2019年8月18日(日)東京・大田区総合体育館で開催されるKNOCK OUT『K.O CLIMAX 2019 SUMMER KICK FEVER』。
同大会の第7試合で、REBELS-MUAYTHAIフェザー級王者・安本晴翔(橋本道場)と対戦するBigbangスーパーフェザー級王者・駿太(谷山ジム)が6日(火)都内PHOENIX GYMにて公開練習を行った。
駿太は2003年2月にプロデビューし、6月のBigbangで60戦目を迎えた大ベテラン。国内とタイのトップ選手を相手に渡り合い、戦績は36勝(14KO)20敗4分。KNOCK OUTには2018年9月の大阪大会に初参戦し、メインイベントで高橋聖人と対戦。熱戦の末に判定勝ちを収め、まだまだ若手の追随を許さない実力を証明した。6月のBigbangでも左ストレートでKO勝ちしている。
対戦相手の安本は少年時代からアマチュアで150戦以上を経験し、24冠王に輝くなど活躍。2016年6月に16歳でプロデビューを果たすと、6戦目でREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座(その後に返上)、2018年12月にはINNOVATIONスーパーバンタム級王座を獲得した。今年2月にシュートボクシングのリングで迎えた14戦目で初黒星を喫したが、6月のREBELSでは栗秋祥梧を破りREBELS-MUAYTHAIフェザー級王座を獲得して3本目のベルトを獲得して3階級制覇を達成。空手仕込みの多彩な蹴り技を得意とする。19歳で戦績は13勝(4KO)1敗2分。
合同公開練習となった雅駿介とのマススパーを終えると、「コンディションはいい感じです。悪くない。いつも通りですね」と駿太。
安本については「サウスポーということが一番デカい。サウスポー対策はしています。足技のイメージがあって、子供の頃からやっているから土台が出来ている。一筋縄ではいかない。でも10何戦しかしてないでしょう。そこに僕のアドバンテージはある。安本選手が嫌だと思うことをやろうと思っていますね」と、キャリアの差を活かした戦いをしようと考えている。
「今までの経験上、テクニックが上手い選手にはやられてしまう」と、安本のようなテクニシャンタイプは苦手だと言うが、「でも最近入り方ができている部分があって、それは最近の試合に現れています。自分はテクニックで上手くやろうとは考えてないですね。やり方が分かってきました。それを実行するには勇気はいりますが、リスクはとります」と、リスクを冒してでも攻めていくという。
今回の試合には世代交代マッチとの側面もあり、「それ、今までもよく言われていますし、(対戦相手から)憧れの存在だったと10回くらい言われています。だからあまり気にしなくなりましたね。18歳くらい差がありますが、高橋聖人選手(2018年9月のKNOCK OUTで対戦=駿太が判定勝ち)も16歳くらい離れていたので意識はしていません。特別感はないですね」と、もう慣れてしまったようだ。
安本には「勢いを教えてあげたいと思います。こういうのもあるんだぞ、と。経験とはテクニックのイメージだったんですが、そこだけじゃないことを分かってもらえる試合にしたいと思います」と、年齢もキャリアも上の駿太が勢いを教えたいとする。
「キャリアや年齢を積み重ねて失ったものはリカバリー力。それは常々思います。回復が遅くなりましたね。でも、それ以外はない。体力も心肺機能もテクニックも全てが上がっています。若い時よりも練習量が多いので、そこで上がっています」と、若い時よりも練習量を増やして全ての面で向上しているという。
駿太と言えば、試合後の勝利のマイクで反省の弁を述べるのが常。「昔よりもマシになっているんですが、すぐ悪い方に行くんですよね。ネガティブなんですかね。まだまだ全然です。結局キックボクシングを極められないんじゃないかって思っています。そこまで行く過程が面白いんですよね。悟りの境地にいくような感じにしています」と、もっとキックボクシングを追及していきたいと熱弁する。
長く一線級で活躍できるのは、同門で同い年の城戸康裕も頑張っているからだと駿太は言う。
「相乗効果でしょうね。城戸がいるからまだできるってところはあります。近い存在だから。向こうはどう思っているか知りませんが(笑)。ライバル心はあります。悔しいと思う部分がある。それがやる気にもつながっているので、有名になろう、頑張らないといけないって思わせてくれます」
最近ではユーチューバーとしても活動しており、「琢磨選手との試合は5万回くらいの再生回数がありました。見てくれている人が増えてキックボクシングを知らない人も見てくれている。ユーチューバーの駿太からキックボクサーの駿太を知ってくれる人が増えて、声をかけられることも増えてきました。この前、箱根温泉に行ったら声をかけられたり」と、より多くの人に存在を知ってもらえるようになった。
最後に、37歳となった駿太の何を見てもらいたいかとの質問に、「そのままの駿太。面白い試合をできる駿太を見せたい。みんなに満足してもらえる、攻防が多くて削り合うような試合ですね。パワー、スピードだけじゃなくテクニックでも負けちゃうかもしれないですが、それ以上の気持ちで上回って、補って余りある根性とかでやってやろうと思う。今までと違った感覚を感じてくれたらと思います」と、“昭和”を感じさせるコメントで締めくくった。
終了後も駿太はジムに残り、同ジム所属の梅野源治と長い時間、首相撲勝負を挑んでいた。