ISKA世界王座とキックボクシングGP世界王座の2本のベルトを携えて会見に出席した武尊(C)
2023年6月24日(土)フランス・パリ ゼニスアリーナ『Impact In Paris』にて、ベイリー・サグデン(英国)を5R2分59秒、左ハイキックでKOしISKA K-1ルール世界ライト級王座に就いた武尊(team VASILEUS)が、29日(木)都内にて凱旋会見を行った。
武尊は飛行機の到着が遅れ、会見は30分遅れてスタート。帰国してから国内で様々な挨拶周りがあったという。「先日フランスで無事、復帰戦で勝つことが出来まして王者として帰って来ることが出来ました。たくさんの応援ありがとうございました」と報告とお礼。
「いつもと違う環境で、調整だったり減量だったり大変なことも普段と違うこともたくさんあったんですれど、今まで経験しなかったこととしていい経験になりました。過去の試合の中でも一番試合を、格闘技を楽しめたと言うか。格闘家をやれる喜びを感じられました。試合後に魔裟斗さんも言ってくれていましたが、自分がデビューした頃の自分のことを誰も知らないところで武尊を見せつけてやろうというギラギラしたところを見せられたと思います。今まで勝たないといけない、負けられない恐怖との戦いだったんですが、僕を知らない人たちに武尊の試合はこんな凄いんだぞっていうのを見せつけてやろうと、いいエネルギーで試合が出来たので格闘技がまた好きだなと思いましたね」と、格闘技を楽しむことが出来たとする。
日本との様々な違いに戸惑いもあり、「日本の中でずっとやっていて日本の常識で考えるとこんなことがあっていいのかなってことがたくさんありましたけれど、日本って逆に素晴らしい国だと感じました。時間通りに始まるし、アスリートは試合の何分何秒前まで細かいスケジュールを作ってこの時間にストレッチを始めるとか、サプリを飲むとかってやってきて。水抜きも計量の何時間前にするとか。日本だとサウナやお風呂が整っている中でスケジュール通りに行くけれど全てがスケジュール通りに行かなくて難しいところがありましたけれど、日本の常識ではなく世界の常識でこういうことがあるんだなって、そういうことを乗り越えられたのも自分の強さになったと思います」と、いい経験になったとした。
アウェイでの戦いは「僕のことを知らない人がほとんどだと思うんです。8割くらいは。でも試合後の映像を見ると、みんな席に座ってなくてリングの近くに駆け寄ってきて祝福してくれたし、試合後も盛り上がっていたし、これがやりたかったことだなって。自分の試合で熱狂させる、言葉も通じない中で熱狂させるのが本物のプロだと思うのでそれが出来たのが嬉しかったです」と、いい試合を見せれば関係なくなることを身をもって知った。
対戦したサグデンについては「身体の強さ、計量の時から身体の厚みを凄く感じてフィジカルの差を凄く感じたけれど、世界のトップファイターとしてやってきただけあってメンタルも強かったし、他の選手だったら2・3Rで倒れていたと思うけれど倒れなかったし、後で聞いたところ試合中に鎖骨が折れていたらしくて。僕の飛びヒザ蹴りで。鎖骨が折れたら普通は動けないと思うけれど最後まで戦い抜いていたのでメンタルの強さを感じましたね」と、敵ながらあっぱれのメンタルの強さを称えた。
フィニッシュとなった左ハイキックは「KOを見せたかったし、判定で負けることはないと思っていましたが海外で分からないところもあるし、一番は勝ってバク宙する姿を見せたくて武尊を印象付けたかったので、その気持ちがKOにつながりました。左の蹴りは練習した蹴りでもあったので、上手く当たったなと」と、必ずKOで勝つとの気持ちが結びついたものだったとする。
ISKA世界王座のベルトには思い入れがあったと言い、「何年越しになるかな。7~8年ぶりですね。一番最初に欲しいと思ったのが僕がKrush王者になる前で。先輩の卜部兄弟が2人とも敵地でこのベルトを獲って帰って来たので、僕もセコンドとして一緒に行っていてカッコいいなと思っていたし、自分も現役中にやりたいと思ったのでよかったなと思います」と、長年の目標のひとつであったと話した。
ISKAのベルトともう一本、キックボクシングGP世界王座のベルトもあり、「(懸かっていたのは)知らなかったです。勝ってから気付きました。勝って一本巻いていもらってもう一本巻けるのって感じで。あの試合は2本かかっていたみたいで2本獲ってしまいました(笑)。MTGPのキックボクシングの世界タイトルのようですね。ゲットしてしまいました(笑)」と、武尊も知らなかったという。
大雅、白鳥大珠と3人で戦ったことには「2人には一緒に日本代表として戦ってくれてありがとうと伝えたんですが、1人で行くのと3人で行くのは気持ちが違う。日本代表として行ったのは今後格闘技のワールドカップ、世界大会をやりたいとずっと言っていて、その第一歩として日本の代表としてヨーロッパと戦いたい気持ちがあったので協力してくれた2人には感謝だし、今後はK-1からの選手も一緒に戦いたいと思うし、世界と戦う大会が出来た時には各団体の王者、日本を代表する選手とみんなで戦って日本の強さを世界にアピールしたい。今回の大会でヨーロッパからの評価が少し上がったと思うのでここからみんなで世界に挑戦したいと思いますね」と2人に感謝し、目標とする格闘技のワールドカップにつなげたいとした。
「皆さんの協力がなかったらこの大会でいいパフォーマンスは出来なかったと思います。この復帰戦でこの舞台を作ってくれたフランスのMTGPに感謝だし、一緒に盛り上げてもらったABEMAさん、プロモーターさんに感謝しかないです。いい復帰戦が出来たし、これからの現役生活に勢いが付いたし、次の目標も明確に見えてきました」と武尊。
その次の目標とは、契約を発表したONE Championshipにある。
「一番の狙いは変わらない。世界一を証明すると言い続けているので、僕はずっとK-1を背負ってましたけれど、K-1の強さを世界にアピールしたいのは変わらないので、今もその気持ちを心に持って戦っているので、それも含めてONEでも一番を獲りに行きたいと思っています。一番は戦いたい相手がいるからONEと契約したのもあるので、ロッタン選手と試合をやりたいと思っています」と、ロッタンを倒して世界一の座に就くことを掲げた。