2024年3月13日(水)、パラエストラ千葉ネットワーク(CNW)と、Theパラエストラ沖縄が、パラエストラグループから独立し、新たに『THE BLACKBELT JAPAN』として活動していく「新チーム」発足会見を行った。
会見には、千葉ネットワークを統括する鶴屋浩代表、同ジム出身で沖縄ネットワークをまとめる松根良太代表をはじめ、総勢70名に及ぶプロ選手から、UFCファイターの平良達郎、鶴屋怜、RIZINファイターの扇久保博正、浅倉カンナ、太田忍、前DEEP王者の神田コウヤ、今回の会見場を提供した東京・錦糸町のRYO OKADA TOKYO INSTITUTE主宰の岡田遼らが出席。
今後について、それぞれが抱負や展望を語った。
冒頭で、新たな船出に向け、鶴屋浩代表は「私と松根が1999年にパラエストラ松戸を主宰しまして、約24年間、総合格闘技とブラジリアン柔術に携わって参りました。MMAにおいて、約15本のチャンピオンベルト、30人以上の黒帯を輩出してきました。そして今年の4月1日から、新たなチームを起ち上げます。チーム名は『THE BLACKBELT JAPAN』。
学生時代に国際武道大で学んだ私は武道とか何か、武道の武は『戦い』の略語で、戦いを止める道と書いて、試合が終わればノーサイド、礼に始まり礼に終わる、これが本来の格闘技の基本です。それを若い人たちに伝えていくのが務め。武道を極めた人には黒帯が与えられる。黒帯の形態を作ったのは加納治五郎先生だと聞いています。『THE BLACKBELT JAPAN』は日本の黒帯のチームです。このチームで世界のMMAファイターや、世界の柔術家たちと戦っていきたいと思います。
私は昨年、米国ラスベガスや上海の『UFC PI』に行き、かなりの衝撃を受けました。壮大な施設、優秀なトレーナー、アスリートのための考え抜かれた食事、米国や中国は一歩も二歩も日本より先を行っています。このままでは、日本の総合格闘技は置いていかれてしまいます。世界で活躍する日本ファイターを育てていきたいと思います。期待してください」と、新チームの由来や、発足の理由を語った。
また、松根良太副代表は「16歳から尊敬する鶴屋浩代表と、パラエストラの理念、マーシャルアーツコミュニケーションを胸に、日本から強い選手を育成し、日本人の強さを証明する、この気持ちを胸に歩んでいきたいと思っています」と「世界」と戦って行く決意をあらためて語った。
千葉(松戸市、千葉市、柏市)の3ジムと、沖縄の2ジム(那覇市、沖縄市コザ)は「いままでと同じように(出稽古など)交流していく」なかで、『THE BLACKBELT JAPAN』千葉ネットワークでは、ボクシングやフィジカルトレーナーとの連携で指導環境もすでに充実させており、沖縄支部でも、現在の那覇市与儀に近い場所に4月以降に移転。125坪という広さに「長南亮さんに相談して」ケージも設置。「自分の希望であったお風呂とかも作りながら」住み込み出来るような宿泊施設も用意することで「日本で一番広いんじゃないかと思われるようなジムを作っていきたいと思います。トレーニングキャンプも増えて、活性化していくのではないかと思います」と語った。
会見には日本を代表する千葉&沖縄のファイターたちも出席。
5月18日(日本時間19日)に米国ラスベガスで、フライ級9位のティム・エリオット(米国)との対戦が決定した、同級13位の平良は「チームの一員として、UFCという舞台でいい戦いをして、いい結果を残して行けるよう頑張ります。強くなりたい選手が練習時間を確保できて、一人ひとりがより納得できるような練習内容を話し合い、よりよいものに変えていけたら」と、新チームでの抱負を語った。
また、エリオット戦については、「新しいチームになって1発目で5月に戦うことになるのですけど、“競り勝つ”というより、“しっかり仕留めて勝って上に行きたい”のでその一発目になると思います」と、UFC6連勝に向けて意気込みを語った。平良は、井上尚弥、武居由樹らが所属するスポーツマネジメント会社「セカンドキャリア」のサポートも受けているという。
また、2016年にUFC登竜門番組『The Ultimate Fighter(TUF)24』の決勝でエリオットと対戦している扇久保は、平良に「平良選手とは柏でも練習で組んだし、チームメイトとかじゃなくても、極めて勝ってくれると信じています」とエール。新チームでの目標を「ウチのジムは日本でトップのチームだと思っています。その名に恥じぬよう、これからもしっかり結果を残していきます」と語った。
また、『ROAD TO UFC シーズン2』フライ級トーナメントで優勝し、UFCとの契約を勝ち獲ったばかりの鶴屋怜は、「自分はUFCとの契約が決まって、この『THE BLACKBELL JAPAN』を日本一ではなくて、世界一のジムにするために、UFCのベルトをこのジムに持ってくるので期待していたください」と力強く宣言。
UFCフライ級戦線での目標を、「UFCのベルトを獲った日本人はいなくて、日本ではRIZINが目立ってそっちに行きたいという人も多いけど、UFCチャンピオンが1人生まれれば、もっと盛り上がると思う。『日本で一番のジム』と言われるように、RIZINならRIZINで、UFCならUFCでそれぞれに目標があれば、そこに向かえるようにやっていきたい」と、UFCのチャンピオンベルトをジムに持ち帰りたい、とした。
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岡田「米国のように強いプロ選手を輩出する「プロ」コーチがつくような環境になれば」
リオ五輪グレコローマンレスリング59kg級銀メダリストで、『RIZIN.46』でバンタム級転向初戦の牛久絢太郎を迎え撃つ太田忍は、「4月29日に試合が決まっているので、帯を締め直して新たな気持ちで頑張っていきたいと思います」と抱負。「平良選手と鶴屋選手の2人はUFC、僕はRIZINバンタム級で負けないように存在感を出せていければ」と、これまで通り、RIZINではチャンピオンベルトを目指すと語った。
2023年4月の前戦『RIZIN LANDMARK 5』でV.V Meiに判定勝ちして以来、次戦が待たれる浅倉は、「新しい気持ちで頑張ります。(重田)ホノカ、KARENと後輩が出来て嬉しいですし、2人にも強くなってもらって、一緒に強くなっていければ。自分も先輩としてしっかりいい姿を見せていければと思います」と意気込み。
3月31日の『PANCRASE 341』で女子フライ級王者の端貴代に挑戦する同級1位の重田ホノカは、「新しい風を吹かせたい。新チームの試合第一号として、ベルトを獲ることが大切。いい風を吹かせられるようにして、チームに勢いをつけたい」と語り、元PANCRASEストロー級王者のKARENは「チーム全体でさらに上を目指していくと思うので自分も勝ち続けて年内にはベルトを獲っていきます」と、重田に続き、チームにベルトをもたらしたいとした。
また、DEEP王座戦で青井人と大熱戦を繰り広げたばかりの神田は、「いま柔術茶帯なのでしっかり黒帯になること、もう1本ベルトを獲れるように頑張りたい」と再起を誓った。
元修斗世界バンタム級王者で、RYO OKADA TOKYO INSTITUTE主宰の岡田は、これまでの海外修行の経験から、日米の練習環境の違いを「米国にはプロファイターを育てるプロのコーチがいます。強いプロの選手を輩出するようなプロコーチがつくような環境になればいいと思います」と語り、自身について「ちょこっとだけ選手として、あとは裏方として頑張っていきたいと思います。『THE BLACKBELT』なだけに黒幕として──いつからとは言いませんが──でも、最後に必ず試合をしたいと思っています」と、今後について語っている。
また、岡田は6月2日(日)に柏の『THE BLACKBELT JAPAN』本部(旧パラエストラ柏)にて、アマチュア大会の開催も発表。初心者向けの大会で、「もしこの会見を見て、『出たい』という方は挑戦していただければ。きっと扇久保さんが、『扇久保博正賞』を出してくれると思います(笑)。6月2日、アマチュアキックと柔術、グラップリング。MMAは希望者がいれば」と、出場選手を募った。詳細は今後、発表していくとのこと。
「『THE BLACKBELT JAPAN』に加盟したいジムとは話し合う」とする鶴屋代表は、まさしく「トッププロ」が集まり大所帯となる新チームにおいて、「チャンピオンシップ」や「ランキング戦」などの避けられない試合での同門対決について問われ、「これまでもパラエストラ時代にも同門対決はおそらく2回ほどありまして、まずは選手に聞いて、お互いがやるのであれば、やらせる方向で行きます。今後もその方針は変わらないと思います」と、チームの中でチームを分けて同門試合に臨むことは可能とした。
また、昨年末、トライフォース赤坂から『JAPAN TOP TEAM(JTT)』に名称を変更し、チーム編成を変えているJTTについて問われると、「ケージを導入し、コーチを招聘するなど行動は素晴らしい。私たちも負けていられない。JTTに負けないような施設やコーチ陣のいる環境を作って互いに盛り上がっていければ」と語った。
「現時点では平良がUFCランカーで、我々がこれまでやってきたことは間違っていなかった」という鶴屋代表に、松根副代表も「今後も海外と沖縄を行ったり来たりし、海外のいいところを採り入れて日本のいいところも組み合わせることを継続していくこと。なおかつ新たないいものを採り入れていけばいい」と呼応。『THE BLACKBELT JAPAN』は、さらなる選手を育成し、真に日本の黒帯トップチームとして、世界を席巻するか。
なお松根は、チーム名の定冠詞について、「チーム名の最初の『THE』は、僕の希望として鶴屋浩代表にお願いし、入れさせていただきました」と明かし、修斗時代の松根の髪型から続く『TSURUYA HIROSHI ENTARTAINMENT(THE)』の名残を残したかったといい、その松根から『THE』の剃り込みを引き継いだ扇久保は、「これからもあるかもしれません」と笑顔を見せている。