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2022年12月28日に両国国技館で開催された『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』の第8試合「木村“フィリップ”ミノル vs. 矢地祐介」の裁定が「ノーコンテスト=無効試合」に正式に変更された。
両者はMIXルールで戦い、木村ミノル(Battle-Box)が、矢地を1R 1分58秒、KOに下していたが、RIZINでの会見を受けたINOKI BOM-BA-YE 巌流島事務局は6日、木村と矢地の試合を「ノーコンテスト=無効試合」とすることを発表した。
2日のRIZINの会見では、木村が6月24日の「RIZIN.43」北海道大会(ロクク・ダリに1R 1分8秒 KO勝ち)試合後のドーピング検査で「陽性」であったことが発表されていた。
以下はINOKI BOM-BA-YE 巌流島事務局からのリリース全文。
『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』木村ミノル vs 矢地祐介は無効試合に
「昨年の12.28「INOKI BOM-BA-YE×巌流島」では、選手を試合後に無作為に選定し、巌流島旗揚げ以来行っている国内の医療機関によるドーピング検査を行っており、契約書上はドーピング違反を起こした場合の罰則規定も盛り込んでいますが、木村“フィリップ”ミノル選手の陽性反応は検出されませんでした。
これはRIZINが行っている米国のアスレチック・コミッション・レベルのドーピング検査との精度のレベル差だと思われます。
巌流島やFEG時代のK-1やPRIDEが行っていた国内で実施しているドーピング検査(本誌注 ※日本でもWADA公認ドーピング検査機関として「LSIメディエンス アンチドーピングラボラトリー」がある)ですと、マリファナやコカインなどの違法薬物、風邪薬や胃腸薬などの市販薬に含まれている成分などは確実に検出されるものの、筋肉増強剤やいわゆる興奮剤は出るものと出ないものがあります。
公表はしていませんが、これまで、当検査でも陽性となる選手は複数おりました。
したがって厳密に言えば、12.28 大会においては陽性反応が認められなかったため、規定違反を犯しているわけではないのですが、木村ミノル選手自身が会見上で自白していることを重く受け止め、当試合をノーコンテストにさせていただいた次第です。規定違反ではありませんので、罰金等のペナルティは課していません。
今回のドーピング問題が難しいのは、日本には米国アスレッチ・コミッションのような第三者機関がなく、禁止薬物の基準がハッキリしていないことです。また、ドーピング検査が RIZINが実施しているものほど精度が高くなかったり、また、ドーピング検査を実施できていない団体が多いという現状もあります。
RIZINの記者会見上で榊原信行CEOが発言していたように、今まで公表してこなかったのは、格闘技団体が長期の独占契約を結んで試合出場している選手がほとんどいないからです(ほとんどの場合が1試合単発契約)。例えば、RIZINでドーピング陽性が出た場合でも、所属するキックボクシングやMMAなどの団体では、ドーピング規定が違っていたり、実施していない団体が多数存在するため、発表することによって所属する団体や選手のイメージを傷つけることになってしまうためです。特に出場停止処分に関しては、現実的に他団体に同様の制限を設けてもらうのは不可能です。
また、ドーピング検査で最も精度が高く、信頼性が高いのは、IOC国際オリンピック委員会に属するスポーツ競技ですが、同程度の検査をするには、莫大な費用がかかるという問題もあります。
RIZINが実施している検査でも、1件につき最低1000ドル以上かかると聞きました。この費用の問題が格闘技団体の負担としてのしかかっていますが、今後はさらに厳格なドーピング検査が求められる時代になっていくのは間違いありません。これは日本の格闘技団体の今後の課題と、しかと受け止めていかなければならないと考えています。
日本にも米国アスレチック・コミッションのような第三者機関を設置し、明確なドーピングに対する統一規定と、統一レベルのドーピング検査、統一の罰則規定を設けることが理想ですが、それに向けてできるだけ他団体とも協議していく必要があるかと思います。
ただでさえ、ドーピング問題は、日進月歩で進化しており、それを防ぐための検査側もイタチごっこのようになって進化しているほど、難しい問題だと言われています。費用もますます必要となっていくでしょう。その点から考えても、かなり問題意識が甘かったと深く反省する次第です。
今回の問題を受け、これは木村ミノル選手選個人の問題だけではなく、ドーピング問題への対応を明確にしてこなかった格闘技団体側の責任も重いということを真摯に受け止めています。一格闘技イベント主催者として深く反省し、次回以降、一歩ずつ改善していきたいと思います」