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インタビュー

【RIZIN】勝者・井上直樹、朝倉海とは「今しかできない」「できなくても強い選手とチャンピオンシップを」×佐藤将光「良かったのは“試せた”こと」──榊原CEOは、井上の朝倉海の王座挑戦に留保つける

2024/03/25 18:03

佐藤将光「ファイトが人生、一番生きてる実感を得られる」

──試合後の率直な感想を。

「すごく楽しくてすごく悔しかった試合でした」

──今すっきりしているような印象に見えます。

「そうですね。やっぱりここ3カ月間ずっと試合に向けてやってきたことをしっかり出せた、試せて、そこが力及ばず一歩届かなかった。判定取れなかったというのがすごい悔しかったけど、試せたことがよかったと思います」

──実際に戦って、井上選手のイメージは戦う前と違うところがありましたか。

「いや、イメージ作ってた感じでしたね。そんなにはびっくりするところはなかった。やっぱり速かったし寝技も上手かったです」

──その相手に、佐藤選手がイメージした試合はできていましたか。

「イメージした試合できたら勝ってたんですけど(笑)、まあでも試せたです」

──「試せた」部分とは?

「細かい技術的なところで? やっぱり井上選手は1R最初から飛ばしてフットワークが速いなかで、ジャブを突きながら蹴りとか右のパンチを繋いでくる印象があって、最初そこで面食らわないように。で、そこでみんな崩れて負けていたから、そこで絶対崩れない気持ちで作っていました。

 ステップインに対して(角度をつけて)横に入る動き、右も左も、とにかくズレながら、真っ直ぐのライン=あの突きみたいな、攻撃に対して外しながら戦って、中に入ったり、突きで来るときに蹴りで合わせる練習も。カーフだったりミドルキック系、ミドルハイみたいなの狙ってたのと、カーフを見せてスイッチして相手の右を取りながら、左の蹴りだったり、左のストレート、そういうのを狙ってました」

──2R終盤、佐藤選手が試合の主導権を掴みかけた流れがあったと思います。あの場面はいかがでしたか。

「そうですね、1Rの後半くらいから“あっ、これプレッシャーかけていけるな”というので、井上選手がちょっと引く場面を作れるようになってきたので、2Rでもそこで行こうと思って自分の展開、相手が下がっていく展開は作れたのですけど、もう1歩詰める動きというか、逃げていったところに高い蹴りを合わせたり、足をちょっと止めさせてパンチでまとめる場面が作れたらもっと良かったです。あとは最後、テイクダウン取られたので。1R終わったときにどこかでテイクダウン狙ってくるだろうとは感じました」

──初回を見ていると井上選手の攻めの、フットワークだけじゃなくて、MMAファイターでは真っ直ぐに下がる人が多いが、ジグザクに、左右どちらにも、しかも同時に曲がれる。そう言うところで詰めていくとパンチをもらっていたのに、2Rになってそれを盛り返せた。彼のスタミナが落ちたのか、それとも佐藤選手の動きがそう誘っていたのでしょうか。

「まあ、どっちもあると思いますね。多少スピードが落ちるというところと、なんだろうな、僕がプレッシャーをかけることで、彼が下がっていく展開が増えた。それまでは出入りで追っかけてももうそこにいないから、今行くと僕が食らう、という展開を作られていたけど、多少こう僕がプレッシャーかけたのと、パンチが少し見切れてきたということでプレッシャーのかけ方が、微妙な距離感だとか、そういうところで詰めれたのはあります」

──3Rのテイクダウン後に、あの展開になるとスクランブルで戻るほうが理想的でいいと思いますが、潜りに行ったりが即できなかったのは、井上選手の押さえ方とかが上手かったのはありますか?

「そうね、僕、結構ハーフから自信あって、二重がらみで潜ったり、そこから足関節いくのを最近やっていて、結構練習ではハマっていたんですけど、彼の押さえ方がすごい高い位置で押さえるのと枕を取られちゃったのがあそこで動けなくなったというところ。

 で、頭がこっち(佐藤の左側)にあり、こっちのアンダーフックが欲しかったんですけど。あるいはフレームを顔の間に入れたかったのを、ヴォンフルーとか肩固め系の動きでコントロールされた。でもう脇が上がってそこから落とすことができず、これ時間使わわれてこのまま終わっちゃうという、そういう上手さがあった、という説明でいいですか。押さえるのが彼は上手かった」

──最終3Rでテイクダウンで勝負あったという感じですか。

「明確に取られたかな? どうだろうな? とは思っていましたけど。そこが向こうについたところだと思いますね。最後のテイクダウンコントロール時間が、向こうについた理由だと思います」

──判定の内容はご覧になりましたか?

「いや、見ていないですね。どうでした? ダメージは0?」

──アグレッシブも0で、ジェネラルシップの20だけ3者とも井上選手に入れていました。

「そうなんだ、ジェネラルシップ取られたんだ」

──RIZINルールは前日のルールミーティングでも確認するということでしたが、判定基準を頭に入れ、考慮して戦っていましたか。

「もちろんそうですね。ただ3R通してフィニッシュ狙うことはしていたんですけど、やっぱり判定のこと考えていました。1R終わったときにテイクダウンして、多分ポイントメークしてくるだろうと頭の片隅に置いていましたけど、そのまま下になったら向こうのポイント付くだろうとは考えながら戦っていましたけどね」

──そこを考えながらも遂行されたのは井上選手の強さや勢いを感じましたか。

「そうですね、ちょっと下から作れなかったのはあるので、コントロールする強さが彼にあったと思います」

──とはいえ、敗れながらも清々しい表情をしているようです。充実感もあった試合でしょうか。

「うん。僕はこのファイトが人生というか、一番こう、生きてる実感を得られる瞬間なので。なんだろう、試合の内容が、自分がやってきたことが出せなくて“こうなったら、どうしよう”で出せないで負けてたらこんなに清々しくはなれない。ある程度やってきたことを試せた。最後コントロールされたところは“もっとこうできた”と細かい反省点はあるんですけど、すごい試せたからすごい清々しい気持ちではあります。で、切り替えて次に向けてまた強くなれるという実感を持てたので。で、この表情です」

──試合が生き甲斐だとすると、前回から半年空いていますが、次はそんなに開けたくはないですか。

「試合のオファーもらえるのであれば、すぐにでもやれます。というか、やりたい、試合は定期的にやっていきたいですね」

──前回より知名度も上がり、前回よりも声援も大きいと感じたでしょうか。

「ちょっと会場満員ですごい沸いてくれている瞬間あったなと思ったんですけど、もっとみんなを盛り上げられる試合したかったなと思いますね」

──まだ彼は20代(26歳)です。36歳のベテランとして井上選手に触れてみて、自分を破った彼の今後を、世界と戦っていいけるという風に感じられるところはありましたか。

「戦える……と思いますけど、うーん、まあやっぱ攻略されるパターンがちょっと出てきてるから、そこはどうにかしなきゃいけないところで。うーん、まあ彼に伝えます(笑)。まだまだ、でも修正すれば絶対行ける。どんな選手でもしっかり試合で得た自分のウィークポイントや強みを理解してやっていけば、時間は限りあるけども、絶対勝負できると思います」

──試合を終えたばかりですが、今後の目標や展望を教えていただけますか。

「このままやる。変わらずにまたやり直してもっと強くなる。で、もっと強いやつとやる、です」

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