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インタビュー

【UFC】マッケンジー・ダーン「アマンダ・レモスに対し、紛うことなきグラップラーの私としてはそこに隙があると思ってる」

2024/02/18 09:02
【UFC】マッケンジー・ダーン「アマンダ・レモスに対し、紛うことなきグラップラーの私としてはそこに隙があると思ってる」

(C)U-NEXT

 2024年2月17日(日本時間18日)、米国カリフォルニア州アナハイムのホンダセンターにて『UFC 298: Volkanovski vs. Topuria』(U-NEXT配信)が開催される。

 プレリミナリーのトリを飾るのが、競技柔術やグラップリングで数々の国際タイトルを獲得したマッケンジー・ダーンだ。

 女子ストロー級での対戦相手はともにジェシカ・アンドラージに敗れている3位のアマンダ・レモスとなる。7位のダーンは、「彼女にはグラップリングに穴がある」と言い、「今は“タイトルに辿り着ける”って落ち着いて考えられている」と自信を見せた。

柔術で戦って来たからハートを強く持って戦える

──ブラジリアン柔術の競技大会で活躍していたことは、MMAキャリアにおいてどのように影響を与えていますか。もはやMMAとはかなり離れた感もあります。

「いえ、今日までやってこられたのは、柔術の経験があってこそで、やる気をなくさずにモチベーションを保ててるのは、“勝つときもあれば敗けるときもある”と理解していて、自分の人生の中でどうやってトレーニングをして、競技に臨んできたか、そして柔術のキャリアのなかでどうやってより成長できるかが腑に落ちているから。それをMMAのトレーニングやMMAの試合に取り込んでる。多くの人は私の場合は極めが多いからよりラウンドを重ねるとなかなかうまく行かないって思われてるけど、私はそうは思わない。そういうときこそ、ハートを強く持ってより頑張っていける。大きな大会で硬くなってしまうこともないし、心地良くいられる。それは、1000以上の競技経験を、人生の中で重ねてきているからだと自分を信じてる」

──なるほど。技術のみならず勝負事として繋がっている。考え方も変わってきますか? つまりMMAの試合は自分の順番を座して待つという感じで、柔術のコンペティションだと勝ち上がっていくと次から次へと試合を重ねるわけで、そこには不確定要素があるのでは?

「ええ。いつも思うのは『オーケー、誰がこの階級の最後まで行くのかな?』って。トーナメントの一番上まで勝ち上がれるかなんて分からない。だけど、黒帯では良い面もあって、ストロー級ではみんながお互いを知っているから何度も何度も戦うことになる。今月じゃなきゃきっと来月、またみんなに再会するっていうわけ。今ストロー級は混戦状態で、自分が誰かを破る、するとそっちは他の誰かに勝って、今度はその人が自分を倒すなんてことがある。だから“何? 私はあなたを倒した、でもあなたあっちの子を倒した、そしてその子は私を倒してるって?”っていう感じ。だから、なんとなく分かったり学んだりする。ああ今日はあの人の日かもな、とか、いやちょっとしたミスもあるかもしれないなとか。みんながすごいハイレベルなところにいるから、“誰がよりミスをしないように”して、そして“相手のミスをどれだけ突くことができたか”という感じになる。ドミネートしなくちゃいけないんだっていうプレッシャーから解放される。

 MMAでは、ジョン・ジョーンズにハビブ・ヌルマゴメドフ、ロンダ・ラウジーやらアマンダ・ヌネスまで負けを知らない、本当にドミネートできる人たちがいるっていうことも分かってる。だけどそういう人たちを置いては、みんな私たちはここで学んでいる状態。ファンに素晴らしいショウを見せるために来ているし、スポンサーを代表する意味もあれば、自分自身のパーソナリティーを表明することも必要で、ちょっとWWE的な部分はあって。私たちはみんな自分の個性というものがあって、それぞれのライフスタイルがある。何100万という人の前で、そういう旅のような経験を出来るというのは本当にクールで、みんなトライ&エラーを目撃しているの。妊娠や離婚もそう、戦うこと、ノックアウトされることも!ほんとにクレイジーだけどすごく楽しくて、そこにやりがいがある」

──対戦相手のアマンダ・レモスについてはどうとらえていますか。お互いにサークリングする試合になるでしょうか。それはMMAの世界でも黒帯柔術の世界でも同じで今までにほぼ全員と対戦している状況で、ジャン・ウェイリーと対戦相手の試合から何か感じたり得られるものはありましたか。

「ええ。実際、私たちはお互いジェシカ(アンドラージ)に負けていて、彼女は極められ、私はTKOされた。ショートノーティスだったとしても事実、これはお互いにとってかなりいいマッチアップ。ジェシカに負けたもの同士ってことでね。ジャン・ウェイリー戦から見てとれたのは、ウェイリーがいかに、アマンダに対してグラップリングでドミネートしていたかという点。それが、紛うことなきグラップラーの私としてはそこに隙があると思ってる。

 もちろん私はグラップリングに特化していて柔術のサブミッションで勝とうとしているのは誰にも隠しようがないけれど、アマンダとの試合ということで言うと、とりわけ彼女の危険な打撃とパワー、それはウェイリー戦でもしっかりと発揮されていて目を見張るものがあった。で、弱点とまでは言わないけれど、彼女にはグラップリングにちょこちょこと穴があるな、と。ライブで観ていて “もし彼女と戦うならそこを突こう”って」

──ビッグマッチが並ぶ大会でも常連になってきていますが、今後のプランをどう考えていますか。

「ええ、今年はクレイジーな1年になりそうね。とにかく試合にすぐ帰ってきたい。なるべく早く試合を積みたい。だけど5月までは難しいみたいで。“ええ、どういうこと? 次は5月までないの? ”って。みんな予定が決まっていて、4月の『UFC300』までずっとクレイジーな試合が続くでしょ? 今年がすごい年になるのはもちろんだし、今大会はすごい。アレックス・ヴォルカノフスキー、イリア・トプリア、ロバート・ウィテカー、パウロ・コスタ、メラブ・ドバリシビリ、ヘンリー・セフードって、カードが半端ない! 私はプレリムのトリなんだけど、それで少しプレッシャーから解放されている部分はあって。また勝利街道に乗りたい私が、タイトルマッチをやったばかりの自分より格上の選手と戦う機会を手にして、しかもチャンピオンクラスの人たちに混ざって戦えるなんて。イリアなんて無敗だし。ホテルの周りを歩きながら思ったの。“わあ、最高の中の最高の人たちとここにいるんだ、すごいアガる!”って。これって本当にいい感じなの。そしてこれから今年どうなっていくかワクワクする。

 ソーシャルメディアで発信するようにしていたから、そのことをみんなに知ってもらえたと思うけど、個人的なレベルで良くないフェーズに直面したり、キツい場面があったときにSNSでシェアするのってすごく大変で。そこを切り替えて、自分のトレーニングを全部シェアしたいなって思って。見て! こんなに楽しいんだよ! 私がそんな場にいることを見て! って。すごいやる気が出たし楽しかった。今年はいいことがあるだろうなって。

 今年はあとは2試合できるかな? という感じで、5月にブラジルで戦いたくって。そのあとは多分もしかしたら年末くらいまでにはまた試合がしたい。タイトルマッチも近づいてると思う。いい勝ち方で2連勝できれば。タイトルコンテンダーの位置にまた戻りたい。それからあと何年かかけて最終的に階級を上げて一生懸命やり続けて、マッケンジーというファイター像というのを、勝とうが負けようが、王座とも関係なく、確立したいと思ってる。私はファイターのマッケンジーであることを今すごく楽しんでいるの。私はまだ、どうやってタイトルを獲れるだろうか、と考えているような状態だったけど、今は“タイトルに辿り着ける”って落ち着いて考えられているというか、今日や明日でなければならないというストレスはないし、タイトルを獲る自信があって、獲るまでは止まらない。

 でも、いずれはファイトを止めることになるということも理解しているし、ファンがいて応援してもらえればもらえるほど、勝っても負けても、ファンのみんなに恩返しをしなければならないなって。違う形で何を返せるのか考えて、自分らしい方法で、たとえば教える側になることだとかソーシャルメディアを通じてシェアするとか、セミナーをやるとか、いろいろなお返しの方法を考える必要があるなと。WWEに出たり、映画に出たりすれば、いずれそうなるというもの。だから、それに向けて、ファイターとしてのイメージと、ベルトを獲るまでの道のりをもっと強くしていかなければならない」

──あなたのパートナーのアントニオ・トロコリのDWCS優勝はいい影響がありましたか。

「ええ、とても良かった。素晴らしい。彼は最初の10秒で足を骨折してしまって。それでも素晴らしい勝利を収めたのはとても良かった。実は私はあの後、彼に出会ったの。彼のことは知らなかったんだけど、その試合を見て“ああ、あれは素晴らしい試合だった!” と思ったの。彼を見たこともなければ、会ったこともなかった。それで、去年の初めに、カリフォルニアで出会ったの。彼が『僕はコンテンダー・シリーズに出ていたんだ』 って言ってて私は『ええ、あなたのこと、覚えてる!』って返事したの。それがきっかけで話をするようになって、一緒にトレーニングをするようになったの。それでリアルに繋がった。最高でしょ。彼の試合を楽しみにしてるの、きっともうじきでしょうけど彼のUFCデビュー戦が楽しみ!」

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