(C)ゴング格闘技
2023年7月9日(土)『PANCRASE 336』東京・ニューピアホール夜大会のメインイベントで、田中路教(TEAM ALPHA MALE)と対戦する、 前EFCバンタム級王者シンディレ・マネンゲラ(南アフリカ)が6日、公開練習後に囲み取材に応じた。
PRIDEに影響を受け、チームメイトのルサンド・ビコとともに柔道からMMAに転向したマネンゲラは、長い手足から繰り出す打撃から、組みへの動きを披露。強いテイクダウンを持つ田中に対し、「チョークが待っている」と自信をのぞかせた。
同日の『UFC 290』に出場する8勝無敗のキャメロン・サーイマンとEFC王座を争い、UFCに駆け上がる前のプロスペクトに、唯一の判定決着まで持ち込ませたマネンゲラ。田中との戦いを「PANCRASEの王者になるために勝つべき試合」とした。
マネンゲラ「柔道出身の2人による戦いは、面白いものになる」
──日本に到着したのはいつでしたか。
「5日の深夜に日本に到着し、この公開練習(6日午後3時)にいます。子供の頃から日本はぜひ来たかった場所だった。深夜に東京に着いたけど、24時間働いている人が多くて驚いたよ。自分の国と比べると先進国だなと感じた」
──コンディションはいかがですか。
「試合に向けてベストコンディションを作っているので、いい試合が出来ると思う」
──PANCRASEのオファーをどう感じましたか。
「とてもいい気分だったよ。僕のベースは柔道だし、2019年12月に僕のチームメイトのルサンド・ビコがPANCRASEでアキバ(秋葉太樹)と戦っていたから、僕も出たいと思っていたし、僕のSNSを見れば、それが分かると思う(※PANCRASEのポスターを投稿)。南アフリカで柔道をやっている人間は、皆、日本に来たいと思っているはずさ。日本の柔道チームのこともフォローしていて、オオノ・ショーヘイ(大野将平)、アベ兄妹(一二三、詩)は大好きな柔道家だ。そしてできれば、講道館に行ってみたい」
──柔道はいつから始めたのでしょうか。
「僕のおじが柔道をやっていて、僕も8歳から柔道を始めた。ブラジリアン柔術も12年やってきて茶帯だよ。南アフリカで柔道は以前はそれなりに競技人口も多かったけど、いまそれほどポピュラーではなくて若干、競技人口も減っているので、また柔道人口を増やしたいと思っているよ」
──ちなみに柔道時代の得意技は?
「タイオトシ(体落とし)とカタグルマ(肩車)だね」
──豪快な技ですね。そこからなぜMMAをやろうと?
「自分自身にチャレンジしたかった。PRIDEのビデオを見ていたし、日本人選手の戦いのも見てきた。自分もやろうと思ったよ」
──目標とするファイターは?
「PESFAのヘッドコーチのクリス・ブライト(2004年にMMAデビューし、6勝1敗)だ。彼を尊敬してMMAを続けてきた」
──EFCで王者になったことをどう感じていますか。
「いまはEFC王者ではないけど、以前は王者だったし、いまはほかのプロモーションもあるけど、EFCは南アフリカで非常に歴史のある団体なんだ。自分のベースを作ってくれた、いいプロモーションだよ」
──2019年から4連勝し、EFCでベルトも巻きましたが、直近の試合では、現在UFCで2連勝中で8勝無敗のキャメロン・サーイマン(※同じ9日の『UFC 290』に出場)に判定負けでした。あの試合から何を学びましたか。
「キャメロンは僕との試合まですべてフィニッシュ勝利していたけど判定になり、とても接戦だった。PESFAがあるポート・エリザベスは東京のように海抜が低い(標高37m)都市なんだけど、キャメロンが住むプレトリアは標高も高く(1,339m)、大会会場のヨハネスブルクも標高が高かった(1,753m)。それが影響したと思っている」
──今回の試合前には、東京で試合をしたチームメイトのルサンド・ビコ選手からもアドバイスを得ましたか。
「もちろん。もともとルサンドとは柔道も一緒にやっていたんだ。2014年からMMAをともに始めて(※ビコは20214年からアマチュアMMAでフライからバンタムで試合。マネンゲラは別階級のフェザー級で試合)、アドバイスをもらっただけでなく、今回のキャンプでも一緒にトレーニングをしてきたよ」
──対戦相手の田中路教選手の印象をお願いします。
「何試合かのビデオを見て、とてもいい選手だと感じた。特にリスペクトできるのはUFCでも試合をしているし、僕のように経験豊富で強いので、いい試合になると思う」
──マネンゲラ選手のグラップリングの試合も拝見しましたが、ダースチョークやギロチンチョークが得意で、ギロチンはスイープとしても巧みに使っているように感じました。テイクダウンが強い田中選手を相手にカウンターの自信はありますか。
「その通りだ。ギロチンも含めてチョークは好きなんだ。もしタナカが不用意にテイクダウンに来たら、極められるだろうね」
──公開練習でも見せた通り、とてもリーチがありバンタム級として大きな身体を持っています。ご自身ではどんな選手だと認識していますか。
「柔道をやっていたから、最初はグラップラーだった。でもいまはレスリングもスタンドもやってるから、完全なMMAファイターと言えるよ。タナカも柔道ベースと聞いているから、柔道をバックグラウンドに持つ2人による戦いはちょっと面白いものになると思う」
──長いコンパスからのカーフキックもさることながら、あのハイキックも変わった軌道で放たれます。あれは?
「あのマワシゲリ(廻し蹴り)も好きなテクニックのひとつだ。それこそクリス・ブライトから教わったんだ」
──どんな試合になると想像していますか。
「1Rに試合を決められなかったら、2RにKOで仕留めたいと思う」
──かつて、PANCRASEで戦ったボカン・マスンヤネ選手はインパクトを残して、いまはONE Championshipで戦い、ビコ選手はUAE Warriorsを経て、Ares FCに参戦しています。マネンゲラ選手もここPANCRASEで勝って、さらなるステップアップを望んでいますか。
「いまは今回の試合に勝つことにフォーカスしていて、PANCRASEの王者になることが目標だ。一つひとつのことに集中していきたいと思う」
──ファンにどんなところを注目してもらいたいですか。
「多くの日本人ファンがタナカの応援に来ると思うけど、僕も花火のようなエキサイティングな試合をするので、ぜひその証人として、いい試合を見てほしい。フィニッシュを狙うよ!」