決勝(王座決定戦)進出を懸けて対戦する神保(左)とYOHAN(C)K-1
2024年3月30日(土)東京・後楽園ホール『Krush.159』より「初代Krushミドル級王座決定トーナメント」が開幕。準決勝で神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)とYOHAN(T.K.F)が対戦する。
神保はK-1アマチュアを経て2015年6月にKrushでプロデビュー。2019年6月にはKrushスーパー・ウェルター級王者ジョーダン・ピケオーに挑戦した。2020年3月には「K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」に抜擢されたが、1回戦敗退。2021年3月より-75kgの階級設立をアピールして体重を上げると6連勝。しかし2023年6月の「K-1 WORLD GP初代ミドル級王座決定トーナメント」では1回戦敗退。戦績は15勝(8KO)8敗1分。
YOHANは17歳で総合格闘技ジムに入門し、立ち技格闘技の道へ進む。デビュー当初はスーパー・ウェルター級だったが、のちにクルーザー級に転向。初代KROSS×OVERクルーザー級王者となる。2022年からは-75kgを主戦場に戦い、9月にダニロ・ザノリニに敗れるとルーツである韓国で修行を積んでいたという。2023年12月の『NARIAGARI』で平山迅との対戦が組まれていたが、平山の欠場で試合が中止となり、今回が1年半ぶりの復帰戦。戦績は8勝(1KO)6敗2分。
神保「殺す気で来てほしいし、俺もボコボコにしてやるつもり」
──試合が近づいてきて、トーナメントへの気持ちも高まっているのでは?
「そうですね。K-1ミドル級王座を獲れなかったので、Krushの王座の話が来た時はうれしかったんですよ。『K-1、分かってるな』みたいな」
──改めて、今回のトーナメント4人の顔触れについてはいかがですか?
「勝ってる相手が2人(YOHAN、ブハリ亜輝留)いて、やったことない相手が1人なので、そんなに警戒はしてないかなという感じですね、正直」
──谷川聖哉選手が階級を下げて参加することが話題になっていますが、神保選手も驚きましたか?
「驚いたというか…何か、変な感じがしましたね」
──変な感じ?
「クルーザー級でチャンピオンを目指すと言っていたのに階級を落としてきたので、『そんなに甘くないよ』というところを見せたいですよね」
──それは、決勝戦で直接当たって示したい?
「そうですね。やれるんだったらやりたいというのはありますね」
──今回、準決勝で対戦するYOHAN選手には7年前に勝利しています。
「まだ70kgでやってた時ですね。もう7年も前なので、試合のこともそんなに覚えてないし、『若かったな』というぐらいですね」
──では、一度勝っているということは今回は関係ない?
「ないですね。あと、その試合後から彼とはけっこう一緒にスパーリングしていたんですよ。だから彼は俺の手が分かっているので、そこは正直警戒していますね」
──会見ではYOHAN選手が「神保選手とはチング(友達)だ」と言っていましたよね。プライベートでも交流があるんですか?
「まあ、そうですね。ただ、普段から殴り合ってたので、対戦することには問題はないです」
──YOHAN選手は神保選手との試合がK-1グループ第1戦で、その後もそこまで勝ててはいません。そこはどう見ていますか?
「うまいなっていうのは伝わるんですけど、K-1向きじゃないかなと思うんですよね。ポイントアウトみたいな戦い方というか、当てて逃げて当てて逃げて…という感じなので。今回はそういう戦い方はしてくるなよと言いたいです」
──前回に続いて、自分がもう一回お手本を見せてやるという気持ちもあるのでは?
「間違いないですね。だから向こうも俺にリベンジしたいんだったら殺す気で来てほしいし、俺もボコボコにしてやるつもりでいます」
──先ほど決勝の相手として谷川選手の名前も出ましたが、ブハリ選手も神保選手へのリベンジを狙っています。
「だから、どっちが上がってきて決勝で対戦することになっても面白いと思いますよ。ブハリ選手がリベンジしたいと思って上がってくるんだったら、俺も叩き潰すだけなので。ただ全体を通して、ストーリー的には俺が優勝しないと、その先が絶対につまらなくなると思います」
──ほう。
「優勝してKrushチャンピオンになって、自分はそこで終わりじゃないんで。今のK-1ミドル級のチャンピオン、松倉信太郎を倒すまでが自分の中のストーリーだと思ってますね。他の選手にはそういうストーリーがないと思うんですよ。自分は今までこのミドル級という階級を作るために戦ってきて、でもいざ階級ができたら、その過程で倒した相手が、今チャンピオンになってるじゃないですか。言っちゃえば、俺が勝ってるのに俺がチャンピオンじゃないという状況なんですよね」
──確かに。
「それが自分の中ですごくイヤなのでリベンジしたいというのもあるし……いや、リベンジじゃないか(笑)。もう一回勝ってベルトを奪いたいなというのがあるんで。そこまでのストーリーは俺が一番ありますよね。だから、俺が優勝しなきゃダメなトーナメントなんですよ。優勝してKrushのチャンピオンになって、K-1チャンピオンと戦ってK-1チャンピオンになって、ストーリーが完結するんで」
──そこまで思い描けていると。ベルトといえば、2月大会では元ジムメイトの伊藤健人選手のセコンドについていましたね。伊藤選手がタイトルを奪取して、いい刺激になったのでは?
「いやあ、メッチャ刺激をもらいましたね、正直。K-1ジム目黒で一緒に練習していた時は、健人君について『本当にチャンピオンになれるのかな?』と思ってた部分もあったので。でも彼は諦めないでずっと続けてチャンピオンになったじゃないですか。諦めない心も大事なんだなというのがすごく伝わりました。『おお、すげえな!』って思ったし、パワーももらいました」
──しかも1R早々に見事なKOでしたからね。
「はい。諦めないってマジ大事なんだなって思いました。あの人は周りから『もうやめろ』ってさんざん言われてたのも俺は知ってるんで。その中でチャンピオンになったっていうのはマジですごいなと思いましたし、続かなきゃと思いました」
──2試合勝ってベルトを獲るのに、最終的に必要なものとは何でしょう?
「気合いです!」
──ですよね(笑)。
「俺はこれだけでやってきましたからね。これで階級も作ったんで。俺ぐらいじゃないですか? 7連勝して、チャンピオンにはなってないけど階級は作ったみたいな(笑)。7連勝してんのにチャンピオンになれてないっていうのもイヤなんで、ここは絶対獲ります。『無冠の帝王』みたいな感じになっちゃってるんで、ここで獲りたいというのは強く思ってます」
──ベルトを巻いている自分もイメージしていますか?
「最近、夢に出てくるようになったんですよ。あんまり意識してるつもりはなかったんですけど、それでも夢に出てきたんで、自分の中ではイメージがあるんだなと思いました」
──潜在意識ではよほど意識してたんですね。
「間違いないです(笑)。ベルトはメチャクチャほしいですからね。しかも、Krushのベルトがずっとほしかったんですよ。スーパー・ウェルター級ではタイトルマッチまで行ったけど獲れなかったんで。やっぱ、Krushって今のK-1の原点じゃないですか。格闘技の聖地・後楽園でそのベルトを巻きたいっていうのが自分の中にずっとあったんで」
──以前のタイトルマッチを振り返ると、ベルトが懸かることで固くなったり、プレッシャーがかかったりはしませんでしたか?
「K-1ミドル級のトーナメントの時は、考えすぎちゃう部分がありましたね。でも今はとにかく勝ちがほしいんで、ベルトのことはそんなに意識しないようにしてます。今は連敗しちゃってるんで、まずは勝ちたいです」
──では最後に、この試合への“決意”を改めて教えていただけますか?
「これが終わりじゃないんで。自分がこのトーナメントで勝ってKrushのチャンピオンになって、K-1のチャンピオンにも絶対なるんで。まずKrushを獲ってから、マイクで改めてそのことを話したいと思います」