KNOCK OUT「K.O CLIMAX 2019 SUMMER KICK FEVER」2019年8月18日(日)東京・大田区総合体育館
▼第10試合 メインイベント KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメント決勝戦○江幡 塁(伊原道場/新日本キックボクシング協会日本バンタム級王者/WKBA世界スーパーバンタム級王者)判定3-0 ※29-28、30-28、30-26×小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/REBELS/ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)※江幡がトーネメント優勝、KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座に就く。
KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメント決勝戦の顔合わせは、新日本キックボクシング協会日本バンタム級王者・江幡とISKA K-1ルール世界バンタム級王者・小笠原となった。両者は昨年6月のKNOCK OUTで一度対戦しており、その時は江幡が小笠原からKO勝ちを収めている。
今回のトーナメントでは、江幡が1回戦でWMC日本スーパーバンタム級王者・大野貴志に苦戦を強いられながらも、ダウンを奪っての判定勝ち。一方、小笠原は1回戦でミケール・フェルナンデス(スペイン)に左ローでダメージを与え、しっかりと差をつけて判定勝ちしている。共に決勝へ駒を進め、1年越しの再戦に臨む。
1R、構えは小笠原がサウスポーで、江幡がオーソドックス。小笠原が左ミドルを蹴れば、江幡もすぐに右ミドルを返して応戦。小笠原も前蹴りで江幡を吹っ飛ばす。
パンチが冴える江幡は左右フックから鋭い右ロー。小笠原もクリンチに持ち込んで離れ際を右フックで狙う。江幡はパンチを打ち分け、たびたび右ボディストレートをヒットさせる。
2R、左ミドルを積極的に蹴る小笠原に対し、パンチのコンビネーションを返していた江幡が、強烈な左ストレートで先制のダウンを奪う。立ち上がった小笠原も江幡の追撃をかわすと、ほどなく右ストレートをヒット。江幡は鼻から出血する。
3R、ワンツーから左ミドルを連打して懸命に前に出る小笠原。江幡もワンツーや左右フックから蹴りを振り抜いていく。以降も小笠原が左ハイからバックスピンキック、江幡が右アッパーから左ハイをぶつけ合うなど、一進一退の攻防が続いた。
勝敗の行方は判定に持ち込まれ、2Rにダウンを奪った江幡に軍配。江幡が小笠原を返り討ちにし、KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王者に輝いた。
試合後、マイクを向けられた江幡は「みなさん、応援ありがとうございました。KNOCK OUTのベルトを巻くことができました。初めてのトーナメント戦だったのでドキドキでした。大野選手は試合前の『噛みつく』という言葉通りの力強さでしたし、小笠原選手も気持ちが見せてくれました。僕は新日本キックボクシング協会とWKBAの世界ベルトを持っています。僕には双子の兄(江幡睦)がいて、彼もチャンピオンです。ここからがスタートです。これからもっとキックボクシングが盛り上がると思います。もっともっと白熱した試合が届けられると思います、みなさん、応援よろしくお願いします」と勝利のコメントを述べた。
▼第9試合 セミメイン 70.0kg契約 3分3R×日菜太(クロスポイント吉祥寺/REBELS 70kg級王者)判定0-3 ※28-29、28-29、27-30○ジョムトーン・チュワタナ(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム・フェザー・スーパーフェザー級王者、元OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者)
日菜太はK-1 WORLD MAXからREBELS、そして新生K-1のリングで活躍してきた日本キック界のベテラン。今年2月REBELS 70kg級タイトルマッチでは、当時のラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者シップムーン・シットシェフブンタムからKO勝ちを収め、3度目の王座防衛を果たした。続く6月の試合では、シュートボクサーの坂本優起に苦戦しいられながらも判定勝ち。好調のまま、今大会で念願のジョムトーンとの一戦を迎えることとなった。 そのジョムトーンはラジャダムナンスタジアムで3階級制覇を制覇し、2008年には同スタジアムのMVPにも選ばれたムエタイの世界的強豪。2010年からはプロボクサーとしても活動し、2015年5月にはあの内山高志とWBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチを争った(内山が2RでTKO勝ち)。ムエタイ復帰後は2016年にクンルンファイトの70kg世界トーナメントで準優勝、今年5月には5年ぶりのラジャダムナン復帰戦で、トップ選手のサッグモンコンにヒザ蹴りでKO勝ちしている。
1R、共に構えはサウスポー。日菜太は序盤から積極的に右ローを蹴っていくが、ジョムトーンはこれを巧くキャッチして、左ハイや左ストレートで顔面を狙う。たびたび転倒させられる日菜太。鋭いワンツーも見せ始めたジョムトーンに対し、日菜太は左ストレートをかわすことができずダウンを喫してしまう。立ち上がった日菜太は懸命に左ローを返すが、ジョムトーンは右ジャブから左ストレートで追撃していく。 2R、左ローを蹴りまくる日菜太。ジョムトーンはクリンチからのヒザ蹴りで応戦する。日菜太はさらに左右フックの連打を振るうが、これがやや雑になったところでジョムトーンのワンツーを被弾。それでも日菜太はあきらめずに左ローを返し続け、終盤にはついにジョムトーンが嫌がり始める。
3R、日菜太は開始早々に左ローの連打からバックハンドブローを放つも、これは空振り。左ミドルが届かなかったジョムトーンは、すぐにクリンチに持ち込んでヒザ蹴りを連打する。日菜太の左ローを受けるとジョムトーンは足をかばいながら後退。日菜太は左ハイからのバックハンドブローで奇襲に出るが、これはジョムトーンがかわず。残り1分を切ったところで、日菜太はワンツーもヒットさせたが、ジョムトーンは左右ミドルを返した。
怒濤の左ロー攻めで追い上げた日菜太であったが、序盤に喫したダウンを挽回するまでには至らず。ジョムトーンが判定で勝ち名乗りを受けた。
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▼第8試合 63.5kg契約 3分5R○宮越慶二郎(拳粋会宮越道場/WBCムエタイ・インターナショナル・ライト級王者)TKO 3R 2分05秒 ※ヒジ打ちによるカット→レフェリーストップ×鈴木真治(フジマキックムエタイジム/元J-NETWORKスーパーライト級王者)
宮越は昨年12月にスアレック、今年4月に新日本キックボクシング協会日本ライト級王者・勝次と強豪を連破して絶好調。KNOCK OUTには2018年2月以来の参戦となるが、意外にもKNOCK OUTではまだ白星を挙げられていない。
対する鈴木は2005年にプロデビューし、40戦以上のキャリアを持つベテラン選手。2008年11月に開催されたシュートボクシング世界トーナメントS-cupでは決勝進出を果たしている。また、6月5日にはラジャダムナンスタジアムでタイ人選手を相手に2RでKO勝利を飾った。
1R、右ローの蹴り合いでスタート。左ジャブと左フックを混ぜる宮越に対し、鈴木が徐々に右フックや左ボディをヒットさせ始める。鈴木は左インローも強烈。宮越がバランスを崩して転倒する場面も。
2R、宮越は前に出てきた鈴木を両拳で突き放すと、すかさず右ローや左ミドルを蹴る攻め。さらに宮越は軽快なステップから左フックや右ストレートも当てにいく。しかし、鈴木はしっかりと構えたまま宮越の動きを見極め、動きが一瞬止まったところで強烈な左ボディと右フックを叩き込む。
3R、宮越はなおも動き回ってさまざまな角度からパンチを打つが、なかなか鈴木をとらえることができない。逆に鈴木の強烈な右ストレートと左フックを被弾して、よろめいてしまう。
しかし、組みの攻防になったところで、宮越が一瞬の隙を突いてエルボー。これが鈴木の顔面を深くカットする。鈴木はドクターチェックの末に試合続行が不可能に。劣勢だった宮越が逆転のTKO勝利を飾った。
▼第7試合 58kg契約 3分5R×駿太(谷山ジム/Bigbangスーパーフェザー級王者)KO 5R 1分18秒○安本晴翔(橋本道場/REBELS-MUAYTHAIフェザー級王者)
駿太は2003年2月にプロデビューし、6月のBigbangで60戦目を迎えた大ベテラン。国内とタイのトップ選手を相手に渡り合い、戦績は36勝(14KO)20敗4分。KNOCK OUTには2018年9月の大阪大会で初参戦し、メインイベントで高橋聖人と対戦。熱戦の末に判定勝ちを収め、まだまだ若手の追随を許さない実力を証明した。6月のBigbangでもKO勝ちしている。
対する安本は少年時代からアマチュアで150戦以上を経験し、24冠王に輝くなど活躍。2016年6月に16歳でプロデビューを果たすと、6戦目でREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座、2018年12月にはINNOVATIONスーパーバンタム級王座を獲得した。今年2月にシュートボクシングのリングで迎えた14戦目で初黒星を喫したが、6月のREBELSでは栗秋祥梧を破りREBELS-MUAYTHAIフェザー級王座を戴冠。現在19歳で戦績を13勝(4KO)1敗2分としている。
1R、サウスポーの安本は前蹴り、左インロー、変則的な軌道の左ハイを連続で放ち、さっそく持ち味を見せる。安本はテンポを落ち着かせたかと思えば、突如パンチの連打を振るうなど緩急のある攻撃。駿太はこれに翻弄され、徐々に安本のパンチの連打を被弾して、懸命にクリンチで堪える状況に追い込まれる。安本はさらに至近距離から左ハイと左ミドル。駿太は終盤に右まぶたをカットしてドクターチェックを受けた。
2R、駿太の前進に対し、安本は巧みなステップで回り込み、左右フックから右ハイをヒット。さらに駿太のワンツーに安本はカウンターの右フックを合わせる。駿太は至近距離からでも飛んでくる安本の左ミドルと左ハイを前に、なかなか反撃の糸口が見つからない状況が続く。
3R、巻き返したい駿太は左ジャブから右フックと右ローに繋げていくが、負傷箇所の出血が増し、ドクターチェックを受ける。試合が再開されると、安本は駿太がコーナーに詰まったところで、飛び上がるようにして左右ハイ。安本は勢い余ってリングから落ちそうになる。駿太も右フックと右ローを返すが、終了間際に安本のバックハンドブローを被弾した。
4R、ややペースダウンした安本に対し、駿太が右ハイからワンツーを叩き込む。すぐに右ストレートを返す安本。駿太は前に出て右ボディストレートやエルボーを振るうが、安本はこれをロープ際で待ち構え、打ち終わりにパンチのコンビネーションや左右ハイを豪快にまとめる。
5R、打ち合いになると、安本の鋭いワンツーが駿太の顔面にヒット。顔面が血で真っ赤になった駿太は再びドクターチェックを受ける。ここから試合が再開されると、直後に安本が堰を切ったかのように怒濤のパンチラッシュ。駿太は何度も頭を揺らされ、ついにダウンを喫する。
立ち上がろうとするもバランスを崩して再び倒れ込む駿太。レフェリーは試合続行は不可能と判断し、ここで試合を止めた。安本がKO勝ちで力を見せつけた。
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▼第6試合 KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメント準決勝 3分3R○江幡 塁(伊原道場/新日本キックボクシング協会日本バンタム級王者/WKBA世界スーパーバンタム級王者)判定2-0 ※29-27、28-28、29-28×大野貴志(士道館新座ジム/元MA日本キックボクシング連盟フェザー級王者/WMC日本スーパーバンタム級王者)※江幡がトーナメント決勝に進出。
江幡は双子の兄・睦とともに江幡ツインズとして注目され、新日本キックボクシング協会のエースとして活躍。昨年6月のKNOCK OUTでは、ISKA K-1ルール世界バンタム級王者・小笠原瑛作からKO勝ちを収めた。軽量級日本最強との呼び声も高く、現在9連勝中と絶好調だ。
対する大野はMA日本キックボクシング連盟フェザー級王座とWMC日本スーパーバンタム級王座を獲得した実力者。6月の前戦ではREBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者・KING強介を判定で下し、今回のトーナメントへの出場権を掴んだ。
1R、軽快なステップで距離を図る両者。左インローをコツコツと蹴る大野に対し、江幡が鋭い右ハイ強襲を見せる。するとほどなく、江幡が左インローから電光石火の左右フックをクリーンヒットさせ、先制のダウンを奪う。
立ち上がるも足がふらつく大野。江幡はパンチをまとめて試合を決めにいく。大野は右アッパーでアゴを跳ね上げられ、右ボディで体をくの字に曲げられるが、なんとか持ち堪える。終盤には大野もパンチを打ち返すが、ハンドスピードで勝る江幡に鋭いワンツーを突き刺されてピンチが続く。
2R、意地を見せたい大野はパンチで手数を増し、江幡の左ジャブに左オーバーハンドをかぶせにいく。さらに大野はワンツーから鋭い右ハイ。これが江幡の頭上をかすめる。大野の勢いは止まらず、至近距離から怒濤の縦ヒジをぶつけ、ついに江幡にロープを背負わせる。
動きが止まる江幡に対し、パンチを振るって襲いかかり続ける大野。この逆襲撃に場内からは大きな「貴志コール」が沸き起こる。すると大野は江幡の左まぶたをカットすることに成功。ドクターチェック後に試合が再開されると、大野は左ジャブから怒濤の右ストレート&縦ヒジ攻めでさらに畳みかけた。
3R、開始直後に大野が目の付近のドクターチェックを受けるが、問題なく試合再開。ヒジで切り裂きにいく大野。これをかわして左フックを返す江幡。一進一退の攻防が続く中、大野のアグレッシブさは落ちないが、江幡は攻撃をかいくぐりながらパンチと左ハイもヒットさせていった。
判定はジャッジ1名がドローをつけたが、残り2名は江幡を支持。江幡が大野の猛反撃を振り切り、トーナメント決勝進出を決めた。敗れた大野が四方に礼をしてリングを下りると、観客は大きな拍手を送った。
▼第5試合 KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメント準決勝 3分3R○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/REBELS/ISKA K-1ルール世界バンタム級王者)判定3-0 ※30-28、30-28、30-27×ミケール・フェルナンデス(スペイン/マンバジム/ISKAスペインフェザー級王者)※小笠原がトーナメント決勝に進出。
小笠原は2016年12月の旗揚げ大会からKNOCK OUTにレギュラー参戦している軽量級のエース。1つの引き分けを挟み7連勝で臨んだ昨年6月の江幡塁との一戦で、逆転KO負けを喫したが、その後はREBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者・KING強介、第8代NKBバンタム級王者・髙橋亮、MAX MUAYTHAI55kg級王者ペットヤソー・ダームランサラカムを下し、再び連勝街道に乗った。
対するフェルナンデスは13勝1敗の戦績を持ち、13勝のうちKO勝ちが12試合という倒し屋。メディカルチェックで頭部に異常が認められたため欠場となったレダ・ナライン(オランダ/チーム・ナライン)の代替選手として、今回のトーナメントに参戦が決まった。
1R、開始直後から積極的にパンチを振るっていくフェルナンデスに対し、小笠原は軽快なフットワークでかわしながら強烈な左ローを蹴っていく。フェルナンデスは右ストレートと右ボディストレートを届かせる場面もあったが、次第に足を効かされて体が前傾し始める。
2R、小笠原はなおも右ジャブからの左ミドル&ローで攻め、これを嫌がったフェルナンデスは懸命にクリンチ。しかし、レフェリーが両者を引き離して試合を再開させると、フェルナンデスは小笠原の怒濤の左ロー攻めで棒立ち状態に。小笠原はフェルナンデスのがら空きとなった顔面にパンチもまとめる。
3R、フェルナンデスはクリンチからヒザ蹴りとエルボーにいくが、小笠原はしっかりと組みまけることなくディフェンス。中盤に小笠原は蹴りがローブローとなり口頭注意、フェルナンデスは倒れた相手を蹴りにいってイエローカードをそれぞれ受ける。しかし戦況は変わらず。小笠原が左ミドルの連打を叩き込むなど優勢を保ち、判定勝ちで決勝に駒を進めた。
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▼第4試合 72.6kg契約 3分5R○T-98(クロスポイント吉祥寺/WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者)TKO 4R 1分13秒 ※ヒジによるカット→レフェリーストップ×斗吾(伊原道場/新日本キックボクシング協会日本ミドル級王者)
T-98(たくや)は2007年11月にプロデビューし、ボディストレートとローキックを武器に70kg前後の階級で長らくトップに君臨。2016年6月にはムエタイ最高峰のラジャダムナンスタジアムで、日本人5人目となる王座を獲得し、同年10月には日本人初となる現地タイでの防衛にも成功した。今年2月にはNJKFでYETI達朗を破り、9本目のベルトとなるWBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王座を奪取。戦績を38勝(19KO)21敗5分としている。
対する斗吾は2005年11月にプロデビューし、強打を武器にKOを量産。これまで主戦場としてきた新日本キックボクシングでは、2015年9月にミドル級王座を獲得し、2017年3月には初防衛にも成功している。国内王者クラスだけでなく、タイ、カンボジア、韓国などの外国人刺客との試合経験も豊富。以前からKNOCK OUT参戦をアピールしており、今回は満を持しての初出場となる。
1R、T-98が右ローをテンポ良く当てていき、左インローから左ジャブを突くコンビネーションも見せる。斗吾は時おり左ミドルを返し、細かい左ジャブの連打から右ストレートを繰り出すが、これはT-98のガードの上を叩く。終盤にかけてはT-98の右ローが攻めが目立った。
2R、パンチの手数を増した斗吾は、右アッパーと縦ヒジで強襲。これがT-98を脅かし始める。T-98も負けじとパンチを返し、左ジャブから右オーバーハンド、さらに至近距離から左アッパーから左フックを振るう。
3R、T-98は間合いを潰しながら斗吾のパンチを食い止め、至近距離からヒジと右ローを当てていく。終盤に斗吾は左まぶたをカットして出血。ドクターチェックから試合が再開されると、T-98はすぐにパンチをまとめるが、斗吾も打ち合いに持ち込んで追撃を食い止めんとする。
4R、手数が落ちた斗吾に対し、T-98はパンチのコンビネーションからヒザ蹴りを突き刺す。さらにT-98の強烈な右ローで斗吾が大きくバランスを崩して転倒する。この直後に斗吾の出血が激しくなったの見て、レフェリーが試合をストップ。T-98が安定した戦いぶりで、TKO勝ちを収めた。
▼第3試合 62kg契約 3分3R×良太郎(池袋BLUE DOG GYM/REBELS-MUAYTHAIライト級王者)TKO 3R 2分35秒 ※ヒジによるカット→レフェリーストップ○雅 駿介(PHOENIX/ムエタイオープン&スック・ワンキントーン認定ライト級王者)
良太郎はパンチと首相撲からのヒザ蹴りを武器に、2017年11月にREBELS-MUAYTHAIライト級王座を獲得。今年2月には初防衛にも成功している。また、街を歩けば高確率で職務質問をされるという逸話を持ち、“千の職質を受けた男”としても知られる選手だ。戦績は11勝(4KO)11敗5分。
対する雅は2014年に学生キックのライト級王者に輝き、同年のRISEアマチュア大会『KAMINARIMON』の全日本トーナメント65kg級で優勝した実績を持つ。その翌年にプロデビューし、今年2月にムエタイオープン、6月にスック・ワンキントーン(SUK WAN KINGTHONG)のライト級王座を獲得。戦績を14勝(6KO)2敗としている。
1R、序盤から左ジャブと右ミドルをスピーディーに打ち合う両者。次第にワンツーや左右フックから組み合う展開が増える。組み際を縦ヒジで狙う雅。終盤には雅の細かい左ジャブの連打がたびたび良太郎の鼻っ柱をとらえる。
2R、パンチのコンビネーションでこじ開けんとする良太郎に対し、雅が巧く間合いを取りながら右ローとパンチの連打を当てていく。しかし、雅が組みにきたところで、良太郎も強烈な右フックをヒット。雅は腰が一瞬落ちる。再びパンチの交錯から組みの攻防に入ると、雅は縦ヒジを連打。終了間際には両者が足を止めてパンチの打ち合いを見せる。
3R、パンチの連打をぶつけ合う両者だが、右ローや右ミドルにも繋げるのは雅。組み際に再三、縦ヒジを落としていた雅は、残り時間1分に迫ったところでついにカットに成功する。ドクターチェックから試合が再開されると、良太郎はパンチをまとめて懸命に追い上げ。だが、再び雅との打ち合いに転じたところで、良太郎の出血が激しさを増す。ここでレフェリーが試合をストップ。雅がTKOで15勝目をあげた。
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▼第2試合 46kg契約 3分3R○ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)判定2-0 ※30-28、29-29、29-28×祥子(JSKキックボクシングジム)
ぱんちゃんは今年2月のプロデビューから3戦全勝と快進撃を続ける女子キック界のホープ。6月のREBELSでは韓国の新鋭パク・シウを相手に初の国際戦に臨み、熱戦の末に判定勝利を飾った。また、最近では雑誌のグラビアを飾り、大会ポスターにも大きく掲載されるなど、“キューティーストライカー”としてリング内外で活躍を見せている。
対する祥子はアマチュアで試合を重ね、2012年6月にプロデビュー。出産から約6年間のブランクを経て、昨年1月にリングに復帰した。現在は2人の子どもを育てながら選手として活動するとともに、所属ジムとフィットネススタジオを代表として切り盛り。戦績は4勝6敗だが、平岡琴や佐藤レイナといった強豪たちと拳を交え、4月にはJ-GIRLSピン級王座決定戦に抜擢されるなど、着実に経験を積んでいる。
1R、ぱんちゃんが右ストレートと右ミドルの2連打で先制。祥子が右ローを返すと、ぱんちゃんは右ストレートをねじ込むようにしながらロープ際へと押し込んでいく。距離を取り直すと、左右のパンチと前蹴りを当てていくぱんちゃん。祥子も次第にパンチの連打で仕掛けるようになり、ぱんちゃんと荒々しく組み合う展開が増えた。
2R、ぱんちゃんは前蹴りで祥子を突き飛ばすと、すぐにストレート系のパンチを連打しながら迫る。祥子が組んでくれば、ぱんちゃんは片手クリンチから右ストレート、さらにヒザ蹴りの連打。祥子は時おり左右ローを返すも、なかなか連続した攻撃を出すことができない。
3R、ぱんちゃんがなおも前蹴り、パンチの連打、組んでのヒザ蹴りで優勢。祥子は体勢を崩されたところで、ぱんちゃんの顔面ヒザ蹴りと右ボディアッパーを喰らう。組みの展開が増える中、ぱんちゃんはワンツーから左ミドルのコンビネーションを決める場面も。
判定はジャッジ1名がドローをつけたが、残り2名はぱんちゃんを支持。ぱんちゃんが初参戦のKNOCK OUTで勝利し、4連勝を飾った。
▼第1試合 63kg契約 3分3R REBELSルール×大月晴明(マスクマンズ/元WPKC世界ムエタイライト級王者)判定0-3 ※26-30×3○丹羽圭介(TEAM KSK/REBELS 63kg級王者)
大月はプロデビューが1999年10月という45歳の大ベテラン。これまでにWPKC世界ムエタイライト級王座、第3代Krush-60kg級王座、全日本ライト級王座、ISKAムエタイ・インター コンチネンタル・スーパーライト級王座などを獲得し、戦績は42勝(29KO)12敗。“爆腕”と呼ばれる強打を武器に、昨年5月のKNOCK OUTでは山口侑馬をKOするなど、いまだ若手の追随を許さない。
対する丹羽は2010年2月にプロデビュー。同年にRISEの新人王トーナメントで優勝し、2015年11月には11連勝でRISEライト級王座に挑むなど活躍した(水町浩に判定負け)。2017年5月にはタイであのロッタン・ジットムアンノンとの試合も経験(判定負け)。2018年10月からはREBELSに定期参戦し、4連勝で今年4月にREBELS初代63kg王者となった。現在はTEAM TEPPENで練習を重ね、独特の間合い操作に磨きをかけている。36歳で戦績は19勝(2KO)7敗。
1R、両腕を大きく広げて相手の攻撃を待ち構える大月に対し、カウンターを警戒してか、なかなか手が出ない丹羽。両者がまったく攻撃しない状況が続き、レフェリーが警告を与える。
試合が再開されてもしばし同様の状態が続いたが、終盤に入ると大月がついに左右フックで襲いかかる。しかし、丹羽は大月の攻撃が一瞬止まったところで、巧く右ストレートをヒット。丹羽が先制のダウンを奪う。
2R、丹羽は間合いが遠めの時は前蹴りと左右ローを当て、大月が迫ってくるとパンチのカウンター。大月は打ち終わりに左ジャブと右ストレートをもらう場面が目立つ。大月は左ボディを返し、さらにワンツーを打つがこれは届かず。大振りになる大月に対し、丹羽がストレート系のパンチとアッパーで有効打を重ねる。
3R、丹羽が右ミドルから打ち下ろしの右ストレートをヒット。大月の腰がたびたび落ちる。丹羽はさらにパンチをまとめてフィニッシュにいくが、大月は左右フックを思い切り振るって追撃を食い止める。終盤に左まぶたをカットした大月にドクターチェックが入るが、試合は再開。大月は最後のラッシュで迫ると、丹羽は懸命にクリンチで潰し続けた。
ダウンを奪った丹羽が大差の判定勝ちで、ベテランの大月を破った。
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【REBELS division】
▼第4試合 55.34kg契約 3分3R KNOCK OUTルール×炎出丸(クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKスーパーバンタム級王者)判定0-3 ※27-30×3○壱・センチャイジム(=いっせい/センチャイムエタイジム/LPNJバンタム級王者)※壱がKING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメントのリザーバー権利を獲得。
REBELS divisionのトリを飾るのは、ベテランの炎出丸とホープの壱(いっせい)の一戦。この試合は、KING OF KNOCK OUTスーパーバンタム級初代王座決定1DAYトーナメントのリザーブマッチとして行われる。
炎出丸は2005年6月にプロデビューし、キャリア60戦を超える36歳。2013年3月にJ-NETWORKスーパーバンタム級王座を獲得した実績を持つ。再起戦となった6月のREBELSでは、RKAスーパーバンタム級王者・ダイナマイト柿崎からハイキックでダウンを奪い、判定勝利を収めている。戦績は31勝(5KO)25敗8分。
対する壱は「職業イケメン」を名乗り、強打のラッシュで注目を集めている22歳のホープ。7戦目にして小嶋勇貴を破り、LPNJ(ルンピニースタジアム・オブ・ジャパン)バンタム級王座に就いた。戦績は10勝(4KO)1敗1分。
1R、ジリジリと前に出てプレッシャーをかけるオーソドックスの炎出丸に対し、サウスポーの壱が強烈な左ミドルを一発。壱は相手のヒザに向けて細かく前蹴りを打ち込み、炎出丸の前進を食い止めながら左ミドルを蹴っていく。炎出丸は壱がロープ際に詰まったところで右フックや右ストレートを振り抜くも、かわされる場面が多い。
2R、壱は右ジャブから左ローを連続で蹴り、ここからいきなり左ハイを振り抜いて強襲にいく。壱の左ミドルで炎出丸は右脇腹が腫れ上がるが、それでも粘り強く間合いを潰してパンチを打つ。終盤には炎出丸が壱の前蹴りをキャッチして、右フックを強打する場面も。
3R、左右ミドルと組んでのヒザ蹴りで手数を落とさない壱。炎出丸は右ローの連打を返しながら前進を止めないが、狙いすました右フックはなかなか壱をとらえることができない。終盤に入ると壱が怒濤の左ミドル連打を見せ、炎出丸の動きを封じた。壱が盤石の判定勝ちを飾り、トーナメントのリザーバー権利を獲得した。
▼第3試合 52.5kg契約 3分3R KNOCK OUTルール×蓮沼拓矢(ノーナクシンムエタイジム)判定0-3 ※27-29×3○濱田 巧(team AKATSUKI)
蓮沼は昨年12月のREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級タイトルマッチで、王者・老沼隆斗に判定負け。今年4月にベテランの松﨑公則を判定で下し再起を飾るも、続く6月にはジャパンキック・フライ級王者の石川直樹に判定負けし、再び再起を図ることとなった。
一方、濱田は昨年6月にREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座決定リーグ戦の最終戦で、蓮沼に2R1分04秒KO負けを喫したが、その後は4勝1分と負け無し。「あの日から今日までそのことを忘れてない」と、1年2カ月ぶりの再戦で蓮沼へのリベンジを目指す。
1R、変則的な細かいステップから左ジャブや左ミドルを打つ濱田。やや翻弄されている様子の蓮沼に対し、濱田が細かいパンチの連打から電光石火のバックハンドブローを放ち、これが見事に決まる。蓮沼はダウン。
濱田は以降も左のジャブとフックを顔面とボディへ巧みに打ち分けながら、バンクハンドブローやバックスピンキックを狙い、居合いパンチのような動きも見せて会場を沸かせる。
2R、濱田のステップワークを前になかなか攻撃を当てられない蓮沼であったが、中盤にワンツーをヒット。右ストレートを振り抜いた濱田に対し、蓮沼はバックスピンエルボーも狙う。両者のコンタクトが激しさを増し、至近距離から左右のアッパーとエルボーを打ち合う場面も。
3R、パンチ、蹴り、エルボーのコンビネーションを休むことなくぶつけ合う展開の中、濱田のバックスピンエルボー強襲が決まる。蓮沼も負けじと距離を詰め、さまざまな角度からパンチを牛込むが、濱田は組んでクリーンヒットを許さず。濱田が判定勝ちでリベンジを果たした。
▼第2試合 63kg契約 3分3R REBELSルール○与座優貴(橋本道場)判定3-0 ※29-28、30-29、30-28×ジョニー・オリベイラ(ブラジル/トーエルジム)
与座は2017年に19歳で極真空手の全世界ウェイト制空手道選手権大会軽量級(-70kg)を制覇した実績を持ち、今年3月からキックボクシングに転向。すでに『イノベーション』で3試合、『REBELS』で1試合に出場と、ハイペースに試合を重ねており、得意の蹴りを武器に4戦全勝(3KO)と快進撃を見せている。
対するオリベイラはこの試合がキックボクシングで57戦目となる42歳のベテラン。長きにわたって新日本キックボクシング協会の日本ランキングに名を連ねてきた。
1R、右の蹴りを上中下に散らすオリベイラ。与座は右ミドルで快音を鳴らすと、続けて左ローから間髪入れずに左ハイを放つなど、早速持ち味の蹴り技を見せつけていく。終盤には左ローでオリベイラを足元からすくうように転倒させた。
2R、共に左右の蹴りを打ち合う展開が続く中、前蹴りや踵落としなども織りまぜて押し気味に試合を進めるのは与座。強烈な左ミドルを何度も叩き込まれたオリベイラは、後半に入るとパンチを連打しながら突進し、巻き返しを図る。
3R、オリベイラのパンチをかわしながら与座がバチバチと蹴りを当てていく。さらにオリベイラの離れ際には与座の左フックと左ミドルが連続ヒット。これでオリベイラの動きが一瞬止まる。以降は与座がオリベイラのパンチをかわして試合終了。与座が判定勝ちで5勝目をあげた。
▼第1試合 80kg契約 3分3R REBELSルール×ロッキー川村(パンクラスイズム横浜/第11代・第13代パンクラス・ミドル級王者、第4代パンクラス・ライトヘビー級王者)KO 2R 1分13秒 ※右フック○吉野友規(スタージス新宿ジム)
川村は2005年7月に総合格闘家としてプロデビュー。強烈なパンチを武器にパンクラスでミドル級とライトヘビー級の二階級を制覇するなど活躍してきた38歳のベテランだ。近年は映画『ロッキー』の主人公になり切ったキャラクターで、様々な団体で活躍中。キックボクシングではこれがデビュー戦となる。
対する吉野は29歳でキックボクシングと出会い、昨年12月に32歳でプロデビュー。現在まで3戦全勝と無敗をキープし、REBELS重量級期待の新星と目されている。元々は剣道で腕を鳴らし、高校3年生で国体優勝、大学4年生で全日本選手権団体戦3位、大学卒業後は実業団で活躍していた。
1R、ワンツーからのパンチ連打で襲いかかる吉野に対し、川村はサイドにステップして距離を取らんとするが、たびたびコーナーに追い込まれてヒザ蹴りとパンチのコンビネーションを浴びてしまう。ややペースが落ち着くと、川村もパンチをかわして右フックを返す。終盤には吉野の右ローが決まる。
2R、左ミドル&ローから左ジャブを打ち下ろす吉野。川村も左ボディから右フックを振るうコンビネーションで応戦するが、離れ際に吉野の右フックを被弾してダウンする。立ち上がるも足元がふらつく川村。吉野が渾身の右フックを叩き込み、KOで試合を決めた。
▼オープニングマッチ第2試合 58.0kg契約 3分3R○浦林 幹(クロスポイント吉祥寺)判定3-0 ※28-27、29-27、29-27×塚本勝彦(TORNADO)
▼オープニングマッチ第1試合 57.5kg契約 3分3R○新田宗一朗(クロスポイント吉祥寺)KO 2R 25秒×神田賢吾(WSRフェアテックス幕張)