2023年8月27日(日)『ROAD TO UFC(RTU)シーズン2 準決勝』(シンガポール・インドアスタジアム)が開催(U-NEXT配信)され、フェザー級準決勝で中国のリー・カイウェンが日本の神田コウヤに判定勝ち。年末に開催予定の決勝で、同じ中国の練習仲間のイー・ジャーとUFC契約をかけて争うことになった。
“中国の五味隆典”の呼び名を持つリー・カイウェンは、フリースタイル・レスリングで中国のジュニア選手権で3位に。K-1のブアカーオ・ポープラムックに憧れ、さらに18歳の時にUFCのアンデウソン・シウバの試合を見て、MMAを始めた。
ONE Championshipでは9勝3敗。ONEで4連勝後、2021年12月に現ONEバンタム級王者のファブリシオ・アンドラージに1R KO負けしてONEから離れ、UFCを目指した。
今回の『ROAD TO UFC』1回戦では2022年のベスト4ファイターのルー・カイをパンチラッシュで71秒 KOに下している。
(C)Zuffa LLC/UFC
対する神田は、DEEPフェザー級暫定王者。上海で行われた1回戦では、中国のイーブーゲラとの接戦で判定勝ちを収めている。
試合は、パンチを上下に散らしていくカイウェンに対し、サークリングして打撃をさばく神田は、ニータップから至近距離に持ち込み、首相撲からのヒジ・ヒザで出入り。前に出るカイウェンに対し、距離を取って打撃を当てた神田は、アウトムエタイともいえる戦いで、3Rを戦った。
判定は、30-27、29-28×2の3-0でカイウェンが勝利。その瞬間、雄たけびを挙げたカイウェンは何を思ったか。U-NEXTからインタビューが届いた。
神田はとても賢いと思った。俺にはワンパンがあって、彼が持ち併せていないものだったから
──今の気分は?
「とてもいい気分だ。ただ、ファンのみんなには『申し訳ない』と言いたい。神田コウヤはとても賢くてタフだった、でも、うん、やっぱりファンのみんなに『ごめんなさい』と言いたい。エキサイティングな試合ができなかったから」
──左手の包帯は?
「レスリングで痛めたのだと思う。大した怪我じゃないよ。2、3週間治療するくらいかな、それだけ」
──神田選手のヒジとヒザ蹴りは脅威ではなかったですか?
「ああ、日本のキックボクシングのスタイルは独特だし戦ったことがないから、たくさんのビデオをチェックしてきたんだけれど、その通り、彼は良いヒジと良いヒザを持っていて、そこは注意深く警戒した。それに、彼はテクニカルなところを見せてくれた」
──サークリングしている相手にやりづらさを感じましたか。
「そうだ。彼はとても賢いと思った。つまり俺にはワンパンチで試合を決めるパワーがあって、それは彼が持ち併せていないもの。だから、彼は動き続けていなくてはいけなかった。そういうプランだったのだろう、スマートだと思ったよ」
──判定になって、名前が読み上げられて手が上がるまでのあいだはどんな風に思っていましたか。
「妥当だ、と。ずっと自分が中央を取って攻めていたわけだし、理にかなっていると思っていた」
──いよいよ決勝戦です。
「次の対戦相手はイー・ジャー(※同じ中国人選手)、俺のダチだ。俺たちは一緒に練習してて長い付き合いなんだよ。だらそう、俺たちは、上海のUFCパフォーマンス・インスティチュートで練習し、戦ってきたんだ。戦う場所が変わるだけってところだ。そんなもんだろう? いいじゃないか、やってやるよ。お互いに自信を持って臨める。今日の試合を見ていても、“もちろん彼に勝ってほしい”、そして“俺とケージでの時間を共にしような、2人でぶち上げよう”って思って見ていたよ」
──どんな決勝戦を見せたいですか。
「自分のすべてを見せたい。自分がベストを尽くすところを。トレーニングを続けて、学び続けて……もっと努力する必要があるんだ」
──ファンにメッセージを。
「日本のファンのみんな、元気? いつも応援ありがとう。これからもトレーニングに励んで、もっといい試合をするんだ。応援よろしくね」
──ところで、五味隆典選手に似ていると言われていることをどう感じていますか。
「タカノリゴミ……多分知ってる選手のことを言ってくれてると思うんだけど、中国だと読み方が違うから……。写真出してくれる? よく似てるって言われてる? 分かった、じゃあ絶対その人だ。金髪の人でしょ? 嬉しいよ、俺たちのスタイルはとてもよく似ていると俺自身が思ってて、お互いずっとそのままなのも同じ。クレイジーだし、それにエネルギーもある。だから、良いなって思うよね」
──胸に刻まれているのは?
「左胸のタトゥーは、父と、母と、自分なんだ。これは俺が持ってるたった1枚の家族写真。子どもの頃に別れてしまったから」