MMA
インタビュー

【ONE】岡見勇信、自分を信じるための戦いへ「“無心”で戦えるよう、最善の準備をする」=8.2「ONE: DAWN OF HEROES」

2019/07/28 00:07
「今年は格闘家としての集大成の1年と位置づけ、迷うことなく自分を信じ、貫き通す」と元旦にツイートし2019年をスタートした岡見は、2月にONE Championshipとの契約を発表。第1戦は5月のジャカルタ大会でキャムラン・アバソフ(キルギス)と行い、右ジャブの戻しにリターンされた右フックを浴びて倒れ、そこからパウンドを集められ2R TKO負け。巻き返しを期す8月2日マニラ大会でのONE第2戦、ジェームス・ナカシマ戦が迫ってきた。  ナカシマはプロ11戦11勝(2KO)でLFAウェルター級王座を獲得、ONEでも2勝を上げている。ナカシマについて岡見は「MMAとしてすごく完成されている選手で、気持ちも強いしスタミナもあるし、あんまり欠点がない選手」と分析し警戒。その上でUFC最終戦(昨年12月)・5月のジャカルタ大会と敗戦となった試合を「すごく考えて戦っていた」と振り返り、無心の境地で臨むべく準備を行っている。 “サンダー”、ONEでの復活はなるか。敗戦、そして自身と冷静に向き合う岡見に、試合への意気込みを聞いた。 自分を信用できなくなっていた。考えながら戦っていると一歩遅れてしまう ――ONE第2戦が近づいてきました。第1戦の結果を受け心境を教えてください。 「前回が負けているのでもちろん負けられないですし、勝たなきゃいけない。そういった中で何が自分の動きで正解なのかというのを前回の試合が終わってからすごく考えました。ここ2戦敗戦していて、自分でチャレンジしてみた新しいことがあったんですけど、上手くいかなかったというのが結果として出ているので、自分をすごく見つめ直しました。前回、前々回のUFCも“これがベストだ”と自分が思っていたことなんですけど、なかなか上手くいかない。じゃあ“勝ってる時はどんな動きをしていたのかな”とか、そうやって自分を見つめ直しました」 ――新たな取り組みを試したものの、それに結果が伴わない2試合であったと。 「練習ではよかったんですけど、でも全てが試合じゃないですか。そういった意味では一時期“どうしたらいいんだ”っていうのはすごく考えたし、自分を信用できなくなったっていうのはありました」 ――差し障りがなければ、試合の中で試していたことを教えてください。 「UFCの最後はオーソドックスにスイッチしてみたり、この前の試合は相手と近づくために前手同士を触りに行くとか、いろいろやりました。でも練習ではよかったけど、なかなか自分の動きに合わない。練習でよいから、手応えがあるからこそ試合で持っていこうと思えたんですけど、そういった意味でどうしたらいいんだろうと。もちろん試合で全て手応えがあるなんていうことはないんですけど、歯車が合ってない、何か違うなっていうのはすごくあります。自分の中で手応えがあればそのスタイルを続けようと思うんでしょうけど、自分の中では“これはもう違う”っていう結論にあっさり達しました」 ――費やした時間・努力もありますし、それをさらに追うのか、それとも見切りをつけて新たな試みに移るのか、判断の難しいところだと思います。 「チャレンジしたことは結果は出なかったけど、その過程において自分の中で納得はしているんです。自分もそれがベストだと思ってやったことですし。でも結果が全てなので、結果が出ない・手応えがないのであればまた何かを変えなきゃいけない。  それで振り返るとここ2戦はすごく考えて戦っていて、考えながら戦っていると一歩遅れてしまうし、やっぱり無心でいかに戦えるか。無心で戦える状態っていうのは自分の動きがスムーズっていうことですよね。体が反応するままに動けている。そこへ持っていくにはどういう戦略、どういう気持ちで臨めば無心で戦えるのか。そこはすごく考えました。どういった動き、どういった考えでやれば自分の武器や長所を発揮できるのかというのは考えに考えて、昔の映像を振り返ったりしました」 [nextpage] 総合格闘技を19年やってきて、今のベストだと思える岡見勇信を出し尽くしたい ――「自分を見つめ直した」というのはそういうことだったのですね。どのあたりの映像を見たのですか? 「もうずいぶん前のから見ました。UFCの頃も含め、その前の日本でやっていた頃とか映像が残っている限り、繰り返し見ていました。“よくこんな動きをしていたな”と自分で思う時もありますし、“どんな感情で試合をしていたのかな”と思ったり。人間って忘れちゃうんですよね。でも、よい時というのは間違いなく無心、試合と相手に100%集中できている時です。邪念や欲というか“これをしたい”とか、いろんな雑念が入ってきちゃうと動きが止まってしまう。そうでなく、無心で相手を倒すことを意識し続けている時がやっぱり勝手に動いています。でも、それは練習で作り上げないといけなくて、そこがもちろん1番大事なところで、その積み上げ方を間違うと、無心では戦えなくなってしまいます」 ――自動操縦ではないですが、何も考えなくても動ける状態を練習で作り上げなければいけないと。 「そうですね、どういう戦略・どういう動きでやるのか、そのマインドというのはここ2戦連続で負けていることですごく思います」 ――では、現在は試合になった時無心で戦える状態を作り上げるのにフォーカスしていると。 「それでも“これをやりたいな”とか、パッと欲が出てきちゃうんです。“これをやったらもっと上手くいくんじゃないか”とか。でも“違う、違う”と。もう自分のできることっていうのは決まっているし、これだけ長くやっていても、魔法というか、そういうことがあるみたいに思うことがあるんです。でも魔法なんてないし、やっぱり基本の積み重ねで、自分の武器って大きくいうと変わらない。だからそこで何か浮ついた心を持ったり違う方向へ行きそうになっていたら、止めてくれっていうのは周りにも言ってます」 ――やはり持っているもの、自分の武器で戦うしかないと。 「もう19年ぐらい総合格闘技をやっているんですけど、細かな動きやフィジカルは変わっても改めて自分の武器ってそこまで大きく変わらないし、自分がどういう風に戦えば自分の力が発揮できるのかっていうマインドはすごく重要だと思っています。向上心、成長したいという思いがあるからこそいろいろ出てくるんですけど、今回は本当にやり切りたい、自分の力を出し尽くしたいという思いがあるので、無心で戦えるよう、そこは今作り上げているところです」 ――“自分の力を発揮するにはマインドの持ち方が重要”というのは岡見選手が言うと説得力があります。 「やっぱり格闘技は『心技体』と言うように心が全てをつかさどっているので、そこが充実というかしっかりできていれば自分の実力を出せると思います。その上で負けるのであれば仕方がないし、納得ができます。  これは負けたからこそ言っているんですけど、でもそれは後悔とかではなくて、挑戦した結果、自分はそう思って今があるので、別に過去に戻りたいとかそういうのはないんです。自分の中では試したことが合っていなかったから、そこは完結して次に進めているんだと思います」 ――「本当にやり切りたい」と思って臨む対戦相手、ジェームス・ナカシマの印象をお願いします。 「いい選手で、やりづらい相手を当ててきたなと思います。突出して何かが凄いというものはないんですけど、MMAとしてすごく完成されている選手で、気持ちも強いしスタミナもあるし、あんまり欠点がない選手かなと。やるべきことを決めて戦ってくるし、僕の中で評価している選手です」 ――あまり欠点、穴の少ない選手であると。 「常に頑張って、その頑張ることを続けられる選手です。アップダウンがなくて、だから本当にいい選手だなぁと思います。その場その場でできることを遂行してくる。何かにこだわると言うより、相手の動きに合わせてベストだと思う攻撃を100%してくるというか。 彼はすさまじいパワーがある訳ではないだろうし、身体能力としては平均的な選手だと思うんですけど、そのやり切る力や気持ちというのは他の北米の選手と比べてもすごく強いし、そこが彼の武器だと思います」 ――試合ではそれをさせないよう戦わなければなりません。 「彼とせめぎ合っていると彼のペースになると思うんです。だから要所要所で彼を圧倒する場面を作らないとなかなか厳しいなと。そこをすごく感じています」 ――無敗の強豪ですが、ここを越えれば前回の敗戦分も払拭できるだろう相手です。 「今回の試合をクリアすれば改めて自分の中で自信が大きなものになるだろうし、自分をしっかり信用できると思うんですよね。いくら練習で自信があってもやっぱり試合で結果を残さなければ意味がないし、全ては試合ですから。なので、そこまで心技体、マインドも含めて100%に持っていけるように最善の準備をする、それが今僕にできることじゃないですかね」 ――最後に改めて試合への意気込みとメッセージをお願いします。 「総合格闘技を19年やってきて、いろいろなことがありましたけど、そこで今のベストだと思える岡見勇信を出し尽くしたいと思っています。応援よろしくお願いします」(取材・文=長谷川 亮)
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