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2023年6月24日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ『RIZIN.43』の前日公開計量が、23日(金)札幌市内にて行われた。
メインイベントの「RIZINフェザー級タイトルマッチ」の前日計量は、挑戦者の鈴木千裕が65.95kgでパスも、王者のクレベル・コイケが66.40gの400gの体重超過で王座剥奪となった。
試合は規定通り、鈴木が勝利した場合のみ、王座戦としてベルトを獲得。クレベルは試合前に王座剥奪で、勝利してもノーコンテントとなり白星はつかず。王座は空位となる。
会見後に、RIZINの榊原信行CEOは、クレベルの体重超過の経緯と、この試合で「クレベルが勝ってノーコンテストに持ち込むことになれば、次、我々が一旦預かるベルトをかけて、タイトルマッチに持っていけるんだろうなと思います」と、前王者が勝てば王座決定戦に進む可能性を語った。
◆試合実施の条件
1. クレベル・コイケの勝利は記録されず、次に掲げるとおり裁定される。
(1)鈴木千裕が勝った場合、その結果を公式記録とする。
(2)鈴木千裕が負けるか、引き分けた場合、記録はノーコンテストとする。
2. クレベル・コイケに減点を課した上で、試合を開始する。本試合は階級超過体重が0.50kg未満につき減点20%減(イエローカード)とする。
公開計量では、クレベルの体重超過のアナウンスが流れたところで榊原CEOが登壇。
「人生、一寸先はハプニングですね。何が起こるか分かりませんが、格闘技、魅力的な格闘技の詰まった試合に明日、全試合なると思います。逆にクレベルは大切な大切なベルトを失った状態で、いまからメンタル整えて、明日、皆さんの前で最高の試合をしてくれると思います。
まさか本当に厳しい世界、いろんなことが起きますが、クレベルが400gオーバー。この場でタイトル剥奪となります。明日もちろんタイトルマッチとして行います。千裕が勝ったとき千裕がベルトを巻く。クレベルが勝ったときはノーコンテスト。本当に厳しい世界。それが格闘の世界なので、本当に契約体重守るために、あと400gです、その400が落とせなかった。この400gでベルトを失います。この厳しい世界のなかで格闘家は戦います。命をかけます。明日、クレベルは逆に勝たなくちゃいけない理由ができたと思います。クレベル、明日千裕に全力で戦って、千裕はもちろん思うところあると思うけど、全力で戦ってベルトを巻いて。逆に、見る側は面白くなったと思います」と、メインイベントの変則王座戦について語った。
公開計量後の囲み取材では、クレベルが本計量(※公開計量前の公式計量)に2回トライし、11時からの初回を12時30分に訪れ、800gオーバー。最後が、タイムリミットの14時の10分ほど前に体重計に乗り、400gオーバーだったことを明かした。
残り400g。「公式計量の14時ぎりぎりまで本人はサウナに入って絞り出してました。チームの皆もサウナに入って。本当に切ないし、厳しい判断だとは思うけど、その400gをカットするところまで、本人も必死に、ベルトも守りたいし、なんとか公式戦でタイトルマッチで戦いたいっていう思いでやるだけやった結果がこういう結果だった」とした。
チームメイトみんなついて、サウナに閉じ込もっていたが、14時までのリミットで400g残った
──榊原CEOにうかいがいます。あらためて、メインイベントが変則王座戦になった経緯を。
「我々とすると、ルールに則って処理するしかない。千裕にも当然、そのあと受けるかの確認をして“やる”ということだったので、クレベルももちろん“自分が400gでも受けてもらえるなら試合する”ということなので、クレベルは体重オーバーでタイトル剥奪。勝ってもノーコンテスト。タイトル認定試合なので千裕が勝ったときのみ王座獲得となる。
クレベルからすると勝ってもノーコンテストなので、400g(の体重超過)であまりにも失うものが大きいけど、それが格闘の世界なので、プロとして分かったうえで、それを受け入れてルールに準じて試合をする。クレベルが勝てば王座は空位となり、フェザー級王者はいない状態となります。だからクレベルが勝ってノーコンテストに持ち込むことになれば、次、我々が一旦預かるベルトをかけて、タイトルマッチに持っていけるんだろうなと思います。
あるいは千裕がこれを千載一遇のチャンスとして、(クレベルは)精神的にも当然動揺もしているだろうし、逆にタイトル奪取をするチャンス、好機ととらえて、一気にタイトルをもぎとるかもしれないし、非常に混沌とした試合になってきたかなと、状況としては。見る側はある意味、面白いのかもしれない。タイトルがかかってる試合なだけに。絶対に負けられないし、勝たなきゃいけない。
本当にクレベルっていつも体重ギリギリでここまでクリアしてきてるだけに、このタイトルマッチでオーバーしちゃうか、っていう感じ、本人が泣いてる通り、一番悔しいのだと思います。そんななかでフェザー級の行方がさらに混沌としたのが、今日の状況なので、明日の試合がさらに楽しみだなという感じではあります」
──王座が空位になった場合、「決定戦」が行われるのでしょうか。
「クレベルをタイトルマッチに挑ませてあげるべきだと思っています」
──それはほかの選手(※井岡一翔の対戦相手のWBA世界同級王者ジョシュア・フランコが2.9kg超過)と違って、クレベル選手が落とす努力をしたから?
「努力もしたし、相手のドーピングどうのこうのじゃないけど、それで落とせなくってって言い訳の話じゃない。クレベル本人は本当に最後まで落とす努力したんだよ。我々も祈る思いでサウナから出てくるの待ってたけど、落とすだけ落として最後のカット400g、もう1時間でも2時間でもあれば落ちたのかもしれないけど、まあ仕方ない」
ーーRIZINの判定基準で減点20%。クレベル選手は体調もかなりダメージがあるのでは?
「と思いますね。メンタルもそうだし、このあとリカバーもどうするか。いつものルーティンとはいかない。チームメイトみんなついて、サウナに閉じ込もっていたので必死だったと思う」