PFL EUROPE 2024 地域リーグの「欧州」レギュラーシーズンが開幕。2024年3月7日(日本時間8日)フランス・パリのアコー・アリーナにて『PFL Europe 1: 2024 Regular Season』(U-NEXT配信)が開催された。
そのメインイベントで行われた元GLORYウェルター級王者セドリック・ドゥンベ(フランス)vs.バイサングル・“BAKI”・チャンスディノフ(フランス)の無敗対決は、場内大ブーイングの不完全燃焼決着という結末に。
しかし、試合は、ストライカーのドゥンベがチャンスディノのテイクダウンを受けながらも立ち上がり、徐々に組みを切って打撃を当てる白熱の展開だった。
1R、左ボディストレートを突くドゥンベ。続く右ローをチャンスディノフがキャッチしてテイクダウン。しかしドゥンベはバタフライガードから立ち上がり。右オーバーハンドのチャンスディノフにドゥンベは右ロー。
しかし左ローはチャンスディノフが掴んでテイクダウン。背中を見せて立ち上がるドゥンベはバックにつくチャンスディノフにドゥンベは前転から立ち上がり。金網に詰めるチャンスディノフがダブルレッグテイクダウン。ドゥンベは蹴り上げからスタンドに戻す。ボディロックテイクダウンのチャンスディノフにその度、立ち上がるドゥンベ。詰めるチャンスディノフは右を突く。
2R、ジャブで詰めるドゥンベ。テイクダウン狙いのチャンスディノフに左を当てると左ロー。さらに左フック。ダブルレッグのチャンスディノに左を差し上げ凌ぐドゥンベ。チャンスディノフを突き放すと右ストレートを打ち込む。
3R、テイクダウンを警戒しながらも右を突くドゥンベに、チャンスディノフはシングルレッグへ。それを切ったドゥンベは左右で前に。下がるチャンスディノフ。
異変が起きたのは3R開始から58秒過ぎ。両者がケージ中央で距離を保ってけん制し合う中、チャンスディノフのジャブに対してドゥンベがすり足で前に出した左足を引いた後、ドゥンベがレフェリーに向かって手を上げ次に自分の左足を指差して「Sting! Sting!」と訴える。
レフェリーは特にチェックすることもなく試合続行をうながし、両者構えて向き合うが、チャンスディノフがフェイントを2度かけるもドゥンベは動かず、チャンスディノフは「攻めて来いよ」というゼスチャーをする。相手の異常を感じたようで今度はチャンスディノフがレフェリーにアピールし、ドゥンベは再び左足の異常を訴えるが、レフェリーはここで両手を交差させ試合終了を宣言。
ドゥンベは両手を広げて“なぜだ?”と抗議するが、レフェリーは受け入れず。何が起こったのか分からない観客席からも大ブーイングがあがる。ドゥンベはすぐに椅子に左足を乗せて親指を確認するが、映像では異常は確認できない(その後、黒いトゲのようなものが刺さっているのを確認)。
レフェリーに猛抗議するドゥンベ陣営だったが、レフェリーは「選手からタイムアウトをリクエストしてはいけない。止めたいならば試合放棄と見なす」との説明があった。解説の"ビッグ"・ジョン・マッカーシーの見解は「ドゥンベが主張してレフェリーは認めなかった。それでも主張するのは選手の責任。選手の意志で試合を止めたいということなので戦意喪失と見なされた」というもの。
場内に大ブーイングが鳴り響く中、3R1分21秒、TKO勝ちでチャンスディノフの手が上げられた。チャンスディノフはこれで8戦無敗に。ドゥンベは6戦目にして初の黒星が付いた。
マイクを向けられたドゥンベは「試合を止めたくなかった。試合を続けたかった。ただ、指にガラスが刺さったんだ。いつ刺さったのかは分からないが抜いて試合を続けたかった。相手もそれに気付いて『抜けば?』と言ってくれたんだ。それで2人は試合を止めたんだが、レフェリーが試合を終わらせてしまった。何と言っていいの分からないよ。でもリマッチは組んでもらいたい」と、足の指にガラス片が刺さったと説明。
チャンスディノフは「このような勝利は望んでいなかった。もちろん、もう一度彼とやりたいが次はもっと大きなファイトマネーでやりたいね」と条件付きで再戦を受諾し、ドゥンベは「この試合はまたやりたい。彼をKOすると約束した。それを叶えたい」と語った。 この大会はU-NEXTにて見逃し配信中、映像で確認ができる。
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「レイジー・キング」アブドゥラギノフが8連勝
▼第11試合 ウェルター級 5分3R〇アブドゥル "レイジー・キング " アブドゥラギノフ(フランス)[判定2-1] ※30-27, 29-28, 28-29×ジャック・グラント(英国)
地元フランス、ナント出身のレイジー・キングは8連勝で戦績は18勝1敗に。
▼第10試合 ウェルター級レギュラーシーズンバウト〇イブラヒム・マネ(フランス/ガンビア)[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×シャキーナ・ノソ・ペドロ(フランス)
地元フランス・パリ出身のマネがスプリット判定勝利で6連勝。MMA13勝4敗とした。2024年PFLヨーロッパ・プレーオフ出場権獲得、準決勝でダニエリ・ミシェリと対戦する。
▼第9試合 ライト級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇イグナシオ・カペッラ(スペイン)[2R 2分31秒 KO]×ヤジッド・シュショーン(フランス)
スペインのメノルカ島出身のカペッラは2024年PFLヨーロッパ・プレーオフへの出場権を獲得、準決勝でコナー・ヒューズと対戦。戦績は8勝1敗に更新し、キャリア6度目のKOを飾った。
▼第8試合 ライト級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇ヤクブ・カシュバ(ポーランド)[判定3-0] ※29-28×3×ケイン・ムーサ(英国)
2024年PFLヨーロッパ・プレーオフへの出場権を獲得した、2023年PFLヨーロッパ・ライト級王者でポーランド出身のカシュバが、準決勝でスカティッツィと対戦。無敗記録を「12」に更新。
▼第7試合 ウェルター級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇ダニエリ・ミシェリ(イタリア)[1R 0分27秒 ヴォンフルーチョーク]×ヤシン・ナジッド(フランス)
キャリア7度目の一本勝利で戦績を12勝5敗としたイタリア出身のミシェリが、2024年PFLヨーロッパ・プレーオフへの出場権を獲得。次戦はvs.マネ。ここ3戦は全てサブミッション勝利。
▼第6試合 ヘビー級ショーケース・バウト 5分3R〇イスレム・マスラフ(フランス)[1R 0分10秒 KO]×ミカエル・グローグー(フランス)
マスラフは無敗記録を3-0に更新、3勝はすべてフィニッシュでうち2勝は1RKO。グローグーは試合開始直前にケージを触りながら余裕を見せたが、10秒KOに終わった。
▼第5試合 ライト級ショーケース・バウト 5分3R〇パトリック・ハビロラ(ベルギー)[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×クラウディオ・パシェラ(イタリア)
エキサイティングなファイトスタイルで観客の人気を集める、ベルギー出身ファイター・ハビロラは、プロ戦績を2勝0敗に更新。
▼第4試合 ライト級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇コナー・ヒューズ(英国)[1R 1分31秒 KO]×アナトリー・バール(ドイツ)
英国リヴァプール出身のヒューズが2024年PFLヨーロッパ・プレーオフに進出しイグナシオ・カペッラ と対戦。キャリア戦績9勝(4KO、4SUB)1敗に。2023年のレギュラーシーズンではディラン・テュークに敗れたが、「今シーズンは全勝する」と宣言。
▼第3試合 ウェルター級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇ダニエル・スカティッチ(イタリア)[1R 1分59秒 内ヒールフック]×アレックス・チゾフ(ラトヴィア)
Bellatorで7試合を経験しているスカティッツィ(イタリア|アイルランド)が、2024年PFLヨーロッパ・プレーオフに進出し、ヤクブ・カシュバ と対戦。戦績は13勝(5KO、3SUB)7敗に。
▼第2試合 ウェルター級レギュラーシーズンバウト 5分3R〇フロリム・ゼンデリ(アルバニア)[1R 4分11秒 リアネイキドチョーク]×トマシュ・ランゴフスキ(ポーランド)
アルバニアのゼンデリは2024年PFLヨーロッパ・プレーオフに進出。キャリア戦績8-1-1に更新、8勝はすべてフィニッシュ(5KO、3SUB)。
▼第1試合 ミドル級 5分3R〇ケヴィン・デル(フランス)[1R 1分10秒 ヒザ十字]×ヨネス・ナジッド(フランス)
デルのキャリア戦績は5勝6敗、5勝のうち4勝が一本。