ムエタイ
レポート

【ONE】体重超過のスーパーレックがヒジの嵐でカリロフを血祭り圧勝。ペッティージャーがけた違いの強さで26秒TKO勝ち、女王アリシアへの挑戦を表明

2023/07/15 11:07
ONE Fight Night 122023年7月15日(土)タイ・ルンピニースタジアム※ABEMAにてLIVE配信中 ▼メインイベント(第9試合)キャッチウエイト(61.3kg)ムエタイ 3分3R〇スーパーレック・ギャットムー9(タイ/フライ級キックボクシング世界王者)TKO 2R 1分42秒 ※レフェリーストップ×タギール・カリロフ(ロシア)  スーパーレックは、ルンピニーのフライ&バンタム級王座、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座のほか数多くのタイトルを獲得した名選手。2012年にはタイのスポーツ省が認定するムエタイMVPにも選ばれている。2017年6月、2018年8月と2度来日経験があり、ヤスユキにハイキックでKO勝ち、小川翔にヒジによるカットでTKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけた。  ONEでは2020年7月大会でONEムエタイ世界フライ級1位にいたパンパヤックを判定3-0に破り、変わらぬ実力を発揮。9月にはファディ・カレッドにも難なく勝利して2連勝で、2021年2月にイリアス・エナッシが保持するONEフライ級キックボクシング世界タイトルに挑んだが、判定3-0で敗れている。2022年の「ムエタイ・フライ級ワールドGP」では決勝へ進出するも、パンパヤックと両者が体重オーバーとなり、パンパヤックが判定2-1で勝利するも優勝者は無しという珍事となった。その後はダニエル・プエルタス、ダニエル・ウィリアムズ、ナビル・アナンに勝利して8連勝中。戦績は133勝29敗4分(KO数は不明)。  また、事前のインタビューでは「間違いなく武尊はいつか対戦したい選手の一人だ」と、ONE参戦が決まっている武尊との対戦に意欲を示していた。前日計量ではフライ級のリミットをクリアすることが出来ず、この試合は61.3kgのキャッチウエイトで行われる。  対戦相手のカリロフはタイでムエタイを学び、現在はエカテリンブルクのサミンプライ・ムエタイ・ジムで練習を積む。ONE初登場は2021年2月のロッタン戦で、対戦相手の欠場による1週間前オファーのスクランブル参戦だったが、ロッタンを相手にスプリット判定まで持ち込んでいる。その後はデニス・ピューリックに判定負け、チョーファー・トー・センティアンノーイに初回TKO勝ち、前戦は3月にブラック・パンサーを初回KOしている。  1R、スーパーレックはジャブから右ロー、ジャブの差し合いから左の縦ヒジを繰り出す。その後もスーパーレックは左の縦ヒジを多用し、右カーフでカリロフを下がらせると今後は右の縦ヒジ。減量失敗のためスタミナに不安があるのか、今回のスーパーレックはヒジを多用してカリロフのパンチに合わせていく。飛びヒザから着地と同時に右ヒジを叩き込むとカリロフの腰が落ちる。すかさず組み付くカリロフは右目下から流血。ローの蹴り合いから右ヒジを叩きつけるスーパーレックに、カリロフは左目上からも流血する。蹴りとヒジの嵐にカリロフの顔面は朱に染まる。  2R、スーパーレックの右ローにバックハンドブローで対抗したカリロフだったが、その直後にスーパーレックがヒジで猛反撃。右ローとヒザ、ヒジの猛攻にたまらずカリロフが組み付いたところへスーパーレックの右縦ヒジが炸裂。ダウンを奪う。カリロフはスーパーレックの蹴りに右フックを合わせに行くが、スーパーレックのヒジの猛攻にブロックを固めるしかない。大流血のカリロフにスーパーレックは容赦なくヒジを叩きつけていき、右ストレートからの右ヒジがヒットしてカリロフが逃げようとしたところでレフェリーがストップをかけた。  マイクを向けられたスーパーレックは「ウエイトに関してはみんなを悲しませてしまってごめんなさい。ムエタイですでにナンバーワンだけれど、まだまだムエタイでやりたい。ロッタンとも戦いたいけれどハガティともやりたい」と、1階級上のハガティと戦いたいとアピールした。 [nextpage] ▼第4試合 アトム級(-52.2kg)ムエタイ 3分3R×ララ・フェルナンデス(スペイン)TKO 1R 0分26秒 ※左右連打〇ペッティージャー・オーミークン(タイ)  フェルナンデスは2021年アマチュアムエタイIFMA世界選手権で銅メダルを獲得。プロデビューは2011年11月でデビュー戦から5連敗を喫し、2018年には『Enfusion』に参戦するも2連敗。しかし、その後は連勝して2019年11月にはISKAオリエンタルルール世界スーパーフェザー級王座を獲得。2020年3月にはWBCムエタイ世界フライ級王座も獲得した。ONEには2022年7月から参戦し、いきなりONE女子アトム級ムエタイ世界王座決定戦をジャネット・トッドと争ったが判定負け。2戦目は12月にダンコンファーに判定勝ちしている。  ペッディージャーは7歳でムエタイを始め、「男の子を打ち負かす少女」として有名となり、10歳で100戦以上を戦い、そのうち70回以上は男子選手との戦いであった。有名になりすぎてテレビで試合が放送されるようになると、タイの法律によって男子選手との試合は禁止に。2016年2月には『ムエタイオープン』に初来日し、小林愛三と対戦して判定負け。2017年11月にはシュートボクシングに再来日するとMIOに判定負けを喫している。  ムエタイで順調に勝ち星を重ねる中、アマチュアボクシングのタイ代表として選ばれ2018年AIBA女子ユース世界選手権48kg級銀メダルになるなど活躍。2022年8月にはプロボクシングデビューも飾っている。ムエタイでの獲得タイトルは、WPMF世界ミニフライ級王座、WMC世界-45kg級王座、2021THAI FIGHTクイーンズカップ-51kg級優勝など。ONEには2023年3月から参戦し、2試合ともTKO勝ち。現在は21歳で戦績は191勝15敗3分。  1R、ペッティージャーは前蹴りでボディを蹴るとすぐに左右ボディ。さらに左ローからの右クロスを叩き込むとフェルナンデスは明らかなダメージを負って後退。このチャンスを見逃さずペッティージャーは一気にラッシュを仕掛け、フェルナンデスにロープを背負わせて左右フックのラッシュ。右ストレート&フックが強烈にフェルナンデスを仰け反らせ、レフェリーがストップする寸前にはヒジ打ちを繰り出すがこれは当てる気がなく、見せ技の余裕。  圧倒的な勝利を飾ったペッティージャーは「安心してハッピーで、もっと自分の持っているスキルを見せたかった。一発目で相手がビジーになっているのを確認できたのでコンビネーションで攻めた」と試合を振り返る、「アリシア、レッツゴー!」とONEムエタイ世界女子アトム級王者アリシア・ヘレン・“アラウージョ”ロドリゲスとの対戦をアピールした。5万ドルのファイトボーナスもゲット。 [nextpage] ▼第1試合 ライト級(-77.1kg)キックボクシング 3分3R×コンスタンティン・ルス(モルドバ/ロシア)KO 3R 1分13秒 ※右ハイキック〇ボグダン・シュマロフ(ブルガリア)  ルスは2018年3月にキング・オブ・キングス「ウェルター級ヒーローズ・トーナメント」で優勝。2018年からは『FEA』に参戦し、チコ・クワシに勝利。2019年3月に同団体のウェルター級王座を獲得した。6月にはWKLミドル級王座も獲得して三冠王に。8月にゾーラ・アコピアンに敗れて連勝は16でストップしたが、その後も勝利を収めて2022年6月からONEに参戦。2連勝を収めて今回の3戦目に臨む。戦績は24勝(9KO)4敗1分。  シュマロフは2023年2月の『ONE Friday Fights 6』に参戦し、マルワーン・フーリに初回KO勝ちを収めている。  1R、シュマロフが右カーフを蹴ると、ルスは足をスイッチしないで蹴る左ミドルを連発して当てていく。前蹴りとワンツーも繰り出すルスに、シュマロフはもらいながらも前へ出て右フックを打ち下ろす。ミドルからパンチのコンビネーション、さらにハイキックと流れるような動きを見せるルス。どんどん前へ出るシュマロフは大きな右フックと右カーフ、ルスはいいタイミングで前蹴りを打ち、上中下にコンビネーションをつなげていく。シュマロフも負けじと左右フック、左アッパー。ルスは3分間、全く止まらず手足の攻撃を出し続けた。  2Rもシュマロフは左ミドル、右ローを蹴ってパンチで前へ出る。ルスはすかさず前蹴りからのコンビネーションを回転させ、右へ回り込む。動き続けてさすがに疲れたか、ルスは動きが鈍り始め、シュマロフの右フック&左ボディを被弾。シュマロフは左ボディと右カーフ、さらに右アッパーから左フックと攻撃をまとめる。それでも手数を出して打ち返すルス。  3Rが始まってすぐ、シュマロフの左ボディからの右ハイがヒット。一気に詰めるシュマロフだがルスはしっかり攻撃を返す。シュマロフは左ボディ。ローの蹴り合いが繰り広げられる中、シュマロフの右フックがヒット。それでもルスは攻撃の手を休めない。組み付いたルスをレフェリーがブレイクした次の瞬間、ルスの右ストレートに合わせたシュマロフの右ハイがヒットし、ルスはダウン。立ち上がるもレフェリーは試合終了を宣言し、シュマロフが『ONE Friday Nights』に続くKO勝ちを飾った。 「スタートはスロースタートで疲れてしまった。次はもっともっと頑張るよ」と話すシュマロフ。5万ドルのファイトボーナスを獲得した。
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