2023年8月26日(土)、シンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムにて『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』が開催された。
本大会では、中村倫也と風間敏臣がUFCデビュー、木下憂朔が2戦目を迎え、マックス・ホロウェイと“コリアンゾンビ”ジョン・チャンソンがメインイベントのフェザー級戦などが行われた。
メインイベントの前日計量では、多くの韓国人ファンに迎えられたジョン・チャンソンとマックス・ホロウェイがフェイスオフ。右手を高く掲げた“コリアンゾンビ”に対し、ホロウェイはガッツポーズで咆哮。右手で胸を叩いた。
マイクを向けられたチャンソンは、「こうして観客の中にたくさんの韓国人ファンの姿が見えている。シンガポールが韓国に近いから、たくさんのファンが観に来れるという点ですごく嬉しい。とにかくこれは言わせてほしい。
ホロウェイとハワイの人々の身に起きたひどい出来事(※大規模山火事で行方不明者が千人を超える)が、こんなとんでもない悲劇になっていることを知らず、申し訳なく思っている。だけど自分はスポーツが持つ力というものを信じていて、そして、僕はこのスポーツがハワイが再び立ち上がるためのサポートになると信じている」と話すと、場内は大きな歓声に包まれた。
続けて、アナウンサーのブレンダン・フィッツジェラルドから「この1、2週間に起きた大変なことのなかで、明日、試合ができることについての思いを聞かせてださい」と、問われたホロウェイは、一呼吸置いてから、「とても素晴らしい気持ちだ。ここアジアのシンガポールに戻って来られて、そしてアジアのレジェンドと戦えることは素晴らしいよ。自分たちがやろうとしていること──これから戦おうとすること以上に価値はない。この試合はラハイナ、君たちのためだ、そしてアジアの君たちのためだ、さぁ、やろうぜ」と決意の言葉とともに、「I Love You」のサインをファンに見せた。
大会の模様は、日本時間26日(土)18時にスタートのプレリム7試合、21時に始まるメインカード6試合を含む全試合が『UFC FIGHT PASS』および『U-NEXT』でライブ配信された。
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『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』速報
2023年8月26日(土)シンガポール・インドアスタジアム
【メインカード】
▼フェザー級 5分5R〇マックス・ホロウェイ(米国)25勝7敗(UFC21勝7敗)146ポンド[3R 0分23秒 KO] ※右ストレート×ジョン・チャンソン(韓国)17勝8敗(UFC7勝5敗)146ポンンド
ホロウェイは、2022年7月の『UFC 276』で王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとラバーマッチを行うも5R 判定負けで王座奪還ならず。しかし、2023年4月に、当時UFC10連勝中だったアーノルド・アレンを終始圧倒し、判定勝ちで再起を遂げている。会見では、8月8日未明に米国ハワイ・マウイ島で発生した大規模な山火事について涙し、今回のファイトショーツを初めて「赤」にすると、悲しみと怒りを示した。
“ザ・コリアンゾンビ”ことチャンソンは、2021年6月にダン・イゲに判定勝ちで、2022年4月の『UFC 273』で王者ヴォルカノフスキーに挑戦。4R TKO負けで王座獲得に失敗後、今回は1年4カ月ぶりの再起戦となる。2位にヤイール・ロドリゲス、3位にブライアン・オルテガ、4位にアーノルド・アレン、5位にイリア・トプリア、6位にジョシュ・エメット、7位にカルヴィン・ケーターがランクされるフェザー級で、1位のホロウェイを倒せば再び王座戦線に返り咲く、アジアでのランキング戦だ。
クランベリーズのゾンビの大合唱のチャンソンが先に入場。右ヒザと右足首にサポーターを着けている。続けて、ホロウェイが『WARRIOR OF LOVE』からハワイアンピープルの入場曲で予告通り、初の赤スパッツで花道に登場。
1R、先に左右で前に出るチャンソンは左ロー、金網に詰めるが、そこに左フックを当てるホロウェイ! 身体が泳ぐチャンソンは体勢を立て直す。ホロウェイの右ローに右ストレートを合わせに行くチャンソンは右から左で飛び込む。
左右のボディストレートのホロウェイ。チャンソンは続くローに右を狙う。追うチャンソン。ホーンに両者拳を合わせる。
2R、ホロウェイの左から右にダウンしたチャンソン! その立ち際にホロウェイはアナコンダチョークを合わせるが、うつ伏せからシングルレッグで立ち上がるチャンソン! 右をボディ、顔面に散らすホロウェイ。後ろ蹴りも腹に突く。さらに左ハイもそこにパンチを狙うのはチャンソン。
3R、勝負に出たチャンソン。左右ラッシュで一気に詰めて前に出ると、ホロウェイの打ち返しに効いてないと両手を広げて前に。大きな左右を打つチャンソンを下がりながら右を打ち抜いたホロウェイ! チャンソンは左で空を切りながら前のめりに倒れた。
試合後、チャンソンは引退を表明。オープンフィンガーグローブをマットに置いた。
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▼ライトヘビー級 5分3R〇アンソニー・スミス(米国)37勝18敗(UFC12勝8敗)205.5[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ライアン・スパン(米国)21勝9敗(UFC7勝4敗)205
ライトヘビー級8位のスミスと、10位のスパンが対戦。両者は2年前に対戦し、スミスがパンチでダウンを奪い、バックを取ってチョークで勝利している。
1R、ともにオーソドックス構え。ムエタイスタイルのスミスは右ロー。スパンはジャブで圧力をかけ右ストレート。そこに右を返すスミス。互いに右前蹴りと蹴り返し。スミスはスパンの左の蹴りを掴んで軸足を払う。
すぐに体勢を戻すスパン。今度はスミスの蹴り足を掴んで崩しへ。しかし、逆にスミスがダブルレッグテイクダウンからマウント狙いも、スクランブルで立つスパンはサウスポー構えを見せるがオーソに戻すとスミスの右ローを被弾する。
2R、右インローを当てるスミスは右、さらに左も、その打ち終わりに飛びヒザで飛び込んだスパンにスミスが下に。インバーテッドカードから足を手繰るスミス。体を放すスパン。左目を腫らしながらスタンドで右ローを打つスミス。スパンの右の打ち終わりに左をかぶせにいく。
3R、スミスの左目のドクターチェック後、再開。右アッパー、右フックと軌道を変えて打つスパン。スミスも右ローをこつこつ突くが、互いに前手の刺し合いから左右で前進する。スミスはカーフキック。左ジャブ。そのカーフに右を入れるスパンは詰めてジャブ。ともに慎重ななか、スパンは右をヒットさせると、一瞬動きが止まったスミス。スパンは左を当てて前に。そこに右を合わせたスミス。
ともに決め手にかけた3Rの判定はスプリットに割れ、2-1(29-28×2, 28-29)でスミスが勝利した。
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▼フェザー級 5分3R〇ギガ・チカゼ(ジョージア)15勝3敗(UFC8勝1敗)146[判定3-0] ※30-27×3×アレックス・カサレス(米国)21勝14敗(UFC16勝12敗)145.5
メインイベントを戦う8位の“コリアンゾンビ”ジョン・チャンソンに続く9位につけているチカゼは、フルコンタクト空手と伝統派空手、さらにプロキックボクシングで38勝6敗22KOの戦績を持ち、GLORYでも活躍した。
2015年にプロMMAデビューし、14勝3敗。2019年9月にUFCに参戦し、カブ・スワンソン、エジソン・バルボーザをいずれもTKOに下すなど7連勝をマークも、2022年1月の前戦でカルヴィン・ケイターに判定負け、オクタゴン初黒星を喫した。
対する15位の“ブルース・リーロイ”カサレスは、2019年2月のUFCでクロン・グレイシーに一本負けも、その後、5連勝。2022年3月にソディック・ユサフに判定負けで連勝が止まるも、ジュリアン・エローサを左ハイTKO、2023年6月の前戦では、ダニエル・ピネダに「ファイト・オブ・ザ・ナイト」の激闘の末、判定勝ち。2連勝中だ。
“ギガキック”チカゼが再び勝ち星を積み重ね、フェザー級のチャンピオン候補に名を連ねるか、それともカサレスがUFC13年目にしてキャリア最大の勝利を手にするか。
1R、オーソのチカゼ。サウスポー構えのカサレスに右インロー。ジャブを突くカサレスはワンツーの飛び込み。左右入れ替えるチカゼも右ストレートを入れる。前手の右アッパーから入るカサレスをかわすチカゼ。カサレスは後ろ廻し蹴り。左スーパーマンパンチ。かわして追うチカゼに右のサイドキック。後拳。
2R、慎重に間合いを取るカサレス。右のスーパーマンパンチをかわしたチカゼはワンツーの右を伸ばす。右ミドル、右ボディストレートを当てるチカゼ。カサレスも右ボディの飛び込み。カサレスの後ろ廻し蹴りをかわしたチカゼはカサレスの左の蹴りにカウンターの右! 一転、追うカサレスだが、チカゼの右ミドルに後退。右サイドキック、右ジャブ、ローも、その打ち終わりにチカゼが右を入れる。
3R、カサレスの入りに右をかぶせるチカゼ。回るカサレスを追うとカサレスの左ミドルの打ち終わりを追う。出入りのカサレスにワンツーの右ストレート、右ボディ打ちを見せるチカゼは、右のダブルをヒット! カサレスの右バックフィストをブロックして右を打ち込む。
残り10秒の拍子木に前詰めるチカゼは詰めて、相手の打ち返しに胴回し回転蹴りを見せるがホーン。判定は3-0(30-27×3)で終始攻めたチカゼが勝利。
マイケル・ビスピンのインタビューに「いろいろ採り入れてきたんだ。そろそろ決断をしようと思って……」とまさかの言葉に続いて、「まだまだやってやるぜ!」と叫ぶと「PPVに出たことがないんだ。12月にヤイールとやりたい」と語った。
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▼バンタム級 5分3R〇中村倫也(日本)8勝0敗(UFC2勝0敗)135ポンド[判定3-0] ※30-26, 30-27×2×ファーニー・ガルシア(米国)10勝4敗(UFC0勝3敗)135.5ポンド
『ROAD TO UFC シーズン1』バンタム級決勝戦で、風間敏臣に勝利し、UFC契約を獲得(※風間もUFCと契約)した中村倫也(フリー・28歳)がUFC本戦デビュー。
レスリングでU-23世界選手権61kg優勝などの実績を持つ中村は、MMAデビューから7戦全勝、6試合でフィニッシュ(5KO・1一本)勝利している。
対するファーニー・ガルシア(メキシコ・31歳)は、ボクシングベースの柔術紫帯。MMA10勝3敗(1KO・3一本)でLFAなどで活躍し、2021年の「Contender Series」で1R KO勝ちでUFCと契約。しかし、本線では2試合判定負けでまだ白星が無い状況だ。
中村は、ケージのなかで蹲踞の姿勢を見せ、コールに刀から鞘を抜く仕草を見せる。
1R、オーソのガルシアの外を取るサウスポー構えの中村は、左ローに右を被弾するが詰めて追って、シングルレッグからアンクルピックでテイクダウン。両足束ねようとするが金網使い立つガルシアを大腰気味にマット中央に投げてテイクダウン! ハーフから左で脇差しパスから上四方ヒザ、ノースサウスチョークへ!
ここを凌がれると右脇を抱えて頭を挟んで、キムラを狙う。ガルシアが亀になったところでホーン。中村が圧倒するも1Rは極め切れず。
2R、右の蹴りから左インローは中村。左インローを効かせてガルシアのバランスを崩すと、フェイントからの左ハイも狙う。前手の右を当てる中村! 右ミドルを返すガルシア。サウスポー構えになったところで中村がダブルレッグテイクダウン! そこにギロチンチョークを合わせたガルシアにすぐに片足を抜き、対角側に飛んで首をは外した中村は1R同様に上四方。ガルシアをクルスフィックスに固めてヒジ! さらにストレートアームバー狙いも極まらず。
3R、左インローを効かせる中村。左回りのガルシアの外を取る。ガルシアの打ち終わりに足が揃ったところを見逃さなかった中村がダブルレッグテイクダウン! すぐにサイドを奪い、半身のガルシアに肩固め、チョーク狙い。正対したガルシアはハーフに。
中村はバックから後方に引いて寝かせてサイドから腕十字に行くも、極め切れず、上体を起こされたところで上は譲らず。しかしがぶりに立ち上がったガルシアが首を抜いてスタンドに。
前に出るガルシアに下がりながら中村は左ハイ! ブロックするガルシアとの打ち合いにも応じながらも決定打はなく、ホーンに中村は首を振った。
判定3-0(30-26, 30-27×2)で中村が勝利。マイケル・ビスピンのインタビューに「会場の皆さんがいい空気を出してくれたので、とても気持ち良かったです。ガルシアを初めてフィニュシュした選手になりたかったですが、とても良い選手でできませんでした。あの腕十字には驚いた。防御が上手かった。次はビッグインパクトを残してフィニッシュしたい。(今後は?)トップ15ファイターとなら誰とでも戦いたいです。数年後には皆さんが驚くようなパフォーマンスを見せます。まだ若手で成長中だから待っていてほしい」とすべて英語で語った。
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▼女子フライ級 5分3R〇エリン・ブランチフィールド(米国)12勝1敗(UFC6勝0敗)※UFC6連勝 125.5ポンド[判定3-0] ※29-28×3×タイラ・サントス(ブラジル)19勝3敗(UFC4勝3敗)124.5ポンド
女子フライ級3位のブランチフィールドと、4位のサントス。
1R、ともにオーソドックス構え。ワンツースリーまでつなぐサントスに、ブランチフィールドは右を振ってダブルレッグも差し上げて突き放すサントス。サントスの右にいったん後退したブランチフィールドだが、右を突いて組んで両脇差し。小外がけも崩せず。
ブランチフィールドは内股で投げようとするが、残したサントスはバックを狙う。立つブランチフィールドは四つ組みに。押し込むサントスに体を入れ替えたブランチフィールドがヒザ。ホーン間近でサントスが体を入れ替える。
2R、サントスの入りに右ストレートを突くブランチフィールド、しかしサントスも右ロー! 詰めるブランチフィールドはクラッチして引き出すが、ここも投げさせないサントスは、ボディロックで崩そうとするブランチフィールドに金網背に剥がそうとするが、右で差して左右に振るブランチフィールドが、サントスのボディロックの投げを潰して上に!
ハーフから腕十字狙いのサントスを潰そうとするが、サントスは亀になって立ち上がり、バックにつかせずにスタンドに戻す。距離を潰したブランチフィールドはすぐに四つに組んで大内刈狙いもホーン。
3R、オーソから左ハイを見せて右を振って組むブランチフィールドを切ったサントス。ヒジ・ヒザで削るサントスに組みで勝負のブランチフィールドは小外がげで回そうとするが、残すサントスが突き放すと右ローを連打! すぐに詰めて押し込み組むブランチフィールドはクラッチを組んで横に崩すが、ブランチフィールドが左ハイ。ブロックしたサントスからのダブルレッグをがぶり。頭を抜いたところに左右で詰めるとホーン。
判定は激しい運動量で打って組んだブランチフィールドが3-0で勝利。ケージの中でタイトルショットを望んだ。
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▼ヘビー級 5分3R〇ジュニア・タファ(豪州)5勝1敗(UFC1勝1敗)255ポンド[1R 1R 1分24秒 TKO] ※右フック×パーカー・ポーター(米国)13勝9敗(UFC4勝4敗)256ポンド
ヘビー級。2022年の大晦日にRIZINでスダリオ剛を秒殺KOに下し、兄のジャスティン・タファとともに兄弟UFCファイターとなったジュニア・タファだが、2023年4月にカマル・ウスマンの弟モハメド・ウスマンに判定負け。
ポーターは2023年2月の豪州大会で、ジャスティン・タファに65秒 KO負け。弟相手に雪辱を期す。
1R、ともにオーソドックス構え。タファの右にヒザを着いたポーターはシングルレッグで金網まで押し込むが、差し上げたタファが、四つに持ち込み、体を入れ替えて打ち下ろしのヒジ、首相撲ヒザ!
後退したポーターの右にカウンターの右を打ち下ろすと、ポーターが前のめりにダウン! タファは追撃せず。すぐにレフェリーが間に入った。
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【プレリム】
▼ヘビー級 5分3R〇ワルド・コルテス・アコスタ(ドミニカ)10勝1敗(UFC3勝1敗)264ポンド[1R 3分01秒 TKO] ※左フック×ルーカス・ブジェスキー(ポーランド)8勝4敗(UFC0勝3敗)243ポンド
1R、こつこつ右カーフを打つブジェスキーに、アコスタも右ロー。さらにブジェスキーのローに右ストレートを合わせる。
右を当てるアコスタは、ブジェスキーの右ミドルを掴んだまま右のダブルを当てると、さらに右! 両手をマットに着いたブジェスキーが立ち上がったところにアコスタはさらに右の強打!
背中を見せたブジェスキーは足が泳ぐと、ここで止められてもおかしくなかったが、アコスタは背後から左のダブル! 後ろ側頭部に浴びたブジェスキーは前のめりに頭からマットに危険な形で崩れた。
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▼バンタム級 5分3R〇ギャレット・アームフィールド(米国)9勝3敗(UFC1勝1敗)135ポンド[1R 4分16秒 TKO] ※パウンド×風間敏臣(日本)10勝4敗(UFC0勝2敗)135.5ポンド
風間は、柔術からMMAに転向し、PANCRASEを主戦場に第27回ネオブラッド・トーナメント優勝およびMVPを獲得。RTUでは1回戦で中国のマイマイチツォヘチに判定勝ちし、準決勝ではキム・ミンウの体重超過により不戦勝。決勝で中村倫也の左フックに1R TKO負けで優勝を逃すも、UFCとの契約を得た。
対するアームフィールドは、ブラジリアン柔術紫帯&テコンドー黒帯。ギルバート・バーンズを師事するサンフォードMMA所属の元FACバンタム級王者。
プロ3戦目の2019年5月のLFCで、現UFCのロニー・ローレンスに判定負けも、その後、6勝1敗の好成績で、2022年7月にUFCデビュー。オースチン・リンゴの欠場による緊急参戦のため、デビッド・オナマと階級上のフェザー級で戦い、肩固めで敗れている。
オーソからの右ミドル、近い距離で拳を伸ばし、打ち合いからテイクダウンを仕掛けるアームフィールドは、UFC前の最後の試合ではスティーブン・グラハムをシャープな右アッパーでKOに下すなど、接近戦で戦いつつも、テイクダウンからの極めはサブミッション勝利が2つと5KO・TKOに比べれば、極めが際立ってはいない。
しかし、柔術紫帯の寝技を仕掛けることも多く、風間にとっては組みを誘える展開を作って、極めて勝ちたいUFCデビュー戦だ。
風間はインタビューで、「決勝で敗戦してる時点でここにいるのがおかしいと思ってる」としつつも「それを今回見返す」と言い、柔術家でもあるアームフィールドを「“深いところに引きずり込む”」と予告した。
1R、ともにオーソドックス構え。左ボディストレート狙いのアームフィールドに遠間に立つ風間。詰めるアームフィールドに左右を被弾する。最初の組みは切られる風間。シングルレッグも切るアームフィールドが詰める。
左前手フックを突く風間だが、アームフィールドのジャブからのボディ打ち、ワンツーに真っすぐ下がる。出血し左を被弾し、ダウンするが手をつかみ脇に挟み、下から外掛けに行く風間にアームフィールドが離れる。
スタンド、なおも左右を被弾する風間。右を振り、左ローもそこに左を合わせるアームフィールドがワンツーの飛び込み! 右をもらい後方に倒れた風間にすぐにレフェリーが間入った。風間はすぐに立って戦おうとするがレフェリーに制された。
スタンドで完勝したアームフィールドは、「7歳からボクシングをやってきた、ぜったいに逃さない。とにかく、ハードな練習をすることだ!」と語った。
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▼ミドル級 5分3R〇ミハル・オレクシェイチュク(ポーランド)19勝6敗(UFC7勝4敗)186ポンド[1R 4分16秒 TKO] ※×チディ・エンジョクアニ(米国)22勝10敗(UFC2勝3敗)185.5ポンド
ミドル級のエンジョクアニは、Bellatorで5勝3敗からコンテンダーシリーズを経てUFC入り。UFC2勝2敗で、3月の前戦はロシアのアルベルト・デュラエフにスプリット判定負け。
オレクシェイチュクは、ライトヘビー級からミドルに落として2試合連続1RKO勝ち。4月の前戦はカイオ・ボハーリョに2R、リアネイキドチョークで一本負け。ともに再起を目指す。
1R、前に出るエンジョクアニにインロー、左右はオレクシェイチュク。しかし、エンジョクアニの右ハイを効かされたオレクシェイチュクが後退。ヒジ・ヒザのラッシュのエンジョクアニに、凌ぐオレクシェイチュクが反撃。
ケージに詰まるエンジョクアニがダブルレッグに入るが、切ったオレクシェイチュクがテイクダウン。インサイドからパウンドラッシュ。エンジョクアニが横を向いたところでレフェリーが間に入った。オレクシェイチュクが逆転勝ち。
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▼ウェルター級 5分3R〇ソン・ケナン(中国)20勝7敗(UFC5勝3敗)170ポンド[判定3-0] ※29-28×3×ロランド・ベドーヤ(ペルー)14勝3敗(UFC0勝2敗)170.5ポンド
1R、ともにオーソドックス構え。強い右ローのベドーヤ。さらに左インローもソン・ケナンはそのローに左前手で飛び込み。しかしベドーヤは右ローを巧みに蹴る。
右ローの打ち合いから、ベドーヤの左でハイに左ジャブを合わせたソン・ケナン。左ミドルも打つが、それをキャッチしたベドーヤが組みへ。
切るソン・ケナンにベドーヤは際でヒザを突き、カーフキック。ベドーヤの左ミドルに右ミドルを打つソン・ケナンだが、その蹴り足を掴んだベドーヤが軸足刈りも残すソン・ケナン。
2R、ワンツーから右で差して組むソン・ケナン。突き放すベドーヤは左から右ローの対角線攻撃。サウスポー構えから左ローを打つベドーヤだが、そこにソン・ケナンは右ストレートでダウンを奪う! すぐに立つベドーヤを詰めるソン・ケナンはワンツーの右をヒット! ベドーヤの右、左を受けると、左右で押し返し、自身のターンにする。左右から組んで押し込むソン・ケナンだが、差し上げるベドーヤ。ソン・ケナンはガードを下げてスタミナ苦しいか。
3R、頭を下げて左右で飛び込むソン・ケナン。そこにアッパー、左インローのベドーヤだが、ソン・ケナンも打ち終わりで左を突く。左インローを連打するベドーヤ。さらに右ロー。しかしそこに右ストレートを合わせたソン・ケナンがダウンを奪う!
深追いはしないソン・ケナンに立ち上がるベドーヤは、右で小外がりも捨て身になり立ち上がり。最後は詰めるベドーヤに、ソン・ケナンが後ろ蹴りを見せてブザー。
判定は3-0(29-28×3)でダウンを奪ったソン・ケナンが勝利した。
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▼ウェルター級 5分3R〇ビリー・ゴフ(米国)9勝2敗(UFC1勝0敗)※Bellator2勝 170[1R 3分49秒 TKO]×木下憂朔(日本)6勝3敗(UFC0勝2敗)170.5
木下は、2022年8月の「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ(DWCS)」ウェルター級 で、ジョゼ・エンヒッキを3R、左ストレートでダウンを奪ってのパウンドでTKOに下して、UFCとの契約を勝ち取った。
オクタゴンデビュー戦となった2月のアダム・フューギット(米国)戦では、先にテイクダウンを奪うフューギットに、木下は立ち上がって左ローを打つもそこに左ストレートを浴びてダウン。パウンド・ヒジを浴びて1R、 4分36秒 TKO負けした。米国フロリダのキルクリフFC所属として、今回は半年ぶりの再起戦となる。MMA6勝2敗の22歳。
対するゴフは、木下が出場したコンテンダーシリーズ2022の4週間前の「Week 2」に出場したMMA8勝2敗の25歳。今回がUFCデビュー戦となる。
アマチュアMMAでの4連勝を経て、2019年にプロMMAデビュー。Bellatorで2戦2勝で、2020年12月の『Bellator 254』では、ホブソン・グレイシーJrを2R、スタンドヒジでTKOに下している。CESでウェルター級のベルトを巻くと、2022年8月のコンテンダーシリーズに参戦。
イスラエルのシモン・スモトリスキイにいきなり左ハイでダウンを喫するも1R中にリカバリーし、左右の連打でフィニッシュ。1R TKO勝ちで、UFCとの契約を決めた。
現在、6連勝中で8勝のうち6試合をKO・TKO勝ち。オーソドックス構えで、CESでもDWCSでも、相手の蹴り足を掴んでのシングルレッグなど、組みも混ぜてのダーティーボクシングを得意とし、スモトリスキイ戦では、近距離での右アッパーを効かせて、20連打でダウンを奪い、逆転勝ちを決めている。
一方で、相手の打撃に頭を下げる癖や、自身の打ち終わりに反撃を浴びていることもあり、木下としては、ゴフの近い距離の打撃・組みに警戒しつつも、左右どちらでも打てる蹴りを有効活用したい。
またもっとも注意すべきは、ゴフのタフさか。2022年4月のCESの王座戦では序盤からマウント&パウンドのピンチに陥るも凌ぎ、2Rに前に詰めての左右の対角の打撃でダウンを奪い、DWCS同様に、逆転のパウンドアウトで王座を防衛している。
UFCで初勝利を掴むのは、木下か、ゴフか。木下はSNSでキルクリフFCでの日々を「毎日必死に生きてる」と記している。
1R、サウスポー構えの木下に、オーソのゴフ。左ストレートを当てる木下に額で受けるゴフは右ローから組みつくも切る木下。右ハイをガード上に当てる。
ワンツーからスリーのフックに繋ぐ木下。ゴフは詰めての接近戦からボディ打ちに繋ぎダブルレッグ狙いも木下は切ると左ミドル、ゴフの右ローに左ストレートを当てる木下!
跳びヒザを当てる木下だが、右インローを当てたゴフは、木下の右ジャブを受けながらも右ボディを当てて詰めると、打ち下ろしの右ボディストレートをみぞおちに! 木下がくの字になってダウン! そこにゴフが鉄槌を連打し、レフェリーを呼び込んだ。
オクタゴン初勝利のゴフは「素晴らしいストライキングが見せられたと思う、俺は誰だって倒せるストライカーだ!」と語った。木下は連敗となった。
勝者は「いつもコーナーについてくれるチームメイトのオースティンの姉か妹が亡くなった。だからチームメイトのオースティンに捧げる。ボストンで戦いたい。誰とでもやる、MSGでもいい。誰とでもやってやる」と語った。
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▼女子フライ級 5分3R〇J.J. アルドリッチ(米国)12勝6敗(UFC8勝5敗)126ポンド[2R 4分49秒 TKO] ※パウンド×リャン・ナ(中国)19勝7敗(UFC0勝3敗)126ポンド
女子フライ級。中国のリャン・ナはストロー級からフライ級に上げてオクタゴン初勝利を目指す。アルドリッチはストロー級で3勝1敗後、フライに上げて4勝4敗。3月の前戦はアリアネ・リプスキに組みを切られ判定負け。
1R、サウスポー構えのアルドリッチに、オーソのリャン・ナ。右オーバーハンドで詰めるが、その打ち終わりに左右を突くアルドリッチ。詰めるリャン・ナは強引に首投げテイクダウン! アルドリッチは蹴り上げから立ち上がり。
再び首投げするリャン・ナにすぐに立ち上がる。左右で詰めるリャン・ナはみたび首投げも、すぐに首を抜いたアルドリッチはバックへ。左足をかけて身体を伸ばそうとするが、リャン・ナはヒップアタックへ。そこでサイドを奪うアルドリッチは、ハーフからパウンドでホーン。
2R、ワンツーから右の蹴りに繋ぐリャン・ナは、低い右オーバーハンドから組んですぐに脇を潜り、リアネイキドチョーク狙いも、足をかけさせないアルドリッチはリャン・ナも前に落としてサイドに。マウントに移行し、左で枕に巻いて首を殺しながら右でパウンド!
さらに腕を縛ってのパウンド。マウントからリャン・ナの身体を伸ばして左手首をコントロールし、右のパウンド、さらにうつぶせで防御一方になったリャン・ナに左右のパウンドでレフェリーが間に入った。アルドリッチがTKO勝ち。
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▼フェザー級 5分3R〇チェ・スンウ(韓国)11勝6敗(UFC4勝5敗)146ポンド[判定3-0] ※30-27, 29-28※2×ヤルノ・エレンス(フランス)13勝5敗(UFC0勝2敗)145ポンド
フェザー級。“ホーム”ともいえる韓国人気のスンウはUFC3勝5敗。前戦は体重超過のマイケル・トリザーノにTKO負け。オランダのエレンスは2022年9月のフランス大会でUFCデビューも判定負け。
1R、ともにオーソドックス構え。エレンスの左のサイドキックに右ローを返すスンウが詰めるが、エレンスは左ヒザ。スンウは間合いを取って右ミドル。左ハイから右を伸ばして詰めるエレンスに、スンウはボディロックから体を入れ替え、右で差して押し込み、離れる。前手の左フック、右ローを突くスンウは、右ジジもエレンスはそこをかわしてシングルレッグへ。スンスががぶるホーン。
2R、オーソから左ミドルハイを腕に当てるスンウ。エレンスの入りに右。しかしエレンスは右アッパーでスンウをダウンを奪う! スンウはハーフから足を戻してフルガードかた亀になって立ち上がり。スタンドバックにつくエレンスを小手巻きから内股で投げる!下になるエレンスはクローズドガード。ヒジ打ちから片足抜いたスンウは、左で枕に巻き、ディープハーフで潜るエレンスにヒジを打つ。
3R、サウスポー構えから左ミドルのエレンス。詰めるスンウは右ロー。右から左で詰めるエレンスに右ミドルを返す。右前蹴り、右ロー、ミドルのスンウ。エレンスは右カーフ。右から右スーパーマンパンチを狙う。右カーフを当てるスンウ!
互いに右ドルを当てるなか、エレンスの右カーフにスンウが後退し、自らダウンしガードに! スンウはサイドを奪い、肩固め狙いからうつぶせになったエレンスのバックを奪い、リアネイキドチョーク狙いもホーン。
判定は3-0(30-27, 29-28×2)でスンウが勝利。