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【UFC】ヴォルカノフスキーがロドリゲスをTKOで5度目の王座防衛、パントージャがモレノ下し新王者に。平良達郎がヒヤリもUFC4連勝! 6連勝デュ・プレシがウィテカーTKOで王座挑戦へ前進。ローラーが有終の美を飾るKO勝ちで引退

2023/07/09 09:07
 2023年7月8日(日本時間9日)、米国ネバダ州ラスベガスのT-Mobileアリーナにて『UFC 290: Volkanovski vs. Rodriguez』が開催された。公式計量では、UFC3連勝中の平良達郎(Theパラエストラ沖縄)が、130ポンド契約のジャスト(58.97kg)でパス。対戦相手のメキシコのエドガー・チャイレスは129ポンド(58.51kg)の1ポンドアンダーでパス。  平良の試合は、当初のアーリープレリムの最後の試合から、プレリムのセミに昇格。T-Mobileアリーナの有観客の前で、日本人選手として堀口恭司以来、約8年半ぶりのUFC4連勝を目指して戦った。 UFC 290:ボルカノフスキー vs. ロドリゲス 速報 現地時間2023年7月8日(土)、日本時間9日(日)米国ネバダ州ラスベガス /T-Mobileアリーナ 【メインカード】 ▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5R〇アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)正規王者・26勝2敗(UFC13勝1敗)144.5lbs/65.54kg[3R 4分19秒 TKO] ※パウンド×ヤイール・ロドリゲス(メキシコ)15勝4敗(UFC10勝3敗)145lbs/65.77kg※ヴォルカノフスキーが5度目の王座防衛に成功  UFC世界フェザー級王座統一戦。  正規王者のアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)と、暫定王者のヤイール・ロドリゲス(メキシコ)が5分5Rで対戦する。  ヴォルカノフスキーはオーストラリア人初のUFC世界王者。2019年12月のフェザー級王座戦で当時王者だったマックス・ホロウェイを判定で下し戴冠、その後4度の防衛に成功した。2023年2月の前戦『UFC284』では、1階級上のライト級王者イスラム・マカチェフに挑戦。大激闘の末に判定で敗れている。  対するロドリゲスは、テコンドーベースの打撃を武器に、これまで元二階級王者B.J.ペン、ジョン・チャンソン、ジェレミー・スティーブンスら強豪に勝利。2023年2月の『UFC284』のフェザー級暫定王座決定戦で、ジョッシュ・エメットに三角絞めによる一本勝ちで暫定のベルトを巻いた。  フェザー級“絶対王者”の異名を持つヴォルカノフスキーに対し、勢いのあるロドリゲスが多数のメキシコファンの前でいかに戦うか。  1R、歩きながらスイッチするヴォルカノフスキー。サウスポー構えのロドリゲスは右の関節蹴りでけん制。右ハイはヴォルカノフスキーがガード。スナップを効かせたブラジリアンキックもかわす。  左ミドルのロドリゲス。その蹴り足を掴んでテイクダウン奪うヴォルカノフスキーは自らケージまで押し込み細かいパウンド。フルガードのロドリゲスに金網に頭を詰まらせ中腰からパウンド。しかしロドリゲスは蹴り上げでスペースを作り立ち上がるとボディロック&小外がけテイクダウン。すぐに立ち前転するロドリゲスを押さえ込み、肩固め狙い。 さらにハーフガードのロドリゲスにパウンド。フルガードに戻したロドリゲスは下からのヒジでヴォルカノフスキーをカットさせる!  2R、喧嘩四つで互いにロー。距離が空くとロドリゲスは右前蹴り、サイドキックを見せる。さらに右の二段蹴り。ブロッキングのヴォルカノフスキーは右のオーバーハンド! そこに左を狙うロドリゲスだが、ヴォルカノフスキーははハイクロッチから持ち上げてテイクダウン! 立ち上がったロドリゲスに大外気味にテイクダウンを奪う。下から腕十字を狙うロドリゲス。それをさばいたヴォルカノフスキーはヒジで出血を奪い返す。  さらにスタンドバックから引き込み、スクランブルをさせずに寝かせきってハーフから左ヒジ! さらに右で差してパス狙い。下から手首を持つロドリゲスは三角絞め狙い。察知しているヴォルカノフスキーはかわしてインサイドガードから強い右のパウンド! 後転させてかつぎパスから再び正対したロドリゲスは下からヒジ。それ以上にヴォルカノフスキーは上からパウンドする。  3R、長い距離になると右の蹴り上げ、ハイキックに繋げるロドリゲス。スイッチしてしての右を突くヴォルカノフスキーに、左ハイのロドリゲス。ブロッキングするヴォルカノフスキーはロドリゲスの右の蹴りを外にかわすが、ロドリゲスは強い左ハイ。ブロッキングのヴォルカノフスキーは圧力をかけると、ワンツースリーからニータップ狙いに。ここは、切ったロドリゲスは左右の蹴りを上下に打ち分ける。  ヴォルカノフスキーの頭からの入りがバッティングで中断。再開。右ハイをかわすヴォルカノフスキー。右から左の二段上段蹴りのロドリゲス。右のミドルで前に出るが、そこに右フックを合わせたヴォルカノフスキー! ロドリゲスが一瞬、動きを止めると、そこを逃さず、ヴォルカノフスキーは一気に詰めて左右ラッシュ金網まで追い込むと、右ボディアッパーを連打し、すぐにダブルレッグを引っこ抜いてテイクダウン! 迷わずパウンドを連打し、勝負どころでTKOした。  3R、4分19秒、ヴォルカノフスキーがTKO勝ちで5度目の王座防衛に成功。ケージのなかで、「予想できることもあるし、予想できないこともある。自分の準備が出来ていることが大事だ。スイッチして右フックはうまく決まった。どんなときにも気を抜かないこと。このポジションは俺のものだけど、誰でも受けて立つよ。手術を控えているから、手術を終えたら戻ってくる」と語り、ケージサイドで観戦した6連勝中のイリア・トプリア(ジョージア)と対戦の約束か、握手をかわした。 [nextpage] ▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R×ブランドン・モレノ(メキシコ)王者・21勝7敗2分(UFC9勝4敗2分)125lbs/56.70kg[判定1-2] ※47-48×2, 49-46〇アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)挑戦者・26勝5敗(UFC10勝3敗)125lbs/56.70kg※パントージャが新王者に  王者ブランドン・モレノ(メキシコ)に、3連勝中のアレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)が挑戦する。  2連勝中のモレノは2023年1月の『UFC 283: Teixeira vs. Hill』でデイブソン・フィゲイレードに3R TKO勝ちし、フライ級王座を統一して以来の試合。  対する2位のパントージャは、2022年7月の『UFC 277: Pena vs. Nunes 2』でアレックス・ペレスに1Rネッククランクで勝利して以来の試合。アメリカントップチームでは堀口恭司の練習仲間でもある。  2016年に『TUF24』の準決勝で扇久保博正に判定負けしたものの、2017年1月にUFC入りしたパントージャは、UFCで9勝3敗をマーク。2021年からはマネル・ケイプ、ブランドン・ロイヴァル、アレックス・ペレスを相手に3連勝。前戦でペレスを91秒で極めた後、王座戦をアピールしていた。UFC6年目、プロデビューから16年目のフライ級王座挑戦となる。  1R、いきなりのパントージャの左右に体を入れ替え押し込むモレノ。左で差して金網に押し込むと、右で小手に巻くパントージャは首相撲から体を入れ替え、ヒザで離れる。  左右から首相撲ヒザで崩そうとするパントージャに、残すモレノ。ワンツーの右の飛び込み。しかし、パントージャの右を浴びてダウン! 下になったモレノの右腕を殺してヒジを落とすパントージャ。右瞼から出血しながらも立ち上がるモレノ。  ワンツーで押し戻すモレノに、左を当てるパントージャ! さらに右アッパー、近づけば首相撲ヒザを突く。右ハイを掴んでテイクダウンのモレノだが押さえ込めず。すぐに立つパントージャがスタンドバックに着き、離れたモレノが右を狙ってホーン。  2R、ワンツーから右ハイに繋ぐパントージャ。しかし、モレノもワンツーの右を当てて押し戻す。パントージャも左ジャブの刺し合いで退かず。  モレノのワンツーにワンツーの右で打ち合うパントージャ。モレノは左に抜けてかわす。左から右を振って近づき、パントージャの打ち返しにスタンドから脇を潜ってバックを奪うパントージャ! 腰をずらして正対したパントージャに崩れ袈裟で押さえ込もうとするモレノに、パントージャは立ち上がり。  ボディ打ちから右、さらに左を突くモレノ! パントージャも入っての右アッパーを当てると、モレノは蹴り上げ。パントージャとの左ジャブの刺し合い。ともにワンツーに打ち返し。パントージャの右ハイをかついだモレノが上になりホーン。  3R、先に左右を振るパントージャが首相撲からヒザがモレノのローブローに。再開。パントージャは顔面に出血も、一気に詰めてスタンドバックから引き込み、4の字ロックからリアネイキドチョーク狙い。背後をとられたモレノは、腰をずらして正対でリバーサル! 体を離してスタンドに戻す。  左ジャブのダブルに、左右アッパーを狙うパントージャ。そこにモレノはオーソから左ハイをガード上に当てる。しかし、モレノも左ストレートを当てると、左ハイに繋ぐ。しかし詰めるパントージャはダブルレッグテイクダウン! 下のモレノのオモプラッタ狙いをさばこうとするが、モレノはリバーサル。下になったパントージャは蹴り上げから立ち上がる。ジャブの刺し合いから右ローはパントージャ。前に出るのはモレノ。3Rの手数は拮抗している。  4R、パントージャにとっては未経験の4R。モレノは左のダブル。さらに左ボディも。しかしパントージャも左右の回転を上げてワンツーからヒザ。さらにその前進にダブルレッグテイクダウン! モレノは押さえ込まれずスクランブルから立ち上がる。そこにスタンドバックにつくパントージャが引き込みテイクダウン。下からヒザ十字を狙うモレノをかわしてパス。亀にスクランブルするモレノの背中について膠着。背後からヒザを蹴って引き込み、肩固めを狙うが、それをリバーサルしたモレノが上に! ここもパントージャは蹴り上げから立ち上がる。  そこを打撃で優位に立つのはモレノ。金網背にするパントージャのシングルレッグを切ってヒジも突く。  5R、じりじりと詰めるのはモレノ。右に回るパントージャは距離を取る。モレノの左右にはアッパーを入れるパントージャだが、左アッパー等、最後の攻防はモレノ。パントージャは左ダブル! パントージャは右アッパーで前に出ると、首相撲からダブルレッグテイクダウン! ハーフからつっかい棒の右手を外して寝かせて、立ち際にモレノの背中に飛び乗ったパントージャがスタンドで4の字ロック。  背負うモレノに右腕をこじ入れようとするパントージャ。防御するモレノは立ったまま首を守りホーンを聞くと、着地したパントージャとともに両手を挙げた。  判定は2-1(46-49, 48-47×2)に割れ、パントージャが勝利。涙の新王者に輝いた。試合後、パントージャは「モレノがこんなにもタフだとは思っていなかったけど、この試合のために2年間、すべてを捧げてきた」と語り、ブラジルから米国に呼び寄せた家族とともにハグ。母子家庭で育ったパントージャは「父さん、今の私を誇りに思ってくれますか?」と語った。 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R〇ドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)20勝2敗(UFC6勝0敗)※UFC6連勝 186lbs/84.37kg[2R 2分23秒 TKO] ※右ストレート→ラッシュ×ロバート・ウィテカー(豪州)24勝7敗(UFC15勝5敗)185.5lbs/84.14kg  1R、スイッチしてサウスポー構えになるデュ・プレシ。オーソのウィテカーは左ロー、右インロー、デュ・プレシの左に右のカウンター! さらに左ミドルにも左の突きを合わせる。ダブルレッグテイクダウンのウィテカーに、ギロチンチョークを狙うデュ・プレシだが、対角に跳ぶウィテカー。デュ・プレシはすぐに立ち上がる。  右アッパーから左を狙うデュ・プレシ。ステップバックのウィテカーは、デュプレシの右をダックしてかわして左を狙うが、近づいたところで首投げのデュ・プレシは、ダースチョーク狙いから足をさばいてパス。強い左右のパウンドで1Rを取る。  2R、組まれないように左右も出入りするウィテカー。右で入ろうとしたウィテカーにデュ・プレシはカウンターの右ストレート! 被弾したウィテカーがダウンすると、立て直したところをデュ・プレシは詰めて、ケージまで下がったウィテカーを追って、右ボディ! さらに左右を連打! ウィテカーが金網に詰まり頭を抱えたまましゃがみこんだところでレフェリーが間に入った。 「伝説的な相手と戦えて光栄だ」と語ったデュ・プレシはUFC6連勝。ダナ代表と話してからケージインしたアデサニヤとマット上で舌戦を繰り広げた。南アフリカ選手として初のUFC王座挑戦者となるか。 [nextpage] ▼ライト級→158ポンド 5分3R〇ダン・フッカー(ニュージーランド)22勝12敗(UFC12勝8敗)155.5lbs/70.53kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ジェイリン・ターナー(米国)13勝6敗(UFC6勝3敗)158lbs/71.67kg ※体重超過※ターナーが規定体重をオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のフッカーに報奨金の20%を支払う。  1R、スイッチして前に出るターナー。左右にサークッリングするフッカーはオーソから左ロー。ターナーは左の飛び込み。フッカーは右インローを股間に入れて中断。  再開。右前蹴りを打つフッカー。ターナーはオーソから左ジャブ、左ハイ、バックスピンキックを放つ。  右ハイ、右インローと右の蹴りを当てるフッカー。ターナーも左ロー、二段蹴りで応戦。前に出るとフッカーはダブルレッグも、突き放すターナー。右ストレート、右ハイをガードの上に当てるフッカー!  ターナーの左フックに回るフッカー。右を返して前に出るフッカーは右の蹴りも、左ストレート、左前蹴りを返すターナー。  2R、圧力をかけるターナーは左フック、ボディキック。右インローを返すフッカー。ターナーは左の三日月蹴りをボディに突き刺す。フッカーは右ボディから右の蹴りに繋ぐが、ターナーは左前蹴り、さらに左ハイ!  ボディから左ハイを当てられ足が止まったフッカーを追うターナーは、さらに左ハイ! フッカーは頭部をカットし、出血する。  ワンツーの右を当てて前に出るフッカーは猛ラッシュ! さらに左ストレートも当てて追い込むと首相撲のターナーを押し崩してバックからリアネイキドチョーク狙いもホーン。  3R、ボディから左フックはフッカー。息が上がったかに見えたターナーだが、ダブルレッグテイクダウン。フッカーはすぐに立ち上がり、右のクリンチボクシングから崩して上を奪取、下からのターナーの仕掛けを潰して細かいパウンド。脇差し立ち上がるターナーが右の蹴りで突いて、前に出るもホーン。  判定は2-1に割れ、金髪を血で染めたフッカーが体重超過のターナーに勝利。マカチェフ戦、アレン戦で敗れたフッカーだが、前戦のクラウディオ・ピュレス戦に続く勝利で2連勝。「タフな相手だった。髪の毛もピンクになってしまったよ」と苦笑した。 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R〇ボー・ニッカル(米国)5勝0敗(UFC2勝0敗)※レスリングU-23世界選手権優勝・レスリングNCAAディビジョン1で3度王者 186lbs/84.37kg[1R 0分38秒 KO]×バレンタイン・ウッドバーン(ジャマイカ)8勝0敗(UFC1勝0敗)185.5lbs/84.14kg  27歳のニッカルは、U-23世界選手権優勝・NCAAディビジョン1で3度王者となっているレスラー。2022年3月のUFCデビュー戦では、ジェイミー・ピケットに肩固めで一本勝ち。当初はUFC1勝2敗のトレーシアン・ゴアと対戦予定だったが、負傷欠場により、8月のコンテンダーシリーズに出場予定だったウッドバーンが急遽参戦を決めている。  1R、サウスポー構えのニッカルは大きな左を振る。そこにオーソから右、さらに左を狙うウッドバーン。ニッカルは前手の右フックを当てると、いったんバックステップしてから左アッパー、さらに左ストレートを当てて、38秒、TKO勝ちした。  ATTのニッカルは、マイク・ブラウンらコーチに感謝。「もうすぐ父親になる。戦うことと同じくらい、父になることも楽しみだ」と語った。衝撃勝利にケージサイドのドナルド・トランプ前大統領、俳優のメル・ギブソンも興奮する姿が映し出された。 [nextpage] 【プレリミナリー】 ▼ウェルター級 5分3R〇ロビー・ローラー(米国)30勝16敗(UFC15勝10敗)170.5lbs/77.34kg[1R 0分38秒 KO] ※左フック×ニコ・プライス(米国)15勝7敗(UFC7勝7敗)171lbs/77.56kg  1R、サウスポー構えのローラー、オーソドックス構えのプライス。ローラーは踏み込んでの右アッパーを当てると、そのまま右手でプライスの首を掴み、左手でクリンチアッパー。プライスは左ヒザを突こうとするが、そこにローラーはクリンチ&左フック! プライスがダウン。試合が決した。  0分38秒、KO勝ちでオクタゴン最後の試合を終えたローラー。試合後にオクタゴンのなかで異例のキャリアを振り返るビデオが流されると、「練習はキツかった。今朝のコンディションが良かったから、いい予感がしたんだ。長年、戦ってこれたのはみんなのおかげだ。ありがとう」と涙を流して語った。 [nextpage] ▼130ポンド(58.96kg)契約 5分3R〇平良達郎(日本)14勝0敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝 130lbs/58.97kg[判定3-0] ※29-27×3×エドガー・チャイレス(メキシコ)MMA10勝5敗(UFC0勝1敗)129lbs/58.51kg  UFC3連勝中の平良は、6月24日のUFCフロリダ大会でクレジソン・ホドリゲス(ブラジル)と対戦予定も、ホドリゲスが3ポンド(1.3kg)の体重超過。陣営はホドリゲスが2試合連続の体重超過のうえ、前戦で白星を掴んでいることも鑑み、試合を受けないことを決めた。そこから、ラスベガス大会に急転直下の参戦。  新たな対戦相手は、メキシコのエドガー・チャイレス。MMA10勝4敗で、今回がUFCデビュー戦となる。試合はフライ級(125ポンド・56.7kg)ではなく、緊急参戦のチャイレス側の希望により、5ポンド重い130ポンド(58.96kg)契約で行われる。  平良にとって2週間、体調を保って試合に臨むのは昨年5月のUFC第1戦以来となる。そのときは4月30日にカルロス・カンデラリオが大会直前に食中毒で欠場。5月14日大会で仕切り直しの同一カードが組まれたため、平良は2週間後に再び水抜きを経験している。試合は、平良が判定勝ちも3試合連続の一本勝ちが途絶えていた。  さまざまなリスクもあるなか、平良はそれでも一度は試合に向かった身体をある程度キープし、今回も2週間後の試合に向かうことを望んだ。会場は、これまで練習拠点としてきたラスベガス。エクストリーム・クートゥアーやUFC PIで再度、追い込みを行ってきた。  ホドリゲスの代替選手のチャイレスは『Combate Global』フライ級王者で、戦績は10勝4敗。6つの一本勝ちと4つのTKO勝利を記録しており、すなわち白星のすべてでフィニッシュ決着で勝利していることになる。メキシコでは王者ブランドン・モレノのトレーニングパートナーを務めていた。 “ピットブル”の異名を持つ通り、立っても寝てもアグレッシブなファイターで、スタンドでは基本はオーソもサウスポーにも構え、スイッチしての左の鋭い蹴りも武器とする。また勝負どころのラッシュも脅威で、組んでのヒジ・ヒザなど近距離の際の打撃に加え、身長は170cmながら、183cmのリーチを活かした打撃は左前手のジャブ、フック、さらに遠間からのカーフキック、ボディキック、そして下がりながらの跳びヒザにも注意が必要だ。  2022年8月に『コンテンダーシリーズ』で現在7勝無敗のクレイトン・カーペンターに判定負けも、右アッパーでの飛び込み、カーペンターの右ストレートにカウンターの垂直の“その場跳び”の跳びヒザ蹴りをかすらせ、その直後のカーペンターの左に、シャープな左フックを内側に振りぬきカーペンターの腰を落とさせている。  一方でCombate時代から腰が並外れて重いわけではなく、カーペンターにはダブルレッグテイクダウンで背中を着けさせられて敗北しており、平良としては、立ち合いで強打をもらわないこと、下からのヒジ等の打撃や、たびたび仕掛けてくる三角絞め・腕十字のコンビネーションに注意して組み技で上回りたい。  チャイレスは2020年9月の「UWC 23」で、平良が2023年2月のUFC前戦で1R 腕ひしぎ三角固めで一本勝ちしているヘスス・アギラーにUWC王座戦でギロチンチョークで一本負けしていることもあり、精緻な寝技では平良に分があると思われるが、試合は130ポンド(58.96kg)契約だ。  チャイレスは2022年1月の「Naciones MMA 3」で130ポンド試合を経験しており、そのときは1R パンチでTKO勝ちしているため、今回も力強いパフォーマンスを見せるだろう。対する平良にとっては、オクタゴン2戦目のCJ・ベルガラ戦が、ベルガラの3ポンド(約1.36kg)体重超過で129ポンド契約で戦い、2Rに腕十字を極めているため、2週間かけての130ポンドでの体重調整は可能と判断しての出場となる。  チャイレスは8月にいったんコンテンダーシリーズ再挑戦が決まっていたが、今回の平良の試合消滅を受け、UFC本戦に抜擢されたことで、高いモチベーションを持って試合に臨んでくるだろう。  平良にとっては、8月26日のシンガポール大会出場も候補に挙がるなか、コメインで「UFC世界フライ級選手権試合」の王者ブランドン・モレノ(メキシコ)vs.挑戦者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)が行われるナンバーシリーズの『UFC 290』で戦うことは、同階級のランカーたちに存在感を示す試合になるだろう。  同日のフライ級戦では、モレノvs.パントージャに加え、チャイレスを下したヘスス・アギラーvs.ホドリゲスに敗れたシャノン・ロスの試合も組まれ、アギラーが秒殺勝利を挙げており、ランキング入りを目指す平良としては、ノーランカーのなかで頭角を現す試合が望まれる。  コメインに出場するモレノのスパーリングパートナーも務めたメキシコのチャイレスは大歓声を受ける。続けて平良が登場。コーナーマンは松根良太代表と岡田遼らがつく。  1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るチャイレス。先に左ロー。平良も右カーフを返す。メヒココールのなか、上下にレベルチェンジの平良。チャイレスの右ローをかわして、右カーフを当てる。  さらに左ミドルハイ。右ロー、左ロー。前手の左フックを振るチャイレス。さらに右カーフに平良がバランスを崩す。  体勢を戻した平良に得意の前手の左フックを当てたチャイレス! 腰を落とした平良の起き際にチャイレスはギロチンチョーク!  片足は抜けている平良は左で枕に押さえ込み。チャイレスは足でケージを掴み、ハーブ・ディーンレフェリーに注意を受ける。右脇を差して押さえ込み、左でヒジを突く平良! 残り10秒で縦ヒジを落とす平良。後頭部付近へのヒジに、レフェリーから注意を受け、打ち方を「これでいいか」と示す平良に、ハーブ・ディーンは横から打てと示す。  インターバル中に「あんまり効いてないです」と答える平良。  2R、ステップして右ローは互いに打ち合い。平良のダブルレッグにギロチンチョークを狙うチャイレス。残り4分で上になる平良はハーフも、足を利かせるチャイレス。そこにまずは右でヒザを越え、次に左足も越えた平良はマウント、バックマウント狙いも、正対したチャイレス。平良はチャイレスの右腕を左足で踏んで縛り付けて右で脇差し、左パウンド、ヒジ!  左腕も狙いながらマウントを奪う平良。上体を上げてパウンド! さらに強烈な右ヒジ! たまらず横を向くチャイレスにバック、肩固めも狙いつつ、脇を開けて残り10秒で三角絞めへ。頭を引き寄せるがホーン。  3R、サウスポー構えから入るチャイレスはオーソに戻して右ボディから左。左フックを振るチャイレスは右カーフ。平良も右ストレートを振る。メヒココールとともに前進するチャイレスは平良の右カーフに左を狙う。  左右にステップする平良。右を突いて金網を背負わせるが、左に回るチャイレス。平良のローに左パンチを狙う。平良はダブルレッグで金網まで押し込んで持ち上げ、長い足で小外がけテイクダウン! 残り2分、ハーフから左で枕に抱き、肩で押さえ込む平良。  ブーイングのなか、平良は両手を挙げて観客を煽り、チャイレスの立ち際に首を抱えるが、そこで首を挙げたチャイレスがギロチンチョーク! クローズドガードの中に平良を入れて絞め上げ、首を抱えたまま上になり、ホーン。  立ち上がった平良は、右足でマウスピースを蹴り上げ、悔しさをあらわに。初回に左フックで腰を落とし、最後にギロチンチョークのクローズドガードのなかに入った平良だが、テイクダウンからのグラウンドコントロール、ヒジ打ちの時間を制している。  判定は3-0(29-27×3)で平良が勝利。練習仲間のパッチー・ミックスも見守るなか、勝ち名乗りを受けた。スコアカードではジャッジ3者がギロチンチョークをセットした3Rをチャイレスにつけている。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R〇デニーシ・ゴメス(ブラジル)8勝2敗(UFC2勝1敗)115lbs/52.16kg[1R 0分20秒 TKO]×ヤスミン・ハウレギ(メキシコ)10勝1敗(UFC2勝1敗)115.5lbs/52.39kg  1R、開始早々、前に詰めて右フックをヒットさせたゴメス。そのまま前進し、右ストレートをアゴに打ち込み、さらに右でハウレギがダウン! 下から右足にしがみつくハウレギに、ゴメスは左のパンチ連打。レフェリーが間に入った。20秒TKO。  女子ストロー級最短フィニッシュ勝利を決めたゴメスは、「勝つためにここに来た。過小評価した人は見直したんじゃないか」と語った。 [nextpage] ▼ライトヘビー級 5分3R〇アロンゾ・メニフィールド(米国)14勝3敗(UFC7勝3敗)205.5lbs/93.21kg[2R 1分55秒 ギロチンチョーク]×ジム・クルート(豪州)12勝4敗(UFC4勝4敗)205lbs/92.99kg  1R、ともにオーソドックス構え。クルートの右カーフにワンツー、右を合わせに行くメニフィールド。クルートはダブルレッグに入るが差し上げるメニフィールド。押し込みヒザを突くクルート。  2R、メニフィールドはワンツーで前に。クルートは左フック、左ミドルで応戦。ジャブの刺し合いで優位に立つメニフィールド。クルートはダブルレッグで飛び込むが、尻を着いてすぐに立つメニフィールド、なおもシングルレッグでドライブしてくるクルートの首をギロチンにとらえるとそのまま仰向けに返して上からネッククランク気味に絞めるとクルートがタップ。  12勝4敗(UFC4勝4敗)、27歳のクルートは試合後、オープンフィンガーグローブをマットに置いたが……。 [nextpage] 【アーリープレリム】7:00 ▼ライトヘビー級 5分3R〇ビトー・ペトリーノ(ブラジル)9勝0敗(UFC2勝0敗)206lbs/93.44kg[3R 3分42秒 肩固め]×マルチン・プラフニオ(ポーランド)16勝7敗(UFC3勝5敗)206lbs/93.44kg [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇キャメロン・サーイマン(南アフリカ)9勝0敗(UFC3勝0敗)135lbs/61.24kg[1R 3分10秒 TKO] ※パウンド×テレンス・ミッチェル(米国)13勝3敗(UFC0勝1敗)135lbs/61.24kg  南アフリカのサーイマンはMMA7戦無敗・UFC2連勝中。EFC時代には同日のPANCRASEで田中路教と対戦するシンデェレ・マネンゲラとの王座戦は初めての判定勝利だった。ミッチェルは約2週間前に急遽参戦。アラスカAFC王者。  1R、サウスポー構えのサーイマンに、ミッチェルは右を振ってダブルレッグテイクダウン。サーイマンはハイエルボーギロチンに。首抜いたミッチェルに腕十字で上を取り返すサーイマン。スクランブルるうミッチェルにボディロックテイクダウンはサーイマン。パウンドも。ミッチェルは後転から亀になり足を手繰り立つが、詰めるサーイマンはヒザ。  さらにボディロックテイクダウン。上になるサーイマンはバックマウントから身体を伸ばして左のパウンド連打! 完打たれ続けるミッチェルを見てレフェリーが間に入った。  サーイマンはUFC3連勝。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R〇ヘスス・アギラー(メキシコ)9勝2敗(UFC1勝1敗)126lbs/57.15kg[0分17秒 TKO] ※右オーバーハンド×シャノン・ロス(豪州)12勝8敗(UFC0勝2敗)126lbs/57.15kg  1R、メインイベント同じく豪州vs.メキシコ。メキシコのアギラーは2月に平良達郎に腕十字で一本負けからの再起戦。  左ローのアギラー。ロスは右フックを見せる。ミドルを入れたロス。そこにアギラーが素早く踏み込んで右オーバーハンドを打ち込み、足が揃ったところに顔面にもらったロスは仰向けに失神ダウン! アギラーがオクタゴン初勝利を掴んだ。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R〇エステバン・リボビクス(アルゼンチン)12勝1敗(UFC1勝1敗)156lbs/70.76kg[判定3-0] ※29-28×3×カムエラ・カーク(米国)12勝6敗(UFC1勝2敗)155lbs/70.31kg 【中止】▼ウェルター級 5分3Rジャック・デラ・マダレナ(豪州)14勝2敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝中 171lbs/77.56kgジョサイア・ハレル(170.5lbs/77.34kg)
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