2024年2月12日(月・祝)東京・後楽園ホールで開催された『RWS JAPAN』のメインイベントにて、プレーオプラーオ・ペップラオファー(タイ)を判定3-0で破りラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級王座を統一した名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)が試合後インタビューに答えた。
左足を引きずりながら現れた名高だが、「もう治ってきました」と戦いを終えたばかりとは思えない綺麗な顏でインタビューに答えた。
僕の予想をはるかに超えたタフさだった
――試合を終えた率直な感想は?
「プレーオプラーオ選手はずっとやりたかった選手で、スーパーフライ級で今タイで一番人気がある選手と試合をやらせてもらったんですけれど、本当にタフな選手と想像していたんですけれど、僕の想像の上を行くタフさで。いつも自分は対戦相手の仮想をするんですけれど、自分の中で過大評価してそれを超えてこないように意識してやっているんですが、タフさに関してはその想像をはるかに超えてきました」
――KO狙いと言っていたが、相手がタフだった。戦ってみてどう思ったか?
「正直、2~3Rの相手の勢いに気圧された部分があって。それが悔しくて。1R目にボディストレートが当たって顔面も効かせられたんですけど、いつもなら冷静になれたところで3階級目が懸かった試合ということもあってパワーを込めて打ちすぎてしまって。そこで手が打ち疲れしてしまって。そこからプランが狂ってしまった印象があります」
――タイのRWSと日本のRWS、会場の雰囲気とかは何か違った?
「タイでも大歓声をいつもいただけるんですけれど、今日の試合でも入場式の時でも、タイのRWSがそのまま日本に来たんじゃないかってくらい盛り上がっていたので、試合をしていて楽しかったし、苦しかったけれど楽しかったです」
――ベルトを巻いた時の心境は?
「ほっとしたのが一番で。もっと練習してきたことが出せて、KO出来る自信があったんですけれど、一筋縄では取らせてもらえなかった。判定の結果はフルマークでしたが、それ以上に相手の気持ちに気圧されたところがあったので悔しいです」
――倒されても前に出て来た正規王者の根性はどうだった?
「気持ちが強い選手ってずっと言われていて、ファイターズスピリットを持っている選手なので。タイでもそれでも人気があって。負けていても盛り返せる力があって人気がある選手だったので、そこは僕の予想をはるかに超えたというのがありました」
――1Rのダウンで超満員の観客が沸騰寸前にまで行った。その空気はどう感じた?
「このまま絶対に倒してやろうと思ったんですけれど、いつもは冷静に散らせたのに顏だけ、お腹だけになってしまって。しかもそこで手の力を使い過ぎてしまった。そこは反省点です。もっと冷静になれば展開も変わっていたと思います。出落ちじゃないけれど(苦笑)1Rが一番盛り上がってそこから僕がポイントをとる戦い方になってしまいました」
――練習したことの何パーセント出せた?
「プラン通り100%行くのはほぼないと思いますけれど、今までたくさん作戦がハマってきた試合があるんですけれど、今回は左に回る動きはよく出来たんですけれど練習してきたことの半分も出せなかったです」
――倒しに行かなかったのは打ち疲れが原因?
「4Rまではチャンスがあれば倒したいと思っていたんですが、5Rに入ってからは相手も最後まで倒しに来てはいたが、蓄積もあったし、会長も終盤以降もういいよって指示があったので。5Rはパンチや蹴りをもらわないように立ち回って流し切る作戦に変わりました。4Rまでは、1Rみたいにバッと自分から仕掛けるというよりはカウンター狙いで何か攻撃を当てて倒せればいいなと思ってやっていました」
――カウンター狙いに変えたのは何ラウンド?
「2Rか3Rです。試合内容を上がっちゃって覚えていないのも初めてです」
――過去最強の相手だった?
「やりづらさはなかったんですが、気持ちで押されのが悔しかったです」
――階級を上げたことで倒し切れなかったのか、プレーオプラーオがタフだったのか?
「今回プレーオプラーオ選手も過去一で仕上げて来たって情報も入っていたし、今までで一番練習しているって情報も入っていたので、過去最強のプレーオプラーオ選手で来たと思います。自分がパンチを当てて目が飛んでいたので倒せると思ったんですけれど、そこからガードして芯を外すじゃないけれど、なかなか倒れなくて。いつもなら倒せる攻撃で倒せなかったのでやっぱり打たれ強さ、プレーオプラーオ選手の回復能力と打たれ強さだなと思います」
――リング上でクマンドーイ選手との試合が噂になっているという話もあったが?
「クマンドーイ選手もRWSに初出場してバンタム級タイトルマッチで王者になったんですけれど、スーパーフライ級までクマンドーイ選手が落とせるって話しもあるので、その階級で出来ればやりたいです。また作戦を練って練習すれば勝てると思っています。僕は判定だったんですが、12月の試合でプレーオプラーオ選手を倒した選手がいて、その選手とやるって話もあるみたいだし、ここからまた試練が続くのかなって感じがします」
――伊藤選手の後、日本人選手が負け続けていたのは意識していた?
「今日出た選手は日本のムエタイのトップ選手だと思うので、その選手たちがRWS常連選手たちと戦って敗れてしまって。しかも日本の地で負けてしまったということで。日本の皆さんは僕たち日本人の勝利を期待してくださっていたのがほとんどだと思うので、そこで自分が勝たないと行けないって気持ちはより一層強くなりましたし、僕が魅せなければって気持ちが凄く強かったです。逆に力になりました」
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武尊選手のONEでの試合を見て自分も世界の舞台に興味がある
――武尊選手、海人選手がタイの強豪選手に敗れ、その中で最後の砦を守ったみたいな気持ちは?
「スーパーレック選手もペットモラコット選手もタイではビッグネームで、プレーオプラーオ選手もタイでビッグネームの選手ということで。ペットモラコット選手はペッティンディージムでプレーオプラーオ選手と同門で勢いづいていたし、ペッティンディージムの会長も来ていたので気合いの入り方を凄く感じていたんですけれど。そういうのもあって勝たないといけないって気持ちが強かったです」
――ダメージはある?
「特に大きなダメージはないですけれど、プレーオプラーオ選手のローキックの打点が高くて。腰に当たって足に力が入らなくなりました。3Rか4Rだったんですけれど、それがビックリしました。足が動かないぞって感じになりました。あとはカットしていたのでスネが痛いくらいです」
――今日のワイクルーの出来は?
「ワイクルーは感謝の気持ちを込めて踊るんですけれど、僕が思っているのは練習を見てくれた先生への感謝、ご飯を作ってくれたりお仕事を頑張っているお父さんとお母さんへの感謝を込めて踊っています。ワイクルーは文化なので、そういった文化を日本の皆さんにも見てもらいたいと思って、最後に日本の文化ということで最後に刀を使って侍のワイクルーを披露しました。それにプレーオプラーオ選手も乗ってくれたので、会場が盛り上がってくれてよかったです」
――今後のRWSを違うアリーナでもやってみたいと思う?
「今回凄く盛り上がったと思うし、タイ人の強さもみなさん分かったと思うので、これをきっかけにムエタイが認知されて日本人選手のレベルが上がってみんなでしのぎを削ってやれば、競技自体が盛り上がっていくと思います。僕も今日の試合で反省点があったので修正して強くなっていけばムエタイも盛り上がって、野球やサッカーのように普及するスポーツになると思うので、みんなで頑張りたいと思います」
――名高選手は野球で言えば大谷選手のようなレベルだと思うが。
「恐れ多いです。選手としても人間としても未熟者なので、練習の面ではもちろんですが、立ち居ぶるまいから何からもっと王者らしくなっていきたいと思っています」
――リング上で第2章がこれから始まると言ったが、どんな第2章にしていきたい?
「この選手より上のランクが来ると思うのでそこで戦うというのもあるし、武尊選手のONEでの試合を見て自分も世界の舞台、ONEの舞台で…自分はムエタイになると思いますが、そういった大会にも興味があるし、いろいろなことが出来ると思うので。最近連戦が続いたのでちょっとゆっくりして、また準備して次の活躍をまた見てもらいたいですね」
――クマンドーイが落とせたらという話だったが、自分が上げることは考えてない?
「スーパーフライ級が今の自分の適正なので。バンタムだと3ポンド上がるので、その3ポンドは本当に大きい。簡単に上げて勝てる次元の話ではないので、そこは会長や先生と相談して次の道を決めていきたいと思っています」