新たに授かった子供と妻とともに、試合に向かうサトシ(C)ゴング格闘技
2023年7月30日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN.2』第1部のケージで行われる「Bellator MMA vs. RIZIN 2:? Pitbull vs. Souza」のメインイベントで、「Bellagtorライト級ワールドGP1回戦」をパトリッキー・ピットブル・フレイレ(ブラジル)を相手に戦うホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術)にインタビューした。
サトシは、2020年8月の矢地祐介戦から5連続一本勝ちで2度の王座防衛に成功。2022年大みそかのBellatorとの対抗戦でAJ・マッキーに判定負けで3年2カ月ぶりの黒星を喫した。2023年5月の再起戦ではAJ・マッキーを苦しめたことがあるスパイク・カーライルに判定勝ち。今回、AJの欠場により、試合4日前の緊急参戦を決めている。
対するパトリッキーは、元Bellatorライト級王者で現在2位。2019年のRIZINライト級トーナメント準優勝者。実弟パトリシオが返上したライト級のベルトを、2021年11月の「王座決定戦」でピーター・クウィリーを2R TKOに下して腰に巻き、兄弟王者となった。2022年11月のウスマン・ヌルマゴメドフ戦で判定負けで王座陥落している。今回、ライト級ワールドGP1回戦でAJ・マッキーと対戦するために、20日前に日本入りし、朝倉未来らとファイトキャンプを行ってきた。
試合4日前参戦で、元王者とのケージでの5分5R戦に挑むサトシに聞いた。
100パーセント、自分を信じています
──試合4日前のスクランブル参戦に驚きました。1日、話し合ったと聞きました。
「もちろん、すごい考えました。最初に考えたのは体重のこと。日曜日くらいにメッセージが来て、私はバーベキュー中でした(苦笑)。すぐにチェックして82kgくらい。この短期間でライト級に戻すのは結構厳しい。『73kgでもいい』というから、今回試合することを決心しました。試合前々日であと4kgくらいで、水抜きの幅はいつもと同じくらいです」
──(インタビューの隣りで聞いていた)ユリさんは、この話を聞いて、どう感じましたか。
「そうですね、私はこの話を聞いて、すごいびっくりして。彼はいつもしっかり練習していますけど、試合に向けてはファイトキャンプでしっかり組み立てるタイプだから、この急なオファーは断るんじゃないかなと思っていました。でも、『挑戦してみる』と言って。私は、彼の毎日の努力を見て、信じていますので、いい試合を見せてくれると思います」
──サトシ選手はなぜ挑戦しようと?
「時間はほんとうに少なかったけど、周りの人に聞いたら、サポートしてくれると言ってくれたから。クレベルは帰国していたし、鈴木(博昭)先生にすぐにメールしたら、サポートすると言ってくれて。みんなのおかげですね。頑張ろうと思えました。それと……RIZIN王者が、Bellatorのライト級トーナメントにいなかった。そこに出ることは、日本の名を上げるチャンスだと思いました。(ポルトガル語で)歴史に名を残す、いい機会じゃないかと思いました」
──そして、ケージ・ユニファイドルールでの5分5R戦です。
「そう、5分5R戦のことはよく考えました。パトリッキーとの試合自体に関しては以前から戦いたいと思っていたから、“戦えるのはいいな”と思いましたけど、その体重と5Rのことだけは悩みました。でもトーナメントはみんな5Rで戦っているから、自分だけ3Rで戦うのはちょっと良くないなって。だから5Rで戦うしかない。ルールは、私の試合のプランは変わらないから問題ないと思います」
──壁レスリングはボンサイ柔術でもやりこんでいますが、ケージでパトリッキーを相手に下からの柔術を駆使するのは困難な場面もあると思います。
「壁レスリングは毎日やっているから、そのなかではケージとリングではあまり変わらない。もちろん壁際で動きは制限されるけど、私が試合をするのは全部の試合が(リングの)真ん中くらい。ケージを利用した投げはあまり使わない。だからリングでもケージでも私の試合では変わらないと思います」
──押し付けられて首や腰の動きが制限されるなか、そこでいかに極めるか、立ち上がるかは、クレベルとの練習を含め、永遠の課題として取り組んできたと。
「そうですね。クレベルも海外修行から帰ってきているし、壁際のことは、彼も海外で得たことを試して、いつもやってきましたね」
──コンディションは、20日も前に来日して、トライフォース赤坂で調整してきたパトリッキーは万全でしょう。そのハンディはありますね。
「いつも練習していて、コンディションはキープしてきたから、問題ないです。記者会見の後にも練習もしましたし。ただ“追い込み”はいつものように計画的には難しいですけど」
──細かい想定練習は出来なかったけど、それは相手にとっても同じとも言えます。
「そうですね。彼は1Rがいつも危険。もちろん2Rもそうだけど、2Rの半分くらいまでは打撃は特に注意が必要です。でも私もずっと前から打撃の練習をしているので、打撃勝負の時間があることは想定しています」
──組み技では、サトシ選手の柔術を活かす、そのアプローチがより多彩になっていると感じます。それは試合毎に進化している。
「そうですね。柔術で戦うことは、いつも私のなかにあります。そして私の柔術は特別だ、と戦ってきた選手に言われるように、誰と戦っても、柔術で戦う自信はあります」
──この状況で、勝つ自信は?
「もちろん100パーセントあります。1パーセントでも信じない気持ちがあったら行けない。戦いに行くなら、100パーセント、自分を信じています」
ーーGPのほか選手の動向も見たのですか。
「全部見ました。アレクサンドル・シャブリーとトフィック・ムサエフの試合(シャブリーが3R TKO勝ち)も見ましたし、このトーナメントは負けた人、マンスール・ベルナウイも強いし、全員が強いです。それはもうちょっとしょうがない(笑)」
──現王者のウスマン・ヌルマゴメドフと対戦するとしたら決勝まで戦えない。
「そうそう! それが夢だから。私の気持ちでは、彼が世界のライト級のトップ選手だから、(世界一の選手と戦う)夢を実現することができるトーナメントですね。もちろん彼も勝ち上がってくると思いますし、そのためにも、いまはまず、今回の試合に集中しています」
──優勝すれば、サラちゃんのご飯代が稼げますね。
「ハハハ、いっぱい食べれますね!(笑)」
──最後にファンにメッセージを。
「この試合、ギリギリに決めたけど、絶対にみんなにいい試合見せたいから、私の名前だけじゃなくて、RIZINの名前、日本の名前を世界のみんなに見せたいから、応援、よろしくお願いします!」