で粕谷優介に判定勝ちで王座挑戦権を得た。  アキラについて「とにかくパワフルで、ボディ、めっちゃ強いなという感じ。前回、試合で見てもらって分かる通り、僕は組んでも平気。(前回5R戦ったことは)経験値というか、もともと(5R)出来た」と、アキラとは逆に組みでの自信をのぞかせると5R戦でも問題ないとした。  アキラは、打ち合い上等のブルファイターのようでいて、仕掛けて相手に打たせてそこを打つカウンターファイターでもある。また、力強いダブルレッグのほかに左で押し込むようにニータップ気味のテイクダウンも持ち、その組みをフェイントに打撃、打撃をフェイントに組みとクレバーな一面も見せる。  松本戦ではオーソの相手に対し、左ハイを当て、サウスポー構えから右手で松本の左手をはたいてから左の飛び込んでのスーパーマンパンチでフィニュシュ。その左は脱力した打ち方だった。  オーソ構えから入った久米戦では、サウスポー構えにスイッチし、金網に詰めると左アッパー。左から相手の詰めに右フックを振り抜いている。この久米戦で5Rを戦い抜いたことは、アキラにとってどう活きるか。  ムサエフ戦では、攻めどころでフルスイングしてくる相手とあえて打ち合いに持ち込み右を当てるも、ムサエフに効かず。左をもらいダウンを喫している。1発1発の強度が高く、スピードのある海外勢を体験したことは、アキラにどんな気づきを与えたか。  対する雑賀は“殺しの右”を持つ180cmの挑戦者。カウンターのみならず自らも打ちに行くことが出来るストライクだ。2021年12月の久米戦では左のオーバーハンドに、得意の右アッパーを合わせてダウンを奪取も、まだ腰高で久米のダブルレッグにテイクダウンを許して腕十字に敗れている。  江藤戦では、長いジャブ、ワンツーを突く雑賀に、江藤がガードを固めてバックフィストから近付きダブルレッグテイクダウン。江藤の肩固めに雑賀は内側を向いてブリッジして抜けて立ち上がることに成功している。  その後も雑賀は、江藤の右小手、右の大外刈でテイクダウンされるが、金網使い立ち上がり。危険な右アッパーを見せている。しかし、3Rに江藤がテイクダウンから足を束ねてバックマウントでTKO勝ち。江藤の強いレスリング、コントロール力が雑賀を上回った試合で、アキラがテイクダウンを奪った場合、いかに押さえ込み、削ることができるか。  2連敗から2連勝となった、松岡嵩志戦とシュウジ・ヤマウチ戦はいずれも初回KO・TKO勝ち。  松岡戦では、リードジャブで制空圏を握った雑賀が、相手の入りに右アッパー。近い距離でもシャープに振り抜ける巧さを持つため、相手にとっては入り際に注意が必要な一撃だ。  ヤマウチ戦では、相手が左フックで詰めて来るとヤン坊は下がりながらも右を「内側」から突いてヒット。ダブルレッグを受けて尻は着いても、小手に巻いてバックに回らせず。あるいは足を抜いて頭押して立ち上がり。シングルレッグで相手の頭が下がるとすかさずヒジを打ち込み削り、体を入れ替え、相手が疲弊したところを逃さず、ラッシュから右ストレートで沈めた。  RIZINでは、アキラ同様に海外強豪の規格外の強さに辛酸を舐めた。  アブドゥルカリコフ戦では、相手の入りに右、返しの左、大きく踏み込んでの右ストレートを当てているが、日本人相手のようには効かせられず。ジャブの刺し合いで距離が近くなったところにアリの右オーバーハンドに倒れている。  しかし、2023年12月の粕谷戦で復活。相手のテイクダウン狙いに簡単には尻も着かなくなっている雑賀は、粕谷のダブルレッグテイクダウンで束ねられた足を抜くと、こつこと打撃を入れてブレーク。スタンドで詰めて右ストレート。続く相手の組みにはスプロール、巻き込み狙いやアームロック狙いも潰して上のままゴングを聞いて判定勝ちしている。  180㎝の雑賀と167cmのアキラ。両者はいかに自身の間合いに持って行くか。  対右に対して遠いサウスポー構えも出来るアキラはどちらで構えるか。相手の入りに右ストレート、右アッパーと右を合わせる雑賀。アキラの頭を下げるオーバーハンドは右アッパーやヒザ蹴り、ハイキックを合わせやすいが、それを分かった上で、アキラはどうするか。  雑賀を下がらせて、右の上下を被弾せずにいかに詰めるか。判定でも勝つためには当てるか、削る必要があり、雑賀にとっては倒されず、倒されても立ち上がり、いかに打撃を当てるか、という構図になる。  果たして5Rの王座戦を制するのは、アキラか雑賀か。まずはアキラのインタビューを紹介したい(※雑賀ヤン坊達也インタビュー)。 [nextpage] アキラ「ムサエフ選手ほどの圧力はヤン坊選手にはないのかもしれない」 ──アキラ選手、その瞼はどうしたのですか(※インタビューは3月1日に行われた)。 「練習中にやらかしちゃいました。当日までにはコンディション万全に仕上げていきますので問題ないです」 ──2023年は『PANCRASE 333』で第8代ライト級キング・オブ・パンクラシストの座に就いた3カ月後の7月『超RIZIN.2』にスクランブル参戦。RIZINライト級GP優勝者のトフィック・ムサエフ選手を相手に2R KO負けを喫しました。今回はその試合からの再起戦であり、PANCRASE正規王者として初の防衛戦となります。暫定王者として臨んだ王座統一戦からは丸1年近く経過していますが、今振り返っていかがですか。 「そうですね……、去年4月にタイトルを獲ってからムサエフ選手とのビッグ・チャンスがあったのですが、派手に散ってしまって。でも、それでいい休養期間になったと思います。あれだけ派手に倒れたので、脳を休められたと思うので」 ──王座に就いたタイトルマッチでは、極めを持つ久米選手と5R戦い抜きました。まさに死闘を制した形で勝利を手にしたことは、自信になりましたか。 「久米さんは偉大なファイターですし、本当に強い人なので、久米さんと5Rしっかり戦い抜いて勝てたっていうのは、本当にスタミナの面でも自分の技術の面でも、自信になっています」 ──ところであの試合、ラウンドの始めにオーソドックス構えから入っていたのは、久米選手に対しての何か飛び道具的な意味合いだったのでしょうか? 「あれは、久米さんとの試合が決まる前から結構取り組んできていることで、ちょうど久米戦の時に使ってみて、良かったと思っていますね、どちらの構えでもやられることもなくできていたので」 ──試合後は「課題を感じた」ということでしたが、あれから全体的な意味でどのような取り組みをしてきたのですか? 「本当に細かい身体の使い方だったりで。それができてくると、より石渡(伸太郎)さんの指示通りに、石渡さんがやってほしいと思う動きをやれるようになる。そうするともっと戦術の幅も広がっていく、というところでしょうか。外から全体を見ている石渡さんからの指示は的確なので、その通りに動けば必ず勝てるので」 ──細かい体の使い方というのは、たとえばご自身のクセのようなものを修正したり? 「それも、そうですね。身体の使い方が悪いと悪いクセが出るというのはあるので」 ──その後『超RIZIN.2』で打撃に全振りしてくるムサエフ選手との試合を経験したことは、結果は敗北とはいえ今回の試合に向けてプラスになっている部分もありますか? 「なかなかあそこまでプレッシャーのある選手って、世界でもトップどころというか。そういう選手と試合でお互いを倒す気で打ち合えた経験をできたことは本当にデカいです。あそこで経験したことを踏まえてヤン坊選手と対峙した時のことを考えると、もちろん実際に対峙してみないと分からないですけど、ムサエフ選手ほどの圧力みたいなものは、ないのかもしれないですね」 ──ムサエフ選手との試合を体験したら、大抵のものはもう怖くなさそうですよね(笑)。 「そうですね(笑)。フェイスオフの時とかめちゃめちゃ顔怖かったですよ(笑)。すっごい近かったんですよ(笑)。“そんなに近いか!”って思って、ちょっと冷静になってしまって」 [nextpage] この年齢にしてやっとタイトルを獲れたことは大きい。見合う選手にしっかりならないと ──この試合の会見の際にヤン坊選手と並んでみて、いかがでしたか? 「実際、“身長差があるな”とは会見の時に感じました。ただ、今までも同じような身長差の相手ともやっていて、これが普通なので」 ──ヤン坊選手の右はまちがいなく脅威だと思いますが、アキラ選手としてはどのような印象ですか? 「あの右は確かにめちゃくちゃ警戒しなければいけないものですが、まあでも、それをしっかり封じ込めて自分のやりたいことを押し付けてやろうと思います」 ──12月、タイトル挑戦者決定戦となったヤン坊選手vs.粕谷選手の試合はどのように見ていましたか? ヤン坊選手攻略にあたって、得るものはありましたか。 「組みの強い粕谷選手を相手に“簡単に寝なくなったな”とは本当に思いました。ヤン坊選手が、苦手なことを克服してきた試合でしたね。粕谷選手と僕は大まかなタイプが似ながらも違うところもあるというなかで、あの試合は参考にはなりました。でもあれと同じ結果になるとは全然思っていないので。僕がチャンピオンの強さを見せてやろうと思います。理想? 理想は何もさせずに圧勝ですけど(笑)。久米戦の死闘のようなと言いますか、お互いの力を出し切った試合をできればいいと思っています」 ──今こうして初防衛戦を目前に控えた心境としては? 「この年齢にしてやっとタイトルを獲れたことは本当にでかいので、見合う選手にしっかりならないと、という気持ちがあります」 ──繰り返しになりますが、今回王者としてどのような試合を見せたいですか? 「ヤン坊選手は本当に強い選手で、お互い国内トップファイターだと思っているので、日本人のライト級で国内最強は僕だと証明したいと思っています。そして海外の強い選手もしっかり倒していきたいと思っています」 ──話は変わりますが、メインイベンターとなる今回の『PANCRASE341』は3月31日開催。出会いと別れのちょうど節目となる1日です。そこでアキラ選手にとっての「出会い」や「別れ」にまつわる思い出やエピソードを何か教えていただけませんか? 「そりゃあもう! 僕の格闘技人生が変わったと言ってもいい、石渡さんとの出会いです。石渡さんと出会ったことによって、今の僕がいると思っています」 ──それでは、よかったら新生活が始まる同世代の社会人の皆さんに向けてのエールもお願いします! 「僕も37歳になって、30半ば過ぎると、ちょっと年齢を感じ始める歳だと思うのですけど、まだまだ伸びる歳なので、皆さん僕と一緒に頑張っていきましょう! 僕は当日、メインイベントに相応しい試合をしてヤン坊選手を失神させてやりますので、ぜひ見にきてください! 会場に来られない方はぜひU-NEXTの配信で見てください」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント