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【RIZIN】「チャンスはピンチの形をして現れる」──か!? サトシの100万ドルGP緊急参戦の内幕。「Bellatorを“いわせて”ほしい」(榊原CEO)

2023/07/27 12:07
「チャンスはピンチの形をして現れる」── AJ・マッキー(米国)の欠場を受け、『超RIZIN.2』(7月30日・さいたまスーパーアリーナ)に電撃参戦が決定したホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)について、榊原信行CEOが、Bellator陣営との交渉の過程を明かした。 「“一寸先はハプニング”とも“チャンスはピンチの形をして現れる”とも言うけど、今回、ショートノーティス(短期間)のオファーを選手に受けてもらうことは心苦しく思うけど、サトシはBellatorライト級ワールドGPには(大晦日に)AJに勝っていれば入っていた。でも判定負けで残念ながら出られなかった。(当時、サトシを)リザーバーでどうか、という話もスコット(コーカー)からもらっていたけど、“RIZIN王者をリザーバーに出すわけにはいかない”と固辞はして、サトシもOKはしなかった。  そういうなかで短い時間だけど、運命的にチャンスが回って来た。Bellatorパートで言えばメインカードとして米国で放送されるカードなので、ビッグチャンスでもある」(榊原CEO)  対戦相手は、パトリッキー・ピットブル(ブラジル)。元Bellatorライト級王者で現在2位。ライト級ワールドGP1回戦でAJ・マッキーと対戦するために、20日前に日本入りし、朝倉未来らとファイトキャンプを行ってきた。  試合は、サトシが試合4日前のスクランブル参戦のため、73kg契約。互いに対戦相手の想定練習をしての戦いではなく、特にサトシにとっては、ファイトキャンプを行うことなく、通常練習で大一番に臨むことになる。興味は引くが、戦う者にとってはリスクも大きなマッチアップだ。 「サトシも悩んだし、1日、チームで話し合っている。彼にとってのリスクは、自分自身より、自分のボンサイ柔術チームやRIZIN王者の名前と背負っているものが大きいから(緊急参戦で)出て行って負けたときに、周囲に迷惑をかけるんじゃないかということを一番心配していた。奥さんたちも“そんなことは気にせず、出たかったGPなんだから行きなさい”と決断した。サトシも覚悟を決めてここに挑む。我々としてもRIZIN王者をベルトを持ったままBellatorに出すというのは、ある意味決断で、日本のファンからも背中を押す熱い声援を期待して、ここはサトシに頑張ってほしい」と、榊原CEOは、期待を寄せる。  しかし、サトシにとって、5分5Rの試合時間は初。ケージでの試合は2018年11月以来となる。会見でサトシは、「やるなら、やります」と覚悟のコメントを残した。 「私はケージでもやったことがあるから、ケージもリングもあまり変わらない。心配なのは5Rで行われることだけ。そこだけは試合をするかどうか考えたけれど、トーナメントだからそこを変えるのは他の選手たちからすればフェアではないのでしょうがない。やるならやります」 [nextpage] 強豪しかいない鬼のトーナメント、バルナウイもスタンバイしていた  優勝賞金100万ドル(約1億4千万円)のBellatorライト級GPは、世界の強豪しかいないトーナメントだ。  すでに3試合が行われた1回戦では、現Bellator世界ライト級王者のウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)が、元UFC世界王者のベンソン・ヘンダーソン(米国)を1Rに右ブラジリアンキックでダウンを奪ってのリアネイキドチョークで一本勝ち。元Bellator世界ライト級王者のブレント・プリマス(米国)が、優勝候補の1人とされていた元ROAD FC王者のマンスール・ベルナウイに判定勝ち。そして、そのプリムスをKOに下しているアレクサンドル・シャブリー(ロシア)が、トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)を3R、ボディへの右前蹴りでTKOに下している。  AJの欠場を受け、当初、GP代替選手として、ムサエフのカードのスライド、さらに、フランスからバルナウイを呼び寄せる案も浮上していたという。  榊原CEOは、「スコットも言った通り、AJ欠場の代わりに、ムサエフというアイディアもあったけど、ムサエフは試合(vs.アキラ)が決まっていて、Bellator側はフランスのマンスール・バルナウイもスタンバイして日本に飛ばすというところまで来ていたけど、米国での放送には担保できても、日本のファンは納得しないだろうと。さらにビザ(発給)の問題もあった。じゃあどうする? となってときに『サトシを口説くよ』となったのが日曜日だった。  サトシは当初、9月か10月の秋にRIZINに出す予定で、その後、年末にタイトルマッチかなというイメージだったけど、ビッグチャンスなので──GPで勝ち進めば長期拘束されますが、RIZINにとっても、Bellator GPを制すれば、“やっぱりRIZINすごいと繋がると思うし、(推薦した)。十分、勝機はあると思う。RIZINファンからすれば、Bellatorパートのメインは見やすくなったかもしれない。ファンの皆さんに厳しいことは言われると思いますが、『結果オーライだね』と言ってもらえるように、熱を帯びる会場の画は浮かんでいます」とした。  Bellatorのスコット・コーカー代表は、「榊原サンがサトシを推薦してきた時には、“これは最高の試合じゃないか”と思った。そもそもサトシには最初からライト級GPに出て欲しいという気持ちもあった。とても能力の高い柔術を持つ選手がここにきてGPに出てきてくれることは非常に嬉しく思う。彼は日曜日にテストされるわけだけど、いずれにしろこの試合に勝てば準決勝と決勝、2試合で100万ドルの賞金が手に入る。サトシには“ようこそ”と言いたい」とAJの代わりにふさわしいと語った。  鈴木千裕vs.パトリシオ・ピットブル・フレイレを含め、榊原CEOとコーカー代表の長年の関係がなければ実現しなかった、直前の2カード。  この2試合がRIZINとしてもリスクがある? と問われた“地獄のプロモーター”は、「(対抗戦は)まあ、5連敗中なんで、団体としても失うものはない(苦笑)。ここで一矢報いたら、取り返せる。『真夏の格闘技の祭典』と銘打って、スコットのBellatorと共同開催する大会に、“チケットを買ってよかった”“PPVを買って観よう”という熱を作り出すことが大事だった。“怪我の功名”でそれ以上のものを十分、担保できたと思う」としながらも、「負けられない。ほんとBellatorを“いわせて”(傷めつける)ほしい」と巻き返しを狙っている。  サトシと鈴木千裕、ピットブルブラザーズのそろい踏みと、真夏の祭りの狂騒のなかで、RIZINの逆襲なるか。
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