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【RIZIN】王座剥奪のクレベルが鈴木千裕を腕十字葬で「次タイトルマッチを」、矢地がゼインに完勝、上田が関根をMMA空手でKO、“怪物くん”鈴木が西谷を失神TKO、ヒジ打ち梅野に鈴木が跳びヒザKO勝ち、木村がダリを衝撃KO! 久保が木下に競り勝ち

2023/06/24 12:06
 2023年6月24日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナにて『RIZIN.43』が開催された。  メインイベントのクレベルとOP第1試合が体重超過で、メインは変則王座戦に。両試合ともに体重超過者に減点が課せられた上で試合が行われる。 ▼第13試合 RIZINフェザー級タイトルマッチ 5分3R─クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)※66.40kg→400グラムオーバー[1R 2分59秒 腕十字] ※クレベルがタップ奪うも体重超過でノーコンテスト─鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)65.95kg ◆試合実施の条件1. クレベル・コイケの勝利は記録されず、次に掲げるとおり裁定される。(1)鈴木千裕が勝った場合、その結果を公式記録とする。(2)鈴木千裕が負けるか、引き分けた場合、記録はノーコンテストとする。2. クレベル・コイケに減点を課した上で、試合を開始する。本試合は階級超過体重が0.50kg未満につき減点20%減(イエローカード)とする。 鈴木「ここまできたら関係ないんすよ。クレベル選手、俺はやります。関係ない! 俺たち全力で戦いましょう。世間がなんて言っても俺がOKって言ってるんで、正々堂々明日やりましょう! 関係ない。大丈夫。僕たちはファイターなんで、どんなことがあっても戦う、それが男なんで。本物と本物、どっちが強いか明日はっきりさせましょう! よろしくお願いします!」 クレベル「皆さん、すみませんでした。ごめんなさい。千裕ありがとうございます、すみませんでした。ちょっと難しいけど……でも明日、私、絶対頑張りましょう、すみませんでした、今日。ありがとうございました」(※公開計量後の榊原CEOによる変則王座戦の経緯説明)  MMA31勝6敗クレベルは、27の一本勝ちを誇るボンサイ柔術の鬼神。Rebel FCフェザー級王者、KSW同級王者を経て、2020年大晦日にRIZIN初参戦。カイル・アグォン、摩嶋一整、朝倉未来、佐々木憂流迦、萩原京平にすべて一本勝ちで、2022年10月23日に牛久絢太郎が持つフェザー級王座に挑戦。2R 三角絞めで一本勝ちし、念願のRIZIN王者に輝いた。2022年大晦日のBellatorとの対抗戦でパトリシオ・“ピットブル”・フレイレに判定で敗れ、連勝が「7」でストップ。今回が再起戦になる。  鈴木は、初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者。ペルー人の父と日本人の母を持つハーフで、3歳から伝統派空手を始め、中学生でMMAに挑戦。2018年のPANCRASEネオブラッド・トーナメントフライ級で優勝を果たした。キックとMMAの二刀流で戦い、MMA戦績9勝3敗。2021年9月にRIZINに初参戦し、昇侍に敗れたものの、山本空良、平本蓮、萩原京平、2022年11月の前戦では今成正和も判定で下し、大晦日には中原由貴を初回TKOに仕留めた。  前日計量でクレベルは400グラムオーバーでタイトル剥奪。鈴木が勝った場合のみ王座として認定され、クレベルが勝っても無効試合となる。  先に鈴木がリングイン。パラエストラ八王子の塩田GOZOらがメインセコンド。続けて王座を剥奪されたクレベルがエプロンでひざまずいておじぎをしてからリングイン。セコンドにサトシらがつく。  国歌吹奏は、クレベルも日本国歌を希望したため両者ともに君が代が流された。リングサイドには7月30日にヴガール・ケラモフと対戦する朝倉未来が見守る。  1R、グローブタッチ。先に中央を取る鈴木が圧力をかける。クレベルは左右ローでけん制。鈴木は右を突いて右ロー。左インローから左を振って詰めるクレベルは左右を伸ばして後退させるとシングルレッグからボディロックテイクダウン!  左手首をコントロールしてマウント奪取。バックは取られたくない鈴木は仰向けで抱きつき、ブリッジで返そうとするが、落ち着いてバランスを取るクレベルはパウンドから三角絞め狙い。鈴木の脇を開けさせて右脇下に右足、左脇下に左足を入れるS字マウントで、最後は後方に身体をそらせられないなか、鈴木の右脇を前方にかがんで腕十字に極めた。試合結果はノーコンテストで王座は空位に。  試合後、鈴木を一本に極めたクレベルは、「計量オーバー、ほんとうにすみませんでした。まだ私、チャンピオン、みんな忘れないで。鈴木千裕、ありがとう。昨日(計量)すごい頑張ったけど、初めての気持ち、すごく恥ずかしくて泣いて寂しかった。今日は次は違う日。皆さん、自分の気持ちを、何が一番欲しいのかをずっと続けることが大事です。難しいこと困難にあっても、必ず信じていれば道は開ける」とマイク。  続けて、榊原CEOに、「いつもチャンスありがとう。1個お願い、次タイトルマッチ。超RIZINでも10月の名古屋でも私、待ってます」と、ベルトを取り戻す王座戦をリクエスト。  最後に「1、2、3、ポペガー!」と叫び、メインを締めた。 [nextpage] ▼第12試合 ライト級(71.0kg)5分3R〇矢地祐介(フリー)70.90kg[1R 2分50秒 リアネイキドチョーク]×ザック・ゼイン(米国)70.75kg  矢地は川名TENCHO雄生、武田光司に判定勝ちも、ホベルト・サトシ・ソウザ、ルイス・グスタボを相手に連敗。2022年10月の前戦でボイド・アレンを押さえ込んで判定勝ちしている。また、12月には『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』でMIXルールに挑戦したが、1Rのキックボクシングルールで今大会に出場する木村"フィリップ"ミノルに初回KO負けを喫した。  対するゼインはカンフーの達人である祖父を持ち、2015年に米国でMMAプロデビュー。勝ち負けを繰り返したが、2017年6月から2019年3月までは8連勝を挙げた。2019年10月には地元・ハワイで開催された『Bellator』に初参戦し、ナイノア・ダンに判定勝ち。2022年9月にハワイで行われたRIZINトライアウトに合格すると、10月の『RIZIN.39』でRIZIN初参戦。武田光司にアームバーで敗れている。  1R、ともにサウスポー構え。初っ端にゼインの足を掴んで崩してテイクダウンを奪った矢地。立ち上がるゼインのスタンドバックにつき、対角から相手の右手を縛る。正対してきたゼインにボディロック&小外がけテイクダウン!  パスガードから手首をコントロール。立ち上がったゼインを崩してサイドバックからパウンド。4の字ロックからリアネイキドチョークを極めて、ゼインに何もさせずにタップを奪った。 矢地はマイクを持つと「お祭り男の矢地です。ひと言だけ。7月の超RIZIN、僕ヒマなので。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました」と久しぶりのリング上の笑顔で出場をアピールした。 [nextpage] ▼第11試合 ヘビー級(120.0kg)5分3R×関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)118.85kg[TKO 1R 0分22秒]※レフェリーストップ〇上田幹雄(BRAVE)109.80kg  関根のキン肉マンマスクは「大江戸隊カラーのフェニックス」バージョン。  上田は高校時代から頭角を表し、2013年第30回全日本ウェイト制空手道選手権大会軽重量級優勝、2015年第11回全世界空手道選手権大会第6位、2018年第50回全日本空手道選手権大会優勝などの実績を収め、2019年11月に開催された「第12回全世界空手道選手権大会」で24歳にして優勝。2003年に開催された第8回大会以来、実に16年ぶりに空手母国である日本に世界王座を奪還。2021年4月には極真最大の荒行・百人組手にも挑戦した(60人でドクターストップ)。  その後、2021年8月31日をもって退会したことを極真会館が発表。9月5日には幕張ベイパークアリーナにて開催された『GRACHAN 50』でMMA転向を正式表明し、2022年4月のRIZINでデビュー戦を迎えたが、引退試合の高阪剛にTKO負け。2戦目はGRACHANで行い、12秒でKO勝ちを収めた。  RIZINでの活躍でお馴染みの関根“シュレック”秀樹は、山梨学院柔道部出身。卒業後、静岡県警で機動隊や暴力団担当の刑事を務め、ボンサイブルテリアジムでブラジリアン柔術を習得。2009年にMMAデビュー後、7連勝で2016年12月に『ONE Championship』に参戦。ONE世界ヘビー級王者ブランドン・ベラとの試合に向け、43歳にして警察官という安定した職を捨て、プロ格闘家に転向した。柔術、グラップリングでも実績を残しながら、プロレスのリングでも活躍。全日本、ハードヒット、リアルジャパンといったリングでも人気を博している。  2020年2月にはRIZINのリングにも上がりロッキー・マルティネスにTKO負けを喫したが、2021年大晦日にシビサイ頌真を2RでTKO、2022年4月にはスダリオの双子の弟・貴賢神にもTKO勝ち。7月に念願のスダリオ剛戦を実現させるも1R 53秒でマットに沈んだ。12月は『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』に出場し、極真会館『第9回全世界空手道選手権大会』準優勝のヤン・ソウクップに転落3回の一本勝ち。2023年4月には『KNUCKLE'S 15』でどんくまに腕十字で勝利した。  1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかけるのは上田。左下段蹴りから、左中段蹴り、その蹴り足をマットに着いてすぐに左三日月蹴りを腹に突く上田。組みつきにきた関根に右ヒザを当てると、空手の移動で右にステップして左ヒザ!  関根を剥がして、左の蹴りの連打から、ガードする関根に左右の突き。右に逃れようとする関根に左の上段の蹴り! 関根はゆっくりと崩れて両手をマットに着いてダウンした。 左の蹴りの連打、相手の組みを切っての横移動してのヒザと、近い間合いのフルコンタクト空手をMMAで見せた上田は、「自分は空手の強さを証明したいと思います。ヘビー級で世界のトップに行きたいと思います。自分なら出来ると思います」と力強く語った。 [nextpage] ▼第10試合 フェザー級(66.0kg)5分3R〇鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)65.95kg[1R 0分56秒 TKO] ※左フック→マウントからパウンド×西谷大成(トライフォース赤坂)66.00kg 「朝倉未来1年チャレンジ」の1期生で、未来がプロデュースする1分間格闘技「BreakingDown」にも出場経験がある西谷大成(トライフォース赤坂)も初出場組の1人。  MMA6勝5敗で白星と黒星を繰り返すなか、2022年5月のDEEPで当時5戦勝ち星がなかった(1分挟む)星野豊に判定負け。戦場をいったんBreakingDownに移してハイメに快勝すると、2022年9月にDEEP戻って巽大祐に判定勝ち。2023年5月の前戦では、レスリングベースでキャリアのある高野優樹の組みを切って、要所で打撃を入れての判定勝ち、初の連勝をマークし、評価を上げている。  対する鈴木博昭は、元シュートボクシング王者。MMAでは、2022年3月に昇侍に1R TKO勝ち後、7月に平本蓮にスプリット判定負け。11月に青井人に判定で敗れて以来の試合となる。連敗から脱出なるか。  1R、ともにサウスポー構えから、いきなり間合いを詰める西谷がダブルレッグテイクダウン! 右で脇を差して立ち上がった鈴木は突き放し、右ロー。頭を下げて右前手のフックを狙う。ロープに詰めた西谷は右跳びヒザで飛び込み。そこに鈴木は右に頭を傾けて、左オーバーハンド!  左フックで迎撃されてダウンした西谷に、鈴木はすぐさまマウントから左右を連打し、意識を飛ばして、試合を決めた。  リング上で鈴木は、「北海道の皆さん、応援ありがとうございました! 久しぶりの勝ちで心から嬉しいです。サトシ、一緒に練習してくれたみんな、ありがとう。皆さんに聞きたいことがあります。今日試合、面白いと思った方、万雷の拍手をお願いします!(大拍手)次も怪物くんの試合、こうご期待! ワハハハハッ」と高笑いでリングを後にした。 [nextpage] ▼第9試合 RIZINキックボクシングルール(62.5kg)3分3R ※首相撲ヒジ・ヒザ無制限OK×梅野源治(PHOENIX)62.50kg[2R 2分34秒 KO] ※右跳びヒザ蹴り〇鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)62.50kg  梅野は2007年11月にプロデビュー。日本人初のWBCムエタイ世界王者(スーパーフェザー級)になった他、数々のタイトルを獲得。本場タイの一流ムエタイ選手たちと互角に渡り合い、2016年10月には日本人6人目となるラジャダムナンスタジアム王座(ライト級)を奪取した。REBELS、KNOCK OUT、RISEを渡り歩き、RIZINには2021年6月から参戦。大雅と皇治にヒジ無しルールで連敗を喫するも、2022年10月にトレント・ガーダムにTKO勝ち。大晦日には平本蓮とパンチのみのエキシビションマッチを行った。戦績は51勝(23KO)14敗4分1無効試合。今回はRIZINで待望の首相撲ヒジ・ヒザ制限無しのルールで戦う。  鈴木は右ストレートに必殺の威力を秘めたホープとして、2019年6月に11戦無敗のままREBELS-BLACK 60kg級王座に就いた。弟の鈴木千裕と共に“倒し屋兄弟”として注目を集めるも、13勝(8KO)無敗の戦績を残してボクシングに転向。2021年12月にプロデビュー戦で初回KO勝ちを収めたが、10月にKNOCK OUTでキックボクシングに復帰。西岡蓮太に判定で敗れ、プロ初黒星を喫した。12月にモンダムにKO勝ちで再起を飾ると、今年2月に『ONE FRIDAY FIGHTS 4』に出場。ファリヤ・アミプールに判定2-1の接戦で惜敗した。4月にはREITO BRAVELYに判定勝ち。戦績は15勝(9KO)2敗。  無敗の快進撃をしていた鈴木はボクシング転向からキックボクシングに復帰後、キックボクシングの感覚を取り戻せず苦戦を強いられているが、徐々に感覚を取り戻してきている。しかし、これまでヒジ打ちあり&首相撲などのつかみからの攻撃無制限のルールでは試合をしたことがないため梅野が有利か。とはいえ、鈴木は右ストレートに破壊力を秘めており、決して打たれ強くはない梅野を倒す可能性もある。  1R、ともにオーソドックス構え。左ボディを突く鈴木に、両手を前にムエタイの構えの梅野は左ミドル。右ローで前に。ブレーク際も先に左ミドルを当てていく。さらに前足を左右から突く梅野。鈴木の組みを崩す。鈴木は左前手フックをガード上にヒット。梅野はそこに右カーフ、さらに右アッパー。鈴木は右まぶたをカットする。  2R、両手でリズムを取る梅野は、左右ロー。下から崩して行く。左奥足ローも打つ梅野。鈴木が入ろうとするとそこに左の蹴りで間合いを制する。左インローを前足に。さらに右ローに鈴木の左足が腫れる。  左ミドルを当てて行く梅野は、コーナーに詰めて右縦ヒジへ。そこに鈴木は両手で梅野の頭を押さえながらカウンターの右跳びヒザへ!  梅野は前のめりに崩れて失神KO。車椅子に乗ってリングを後にした。  試合後、鈴木はリング上で「僕はキックボクシングをやっていて、ムエタイ怖いところもありました。会長はじめ皆さんに感謝します。梅野選手、試合ありがとうございます。これからもキックボクシングで試合したり、KNOCKOUTで試合をして、鈴木千裕に負けないようにやっていきます。皆さん、僕の弟は絶対にクレベル選手に勝ってチャンピオンになるので、見逃さないでください」と熱く語った。 [nextpage] ▼第8試合 RIZIN キックボクシングルール 3分3R(73.0kg)〇木村“フィリップ”ミノル(Battle-Box)72.50kg[1R 1分08秒 KO] ※左フック×ロクク・ダリ(コンゴ・TRI.H Studio)72.90kg  木村は長くK-1の主要選手として活躍し、2018年8月にはKrushウェルター級王座に君臨。2019年にはK-1の全大会に出場し、全試合KO勝利。2020年3月には「K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント」を3試合連続KOで制し、悲願のK-1王座に就いた。2021年12月の初防衛戦で和島大海に敗れて王座を失い、ボクシング転向を表明していたが、2022年12月の『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』で電撃復帰。矢地祐介を1RでKOして強烈なインパクトを残した。しかし、今年3月『KNOCK OUT』でのクンタップ戦で1Rわずか32秒でKO勝ちしたものの、計量オーバーで評価を落とした。戦績は37勝(30KO)10敗1分。  RIZINには過去一度だけ参戦経験があり、2016年9月にチャールズ・"クレイジー・ホース"・ベネットとMMAルールで対戦。1R 0分7秒でKO負けを喫した苦い思い出がある。  ダリは幼い頃から柔道を習いアフリカJrチャンピオンに輝き、その後も柔道に打ち込みコンゴの柔道ナショナルチームに選ばれた。2010年に来日を果たすと2011年の春からMMAを始め、DEEP、GRACHAN、巌流島で活躍。2018年12月にはGRANDウェルター級王座に就いたが、2019年12月の防衛戦で桜井隆太に敗れ王座から陥落。RIZINには2020年8月大会で海人とキックボクシングルールで対戦して判定負け。2021年11月にはMMAで“ブラックパンサー”ベイノアにKO負けを喫している。前戦は2022年12月にGRACHANで林RICE陽太に判定勝ち。  1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかける木村は左ボディストレート。ダリもガードを固めて右を振るが、その打ち返しはもらわない木村は腹から顔面、左フックでの飛び込み。ダリをコーナーに詰めると、左ボディ! さらに左ボディのフェイントから顔面に軌道を変えて左フック!  立ったまま失神したダリに右をかすめてダメ押しの左フック! ダリは前のめりにマットに崩れ落ち、木村が衝撃KO勝利を決めた。  7年ぶりのRIZINマットで、オープンフィンガーグローブではなくボクシンググローブに変えて、KO勝利を見せた木村は、「RIZINファンの皆さんお久しぶりです。7年ぶりだったんですけれど僕のことを覚えてくれている人はいますか? ずっとみんなの前でまた戦いたかったので凄く幸せですです。これからRIZINのキック、俺がいれば間違いないと思うのでどんどん盛り上げていきます。ブアカーオも安保もよく分からないですけれど、誰でもかかってこいって感じなのでよろしくお願いします。引き続き僕の試合を楽しみにしていてください」と語った。 [nextpage] ▼第7試合 フェザー級(66.0kg)5分3R〇久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)66.0kg[判定2-1]×木下カラテ(和術慧舟會HEARTS)65.85kg  久保はテコンドーからキックボクシングに転向し、高校2年生でプロデビュー。キックボクシングでNJKFフェザー級王座、WPMO世界スーパーフェザー級王座、K-1 WORLD MAX 2011 -63kg日本トーナメント優勝、ISKAオリエンタル世界ライトウェルター級王座、Krush -67kg王座、GLORYフェザー級SLAM世界トーナメント2013で優勝など多くのタイトルを獲得し、2014年にはK-1 WORLD GP初代ウェルター級王者となった。RIZINには2021年9月に電撃参戦、MMAデビュー戦を行ったが太田忍に判定負け。  2021年大晦日ではシバターと対戦して跳びつき腕十字に敗れたが、試合前に両者の間で申し合わせが行われていたことが判明。大きな騒動となり、久保は選手活動を自粛した。2022年11月、禊の復帰戦では奥田啓介をパウンドでTKOに破り、MMA初勝利をあげている。  対する木下はWKF極真空手世界大会で軽重量級準優勝の実績を持つ。MMAに転向後は修斗で2連勝から2連敗、2022年7月に児山佳宏に1RでTKO勝ちも、10月に竹原魁晟に1RでTKO負け。2023年5月にはDEEPに参戦し、「朝倉未来1年チャレンジ」の第1期生である畠山祐輔に右フックで初回KO勝ちした。MMA戦績は6勝6敗1分。  キックボクシングをバックボーンに持つ久保と、フルコンタクト空手をバックボーンに持つ木下のストライカー対決となる。テクニシャンの久保だがキックボクシング戦績50勝10敗1分のうち20勝はKO勝ちによるもので、左フック、左ハイキック、左ヒザ蹴りには一撃で相手を仕留める威力を持つ。対する木下は勝った試合が全てKO・TKOによるもので、空手家らしく右フックと左ハイキックは一撃必殺。  1R、サウスポー構えの木下はダブルレッグから右で差してコーナーに押し込み。突き放す久保は同じくサウスポー構え、木下の前手フックをかわす。互いに右ジャブを突き、木下は左フック。これもかわした久保だが、木下は右オーバーハンド。久保は右ジャブを返し、右ミドル。しかし久保は再びシングルレッグからボディロックテイクダウン! 下の久保はフックカードからフルガードに戻して蹴り上げで立ち上がる。左カーフを蹴る久保。右ハイはブロックする木下。しかし久保の右ストレートに腰が落ちる木下。久保がコーナーに詰めてゴング。  2R、右ボディから上下に散らす木下、互いに左フックで久保がコーナーに詰まる。テイクダウンがあるなか木下の右前手が当たる。さらにダブルレッグテイクダウン! フルガードの久保に膠着ブレーク。  スタンド再開。久保は左カーフを効かせるが、木下も右を返す。「MMAをやれ」という大沢ケンジ代表の声。しかし久保はワンツーの右を当てて、左ストレートも。木下は組んで凌ぐ。  3R、詰める久保は右ジャブもダブルレッグに入る木下。切る久保は離れ際にサッカーキック! 離れる木下も右ジャブ。得意の左ハイは空振り。左を突く木下はシングルレッグへ。  さらにボディロックから小手に巻く久保の脇を潜り、スタンドバック。後方に倒してテイクダウン!背中を着かせてパスガード。右ヒザを顔面へ! 左で脇差す木下に、フルガードに戻す久保。  ブレーク。スタンド再開。久保の左の蹴り終わりに、すぐに組む木下は首相撲からダブルレッグテイクダウン! 最後に上を取ってサイドを奪いゴングを聞いた。  判定は2-1で久保がトータルジャッジを勝利。テイクダウンを奪った木下だが、有効打撃で勝った久保が木下との接戦を制した。  試合後、久保は「これがほんとうにMMA。僕にとってMMAはすごい挑戦で茨の道なんですけど、K-1で当たり前のように強い姿じゃなくて、MMAでもがいている姿を見せたくて。MMAで何やってんだよと言われてますが、これから一人ひとり倒してフェザー級で。今日の3Rは貴重な経験でした。いまは何やってるんだ、と言われてますけど、絶対に見返してやるから。バカにしてきたやつらを。見返してやるからな!」と叫び、サラとともに花道を後にした。 [nextpage] ▼第6試合 ストロー級(52.5kg)5分3R〇大島沙緒里(AACC)48.10kg[1R 1分16秒 Vクロス]×ソルト(マルスジム)52.40kg  階級差、身長差もある両者。1R、ともにオーソドックス構え。先に中央を取るPANCRASE王者のソルトは右ロー。DEEP JEWELS&DEEP王者の大島は、左右ワンツーからの右の蹴りをソルトに掴ませて詰めて首を抱えて大内・小内刈狙いの大島。ソルトはボディロックで凌ぐが、大島は首投げから払い腰テイクダウン!  袈裟固めから左腕を両足で挟んでの得意のVクロスで絞り、タップを奪った。  リングサイドで朝倉カンナが観戦するなか、試合後、大島は「今回、極めることができました。ソルト選手が試合を受けてくれなかったら北海道で試合ができなかったです。感謝します。私には双子がいて子育てをしながら、格闘技での目標があります。これからも上を目指して頑張ります」と語った。 [nextpage] ▼第5試合 フェザー級(66.0kg)5分3R〇新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)65.90kg[1R 2分32秒 KO]×飯田健夫(フリー)65.95kg  1R、地元北海道の親友同士という両者。飯田は3月の修斗でSASUKEのバックヒジにKO負け。新居は2022年12月のPANCRASEで高木凌に得意のアームロックを極めている。  ともにオーソドックス構え。飯田が先に右カーフキック。新居も右ロングフックを当てて前に出るが、飯田はさばくと再び右カーフ。  ともに左フックの相打ち。ガード低く詰める飯田に、飛び込みの新居。右カーフの飯田に左右で詰める新居。右カーフの打ち終わり右を当てて、さらに右ストレート! 飯田のマウスピースを飛ばすと、ロープに詰めてとさら右でダウンを奪い、前のめりに倒れた飯田にサッカーキック! すぐにレフェリーが飛び込んだ。  新居は「同じ北海道から東京に出て、10年前にいつか大きな舞台で戦おうと言い合って。32歳で友達とチャンスを潰し合って練習するのもいろんな気持ちがあって複雑でしたが、周囲の応援もあって勝つことができてよかったです。アームロックだけじゃなく打撃にも自信がありました。最後に健夫、戦ってくれてありがとう。愛してるぞ」と語った。 [nextpage] ▼第4試合 フェザー級(66.0kg)5分3R〇関 鉄矢(SONIC SQUA)66.0kg[判定3-0]×遠藤来生(パワーオブドリームジム)65.45kg  1R、ともにオーソドックス構え。圧力をかける関はジャブ。遠藤は右の飛び込み、遠藤の低いダブルレッグを差し上げる関。ロープまで押し込む遠藤は両差しで頭をアゴ下に入れるが、四つに持ち込んで突き放す関が右を突く。  左ジャブの関。右ロー、ミドルの遠藤だが、関の右に一瞬、ヒザを落とし止まる遠藤。  詰める関は前蹴り。遠藤も右を返して左右でインファイトに。前手の左フックを当てて前に出て左で差して押し込み。投げて崩すもスクランブルの関はキムラ狙いも外した遠藤が右を振る! しかし打ち合いに強い関も首を押さえて右ヒザ! 遠藤は再び腰を落とすもゴング。  2R、関は右前蹴り。頭を振って詰める遠藤は左フック。後ろ廻し蹴りは空振り。水面蹴りも見せる。しかし近づくと関の右ヒザ! 腰を落とした遠藤に首相撲で詰める関。遠藤は右振り前に出て組むが、際を制して押し込む関が、コーナーで首相撲からヒザを突くが、それが下腹部に入り、遠藤は悶絶。中断。  再開。長い右を突く関、右ローの遠藤。関は左前蹴りでけん制。出入りが少なくなる遠藤。関の打ち終わりに上で組む遠藤。制の右ストレートに遠藤も右フックを当て返してゴング。  3R、関のワンツーにダウンした遠藤。すぐに立ち上がり、組んで凌ぐが関が体を入れ替え、コーナーに詰めて左右のラッシュ! 関は右ストレート。しかし前に出る遠藤は、PANCRASEの前戦のKOのダメージもあるか。関の右にみたび腰を落とす。  腰を落とす遠藤にサッカーキックも狙う関。足を手繰りに行く遠藤に関は両足を後方に飛ばしてがぶりで潰してパウンド、ヒザ! いったん下になりかける遠藤だが右脇を抜けてバック狙い。ここで寝かせ切れず。立ち上がる関に右フック。関も右ヒザ、さらに右ストレート。遠藤は右フックで前に。「来い」と鼓舞。そこに右ストレートは関。ゴングに両者ともにヒザを着いて礼をかわした。判定は3-0で関が勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 バンタム級(61.0kg)5分3R×トレント・ガーダム(Tiger Muay Thai & MMA)60.80kg[2R 2分34秒 ツイスター]〇後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)60.90kg  1R、ともにサウスポー構え。右ハイを見せるガーダム。後藤は左ミドルハイも掴んだガーダムがシングルレッグへ。ニンジャチョークを狙う後藤だが、テイクダウンを奪うガーダムは、後藤の立ち上がりに左手でギロチン狙いから崩して互いにスクランブル。ここも立ち際にノーアームギロチンチョークのガーダム。  クローズドに入れて絞めるが、中腰にする後藤は頭を外す。がぶりからヒザ、下からロングスパッツ着用ののガーダムは四角から三角絞め狙いも外すガーダムは左右からミドルで前に。  そこに右前手フックと右ハイを狙う後藤は右のサイドキック! さらに詰めてきたガーダムに左オーバーハンド! ダウンしたガーダムにパウンドもガーダムはゴングに救われる。  2R、すぐにシングルレッグテイクダウンはガーダム。左手で首を巻き、ハーフからパス、マウントで絞めるガーダムだが、リバーサルする後藤に、下のガーダムはアームインギロチン。クローズドの中に入れて絞るガーダムだが、頭を抜いた後藤が上からパス、バックから4の字ロック。正対狙うガーダムを4の字ロック&おたつロックでガーダムに正対させず、頭を抱えて捻りツイスターで極めてタップを奪った。  地元で勝利した後藤は、「こんなもんじゃない。こっから俺もTRIBEものろしを上げていくんで、よろしくお願いします」と挨拶。セコンドの長南亮代表と石井逸人と記念撮影に収まった。 [nextpage] ▼第2試合 バンタム級(61.0kg)5分3R×熊谷麻理奈(WSR札幌ムエタイジ)60.85kg[1R 2分48秒 KO] ※左オーバーハンド→パウンド〇栗山 葵(SMOKER GYM)60.45kg  関西の栗山は、2連勝から、2023年2月の前戦で中井りんに一本負け。地元の熊谷は、2021年10月のゆりな戦の判定負け以降は現在まで3連勝中。  1R、サウスポー構えの栗山。オーソの熊谷。栗山が得意の左ストレートを突くが頭をずらす熊谷は左ジャブ、右ミドル。右回りの栗山。熊谷は左カーフも蹴る。  左ロングフックの栗山は左インロー。左ローで詰める熊谷に、右回りの栗山は、熊谷の右ストレートを右に頭を傾けてかわしてカウンターの左オーバーハンド!  ダウンした熊谷にパウンドでレフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼第1試合 RIZINキックボクシングルール 57.5kg契約 3分3R〇山川賢誠(Kickboxing Academy Sapporo)57.30kg[2R 1分22秒 TKO]×平野凌我(M.T.S)57.40kg  RISEのランカー同士の試合。1R、サウスポーの山川が前に出て行くと平野はステップで動きながら左カーフ。山川は左ストレート、右フックで迎え撃つ。ジャブを上手く当てる山川。平野は左右カーフを蹴りつつ、右ミドルも放つ。山川がワンツーをヒットさせると、平野が前へ出てワンツーを打ち返す。徹底したカーフから平野が左フック、右ハイから山川の右フックをかわしての右ストレートでダウンを奪う。右ストレートとカーフの波状攻撃でラッシュをかける平野に山川は下がりながらも右フックを打ち返して耐えた。  2R、山川は左三日月蹴りを連発、平野は変わらず左右カーフを蹴っていく。前に出た平野に山川が右フックを合わせてダウンを奪い返す。大いに盛り上がる場内。平野はすぐに前へ向かっていくが、山川が左フックで2度目のダウン。ラッシュをかけた山川が連打からの左フックでレフェリーストップ、逆転TKO勝ちに成功して大会に見事火をつけた。  山川はマイクを持つと「初めてのRIZIN札幌大会で気合い入っていたんですが、最初は空回りして平野選手が強くてダウン取られちゃいました。またタイミングがあればRIZINに出させていただいて…言うことを忘れちゃいました」と笑顔を見せた。 [nextpage] ▼OPENING FIGHT4 RIZIN MMA特別ルール ライト級(71.0kg)5分2R〇渡辺トシキ(パワーオブドリームジム)70.0kg[1R 1分03秒 ヒザ十字]×安海健人(ALMA FIGHT GYM BASE)70.90kg  1R、安海は首投げでテイクダウン。渡辺は足を掛けて腕十字を狙いに行くが、安海は立ち上がってサッカーキック。安海が仕留めに行ったところで渡辺が下から脚に絡みつき、ヒザ十字で鮮やかに一本を奪った。 [nextpage] ▼OPENING FIGHT3 RIZIN MMA特別ルール 55.0kg 契約 5分2R×丸山大輝(マルスジム)54.70kg[1R 3分33秒 肩固め]〇早坂優瑠(CORE QUEST KUSHIRO)54.60kg  1R、右ロー、右フックで積極的に攻めるのは丸山。早坂はダブルレッグに行くが丸山が両脇を差して逆にテイクダウンに行くが、両者の上半身がロープ中段の外に出てしまう。少しずつ移動させコーナーへ持っていった丸山が背中をつけさせたが、そこで丸山は立ち上がる。スタンドに戻ると丸山が打撃で前に出て左ハイを当てるが、早坂がテイクダウン。早坂は肩固めの体勢となり、丸山はブリッジで逃れようとするも早坂が左足を抜いてサイドへ。肩固めを極めてタップを奪った。 [nextpage] ▼OPENING FIGHT2 RIZINキックボクシングルール 61.5kg契約 3分3R〇愛翔(Kickboxing Academy Sapporo)61.20kg[1R 0分55秒 KO] ※左フック×小出龍哉(TEAM TEPPEN)61.20kg  1R、愛翔は跳びヒザ蹴りの奇襲も小出はかわす。サウスポーの小出は右へ回り込みながらジャブ、右フック。愛翔は左フックを放つ。小出がジャブを打ちながら左へ回り込もうとしたところに愛翔が左フックを打ち抜き、この一発でKO勝ちした。 [nextpage] ▼OPENING FIGHT1 RIZINキックボクシングルール 58.0kg契約 3分3R―星久保将城(Kickboxing Academy Sapporo)※59.60→1.6kgオーバー[ノーコンテスト] ※判定は28-26、28-27×2―がんばれ!ふるかわくん(GRABS)56.70kg ◆試合実施の条件1. 星久保将城の勝利は記録されず、次に掲げるとおり裁定される。(1)がんばれ!ふるかわくんが勝った場合、その結果を公式記録とする。(2)がんばれ!ふるかわくんが負けるか、引き分けた場合、記録はノーコンテストとする。2. 星久保将城に減点を課した上で、試合を開始する。本試合は超過体重が0.5kg以上につき減点2(レッドカード)とする。  1R、星久保は開始と同時に飛び込む奇襲から一気に前へ出て右ストレート、右ロー、左フックとアグレッシブに攻め込んでいく。ふるかわは右ロー。星久保の大きな左フックに右ストレートを合わせるふるかわだが、星久保は下がらず前に出る。ふるかわの右カーフに右ストレート、接近してヒザ。左フックからの右ストレートでふるかわを下がらせると、ノーガードでステップを使いながら回り込む余裕を見せる。星久保の右カウンターが決まったところで1R終了。  2Rもゴングと同時に飛び後ろ蹴りで飛び込む星久保。ワンツーにはふるかわがバックハンドブローを返す。右ストレート、右フック、右ローと前に出る星久保にふるかわは左右フックを振る。ふるかわが前に出て行くが星久保はステップで回り込んでかわす。ふるかわの右ストレートをもらった星久保は右ストレートと右フックでラッシュ、右フックでダウンを奪う。  3R、星久保の右ストレートに左フックで対抗するふるかわ。星久保が前に出てワンツー、左フック。ふるかわも打ち返すが星久保が強打をヒットさせていく。ふるかわは右カーフ、そしてボディを打つと星久保はボディをかばうような動き。そこへふるかわの右フックがヒットする。チャンスと見たふるかわはボディへヒザを打つが、星久保が右ストレートで逆襲。ふるかわは胴廻し回転蹴りで起死回生を狙うが空振り、最後まで攻めの姿勢を見せたふるかわだったが、判定は3-0で星久保。しかし、体重超過しているため無効試合となった。
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