バズーカ巧樹(右)とKNOCK OUT-REDスーパーライト級王座を争う良太郎
2023年9月16日(土)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.4』にて、KNOCK OUT-REDスーパーライト級王座決定戦3分5R延長1Rをバズーカ巧樹(菅原道場)と争う良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI)のインタビューが主催者を通じて届いた。過去2戦はBLACKウェルター級で試合をし、連勝して同級王座まで獲得した良太郎にとって、今回は久々に「自分の土俵」の一戦。その中で、彼がモチベーションを見出している要素とは?
『REBELS』時代から他の団体に出ずに一本でやってきたのは僕ぐらい。そこはプライドがある
(C)KNOCK OUT
──今回、BLACKウェルター級を返上してREDスーパーライト級の王座決定戦というのは、団体側からのオファーということですよね?
「そうですね。僕からは特に何もアクションはしてないです。オファーが来た時は『ああ、次は65kgでREDなんだ』と思いましたけど(笑)。『次はこの階級なのか』みたいな」
──階級については、無理がなければオファーが来たところで、ということなんですか?
「そうですねえ。僕は『この階級でやりたい』と言って通ったことはあまりないというか(笑)。67.5kg(ウェルター級)を獲るまでは、ライト級でかなり減量が厳しかったんですよね。で、『REBELS』王座が『KNOCK OUT』王座に統合されて、62.5kgの上が65.0kgになったじゃないですか。そうなった時に『じゃあ65.0kgかなあ」と思って、それこそずーっと言ってたんですけどね、『65.0kgでやりたい』って。そしたら64.0kgの試合が続いて、そうかと思ったら67.5kgの試合が来て(笑)。まあ減量も問題ないので、『65.0kgがちょうどいいのではないでしょうか』という感じなんですけど(笑)」
──そういう点では、選手として珍しいタイプですよね(笑)。
「今日も練習を終えて、普通にあと2~3日ちゃんと気合いを入れれば、65kgまで落とすのは大丈夫だなという感じですからね。もし『明日やれ』って言われたら、危ない水抜きをすれば落ちますけど。年が年だから、水抜きはできればやりたくないですけどね。ただ、こんなこと言ってても結局最後はつらいんですよ。絶対そうなんですよ」
──最後のひと絞りというヤツですね。試合前の選手からはよく聞きます。
「けっこう“あるある”なんですよ。上の階級に上げても、何だかんだ最後はキツいかな、みたいな。ただ今回は、65kgなんて久しぶりに落とすので、ちょっと早めに食事コントロールと、練習量と生活のバランスを調整し始めたので、落ちは全然いいですね。調子もいいですし」
──久々となったREDルールも、望むところですよね?
「というか、REDしかやってこなかったですからね。僕からしたらBLACKの方がめちゃくちゃイレギュラーですから。ヒジ、打てるかなあ? 忘れてないかなあ?」
──そんな(笑)。というところでバズーカ巧樹という対戦相手は、改めていかがですか?
「それこそREBELSの時からずーっと見てますしね、同じ大会にも出てましたし。いい選手ですよね、色気があるというか、菅原道場イズムで」
──バズーカ選手は打ち合ってきてほしいと。ただ渡部太基選手も同じことを願っていたわけでしたが。
「『オ~ッス』って感じですよね(笑)。まあ、試合は水物ですから。気分ですねえ」
──気分(笑)。逆に言うと、バズーカ選手は良太郎選手を「打ち合いの気分」にさせればいいということですか?
「でも僕、基本ずっと打ち合ってるんですよ(笑)。渡部戦がイレギュラーなんですよね。橋本悟戦でもボカスカやったし、ハチマキ戦でもボカスカだったし。だから、気分ですね。ふとそうなっちゃう時があるので、そうなっちゃったらしょうがないかな、と。自分で自分は止められないので」
──「気分」というのは、攻防の中での気分、ということ?
「そうですねえ。僕は基本、会場の雰囲気とかは気にしないので。この前の、2回目の渡部戦を見れば分かると思いますけど。だからやっぱり、やってる中で決めようかなという感じですかね」
(C)KNOCK OUT
──王座決定戦という側面については?
「こういう大舞台で使ってくれるというのはうれしいので、そこはしっかりと仕事したいなあという感じですよね。そこはガツンといきたいです」
──『KNOCK OUT』新体制になってからは2本目のベルトということになりますね。
「2本目! 3階級目! BLACKからのRED! 文字にするとすごいですね(笑)。まあでも、『REBELS』時代から他の団体に出ずに、一本でやってきたのは僕ぐらいですよね。そこはプライドがあります。こういう立場だから他からのオファーもいただくんですよ。僕も仕事上、いろんな団体の会場には行くので。言っちゃえば、チケットも売るしキャラもあるし、使いやすいとは思うんですよ。でも僕は他に出ずに、『REBELS』から『新生KNOCK OUT』、そして今の体制の『KNOCK OUT』までずーっとやり通してきた自負はあるので、その誇りはありますね」
「だけど、生中継があるから頑張るというわけでもないし、もし生中継がなくても僕のテンションは変わらないし。誰かに見てもらわないとやる気が出ないなんてヤツは、やる必要ないと思ってるんで。僕は僕のことをやるだけで、そこに結果がついてきてくれれば一番いいので」
──なるほど。では良太郎選手にとって、この試合の一番のテーマとは?
「それはやっぱり、『REBELS』から続いたこの『KNOCK OUT』で3階級目、そして黒に続いて赤のベルトも獲るということですよ。そこはかなりテンション上がりますから」
──それを、倒して成し遂げたいという気持ちは?
「……別に」
「いやまあ、倒せればいいですよね。盛り上がるし。でも…どうですかねえ。倒そう、倒そうと思って空回りして後悔するのもイヤだし。勝手にスイッチ入っちゃって、皆様が望むようなバッチバチになっちゃうかもしれないし。それは試合のテンションによって決まりますからね。そこも水物な中で、自分の方に傾いてくれば、それを信じるだけです」
──なるほど。しかし選手だけでなくジム代表もマネージャー役もトレーナーもこなしながら、よくやってますよね。
「そこの自負もあるんですよ。これをずっと、全部やってるのは僕だけだと思うし、前代未聞だと思いますよ。言っちゃえば、狂ってるんですよ。昔は『選手だけやりなよ』とか言われてましたけど、僕はこの道しか知らないし、この道しか通らないから、それ故に僕の道がここまで辿り着いたということでもありますから。自分で言うのも何ですけど、僕は日本でもトップどころのトレーナーだという自負もあるんですよ。それこそ全技術習得のためにボクシング、キック、MMA、ムエタイと全部ひと通り修得して、バンテージの巻き方から栄養学まで全部自分なりにやり切って、ここまで片手間でやってるわけじゃないんで。その上で『REBELS』『KNOCK OUT』のベルトも獲ったんですけど、まだ満足はしていないからこそ3階級目のベルト、赤と黒両方のベルトがほしいわけですよ。この道の行く末がどうなるのか、自分自身も見てみたいので」
──そう聞くと本当にすごいですね。では最後に、当日の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「それこそみんなが僕の打ち合いを見たいのであれば、試合の中で僕のスイッチが入るかどうか、そこに注目したら面白いと思います。スイッチが入ったら100%打ち合いになるので」
──その兆候みたいなものはあるんですか?
「僕を10年以上応援してくれている人たちからすると、僕がガードを下げ始めたら『やりやがった!』って思うらしいんですよ。『始まったよ…』と。僕自身は、そうならないように頑張りたいんですけどねえ…」