新星グラジ生え抜きのチハヤフル荒ぶるもあと1歩届かず
▼第13試合 GLADIATORフェザー級王座決定トーナメント準決勝 5分3R
〇ダギースレン・チャグナードルジ(Shandas Devjeeモンゴル/MGL-1フェザー級王者)
[判定2-1]※29-28×2, 28-29
×チハヤフル・ズッキーニョス(MIBURO)
※ダギースレンが決勝進出
チハヤフル・ズッキーニョスはMMA7勝1敗。うち6つのフィニッシュ勝利をマークしており、4つの一本勝ちは腕十字、三角絞め、リアネイキドチョーク2つと多彩な寝技を誇る。
京都で福田龍彌も所属するMIBUROで研鑽を積み、GRACHANとの合同興行を含め、GLADIATORでは4連勝中。2022年4月に瀧口脩生に判定負けが唯一の黒星で、以降はDEEP大阪で堂園悠、GRACHANで大搗汰晟、WARDOGで今村豊を相手に3連勝している。新星GLADIATORにあって生え抜きと言っていいファイターが、ベルトに挑む形となる。
試合前にチハヤフルは、「GLADIATORでチャンスをもらえたことが僕の格闘家としての始まりです。このところ他団体に参戦していましたが、トーナメント出場という形で戻って来ることができて嬉しく思います。僕が離れている間にも選手層が広がり、急激にレベルが上がっていると感じます。
強者が集うトーナメントを勝ち抜いて優勝したときには間違いなく王者に相応しい男になっていると確信しています。正直な話、これまでにGLADIATOR初参戦の選手がいきなりタイトルに挑戦してベルトを持っていくのを見ていて、面白くありませんでした。
その点、今回はトーナメントなのでドロドロの潰し合い、人生の奪い合いになると思います。それでこそのベルト、それでこその格闘技だと思うので、目の前の相手を片っ端から倒して、僕が一番、GLADIATORのベルトが似合う男だと証明します」と、王座獲得への強い思いを語っている。
対するダギースレン・チャグナードルジは、モンゴルMGL-1FCフェザー級王者。戦極やK-1で活躍したジャダンバ・ナラントンガラグの門下生で、MMA5勝0敗と負け無し。
1999年大晦日生まれの22歳で、遊牧民の家庭で生まれ育ち、幼少期からモンゴル相撲に慣れ親しんできた。テコンドーから正式に格闘技を始め、県大会で準優勝2度。ノーギグラップリングではモンゴル・ナショナル選手権で銀メダル獲得している。2023年1月に力強いパンチでトゥルバヤル・フレルバートルをTKOで下しMGL-1FCフェザー級王者についた。
ダギースレンは、「トーナメントに呼んでもらえたこと、とても嬉しく思っています。そして、自分が新チャンピオンになると信じています。自分は目指している目標に向かって毎日練習に励んでいます。今回のトーナメントでは練習で培ったものを全て出して、自分がどれほど強い人間かということを見せつけるつもり。チハヤフル選手、火の出るような熱い戦いをしましょう」と、激闘を予告している。
1R、向かい合うと身体の厚みを感じさせる5勝無敗のダギースレン。チハヤフルはサウスポー構えで左の蹴りから入る。右の蹴りも見せて左に回るチハヤフル。ダギースレンが距離を詰めて右を突くがかわすチハヤフル。
右ボディストレートから右フックの上下に散らしたダブルで飛び込むダギースレン。下がるチハヤフルは右回りに。そこに左ローで止めるダギースレン。さらに右。そこに右を狙うチハヤフルだが当たらず。ダギースレンのパワフルなワンツーの右から左に後退したチハヤフルは右にサークリング。左ハイを打つがかわされる。
右ミドルハイを当てたのはダギースレン。距離が空くとチハヤフルは左ミドルハイをガード上に当てる。しかしダギースレンは右前蹴りを腹に突き、右ボディで前進。走ってサークリングするチハヤフルを追うダギースレンは右のスーパーマンパンチ。
詰めるダギースレンに、チハヤフルはダブルレッグから小外がけ。これは残したダギースレンにシングルレッグに切り替え、さらにリーチある右で差して左手とクラッチしてボディロックから大腰気味に投げると、左で小手に巻いたダギースレンは右手をマットに着きながら投げを潰して上に!
フルガードのチハヤフルは右手で足をすくうが、ダギースレンはインサイドからパウンド。金網まで運んでヒジ、ボディ打ち。腰を切って腕十字に行くチハヤフルだが、すぐにヒジを抜き、右パウンドを落としてから離れたダギースレン。チハヤフルは下のまま蹴り上げを見せてゴングを聞いた。
2R、左関節蹴りを突くダギースレン。ジャブは出さず、右の強打を狙う。そこに左ミドルを当てたチハヤフルが前に。シングルレッグから四つに持ち込み、小外がけテイクダウン! マット中央でダギースレンに背中を着かせるチハヤフルは、すぐに足を超えてマウントに。
ケージまで動くダギースレンに、左で枕にして細かいパウンドはチハヤフル。ダギースレンは下から抱え込んでしまう。エビを打つダギースレンはチハヤフルの首を抱えてから巻き込んで上になるが、差しているチハヤフルがバックへ!
上体は金網に立てるダギースレンに右足をかけてから両足をかけてパウンドよりもコントロール。残り1分30秒。中腰になるダギースレンは背後のチハヤフルの左手を持って前のめりさせてから、一瞬背中をつけて正対。そこでチハヤフルの右足を持ち上げて上に!
フルガードのチハヤフルは腰を切って腕十字狙いもここは顔に足をかけさせないダギースレン。腰を切るチハヤフルは下から鉄槌。上のダギースレンも十字を警戒しながら鉄槌を落とす。
3R、チハヤフルが左ミドルでけん制して間合いを作ると、遠間から左オーバーハンドも見せる。かわすダギースレンは左ジャブの刺し合いを当て、さらに右をガード上に当てて前に。金網背にサークリングはチハヤフル。左オーバーハンドで詰めてニータップへ。これを切るダギースレンに、なおもシングルレッグも足はかけられず。
足を手繰ろうとするチハヤフルにダギースレンは右をヒット! 離れて下がるチハヤフルもカウンター左を当てるが、詰めるのはダギースレン。ヒザ蹴りのモーションで押し戻すチハヤフルにダギースレンは右を振る。チハヤフルもワンツーの左で詰めるが、そこにヒザを返すダギースレン。
チハヤフルは遠間の後ろ廻し蹴りはかわされるが、そのステップで詰めて右ミドルハイを腕にヒット。ダギースレンは左前手フックで押し戻すと、ワンツーの右。その圧力にチハヤフルは下がり、ダギースレンの右の連打に手数が減る。
ダギースレンの右ボディを受けたチハヤフルは、跳びヒザを見せて近づきシングルレッグも、その左脇をすくってダギースレンはバック、4の字ロックに! リアネイキドチョークは喉下に入るが、身体の伸ばしてダギースレンの腕を上に押し上げたチハヤフルは脱出して正対して上に!
ここで休まずすぐに足を超えてマウント、左右のパウンドにダギースレンは背中を見せるとチハヤフルはバックからリアネイキドチョーク狙い。足を4の字には組んでいないチハヤフル。喉に組ませないダギースレンは、チハヤフルが右手を巻いてきたところをかわしてヒジを前方に押し流して脇を潜ると、正対際にシングルレッグで上を取り返しに。
最後の勝負のスクランブル。片足を手繰るダギースレンに、右脇をすくうチハヤフル。は、右に開いてダギースレンを崩すと、右回りで正対して左足を背中にかけに行く。しかし右は差したままのダギースレンも互いにマットに頭をつけながら上体を起こしてチハヤフルの左脇から頭を起こして差していた右手と左手をロックして押し倒して上に!
残り40秒でついにチハヤフルに背中を着けさせる。右脇を差して押さえ込み、腰を抱くダギースレン。そこにチハヤフルは背中を見せながら、背後のダギースレンの右足を巻き込んで前転も、ついていくダギースレンが足はかからずとも首に右手を巻いてチョーク! 右足をかけさせないチハヤフルは極めさせずゴング。
両者ともに大の字でマットに横たわると、師匠のナラントンガラグは、先にチハヤフルの口に水を流し込み、その後で弟子のダギースレンに水を与えた。
判定は2-1に割れ、1者が29-28でチハヤフルを支持も、2者が29-28でダギースレンを支持。決勝進出を決めたダギースレンは、ケージを出るときにマットに一礼。ナラントンガラグとともにケージを降りた。
際を譲ってスプリット判定で敗れたチハヤフルだが、今後に期待を抱かせる熱戦を展開した。