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インタビュー

【Krush】スーパー・バンタム級王座戦、王者・璃明武「相手には『何回やっても勝てないな』と思わせたい」挑戦者・倉田永輝「絶対KO決着」

2024/03/24 14:03
 2024年3月30日(土)東京・後楽園ホール『Krush.159』にて、Krushスーパー・バンタム級タイトルマッチ3分3R延長1Rで対戦する、王者・璃明武(K-1ジム総本部チームペガサス)と挑戦者・倉田永輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)のインタビューが主催者を通じて届いた。  璃明武は空手のバックボーンを持ち、2018年4月にプロデビュー。2021年8月から開幕した「第7代Krushスーパー・バンタム級王座決定トーナメント」で優勝して王座に就いた。2022年2月の「K-1 WORLD GP第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント」では準決勝へ進出するも金子晃大に敗れ、6月の『THE MATCH 2022』では江幡睦にも敗れて連敗を喫したが、7月の初防衛戦で永坂吏羅に判定勝ち。戦績は12勝(4KO)3敗。今回は2度目の防衛戦。  倉田は2019年11月にプロデビュー。壬生狼一輝、池田幸司らバンタム級トップクラスには敗れたが、2022年2月からスーパー・バンタム級に階級を上げると愛瑠斗、紫苑にKO勝ち、黒田勇斗に判定勝ちと3連勝で勢いに乗っていたが、2023年2月に内田晶に敗れて連勝がストップ。しかし、7月に“狂拳”迅を破ると、12月にはMA日本キックボクシング連盟JAPAN CUPスーパーバンタム級王者の龍翔にTKO勝ちと連勝した。戦績は8勝(5KO)5敗1分。 璃明武「過去最高の自分を作れている」 ──岩尾力選手の負傷欠場によるカード変更を最初に聞いた時は、どう思いましたか? 「ビックリはしましたよね。今まで、相手が変わったことが1回だけあったんですけど、経験的にも珍しいことなので。まあ、ケガなのでないことではないと思うんですけど、シンプルにビックリしました。それに、岩尾選手との試合は『待ちに待ったタイトルマッチ』という感じだったじゃないですか。最初に聞いた時はまだ代わりの相手とかも決まってなくて、どうなるんだろうなあという不安はありました。 ──会見の時のお話では、ノンタイトルのワンマッチに変更という可能性もあったんですね? 「はい。このために練習はしていたので、『試合はしたい』とは伝えてあったんですよ。代わりの相手の候補として倉田永輝選手の名前が挙がってきたんですけど、もともとのタイトルマッチは、挑戦者が今一番強い岩尾選手だから、というのがあったじゃないですか。そこが期待されていたと思うので、ワンマッチで倉田選手とやっても盛り上がらないと思ったんですよね、正直。タイトルマッチの方がリスクがあるし、ベルトも懸かっているので、そういう試合に勝つことで自分の成長にもなるかなと思ったので、タイトルマッチを希望しました」 ──その時点で、倉田選手のことはどう見ていたんですか? 「正直、対戦相手として見たことはなかったんですよ。名前はもちろん知ってたし、同じ階級なので認識はしてたし試合も見たことはあったんですけど、「いつかやるかも」とかも思ったことは全然なくて。対戦相手になるという想像は全然なかったので、決まってから改めて、試合映像をいろいろ見たりしました」 ──対戦相手として意識して見ての印象というのは? 「前回(2023年7月)、永坂吏羅選手にああいう勝ち方をして、Krushでは岩尾選手しか相手がいないじゃないですか。岩尾選手一択だった中で、その相手が負傷して…という状況なので、代打としては倉田選手が出てくることに文句とかは全然ないです。映像を見ての印象は、KO率はけっこう高いですよね。パンチで倒している試合も多いので、パンチはあるのかなと思います。だから、相手がどうこうというよりも油断はしちゃダメだと思います」 ──先ほど言われたように、岩尾戦が「待ち望まれたタイトルマッチ」だっただけに、切替は難しかったのでは? 「そう思われると思うんですけど、自分は考え方がけっこうポジティブなので…ケガしてしまったものは、もうどうしようもないじゃないですか。だからそんなに気にしてないというか、まあショックはショックなんですけど、自分の試合がなくなったわけではないので。相手は変わりましたけど、自分の成長につながる試合というか、強さを見せつける試合にすればいいかなと思います。岩尾選手にしても倉田選手にしても、今回の試合がゴールというわけではないし、僕が見ているところはもっと全然上なので、そのための一戦というか。会見の時にも、記者の方から『モチベーションが下がらないか』と心配されたんですけど、自分の中で、『対相手』ももちろんある上で自分との戦いだと思っているので、モチベーションは自分で上げています。いい状態で来れているので、そこの心配はないですね」 ──ただ、前回の永坂戦から8ヵ月ぶり、その前も2022年6月の江幡塁戦なので、1年1ヵ月空いています。試合間隔がこれだけ空いているのは問題ないんでしょうか? 「それは全く問題ないですね。永坂戦も久々の試合だったから、試合前はちょっと心配だったんですけど、やってみたらメチャクチャ調子がよかったですし。逆に期間が空いた分、いろいろとやれたので、前回の試合より格段に成長した姿を見せられる実感があります。2~3ヵ月では変化を見せるのは難しいですからね」 ──この間、一番重点を置いてきたことは? 「自分はもともと基礎がすごく大事だと思っているので、基礎をしっかり見直しつつ、スパーリングもけっこうバンバンやってきました。逆に前回はケガがあったので、スパーリングもほとんどやれてなかったんですよ。今回はスパーリングもメチャクチャできていて、今ケガもないので、すごく調子いいし、不安な要素は何もないですね。その分、油断しないようにしないとという感じですけど」 ──そういう状況で、どんな勝ち方をイメージしていますか? 「勝つのはもちろん当たり前で、今回は試合内容が大事だと思っていて、よく言いがちなのは「圧倒的な差を見せて勝つ」ということだと思うんですけど、相手には『何回やっても勝てないな』と思わせたいですね」 ──そろそろ、また派手なKOが見たいと思っているファンも多いと思います。何しろ璃明武選手と言えば、竜巻蹴り(2019年12月、内田晶戦)のイメージが強いと思うので。「そうですね。Krushのメインでタイトルマッチだし、もちろんKOは狙っています。理想は、KOして見ている人が盛り上がるような勝ち方ですね」 ──その先は、もっと上を見ているというお話でしたね。 「もともと、岩尾選手に勝ったらもうKrushでやることはないのかなと思ってたんです。相手も全くいないですし。でも岩尾選手もいつ復帰できるか分からない状態なので、今回しっかりと圧勝して、K-1に乗り込みたいですよね」 ──K-1のスーパー・バンタム級というと、ちょうど金子晃大選手が対抗戦で勝利しました。その金子選手と玖村将史選手がツートップと見られている状況です。 「もちろん同階級なのでしっかり見ていますし、そこを目指さないと意味がないので、そこと戦えるように日々やっている感じですよね。自分の目標はずっと変わらずK-1チャンピオンなので、今回も勝って、しっかりとそのステージに上がっていけるように、勝ち方にもこだわっていきたいですね。まあ、今回勝ったからといって、次に玖村選手や金子選手と戦えるということはないと思うし、段階はあると思うんですけど、一つ上の段階には行きたいです」 ──所属するK-1ジム総本部チームペガサスでは、軍司泰斗選手がK-1王者で、Krush王者は今は璃明武選手とウェルター級の寧仁太・アリ選手がいますね。そういう点でジムを引っ張る立場の一人だと思いますが、いかがですか? 「ジムでどうこうというのはそんなにないですけど、軍司チャンピオンはすごいと思いますし、同じジムの選手がチャンピオンとして活躍するのは他の選手の刺激にもなると思いますし、最近は自分にも後輩もできているので、一緒に練習している仲間にも勝つところ、活躍するところを見せないとなというのはあります」 ──では最後に、改めてこの試合への“決意”を教えていただけますか? 「今回の試合は対戦相手の変更とかいろいろあったんですけど、その中でも自分の中で高いモチベーションでここまで来れていて、過去最高の自分を作れている自信はあります。試合当日は今までで一番いいパフォーマンスをして、圧倒的なレベルの違い、『このレベルじゃないんだぞ』というのを見せて、自分も、見ている人も納得するような内容で終わらせたいと思っています」 [nextpage] 倉田永輝「これが人生の分岐点」 ──今回は岩尾力選手の欠場に伴う急なオファーでしたが、話を聞いた時にはどう思いましたか? 「試合1カ月前で急な話だったんですけど、まさかこのタイミングでタイトルマッチが来るとは思ってなかったので、ラッキーだなと。『持ってるな』と思って、すぐ二つ返事で『やらせてほしい』と答えました」 ──1ヵ月前から急にタイトルマッチに向けて仕上げることになったわけですが、コンディションなどの状況はどうだったんですか? 「それまでもいつもと変わらず日々鍛錬していて、次は格上とやる覚悟ができていたので。璃明武選手もその内の一人だと思っていたので、急に決まったからと言ってどうこうということはありませんでした」 ──ただ、タイトルマッチが決まっていたのもあって、すぐに璃明武選手ということはないと。 「そうですね。あと2~3人、強いヤツを倒さないとたどり着けないと思っていたんですけど、どっちにしろ格上とやる覚悟だったので、変わらずという感じでした」 ──もともと決まっていた同級のタイトルマッチ、「璃明武vs岩尾力」についてはどう思っていたんですか? 「岩尾選手は交通事故の前から強いのは知っていて、長期欠場から復活して連勝していくのを見ていて、璃明武選手とのタイトルマッチが決まった形ですけど、僕は璃明武選手が勝つのかなと思っていました」 ──そうなんですね。その理由は? 「璃明武選手と永坂吏羅君の試合(2023年7月)だったり、岩尾選手と内田晶選手の試合を見ていて、璃明武選手の技術が岩尾選手の勢いを上回るんじゃないかと感じてました。自分がやるとしたら、璃明武選手の方が勝機は全然あると思っています」 ──改めて、璃明武選手の印象は? 「本当にうまい選手で、研究力とかも長けてると思いますし、格闘技に対して頭がいい選手という印象があります。雑に入ったところに合わされないようにしないといけないなと思いますし、ヒザ蹴りや左ジャブなどの細かい技術がうまいなと思ってます」 ──逆に倉田選手の方は昨年12月の龍翔戦がKO勝ち、その前の“狂拳”迅戦(2023年7月)と合わせて連勝中で、昨年、一昨年は5勝(3KO)1敗。会見では宮田充プロデューサーから「勢いを買って決めた」という言葉がありました。自分では、この好調の理由は何だと思っていますか? 「まず格闘技に対する向き合い方、考え方が変わりました。それまではちょっとテキトーだった部分があったんですけど、選手生命ってそんなに長いわけじゃないので、集中してやるようになりましたし、あと、階級を上げて減量から解放されたというのも一つですね。バンタム級の時は『これが適正体重だ』と自分に言い聞かせていた部分があったんですけど、いざ上げてみると、スーパー・バンタム級はパワーも残ってるし動きやすい感じがして、今は絶好調で動けているというのがありますね」 ──なるほど。 「2021年3月の池田幸司戦で計量オーバーしてKO負けして、次の西林翔平戦(同年9月)でも負けて、一度は引退しようと考えたんです。でも「やめて何をしようかな」と考えた時に、何もなくて。最後に一回、格闘技を本気でやってみようと考えた時に、愛瑠斗戦(2022年2月)…この時も急なオファーだったんですけど、この試合でKO勝ちすることができて、『本気でやってればいけるんじゃないか』と思うようになって今に至るという感じですね」 ──階級の部分に関して、実感していることは? 「以前は、試合の直前は全く動けなかったんですよね。減量のための練習という感じで。でも今はギリギリまで試合に向けて練習できてますし、試合の時もリング上でしっかりパワーが残ってる感じがして調子いいですね」 ──今大会では同じKRESTから谷川聖哉選手も出場します。谷川選手は大減量しての出場なので、対照的ですね(笑)。 「そうなんですよね(笑)。ただ、僕はもともとけっこうデカくて、今もスーパー・バンタム級の中では減量が楽な方ではないと思うので、やっぱりバンタム級はちょっと間違ってましたね。プロデビューしたのが18歳で、まだ成長期で体も大きくなってきていたこともあって」 ──KRESTにはそれこそチャンピオン経験者も多いですが、練習環境はどうですか? 「代表が替わったりとか、環境的に変わってきている部分もあるんですけど、偉大な先輩たちの中でちゃんと名前を残せるように、一人の選手としてしっかりやっていきたいなと思っています。強い選手が多いので、よく言えばその中で揉まれるわけですけど、ついていけなければ置いていかれるので、そうならないようにしっかり食いついていきたいなとは常々思ってます」 ──環境という意味では階級も上げて、自分のやり方が整ってきたところでのタイトルマッチということで、急ではありますが、いい流れではあるわけですね。 「そうですね。自分としてはこのタイミングでやれて本当にうれしいし、ラッキーだなと思ってますね」 ──どう勝ってベルトを奪いたいですか? 「僕は今22歳で、世間一般で見たら大学4年生の年なんですよね。ここで勝つか負けるかで格闘技人生が大きく変わると思っているので、絶対KO決着で決めたいと思っています。負けることは考えてないですけど、ダウンを奪われて判定負け、みたいなのが一番しょうもないと思うので、やるかやられるか、失うものはないので、ガンガンいきたいと思っています」 ──その意味で璃明武選手は、ガンガンいけるし、ガンガンこられる相手なのでは? 「そう思います。璃明武選手もたぶん僕のことをちょっとナメてるじゃないけど、『ここらへんでちょっとKO勝ちで防衛したい』と狙ってると思うので、面白い試合にはなるんじゃないかと思ってます」 ──初のタイトルマッチ、そしておそらく当日のメインになると思います。初体験が重なりますが、それについては? 「今は楽しみが強いですね。ずっと見てた舞台で、目指していたところだったので、ラッキーで辿り着いた舞台ではありますけど、ようやく格闘家になれた気分です。ここから格闘技の第2章というか、自分の格闘技人生の始まりだなと」 ──自分がベルトを巻いているところを想像したりはしますか? 「しますね。今日も勝つ夢を見ましたし。試合が決まって1週間ぐらいはよく眠れなかったんですけど、練習して自信もついてきて、精神的に落ち着いてきたので、今はすごくいい状態です」 ──勝ってベルトを掴むために、最終的に必要なものとは? 「僕は璃明武選手より技術で上回っているわけじゃないので、自分のやってきたことを信じて、気持ちで勝ちたいと思っています」 ──では最後に、改めてこの試合に向けての“決意”を教えていただけますか? 「僕はデビューして4年、これが人生の分岐点で、ここで勝つと負けるとでは今後の格闘技人生が大きく変わってくると思うので、ここに全てを懸けて、1勝を絶対にもぎ取りたいと思っています」
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