2024年2月10日(土)東京・後楽園ホール『SHOOT BOXING 2024 act.1』のメインイベントで対戦する、SB世界スーパーウェルター級王者・海人(TEAM F.O.D)と元ONEムエタイ世界フェザー級王者ペットモラコット・ペッティンディーアカデミー(タイ)。この一戦を、過去にペットモラコットと対戦経験のある“日本ムエタイ界の至宝”梅野源治(PHOENIX)が占った。
こういうカードを組んでくるSBは本当にヤバいだろ!
【写真】2015年4月、梅野源治(右)の挑戦を受けてルンピニー王座を防衛――2015年に梅野源治選手と対戦したペットモラコット選手と海人選手が対戦することが決まりました。最初にこのカードを聞いたときはどう思いましたか。
「ONEで活躍していた世界のトップどころを日本に呼んできたかと。そういう選手とやる海人選手の気持ちの強さも感じました」
――当時戦った時の印象は覚えてますか?
「とにかく手足が長い。蹴りをスウェーで避けたと思っても、もう一段階さらに伸びてくるというか、宇宙人みたいですよ。ジャブはうるさいし、めちゃくちゃ伸びてくるので避けられなかったですね」
――梅野選手はタイ人選手との対戦経験が豊富ですが、やはり別格ですか?
「そうですね。ペットモラコットは何百戦もやっているだけあって、頭いいんですよね。相手がこれをやったら嫌がるなっていうタイミングを狙ってそこを突いてくるので本当にやりづらかったですね。彼は首相撲の選手なので組みたいんです。当時の僕は首相撲で戦う気がなくて、パンチとヒジで倒す作戦だったのですが、手足が長いのでまずパンチの距離に入れず当たらないんです。ヒジを当てる距離が短いので余計に当たらず、仕方なく首相撲で戦わざるをえなくなる。僕はとにかくパンチをぶん回して組みに行って首相撲勝負をしたんですけど、そこからまたペットモラコットは首相撲はもちろんですけど、パンチ・蹴り・ヒジもさらに精度は高いのでなかなか穴がないんです。若干、首相撲で僕が有利に立ったのですが、今の映像を見るとなかなか組むのすら難しいし、全ての技のレベルが高くなっていますよね」
――当時よりも今は強くなっていると。
「そうですね。以前はパンチが下手くそでしたから。距離が長いことが脅威でしたけど、威力が凄いわけでもなかったし、速いわけでもなかったんですけど、今はスピードもあるし、重さもある。カウンターも上手いんじゃないですか。相手のパンチを避けながら左ストレートを合わせてONEでダウンを取っていました。ペットモラコットを倒すのは凄く難しいと思います。海人選手が勝つとしたら倒すくらいしかないのかなと。なかなか判定で勝つのも難しい。タワンチャイはペットモラコットに判定で勝ってますけど、ムエタイの超トップでテクニックも全部強い選手だから判定で勝てましたけど、タイ人以外の外国人選手がペットモラコットから判定で勝つ姿を僕は想像できないですね」
――逆に海人選手に関しては、どういった評価をされていますか?
「2020年に海人選手と戦ったピンペット・バンチャメークと僕は2018年6月に戦っています。当時同じ相手と海人選手はやるんだ!? と思って、注目して見ていたんですよ。結果、8Rまで延長にもつれ込み、ピンペットが勝ったんですけど、その試合で海人選手は結構左ミドルをバチバチもらって、腕も殺されてるし、サウスポーの蹴り主体の選手に対して慣れてないのかなと。海人選手はそういう選手は苦手なタイプの選手じゃないのかなという印象だったんです。その時の印象があり、今回のペットモノコットもサウスポーで長い距離でミドルをバンバン蹴ってくるので相性は凄く悪いんじゃないのかなと思っていたんですけど、海人選手の最近の映像を何回か見たら、パンチは強いし、蹴りの対処もしっかりできるようになっているし、ヒジ打ちで相手を倒したりしてるじゃないですか。
そういう意味では彼もパンチも蹴りもヒジもレベルが高いレベルにあるんで、日本で彼は別格なんじゃないのかなと思います。めちゃくちゃ面白い選手なので、今後どうなっていくんだろうと興味があります。その海人選手がペットモラコットの試合するということで、シュートボクシングの怖さというか、シュートボクシングのトップにめちゃくちゃ試練を与えるカードを組んできたのかと思ったら、めちゃくちゃ面白いですよね。こういうカードを組んでくるシュートボクシングは本当にヤバいだろ! 本当の世界のトップを持ってきてるんで、本気度が伝わるような一戦を組んできましたよね。自分のところのトップ選手が世界で一番スゲーんだぞというのを周りに認めさせたいという意気込みも感じさせます」
――どういう試合展開になると予想してますか?
「距離を取ったらムエタイ選手に勝てないので、海人選手が1Rからカーフキック、三日月蹴りとどれが当たるのかを圧力をかけながら確かめていき、ペットモラコットは海人選手はどういった攻撃で攻めてくるのかと出方を伺うと思います。2Rからペットモラコットは動き出すと思うので、海人選手ももちろん前にくるでしょう。海人選手は基本的なコンビネーションのワンツーからフック、ボディ、そこからカーフを蹴ったりとか、対角線のコンビネーションで攻めてくると思うんですけど、ペットモラコットは長い距離からジャブを突いて相手がガードしたら、その上からヒジを打ってジャブ。相手が詰めてこなかったら、遠い距離から左ミドルをバンバン蹴って、これを海人が嫌がったらパンチが来ると思うんです。
そこに海人選手はヒジを合わせにいったり、パンチを打ってきた手をロックして首相撲に持っていく展開にもいけます。近距離だったら海人選手に分があるし、超近距離もしくは中距離だったらペットモラコットの方が有利で、そういう距離の探り合いを1Rにして3R目に自分の距離を制した方が勝てると思います。今言ったように、ペットモラコットは2つの距離で戦え、海人選手は近距離の戦いになるので、2対1じゃないですか。時間が長くなれば長くなるほど、海人選手は倒しづらいだろうし、ダウンも奪いづらい。ペットモラコットがやりたい距離で戦っていけば、2ポイントぐらい差を付けて判定で持っていくじゃないかなと思います。だからまだペットモラコットが距離を掴んでない状態のときに、うまく蹴りを散らして散らしてパンチとかでダウンを奪えれば海人選手の勝機はあるのかなと思います」
――梅野選手の話をお聞きしてさらに試合が楽しみになりました。
「ペットモラコット、ヤバいだろ! あいつの強さは超一流なので、海人選手と二人で作り上げる試合が世界のトップを決める試合になるので、ヤバい試合内容を楽しみにしています」