MMA
インタビュー

【DEEP】松嶋こよみ、サッカーキックは「蹴らなきゃいけないのかな……という」「もうちょっとやりたい部分を“練習”しておきたかった」=5年3カ月ぶり日本マット参戦のフェザー級の雄が見せた強さ

2023/07/03 12:07
 2023年7月2日(日)東京・後楽園ホールで『skyticket Presents DEEP 114 IMPACT』が開催。セミファイナルで、松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜)が2018年4月のPANCRASEでのISAO戦以来、5年3カ月ぶりに日本マットに参戦。劉獅(KIBA マーシャルアーツクラブ)と68kg契約で対戦した。  ONE Championshipでタイトルマッチを戦うなど活躍した松嶋は、2022年の「ROAD TO UFC」で不可解な判定で敗れた後、再びUFC参戦を目指し、当初、DEEPで元UFCファイターのガブリエル・シルバ(ブラジル/TEAM NOGUEIRA)とフェザー級で対戦予定だった。しかし、シルバが「ブラジルからの飛行機に乗り遅れると共に体重が落ちない」ため欠場。劉獅が3日前のオファーを受けて、68kg契約の試合に臨むこととなった。  劉獅こと高塩竜司は、元栃木県警職員で2015年12月のDEEPフューチャー キングトーナメントライト級優勝。2018年に現在「ROAD TO UFC2023」を勝ち上がっている神田コウヤを右ストレートからのパウンドでTKO勝ち、2019年に樋口武大の寝技を凌いでトップからのパウンドでTKO勝ちを収め、2020年には「朝倉未来一年チャレンジ」出身の西谷大成に判定勝利している。  2022年は3月に高野優樹に判定負け後、7月に鷹辰に1R、カットによるドクターストップで勝利。9月に拓MAXにスプリット判定勝ちで2連勝も、12月の前戦ではTRIBEの狩野優に判定負けで、今回緊急参戦でビッグチャンスを掴んだ。  前日計量では、対戦相手変更でも今回のタイミングで試合を望んだ松嶋は、檀上で「とくに言うことない。応援をお願いします」とシンプルに語り、劉獅は「2、3日前に急遽、この試合が決まり、動揺とかはないです。このような時のためにずっと準備をしてきました。明日、革命を起こします」と宣言している。 右フックではなく右ストレート、突きだった  試合は、松嶋のワールドクラスの強度と、MMAのなかで空手を活かした、圧巻の勝利となった。  1R、予告通り、ガードを固めてオーソで前に出る劉獅。松嶋はオーソからサウスポー構えにスイッチして左の軸足蹴りで劉獅に尻もちを着かせる。  立ち上がった劉獅にさらに左ミドル。その蹴り足を掴む劉獅だが、片足立ちで足を抜く松嶋。右ストレートを打つ劉獅をかわしながら、再び軸足にローを当てる松嶋だが、バランスを崩すとすぐに立ち上がり首相撲。劉獅から離れる。  劉獅の遠間からのワンツーを見切る松嶋。オーソから右の後ろ廻し蹴りを腹に効かせると詰めて飛び込むような右の突きをヒット! そのままマウントを奪う。  下から四つで抱き着き金網に上体立てる劉獅に、右ヒジを落とす松嶋。亀になる劉獅に、松嶋は左腕を十字にとらえようとしたか、その際で劉獅は立ち上がる。  サウスポー構えで左ミドルの松嶋と、オーソから右の蹴りは劉獅。バランスを崩した松嶋が後退すると、劉獅は走り込んでの右ミドルも蹴り足を掴んだ松嶋。右足を抜く劉獅。  松嶋はオーソに構えて右ロー。左の突きで飛び込み、首相撲から左ヒザ蹴り。左で脇を差し上げるも、嫌った劉獅が離れる。ワンツースリーで前進する劉獅をバックステップでかわす松嶋。  下がりながら、劉獅が右から左を放ったところを「見えている」松嶋はわずかに頭を下げて右の突き! 前のめりにダウンし身体が伸びた劉獅にここでレフェリーは止めず、劉獅が頭をガードしながら両足を亀まで持っていったところで、見下ろしたままの松嶋は一瞬間を置いてから、ユニファイドルールにはない、サッカーキックを2発打ち込むとレフェリーが間に。松嶋はその横をゆっくりと歩き去った。  テイクダウンは見せずに勝利した松嶋は試合後、「近々で相手が変わってしまってなんとも言えない気持ちでしたが、劉獅選手が受けてくれたおかげで試合が成立できてよかったと思います。ありがとうございました。ちょっと雑なところも多かったんで、またいちから作り直して頑張りますので、応援よろしくお願いします。今日は応援ありがとうございました」と初めて笑顔を見せて語った。 「ROAD TO UFC 2023」でフェザー級トーナメントが開幕し、国内ではRIZINのフェザー級王座戦線が活発化するなか、日本人フェザー級の雄が見せた強さは、今後にどんな影響を及ぼすか。  試合後のバックステージでの囲み取材の一問一答は以下の通りだ。 [nextpage] これで『ROAD TO(UFC)』に引っかかるかというと── ──試合を終えた率直な感想を。 「うーん、まあ……とりあえず試合をして試合に勝ったというだけで、あとはもうちょっとやりたい部分を“練習”しておきたかったなという、試合のなかでいろいろ試したいことがあったので、それが出来なかったことがちょっと残念です。 ──打撃にこだわった試合のようでしたが? 「そうですね。ケージチェックのときに相手の選手がタックルを切る練習をしていたので、“タックルに行かねぇぞ”とちょっと思って(笑)、打撃でやろうと思いました」 ──対戦相手も変わり、気持ちを作ることが第一でしたでしょうけど、どんな思いで試合に臨みましたか。 「うーん、あんまり何も無いですね。それこそ、やりたくない・やりたいも無く、もう、ただこの日が来て、ただ試合をしてという感覚で、気持ちを作る・作らないよりもとりあえず試合をしたという感じです」 ──松嶋選手の目指すところがあって、そこに向かうリスタートの試合だったと思います。この先をどう考えていますか。 「とりあえず、また水曜から練習しようかなと思っています。それ以上のことはいまは考えていないです」 ──ユニファイドルールとは異なるDEEPルールのなかで、おそらく使うつもりはなかったサッカーキックを最後に使うことになったのは……。 「そうですね……相手が完全にもう無理だなと思ったので追撃に行こうとはしなかったんですが、レフェリーが止めてくれなかったんで、蹴らなきゃいけないのかなという……まあ、(流れのなかで使ったのでなく)ちゃんと区切ってから蹴っているからいいかなということで蹴りました」 ──思い切りという形ではなかったようですが……。 「でも結構……。試合前に言ったこともありますが、劉獅選手が受けてくれてこの試合だったんで、『やってくれてありがとう』と本人に伝えました。ちょっと可哀そうなことをしてしまったかなと。試合後に劉獅選手からも『僕なんかと試合をしてくれてありがとうございます』と言われましたが、全然、むしろ僕の方こそ『こちらこそすみません』と。すごく気持ちのいい選手だったんで、これから頑張って上がっていってほしいなと。すみません、上から目線で(苦笑)」 ──喧嘩できるなかで、冷静に戦えていたようでもありました。 「ほんとうは5分3Rを使って、いろいろ試しつつ相手を効かせようと思っていたので、1Rで終わるつもりではなかったんで、正直、あれで終わりか……入ったときは“ああ、倒れるな”とは思ったんですけど、もうちょっといろいろやりたかったなという部分はあります」 ──試合は行った、次は? 「そうですね、いろいろ考えて、これで『ROAD TO(UFC)』に引っかかるかというとたぶん引っかからないと思うので、ちゃんといろいろ考えを固めつつ動いていけたらと思います」
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