2023年12月16日(日本時間17日朝8時)米国ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて『UFC 296: Edwards vs. Covington』(U-NEXT配信)が開催される。
メインイベントは「UFC世界ウェルター級選手権試合」(5分5R)として、王者レオン・エドワーズ(英国)に、コルビー・コビントン(米国)が挑戦。
コメインでは「UFC世界フライ級選手権試合」(5分5R)で王者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)に、UFC3連勝中のブランドン・ロイバル(米国)が挑戦する。
前日計量では、王座戦の4選手ともにパス。またメインと呼応するウェルター級の第10試合では、17戦無敗・全試合フィニッシュ勝利のシャフカト・ラフモノフ(カザフスタン)と、“ワンダーボーイ”スティーブン・トンプソン(米国)が対戦する。
3歳から始めた空手から、26歳でMMAに挑戦し14年。悲願のUFC王座を諦めていないトンプソンは、驚異の29歳を前に、「ラフモノフを倒す事で世界のファン、UFCにもタイトル戦に自分が相応しい事を見せたい」と語った。
圧力をかけてくるラフモノフに、自分のアングルを活かす事ができる
──17戦無敗、17フィニッシュの29歳のラフモノフ選手との対戦オファーに即答でしたか?
「回答するのに時間は一切かからなかったよ、考えるまでもなかった。“やろうぜ!”と思った。自分のゴールはUFCでチャンピオンになる事、それは自分の中での確定事項だ。もちろん今までも無敗の相手の試合をした事がある。そして勝利をしている。ラフモノフは無敗の上、100パーセントのフィニッシュ率だ。だけどこの試合は、UFCや世界中にいるファンに自分がタイトル戦に相応しい事を証明できる機会になる。だから、この試合の話を聞いた時から、この試合をやる事についてはGOでしかなかったんだ」
──7月のミッシェル・ペレイラ戦では、キャッチウェイト戦を飲まずに試合をキャンセルしました。タイトル戦に絡むための判断でしたか。
「いや、あの試合がキャンセルになったのは対戦相手の体重超過が原因だ。自分にとって試合に出るという事は名誉でもあるし、誠実に向き合うべき事。だから、試合に出るという契約書にサインをしてその契約で体重が示されているのだから、ウェイトを調整し順守する事がきちんとその名誉と誠実さに向き合うという事だろう? 以前、体重超過の選手を受け入れて戦った事があったが、自分にとって良くない結果となって……」
──3.5ポンド体重超過のダレン・ティルと174.5ポンド契約で試合をして判定で敗れましたね。ホルヘ・マスヴィダルに勝利した次の試合でした。
「その時、自分自身、もう同じ事はしないと約束したんだよ。だから対戦相手が体重超過をしたら自分は戦わない。だから対戦相手は自分とオクタゴンに足を踏み入れるのであれば、守るべきことは守らなければいけない。自分で定められたウェイトにサインをしたんだろう? だからあの時はペレイラが体重超過をして、自分はNOと言った。相手も試合をする名誉を受けるのであれば、誠実に向き合わなければいけないんだよ」
──2022年12月の前戦、ケビン・ホランドとの試合は、あの長い右ストレートを決定打にさせなかった。4Rに見事、TKO勝ち。あの右を研究していたそうですね。
「ケビンとの試合は、彼が彼の高身長とリーチのアドバンテージを活かして戦ってくるのが分かっていた。パンチの先に俺を置いて戦う、というのは彼の81インチ(206cm)というリーチに対して、自分は75インチ(191cm)。だからまずはそのリーチのギャップを埋めて中に入り込む事が課題だった。中に入ってやるべき事をやって、また外に出る作戦だった」
──あなたの空手の出入りですね。
「そして、ケビンが後ろに下がるのはあまり上手くないことは分かっていたしね。常に前に出てくる選手だ。だから彼の重心を常に踵に乗せておけば勝てると思ったんだ。彼が俺の固い頭で手を負傷するとは思っていなかったけど(苦笑)。彼は試合をフィニッシュする事ができなかった。そこには自分の“しぶとさ”も勝利の一因だったと思う。ホランドは消耗し始めていて、何も出せなくなっていた。対して自分の狙った打撃は入るようになっていった。僕のキックが彼のボディに入った時に試合が決まったと思った。そういう風に自分が対戦する相手の事をしっかりと研究をした上で準備をする事で勝利で試合を締められるように導けると思っている」
──今回のラフモノフもあなたよりリーチが5㎝長く、その上でプレッシャーをかけてくる。そしてクリンチゲームも得意ですが、いまの話を聞くと、きちんと準備はできているようですね。
「100パーセントだよ。ラフモノフはとても冷静だ。隙を見てそれを利用する。激しくアグレッシブなファイターではないが、ゆっくりとジワジワとそして確実に自分のペースに持っていくんだ。だからハードに向かって来る訳ではない。ペースを作るんだ、だから逆に自分はそこで自分のアングル(角度)をラフモノフに対して活かす事ができる。彼は背も高いし、クリンチを使ってテイクダウンをするのが好きだ。彼が向き合って打撃で俺と勝負してくるかっていうと、それはないと思っている。おそらく1R目は様子を見て安全なところから騙すつもりで僕と立って向き合うように見せてくるかもしれない、だが、その後も少しずつ確実にテイクダウンを狙いにくると思っている。彼の研究はしっかりしたし、組みにも対応できる。きちんと準備をしてきたよ」
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スペシャリストがいた時代から来た。どんな対戦相手にも対応できるという自分の強さが、今回の試合で大きな意味を持つ
──ラフモノフもトンプソン選手同様に、ノーモーションの右や後ろ廻し蹴りなどを得意とし、「自分の方が打撃スキルも上だ」と言っていましたが、言葉通りには受け止められない部分もあるということですね。
「もちろん彼の打撃スキルはとても高いと思うよ。だからまだ無敗でタイトル戦に向かっている。シャフカトのことは重く受け止めているし、彼は打撃じゃなくグラップリングも、どこの分野でも長けている。だからこそこの試合をしたいと思ったんだ。トップ5にランクされるような選手と試合がしたかった。これまで戦ってきた相手はみんな僕より下だったからね。みんなが『次にタイトルを獲るのは彼だ』と言っているから、僕がまだタイトルを獲れることをみんなに証明するために、世界で一番の選手と試合をしてぶちのめしたいと思っているし、ラフモノフを倒す事で世界のファンにも、UFCにもタイトル戦に自分が相応しい事を見せたい。自分のスキルはラフモノフより優れていると思うし、それを今週の『UFC296』で見せられると思っている」
──どのような距離とタイミング、そしてアングルを使って戦うのか、楽しみにしています。
「僕と対戦する選手はみんな、(僕のスタイルを)心配している。アングル、さまざまなテクニック、スイッチ・サイド、そして僕のスピードを知らない。とてもフラストレーションのたまるスタイルだと思うし、僕のようなスタイルの選手とはやってみないと分からないんだ。ラフモノフはさっきも言った通り、アグレッサーだ。常に向かって来る、だから常に前に向かわせるのではなく踵に乗せられれば、自分のアングルを使ってアウトサイドから距離を詰められる。もちろん彼も距離を埋めてクリンチしたがると思うから、そこは……秘策を用意しているんだよ。まだ言えないけどね(笑)。試合を見れば、“これか!”と分かるかもしれない。
とにかくラフマノフと対戦できる準備はできているよ。スタンドも組みもラフマノフは総合的な選手だ。対して僕はまだスペシャリストがいた時代から来た。ものすごく強いレスラー、ストライカー、柔術家、ムエタイファイター……自分のディスタンス、アングル、そしてどんな対戦相手にも対応できるという自分の強さが、今回の試合で大きな意味を持つと思うよ」
──なるほど。その経験がいまでもあなたを“ワンダーボーイ”たらしめているのですね。3歳から空手を学び、キックボクシングを経て、26歳からMMAを始めて、14年目、40歳になります。
「すべてが今、この瞬間に繋がっている。今こそ、僕がタイトルマッチに相応しいことを、UFCと世界に証明する時だ。このために何年も努力してきたし、自分の方が上だと分かっている。そう“思っている”のではなく、そうだと“知っている”ことが、世界のすべての違いを生むんだ」
──空手の母国・日本でもあなたの試合を見る機会が来るといいですね。
「イエス!! 日本には言った事がないから、ぜひ行ってみたいんだ。世界では日本が空手の首都みたいなものだ。自分の格闘技をファンに見せたいし、自分の先生でもある父(レイ・トンプソン=元キックボクサー、アップステート・カラテ主宰)も一緒に来て、日本の人たちと時間を過ごせればと思う。レッツゴーUFC、UFC Japanをやろうぜ!!! 今日はインタビューをアリガトウ。日本のファンの皆さん、今週の『UFC296』を見てもらえるといいな。日本のファンの皆の為に勝つ姿を見せたいと思う! ぜひ僕を応援してください!」
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UFC 296: Edwards vs. Covington 全計量結果と写真
現地時間2023年12月16日(土)、日本時間17日(日)米国ネバダ州ラスベガス/T-Mobileアリーナ
12月17日(日)朝8時30分からアーリープレリム3試合、10時からプレリム4試合、12時からメインカード5試合。全試合が『UFC FIGHT PASS』ならびに『U-NEXT』でライブ配信される。
▼UFC世界ウェルター級選手権試合 5分5Rレオン・エドワーズ(英国)※UFC3連勝中 170lbs/77.11kgコルビー・コビントン(米国)17勝3敗(UFC12勝3敗)169.5lbs/76.88kg
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5Rアレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)26勝5敗(UFC10勝3敗)※UFC4連勝中 125lbs/56.70kgブランドン・ロイバル(米国)15勝6敗(UFC5勝2敗)※UFC3連勝中 124.5lbs/56.47kg
▼ウェルター級 5分3Rシャフカト・ラフモノフ(カザフスタン)17勝0敗(UFC5勝0敗)※UFC5連勝中 171lbs/77.56kgスティーブン・トンプソン(米国)17勝6敗(UFC12勝6敗)171lbs/77.56kg
▼ライト級 5分3Rトニー・ファーガソン(米国)25勝9敗(UFC15勝7敗)155.5lbs/70.53kgパディ・ピンブレット(英国)20勝3敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝中 155.5lbs/70.53kg
▼フェザー級 5分3Rジョシュ・エメット(米国)18勝4敗(UFC9勝4敗)146lbs/66.22kgブライス・ミッチェル(米国)16勝1敗(UFC7勝1敗)
【プレリム】
▼ライトヘビー級 5分3Rアロンゾ・メニフィールド(米国)14勝3敗(UFC7勝3敗)204.5lbs/92.76kgダスティン・ジャコビー(米国)19勝7敗(UFC7勝4敗)204.5lbs/92.76kg
▼女子バンタム級 5分3Rアイリーン・アルダナ(メキシコ)14勝7敗(UFC7勝5敗)36lbs/61.69kgカロル・ロサ(ブラジル)17勝5敗(UFC6勝2敗)135.5lbs/61.46kg
▼バンタム級 5分3Rコーディ・ガーブラント(米国)13勝5敗(UFC8勝5敗)136lbs/61.69kgブライアン・ケレハー(米国)24勝14敗(UFC8勝7敗)136lbs/61.69kg
▼女子フライ級 5分3Rケイシー・オニール(豪州)9勝1敗(UFC4勝1敗)125lbs/56.70kgアリアネ・リプスキ(ブラジル)16勝8敗(UFC5勝5敗)126lbs/57.15kg
【アーリープレリム】
▼フライ級 5分3Rタギル・ウランベコフ(ロシア)14勝2敗(UFC3勝1敗)126lbs/57.15kgコーディ・ダーデン(米国)16勝4敗(UFC5勝2敗)UFC4連勝中 126lbs/57.15kg
▼フェザー級 5分3Rアンドレ・フィリ(米国)22勝10敗(UFC10勝9敗)145.5lbs/66.00kgルーカス・アウメイダ(ブラジル)14勝2敗(UFC1勝1敗)146lbs/66.22kg
▼ヘビー級 5分3Rマルティン・ブダイ(スロバキア)13勝1敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝 264lbs/119.75kgシャミル・ガジエフ(バーレーン)11勝0敗(UFC0勝0敗)259.5lbs/117.71kg