一階級上の挑戦者を迎えて4度目の防衛戦に臨むKANA(C)K-1
2023年12月9日(土)エディオンアリーナ大阪『K-1 ReBIRTH.2』の第9試合にて、K-1 WORLD GP女子フライ級タイトルマッチ3分3R延長1Rで、アントニア・プリフティ(ギリシャ/Fight Club Galatsi/Theofanous Elite Team)の挑戦を受ける、王者KANA(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)のインタビューが主査者を通じて届いた。
KANAはケガで長期離脱後、2022年2月にスーパーファイトでRANから判定勝利を収めて復帰。同年6月にK-1初の女子大会でスーリ・マンフレディにハイキックでKO勝ち。12月にEnfusionの王座獲得歴を持つオロール・ドス・サントスをパンチでKO。2023年3月にフンダ・アルカイエスをカーフキックで戦闘不能に追い込み、2度目の王座防衛を果たした。7月はイギリスのマッケンナ・ウェイドを左ミドルキック一発でKOし、3度目の王座防衛に成功した。
プリフティはMMAでも試合をしている二刀流のキックボクサーで、WKUの-57.5kg世界と-55kgギリシャの王者。ファイトスタイルは、とても攻撃的で左右のフック連打は“ハリケーン”のごとく襲い掛かり回転が止まらないほど強力。前蹴りで自分の距離を作り、パンチの連打に持ち込むのが必勝パターン。24戦21勝と勝率が高く、相手を恐れずに前へ出ていくスタイルが特長の初参戦の強豪だ。
ダウンを奪われる可能性もある
――今回の対戦相手は、キックとMMAの二刀流ファイターとなりました。
「まず気になったのは、体重ですね。体重を57kgから52kgに落としてくると聞いていますので、2、3階級上の選手というイメージを持っています。本当に体重を落とせるか心配になりスタッフに確認したら、向こうは落とせると言っているようなので、リミットまで落としてリカバリーしてきたら、当日はかなり体重差がありそうですね」
――前日計量ですので、大会当日はリバウンドで体重差をつけてくることが予想されます。KANA選手は、当日の体重は何kgくらいになりますか?
「私は普段54kgなので、試合当日もそのくらいになると思います」
――プリフティ選手が何kgまで戻してくるのか分かりませんが、もしかしたら5kgくらいの差があるかもしれませんね。
「そこは警戒しています。計量を無事にクリアしてきた場合の当日のリカバリーで、どこまで体重を増やしてくるのか。上の階級の選手と戦うのは初めてなので、ここで倒せるかどうかは今後に関わってくる重要な試合だと思っています」
――体重差でいえば、2、3階級上の選手と対戦する感じですね。これまで4連続KO勝ちをしていますが、倒すのは簡単ではなさそうですね。
「でも自分は、そんな選手が相手でも倒す練習をしていますので、それをどこまで試合当日までに高めることができるかだと思っています」
――体重差があっても、倒せるということですか。
「ここ4戦KO勝ちをする中で感じているのは、倒す技術は、角度だったりタイミング、打ち方、力の加減、いろいろな要素があるということです。大宮司(進)トレーナーとのミット打ちをやって行く中で、これは倒すパンチなのか、それとも相手を触るパンチなのか意識してやっていますので、そこが試合でも繋がっている感じです。昔は、練習でできても試合とはかけ離れている感じでしたが、今は練習でやったことを試合で出せれば相手が倒れています」
――それが、ここ4戦連続のKO勝ちに出ていると。
「はい。昨年6月のスーリ・マンフレディ戦も、練習していたハイキックでKOすることができました。あれは、少しシチュエーションは違いましたが、練習でやっていたパターンです。そして、前戦の7月のマッケンナ・ウェイド戦のミドルキックも練習していた通りのKOになりました」
――あのミドルキックは、狙っていたと。
「狙っていたというか、あのミドルキックは構えをスイッチして当てる普通の蹴り方ではなく、下から蹴り上げるようにしてダメージを与える蹴り方なんですが、たまたま、あのタイミングの出し方を練習していて、それが試合で出た感じですね」
――なるほど、いくつか倒すパターンを使っていく中で、あのミドルキックがKOにつながったということですか。
「少しずつですが、KOパターンが自分の中で出来上がりつつありますので、確実に倒せるところまで行けるのは、もうすぐですね。この4戦は、3ラウンド通して終盤に倒せればいいかなと思っていましたが、結果的に前半で倒せています」
――3ラウンドまでに倒すパターンを貫き、それが実践できていると。今回も期待が高まります。
「ただ、混戦になった時にどうなるかが問題ですね。ここ数戦で、それは経験していないので、逆に次の相手は簡単に倒せずに長くなるのかなとは思っています」
――警戒していると。
「相手は、重い階級でやっている選手。一撃が重いと思いますので、もしかしたら自分が攻撃をもらい、ダウンを奪われる可能性もあります。そのくらいの覚悟はしています」
――プリフティ選手はパンチの回転力が速い印象がありますが、警戒すべき点は?
「たしかに、回転力はありますね。ただ、技術的に少し粗い面もありますので、そこが狙い目かもしれません。自分は相手の強いところで勝負するつもりはないので、スピード、技術で上回りたいと考えています」
――自分がダウンする可能性もありながら、それでも倒しに行く覚悟は、どこから出ているのでしょうか。
「私は、歴史に名前を残す存在になりたいんです。“史上最強に強かった”と、自分が引退した後も言われ続ける存在になりたい。そのためには、今のK-1女子のレベルではダメだと思っているので、海外の強豪選手を倒していくことで証明していきたいですね」
――“最強女王”と呼ばれるアニッサ・メクソン選手に対戦表明をしているのも、そうした志が根底にあるわけですか。
「団体の垣根とかありますが、彼女と戦ってK-1の強さを見せたいですね。日本の女子格闘技のためにも、アニッサに勝って私が世界で一番になりたいと思っています。それが、いつ実現するのかは分かりませんが、その思いは変わりません」
――K-1は“開国”を宣言していますので、メクソン選手と対戦する日が来る可能性はありますね。
「今まで誰もできなかったことも、道を切り拓くことで可能になるかもしれない。プロ野球選手がアメリカのメジャーリーグで勝負しているように、サッカー選手が海外で活躍しているように、日本の女子キックボクサーも海外で試合をしてK-1の名前を広めることができるかもしれない。そこは諦めずに追い続けていきたいです」
――先のことを考えても、今回の大阪決戦は、絶対に負けられない試合になりますね。
「今回の相手をしっかりと倒せることができれば、どんな相手でも“倒せる”ことが確信に変わると思っています」
――KANA選手は、日本の同じ階級の選手にとって目標だと思いますが、下からの突き上げについては、どう考えているのでしょうか?
「正直なところ、自分は上しか見ていないので興味はないです。興味が湧くくらいの試合をしてくれれば別ですが、ただ試合に勝ったと言われても、何とも思わないです。それは興味がないのではなく、興味が湧かないということです。興味を湧かせてくれる選手が出てくれば、という感じです」
――分かりました。どこまでも上を見ているKANA選手の活躍に期待しています。
「万全の準備をして、今年最後の試合をKOで締めたいと思います!」